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スマホが奪う子供の大事な力

2021年09月14日 | 教育・学校

「時計もカレンダーも読めない」プロ家庭教師が嘆く学力低下の衝撃

PRESIDENT Online2020.9.14

西村 則康

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員

 

    スマートフォンは現代社会に不可欠だ。だが、プロ家庭教師集団名門指導会の西村則康さんは「時間や曜日の感覚がわからない子が増えている。子供のうちはスマートフォンの時計やカレンダーではなく、アナログのものを使ってほしい」という――。

 

「LINEを始めたら、成績が下がった」

    近年、中高生の多くがスマホを持ち、友達とのやりとりやSNSの発信、YouTube鑑賞などを楽しんでいる。今はまだ少ないけれど、今後は小学生の多くがスマホを持つようになるかもしれない。スマホを持つと、一日の多くの時間をスマホに奪われ、学力低下につながると言われている。

    よく聞くのが、中学生がLINEを始めると成績が下がるというもの。グループLINEの内容が気になって、勉強に手がつけられなくなったり、夢中になっているうちに夜更かしをしてしまい、翌日の学校の授業に支障が出てしまったりするからだ。大人でも常にスマホを触っていないと落ち着かないという人がいるくらいなのだから、自制心がまだ効かない中学生に自己管理させるのは難しいだろう。

    スマホによる弊害は、時間を奪われることだけではない。むしろ、私が懸念しているのは、学習の基礎力が身に付かなくなってしまうことだ。特に小学生がスマホを持つと、弊害が大きいと感じている。

「キャッシュレス社会」で失った、数の感覚を学ぶ機会

    近ごろ、四捨五入の計算が苦手な子供が増えている。数の感覚がつかめないのだ。その理由の一つとして、小銭を持たなくなっているからではないかと推測する。今の子供たちは塾や習い事に忙しく、家のお手伝いをする機会がほとんどない。ひと昔前なら、「おしょうゆが切れちゃったから買ってきて。余ったお金でお菓子を買っていいわよ」と親から小銭を渡されて、しょうゆとお菓子の値段を見比べながら、いかに自分が得するか考えたものだ。そうやって、小銭の感覚、すなわち数の感覚を身に付けていったといえる。

    ところが今は、親自身も現金で買い物をしなくなっている。スーパーの買い物もスマホ決済などキャッシュレスが主流になっている。また、子供にお金を渡すときも、鉄道会社のICカードなどにチャージするケースが増えている。昔と比べて、現金を使う機会が極端に減ってしまっているのだ。しかし、小学生のうちからキャッシュレスに慣れてしまうと、数の感覚が身に付かなくなってしまう。近年、算数の基礎中の基礎である10進数の感覚が理解できない子供が増えているのだ。

「スマホの読み方」と「国語の読み方」は違う

    また、スマホは文章の読み方も変えてしまう。スマホやPCの文章は、スクロールして読み進めていく。こうした読み方は、素早く読むときにはいいが、文章を味わうには向いていない。速読と同じように、目に付いた大切そうな言葉だけを追う読み方になってしまう。こうした読み方をしていると、入試で問題文を読み飛ばしたり、大事な条件を見過ごしてしまったりとミスが出やすくなる。

    特に国語ではしっかり読むことが重要だ。速読のような読み方では、細部の重要な言葉や表現を見落としてしまう。スマホの読み方と入試問題の読み方は違うということを認識しておく必要がある。

カレンダーや時計は「アナログ」を与えてほしい

    スマホには時計やカレンダーなど便利な機能が付いている。しかし、小学生のうちからこうした機能に慣れてしまうのは、よくないと感じている。近年、子供たちの指導をしていると、「えっ⁉︎ これが分からないの?」と驚くことが増えている。例えば、暦が分からない。1年は365日で、何月が何日で、祝日がいつかという日本人であれば当たり前に持っている感覚が鈍っているように感じる。受験算数に「日暦算」というものがあるが、暦の成り立ちを知っていれば簡単に解ける問題が解けない子が多い。

    同じように時計の動きが分からない子供も増えている。秒針と分針の動きが理解できていないと、「時計算」を解くことができない。こうした背景にあるのが、スマホの存在だ。スマホには時計、カレンダー、スケジュール帳、辞書、計算機などさまざまな機能がある。こうした機能はとても便利ではあるが、時間の感覚や曜日の感覚がまだ身に付いていない小学生には使わせない方がいいと感じる。時計はデジタルではなくアナログのものを使い、秒針や分針の動きの感覚をまずは身に付けさせることが賢明だ。また、カレンダーも大きな紙のものを部屋の壁に貼り、1週間の感覚を身に付けさせてほしい。

    大人ならすでにそういう感覚が身に付いているので、便利な機能がついているスマホを活用してもいい。でも、まだその感覚が身に付いていない子供には、針のある時計や紙のカレンダーなど、アナログの道具を使って、生活の基礎を教えてあげてほしい。

検索機能は「分かった気」になりやすい

    スマホを使うメリットの一つに検索機能がある。分からないことは、すぐに調べられ、答えを知ることができるため、学習にも使うことが多い。しかし、検索機能で出てくる答えは、すべてが正しいわけではなく、その判断が難しい。また、なんとなく分かった気になっているけれど、厳密には理解できていないことも多い。

    検索機能は、すぐに答えが見つかるが、そのことしか出てこない。辞書を引けば、その前後の説明があったり、補足があったりして、全体を理解することができる。言葉の意味や表現を多く知るためにも、やはり小学生には辞書を使うことをすすめる。

    一方、スマホで調べるメリットもある。例えば植物を調べるときなどに、画像や動画でビジュアルがすぐに確認できることだ。ただし、パパッと検索して見つけたものは、忘れるのも早い。図鑑などで苦労して探す方が記憶には残りやすい。やっと見つけた! という感動とともに、身体感覚として残るからだ。小学生の子供は身体感覚で学習する。自分の手で触ったり、実際に見たり、手を動かしたりすることで、自分の記憶として残り、知識を吸収していく。

不便だからこそ、頭が鍛えられる

    スマホは大変便利なツールだ。だが、小学生の子供にはできるだけアナログなものを使わせてほしい。不便だからこそ工夫をし、苦労するからこそ記憶に残るからだ。冒頭でキャッシュレスについての危惧を伝えたが、小学生に現金を使う機会が必要なのは、10進法の感覚を身に付けるためだ。小学生が学習する算数は、数や単位の感覚だったり、図形の性質の理解や解き方だったりといった基本である。私はそれを道具と言っているが、算数は道具が少ない。その少ない道具を使って工夫しながら考えることによって、頭が鍛えられる。

    一方、数学は方程式など便利な道具を使って解くものだ。それを使えるのは、小学生で基礎を学んでいるから。基本的な道具が使えるようになってこそ、便利な道具を活かすことができる。これは、アナログ時計や紙のカレンダー、辞書などを使って基礎を身に付けることと同じ考えだ。

    小学生の子供にはできるだけアナログのものを使わせ、不便な経験をさせよう。不便は工夫を生み出す。自分なりに工夫する経験を積んでから、スマホを持たせるとその便利さに気づくだろう。スマホを持たせるのは今じゃない。


ギョギョ!

なんと、最低気温4.5℃。予報では8℃だったのでハウスも少し開けて帰った。明日朝も同じ予報、今日は全部閉めてきた。寝坊できない。

先日の雨とこの寒さで出ているのではないかと裏へ。
たった2本しか出てませんでしたが、すでに虫に食べられていました。
落葉きのこ

アロニアジュース。

アロニアは渋みが強い。今回はアロニアに氷砂糖を入れ沸騰させる。それをミキサーにかける。炭酸で割って飲んでみた。結構行ける。渋みはあまり感じなくなっていた。


制服の自由化 大人が消極的 コロナ禍の校則見直し

2021年09月13日 | 教育・学校

内田良名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授

 2学期に入り、学校の「校則」の話題が飛び交っている。これまでは理不尽な校則に関する話題が多かったが、このところ目立つのは校則の「見直し」の動きである。その一つに、制服の見直しがある。とくに男女別の規定を緩和・廃止する取り組みが各地で進んでいる。一方、制服の着用そのものの自由化、すなわち私服の容認は、ほとんど検討されることなく、また世論の反応もとても鈍い。校則見直しブームのなか、制服の自由化ははたして進むのだろうか。

■制服見直しブームの到来

全国の学校で、制服見直しの動きが起きている。

 9月に入ってからだけでも、女子生徒のスラックスを認めるなど、いわゆるジェンダーレス化の取り組みが相次いで報道されている。

 ジェンダーレス化は、トランスジェンダーの生徒への配慮として進められることが多い。ただ上記の群馬県の取り組みが、「スカートは寒いし、苦手意識があるのでスラックスをはきたい」という生徒の意見から始まったように、冬の寒さ対策としてもジェンダーレス化の意義は大きい。

写真:アフロ

■女子スラックス採用の高校は全国で4割

 女子生徒のスラックス着用を認める動きは、全国的に広がりを見せている。株式会社トンボによると、同社が取り扱っているジェンダーレス制服の採用校数は、全国の中学校・高校で、2018年に370校、2019年に450校、2020年に750校、2021年に1000校強に増えているという(「朝日新聞 EduA」2021年4月2日)。

 また、先週発表された「学校総選挙プロジェクト」の調査によると、全国の公立高校で、制服が指定されている学校のうち、女子生徒にスラックスを用意している学校は44.4%(3073校中1365校)にのぼるという(「PR TIMES」2021年9月9日)。

 同調査では、スラックスの着用に際して特別な理由の提出を求めるような学校は、スラックスの「採用なし」と集計したとのことであるから、規定上はスカートまたはスラックスを自由に選べるようになっている高校が44.4%あるということだ。しかも、今後の採用を予定している高校も多く、「これから採用学校が増えていくものと期待しています」と解説されている。

女子スラックスの採用率 ※PR TIMESの記事より引用
女子スラックスの採用率 ※PR TIMESの記事より引用

 なお目下のところ、女子スラックスの採用割合は、都道府県の差がとても大きい。同調査によると、1位は長野県で、その割合は87.8%に達する。2位が滋賀県で86.4%、3位が神奈川県で84.3%である。一方で、青森県と愛媛県と岩手県は採用率が10%未満であったという。いまも厳格に、男女別の着用を求める自治体が少なくない。

■周囲の目が気になる

 女子生徒のスラックス採用率が44.4%という数字は、校則見直しの明るい未来を示すものである。しかしながらこの数字は必ずしも、生徒の着用率を示すものではない点に留意したい。

 規定として男女の区別をなくしただけでは、自由な選択の保障は難しいとの声が多くある。

 昨年9月に制服の見直しを発表した兵庫県姫路市の市立山陽中学校は、「男女共通」の制服を採用した。報道によると、性別に関係なくスラックスとブレザーで統一にする「男女共通」としたのは、「近年、スカートとスラックスを選択できるようにする学校も増えてきていますが、選択制を導入しても周囲の目が気になって望む制服を着用できない生徒もいるという現状もある」という理由からだ(「PRIDE JAPAN」2020年9月29日)。

 つまり、女子もスラックスを着用してよい(あるいは男子もスカートを着用してよい)と選択肢を増やしたところで、生徒は集団のなかで目立つことを恐れて、着用が進まない可能性が懸念されるのだ。先の記事のなかで同校の長谷川貴久校長は、「社会の理解がまだ十分でなく、性的マイノリティであることを表明しづらい雰囲気がある」「性的マイノリティの生徒にズボンを選ばせる学校もあるが、中学校の段階でカミングアウトするのは難しい」と見解を述べている。

■販売店では男女別

実質的なジェンダーレス化を阻むのは、生徒が感じる「周囲の目」だけではない。

 福岡市では教育委員会の主導により、2020年度からほとんどの市立中学校において、生徒がスラックス、キュロット、スカートのいずれかを自由に選べるようになっている。ところが福岡県弁護士会の調査によると、全体の34.8%(69校中24校)の学校が、校則で着方を男女別に明確にわけており、37.7%(69校中26校)が男女別に描きわけているように見えるイラストを使用していたという(「西日本新聞」2020年12月23日)。

 また販売店では、店頭の陳列棚に「男子カッターシャツ」「女子ブラウス」などと男女別で表示していた例もあった。店長は取材に「判別しにくいと困る人もいると思い、男女表記を加えた」と説明し、「無意識に決めつけていた」と詫びたという(「西日本新聞」2020年9月29日付)。

 周囲の目が気になること、学校や販売店などが新たな取り組みに追いつけていないことなど、実質的なジェンダーレス化にはいくつかの阻害要因がある。今後の改善が望まれる。

■制服そのものは必要か

制服の見直しについては、もう一つ、まだほとんど検討されていない課題がある。制服そのものの自由化、すなわち、私服着用の是非だ。

 ジェンダーレス化とは、制服自体は維持し、その着用のあり方を変更する取り組みである。一方で、制服の自由化とは、制服そのものを廃止する、あるいは制服と私服の選択を可能にする取り組みである。ジェンダーレス化よりもはるかに根本的な改革といえる。

 先の「学校総選挙プロジェクト」の調査では、女子生徒のスラックス採用割合がもっとも高かったのは、長野県(87.8%)であった。この調査は制服が指定されている高校におけるスラックス採用の割合であり、そもそも私服の学校は調査対象に含まれていない。

 その長野県は、じつは全国で「私服率」がもっとも高い。長野放送の調査によると、県立高校のうち半数が私服(78校中39校)である。長野県に次いで多いのが宮城県で、私服の高校は26.0%(77校中20校)であるから、長野県が突出して私服が多いことになる。その他の都道府県は軒並み私服の割合は小さく、0%~10%がほとんどである(「長野放送」2021年6月12日)。

 

全国の都道府県立高校における私服採用の割合 ※長野放送の記事より引用
全国の都道府県立高校における私服採用の割合 ※長野放送の記事より引用

■コロナ禍がもたらした私服登校

いま、制服の自由化を検討している高校がある。岐阜県立岐阜北高校だ。先週のNHK「クローズアップ現代+」でも取り上げられた高校である。

 今年の2月15日から26日の2週間にわたって「制服について考える週間」を設け、生徒が私服で登校することを認めた。この取り組みの最大のきっかけが、新型コロナウイルスの感染拡大である。

コロナ禍において学校は、真冬であっても教室内を適宜換気する必要があった。

 同校が2月8日に保護者宛てに発出した文書「『制服について考える週間』について」によると、防寒の観点から、授業中なども防寒着の着用が認められるなか、これを機に制服そのものについてのあり方を検討したいという声が、生徒会を中心にあがったという。感染症対策として、毎日洗濯できる服装が望ましいという配慮もあった。

 同じ岐阜県内の県立加納高校では、2020年の夏の時点で、私服が採用されていた。「猛暑の中、教室は、換気の必要からエアコンが十分機能せず、制服では熱中症だけでなく、頻繁に洗濯できないことで感染症も心配されたため」である(「岐阜新聞」2020年11月24日)。山梨県の私立山梨学院高校においても「制服もあるのだが、コロナ対策の一環で着ていけるのは、私服や学校指定のジャージなど、毎日洗える服」とされた(「FNNプライムオンライン」2020年6月8日)。

■授業規律の低下はなかった

 コロナ禍においては、夏も冬も、換気のために窓を開けざるを得ない。また、制服へのウイルスの付着も気がかりだ。岐阜北高校では、コロナ禍における暑さ・寒さ対策ならびに衛生面の配慮から、柔軟に着こなせる私服の利便性が認識されるようになり、それが制服着用という学校の当たり前を問うことにつながった。

 「制服について考える週間」を経て、同校の生徒会は同年度中にアンケート調査を実施した(2020年度の全校生徒数1080名のうち612名が回答し、回収率は56.7%)。たんに制服の見直しを議論するだけでなく、しっかりと調査をおこない、エビデンス(科学的根拠)にもとづいて検討している点で、先進的な取り組みといえる。  

 調査結果をみると、「制服について考える週間」における生徒の実際の服装は、制服/私服/部活の服が、大差なくばらついている。多様な服装が、教室を飾ったようだ。

生徒調査:「制服について考える週間」の服装 ※生徒会のアンケート結果をもとに筆者が作図
生徒調査:「制服について考える週間」の服装 ※生徒会のアンケート結果をもとに筆者が作図

 生徒会は、生徒のみならず、教職員や保護者にも調査をおこなっている。生徒・教職員・保護者とそれぞれの立場の意見を把握しようとする点で、じつによく練られた本格的な調査である。

 教職員に対する調査では、「制服について考える週間」の生徒の様子を受けて、授業の規律が低下したと回答した教職員は21.1%(「そう思う」1.8%、「どちらかといえばそう思う」19.3%)にとどまり、多くの教職員が規律の低下はなかったと感じている。

教職員調査:生徒の授業規律が低下したか ※生徒会のアンケート結果をもとに筆者が作図
教職員調査:生徒の授業規律が低下したか ※生徒会のアンケート結果をもとに筆者が作図

■大人が消極的

調査では、生徒・教職員・保護者にいくつか共通の質問が投げかけられた。興味深いのは、今後の制服のあり方に関する回答の傾向が、生徒と教職員・保護者との間で大きくわかれた点である。

 用意された選択肢は、①現状の服装規定を維持、②制服は維持するが、規制を緩和する、③服装を自由化する(制服・私服の選択可)、④私服化する、⑤その他、の5つである。基本的に①と②が制服着用を前提とする回答で、③と④が服装の自由を認める回答である。

 結果は、①と②の制服着用を前提とする回答は、生徒が31.6%、教職員が63.1%、保護者が80.9%であった。制服着用をめぐっては、生徒とは対照的に教職員や保護者が消極的であることがわかる。

「制服について考える週間」後の制服着用に対する考え方 ※生徒会のアンケート結果をもとに筆者が作図
「制服について考える週間」後の制服着用に対する考え方 ※生徒会のアンケート結果をもとに筆者が作図

 生徒が声をあげても、まずもって学校内で教職員の壁がある。たとえ「制服について考える週間」において授業の規律が低下しなかったとしても、それでも教職員の間には制服を支持する声が大きい。

 そして仮に学校内で生徒の声が尊重されたとしても、さらに学校の外に保護者の壁がある。保護者の8割が制服に肯定的であることからすると、制服自由化の壁は厚くて高い。なるほど、ジェンダーレス化など制服のマイナーチェンジの世論は高まってきたけれども、制服そのものの自由化に関する世論が高まらないのも、うなずける。

■「厳しい校則」の先へ

私自身は、学校生活であろうとも子供にはできる限り自由を保障すべきであると考えている。私にとって、先に示した長野県の高校の例は、制服のあり方を検討するうえでの重要な道標になる。

 先述のとおり、長野県の高校は全国で私服率が突出して高い。長野県内でみてみると、地域によりばらつきがある。12校中11校が私服の地域もあれば、7校中1校のみの地域もある(「長野放送」2021年6月12日)。大多数が私服の地域においては、もはや高校生活は私服が当たり前の風景になっているといえる。

長野県の県立高校における地域別の私服採用の割合(なお図中の「旧通学区」とは、2003年度までの区分である) ※長野放送の記事より引用
長野県の県立高校における地域別の私服採用の割合(なお図中の「旧通学区」とは、2003年度までの区分である) ※長野放送の記事より引用

 だが全国的には、ほとんどの中学校・高校で、制服着用が実質的に義務づけられている。制服こそが当たり前の風景だ。人権や個性の尊重の観点から「制服をやめてもよいのでは」と学校の先生方に問いかけると、反応はとても鈍い。

 厳格な男女別の制服、下着の色のチェック、ツーブロック禁止など、「厳しすぎる」と思えるような校則には、世論も見直しの必要性に賛同する。ところが、制服の自由化のような、「厳しさの緩和」の先にある「自由」を求めようとすると、世論はついてこない。

■何が見直されるべきなのか

総じて、私服を認めれば「華美になる」「規律が乱れる」「制服よりもお金がかかる」「学力が低下する」「学校への所属意識がなくなる」「保護者や地域から反対の声がある」など、大人の側からさまざまな懸念が示される。それぞれの懸念については、別途丁寧に検証する必要がある。だけれどもここで確認したいのは、私服が当たり前の地域があり、そこはそこで高校生活が営まれているということである。

 今年の1月に、私はコロナ禍の一時的なマスク不足により、全国の学校のマスクがカラフルになったと書いた(「理不尽な校則 なぜ変わらないのか」)。コロナ禍以前はマスクが白色のみに限定されていたのは、他の色を認めれば、「華美になる」「規律が乱れる」と大人の側が心配していたからであった。

 いま学校で子供は、さまざまな活動や会話を制限されて、しんどい思いをしながら日々を送っている。ただでさえストレスフルな日常だ。それでも、マスクがカラフルになって学校が混乱に陥ったという話題は、いまだ聞こえてこない。大人が抱いてきた子供に対する不信感は、見事に幻想であったと、結論できよう。

 マスク一つどころか、コロナ禍で服装を丸ごと自由化した学校でさえ、いつもどおりの学校生活がつづいている。またコロナ禍以前から私服通学で、何事もなく平穏な日々がつづいてきた地域もある。

 校則の見直しに際してまずもって見直されるべきは、大人の側の「思い込み」である気がしてならない。

名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授

学校リスク(校則、スポーツ傷害、組み体操事故、体罰、自殺、2分の1成人式、教員の部活動負担・長時間労働など)の事例やデータを収集し、隠れた実態を明らかにすべく、研究をおこなっています。また啓発活動として、教員研修等の場において直接に情報を提供しています。専門は教育社会学。博士(教育学)。ヤフーオーサーアワード2015受賞。消費者庁消費者安全調査委員会専門委員。著書に『ブラック部活動』(東洋館出版社)、『教育という病』(光文社新書)、『柔道事故』(河出書房新社)など。■依頼等のご連絡はこちら:dada(at)dadala.net


長い記事になったのでこれにて・・・


女子プロサッカー「WEリーグ」きょう開幕

2021年09月12日 | 社会・経済

ジェンダー平等・多様性社会の実現を 女性の社会進出 発信へ

「しんぶん赤旗」2021年9月12日【スポーツ】

 関係者の熱い思いを乗せて女子プロサッカーの「WE(ウィー)リーグ」が開幕します。「いまからわくわくしています」「楽しみで仕方ない」。開幕まで1週間を切った6日、キックオフ・ミーティングで参加11クラブの選手たちは、胸躍る思いをにじませました。

 (和泉民郎)

 なでしこリーグでプレーしていた選手の大半は、働きながらプレーする環境下にありました。

 以前、ある代表選手はもどかしそうにこう話していたことがあります。

 「世界が次々とプロ化している。プレー環境をよくするため、自分たちにできることはないのかずっと考えている」

世界のプロ化

 2011年に世界を制し、翌年のロンドン五輪で銀メダルを手にした後、日本女子代表は主要大会で上位に食い込むことができなくなっています。

 欧州を中心に相次いでプロ化が進み、世界のレベルがぐっと上がっているからです。

 「いま動かなければ世界に後れをとってしまう」。WEリーグトップの岡島喜久子チェアはプロ化に踏み切った理由をこう語りました。

 プロ化で選手たちの環境がどう変わるのか。

 最低年俸(270万円)を定め、1クラブあたり500万円以上の選手を5人以上確保します。

 採算面を考えると、1試合の観客数は平均5千人以上が必要としています。これはなでしこリーグ時代(平均1300人)の4倍近い数です。

 「WEリーガーが女子の夢の職業になってほしい。そのためには女子のよさである高い技術とフェアで真摯(しんし)なプレーが大事」。岡島チェアは力を込めます。

大志ある挑戦

 リーグにはもう一つの大きな目的がすえられています。ジェンダー平等社会の実現です。

 そもそも「WE」とは「Women Empowerment」の略で、女性が活躍できる社会の象徴としての願いが込められています。

 岡島チェアはキックオオフ・ミーティングで宣言しました。

 「この新たなリーグは、WEの力でジェンダー平等、多様性社会の実現を目指します」

 リーグを支えるスポンサーには、同じ理念を掲げていたり、これに共感したりする会社が多く選ばれています。クラブ、選手、スポンサー、行政機関などと連携し、「この点での社会課題解決に力を尽くす」との構想もあります。

 もちろんリーグやクラブ自体も女性の登用を進めます。クラブには1人以上の女性役員を入れ、3年以内に職員の半数を女性にするとしています。将来は監督、コーチにもより女性の就任を求め、日本協会とも協力しつつ進めています。

 同協会の田嶋幸三会長は10日、協会創立100周年行事で同リーグについてこう語りました。

 「これはただのプロリーグではありません。女性の社会進出をサッカー界から世界に発信していきたいのです」

 ジェンダーギャップ指数120位の日本で、女性の現状はどの競技でも同様の厳しさがあります。リーグの成否はその未来をも担っています。スポーツ界と社会の新たなあり方を開く―。その大きな志を持った挑戦が始まります。


楽しみです。応援していきます。

今日は久々の大粒の雨。稲妻が見えますが音は聞こえません。
この後、最低気温は10度を下回る日が多くなっていきます。

皆さんお待ちかねの落葉きのこですが、ここではまだ出ていません。
釧路のブロガーさんのところではすでに出ているということです。
この雨の後に・・・でしょうね!

雨の踏切。


雨宮処凛がゆく! 第568回:「命を守る」ことを最優先にした政治を〜「命がけ」になってきている支援の現場。

2021年09月11日 | 生活

2021年9月8日

 マガジン9 (maga9.jp)

 

 コロナ禍が始まって、もう一年半。

 最近、やっとワクチンを打った。

 といっても、私の住む自治体のワクチンはずいぶん前に供給ストップ。どこに問い合わせても「いつ再開されるかわからずキャンセル待ち予約もできない」という返事。

 困窮者支援の現場で対面相談を受ける機会もある私は、この一年半、ずーっと不安の中にいた。ともに活動する中には、すでに感染した人もいる。喘息など基礎疾患持ちの自分の身を守るためにも、ワクチン接種を受けたい。しかし、自治体は完全にアウト、職域接種も対象外。40代でフリーランスの自分はもう年内は無理だろうと諦めかけていた。

 しかし、知人に相談したところ、奇跡的にキャンセル枠が取れたではないか。そうして数日前、ファイザーのワクチン1回目を接種したというわけである。心配していた副反応は私の場合ほぼなく、腕の痛みと当日の眠気だけ。翌日は眠気もなく、腕の痛みもほとんど消えた。どのくらい痛みがなかったかというと、ヴィジュアル系バンドのライヴ映像を見ながら完璧に振り付けをできるほどだ。つまり、腕の痛みも違和感も翌日にはほぼなかったということである。

 さて、そんなワクチンだが、若者を対象にした東京・渋谷の接種会場で大混乱が起きたことは記憶に新しい。「若者はワクチンを忌避している」という何を根拠にしたのかわからない都市伝説に基づいて予約なしの接種会場を設けたところ希望者が殺到、初日は午前7時半に受付を終了したという件である。

 そんなふうに遅々としてワクチン接種が進まない中、この国では少し前まで連日2万人近くの新規感染者が出続け、10万人以上が今も「自宅療養」という名の自宅放置の中にいる。

 8月、私の友人も感染したのだが(現在は治った)、東京都の発熱センターに電話するもまったくつながらず、発熱外来の予約も取れずという状況が続いていた。結局、症状が出てから数日後にやっと検査を受けられて陽性が判明したのだが、友人が「自宅放置」されている間、「急変したら」と気が気じゃなかった。

 そんな8月下旬以来、支援の現場でも大変なことが起きている。

 私も属する「新型コロナ災害緊急アクション」には、連日「アパートを追い出された」「所持金が尽きて何日も食べていない」などのSOSメールが来ているが、そんな中、コロナ陽性が疑われる人からのSOSも届くようになったのだ。

 カプセルホテルやネットカフェに泊まっているものの、熱があり、味覚がないという状態だ。その上、住まいもなく所持金もない。

 SOSを受けた場合、都内であれば支援者が駆けつけ、その日の緊急宿泊費や緊急生活費を渡して後日、生活保護申請に同行するなどの流れになる。が、コロナ陽性が疑われる場合は駆けつけることはできない。

 一方、他の相談現場にも、発熱した状態の人が相談に訪れているという。まさに支援の現場は「命がけ」になってきたわけだが、これらのことを通して痛感したのは、住まいも保険証も所持金もない人の陽性が疑われた場合、彼ら彼女らがすみやかに検査を受けてホテルに隔離され、食事やお金の心配をせず療養する仕組みは何ひとつないということだ。

 コロナ禍が始まって一年半。この間、「路上やネットカフェにいる人が感染した場合」なんて、いくらだって想定できたし、その準備は当然、なされるべきだった。というか、なされていると思っていた。しかし、国は本気で本当に、何も準備していないようなのだ。

 支援者らは熱が出て苦しそうにしている人を路上に戻すわけにはいかない。よってなんとか部屋を確保したりと奮闘しているようだが、それだって限界がある。発熱している人が数人であればまだ対応できるが、これが数十人になった途端にアウトだ。だからこそ国や東京都はここに力を入れてほしいと切に思う。だって、これを放置していたら、路上やネットカフェでどんどんクラスターが発生するのは目に見えているではないか。

 一年半が経つのに、いまだワクチン接種は進まず、陽性が疑われてもスムーズに検査を受けることもままならず、救急要請しても東京都では6割が病院に搬送されず、自宅に放置されたまま亡くなる人が後を絶たないなど、すべてが機能不全を起こしているコロナ対策。その上、「公助」も民間任せ。なぜ、ボランティアの支援団体が命がけで陽性が疑われる人の対応をしなければならないのか。

 今の政治は、「最低限、命は守る」という姿勢すら放棄しているように見えて仕方ない。このままでは、コロナ陽性者が路上やネットカフェで命を落とす事態にだってなりかねない。「自宅療養」ができない自宅のない人の場合、「路上療養」とか言い出しかねない気がするのは私だけではないだろう。

 そうしてこの夏、路上に出てきた人たちは目に見えて増えた。どことは言わないが、ある駅周辺に、夏以前はいなかった人たちが大勢寝ていて、その多くが「路上に出たばかり」とわかる人たちだ。

 このような人たちが感染した場合、どこに行けば、どこに連絡すればいいですか?

 ただそれだけの質問に、この国は答えられないようである。

 そんな状況の中、菅首相は突然の退陣表明。そうして自民党内は総裁選を前にして混乱の渦中だが、その間にも、多くの命が脅かされている。

 頼むから、一刻も早く「命を守る」ことを最優先にした政治が行われてほしい。


秋の薔薇が咲き出した。蕾がたくさんついたせいか花はやや小ぶりだ。


室井佑月「死にかけているのでは」

2021年09月10日 | 生活

連載「しがみつく女」

2021.9.2 週刊朝日

 いつ終わるかわからないコロナ禍で、はっきり見えてきたのは日本の衰退だ。マスクもワクチンも、すぐに用意できず。というか、30~40年前の日本なら、独自でワクチンを開発できていたんじゃないか。それが出来てたらこの国は潤ってたはずだし、途上国に寄付などしたら尊敬もされたはずだ。

 だいたい国民の安全そっちのけで、一部の人の思惑で国を挙げてのお祭りをするって、マジで衰退国だよ。

 多くの人がそれに気づく日も、そんなに遠くないような気がする。健康保険制度に加入しているのに、苦しくても入院できないってどういうこと? コロナが明けても、気軽に海外旅行へ行けなくなっているかもな。

 この国の敏(さと)い人は、今だけ自分だけ仲間だけという短絡的な価値観だ。血税で肥えようとする輩は、その最たる者だ。

 今、あたしたちの血税で儲(もう)けている企業は、世界と競争しても勝てるような研究をしているか? なにかを作り出しているのか?

 8月13日の東京新聞に「最大9次下請け、564社関与 持続化給付金『中抜き』批判の電通再委託問題 経産省が検査の最終結果公表」という記事が載っていた。

「国の持続化給付金事業で再委託や外注が繰り返された問題で、不透明な業務や支出の無駄がないかを検査していた経済産業省は12日、最終結果を公表した。事業に関与した企業は564社(受注額100万円以上)に上り、下請けは最大9次まで及ぶことが明らかとなったが、経産省は『手続きや取引の適切性を確認した』と結論づけた」

 適切性を確認? バカいっちゃいけないよ。持続化給付金といえば、困っている人に配られる金だ。その金は、経産省から669億円で一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ協)に回され、そこは29億円中抜きし、640億円で電通に再委託する。そして、電通が79億円中抜きし561億円で、他の会社に外注し……ということが9次下請けまでくり返された。

「事業は電通などが設立に関与したサ協が受注した後、電通に再委託。電通は複数のグループ企業のほか、同様にサ協の設立に関与したパソナやトランスコスモスなど『身内』に外注を繰り返していた」

 持続化給付金というものの本質を考えず、身内同士で税金に蟻(あり)のようにたかる。その金はこの国の発展、これからにつながらない。彼らに恥という感覚はないのだろうか。

 また、こういう輩(やから)にたかられる日本も、死にかけだからなんだろうと思う。国民にとって必要な事業やそこで使う税金の采配も、国としてもうちゃんと出来ないのだから。

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

※週刊朝日  2021年9月10日号


堤未果 電子式「ワクチンパスポート」はツッコミどころ満載 デジタルはファシズムと結びつくと獰猛な牙をむく

2021年09月09日 | 社会・経済

日刊ゲンダイデジタル 2021/09/09 

国民が知らないデジタル庁の恐ろしさ(2)

「デジタルの利便性」という言葉に惑わされると、あっという間に個人のデータは吸い上げられ、プライバシーを奪われる。それを超える公共性があるというなら、最低限のルールが必要だ。きちんとした情報公開、国民によるチェック機能、そして、何よりも政治への信頼だ。それがない時にデジタルはファシズムの道具になる。近著「デジタル・ファシズム」(NHK出版新書)で警鐘を乱打した国際ジャーナリスト、堤未果さんの緊急寄稿第2弾。

 ◇  ◇  ◇

 9月1日に発足したデジタル庁は、6日に官邸が開いた初の「デジタル社会推進会議」で、デジタル社会構築に向けた新重点計画案に、新型コロナウイルスワクチン接種歴証明のための電子式「ワクチンパスポート」を提案した。スマホアプリ搭載型で、提示すれば、県をまたぐ旅行や飲食店への入店制限が緩和される。感染拡大防止と国内経済再開が両立できる画期的計画だというが、本当にそうだろうか。デジタルという新技術を管轄する省庁の初事業としては、ツッコミどころが多すぎて、むしろ同庁の真の目的が見え隠れするような案件だ。

 まずは周知の事実だが、ワクチンは重症化は防止しても感染拡大防止効果は期待できない。新しい変異株が次々と出ているのだからなおさらだ。無症状感染者の行動緩和が感染拡大を招く恐れが強い。

 パンデミック下で死活問題になる情報の偏りも依然として根強い。ワクチン接種後に亡くなっている方々や、フランスをはじめ海外で頻発中の「ワクチンパスポート」に対する大規模抗議運動についての報道は一切なく、異物混入後も推奨を続ける政府と主要マスコミの報道姿勢に、国民の不安と不信感は増している。

 任意接種を盾にデジタルデータで国民を二分し、政府が日常生活の規制を分ける〈ワクチンパスポート〉。そこにはアプリ開発の名の下に、2億5000万円もの税金が使われる。お友達企業が潤うだけでなく、パンデミックという危機を千載一遇とばかりに利用し、個人情報一元化を急がせるデジタル庁。その裏には効率を錦の御旗にして、公共を切り捨てていく〈デジタル管理型社会〉が見えてくる。

 モスクワでは、ワクチンパスポートは国民の主権を奪うファシズム的手法だとする反対市民運動が湧き起こり、中止に追い込まれた。アメリカ12州でも同様の事例がある。日本人はこの辺の意識が希薄ではないだろうか。

 もたつくデジタル庁を侮って、矛盾だらけの行動制限を容認すれば、衆院選後の憲法改正で〈緊急事態条項〉が現実化した時、国民は必ず後悔するだろう。忘れてはならないのは、デジタル社会は〈ファシズム〉と組み合わさった時、最も獰猛な牙をむくということだ。

だから、それをさせないよう国民が制限をかけておかなければならない。エストニアでは当局が個人情報にアクセスすると、ログイン履歴が残り、国民はそれを自由に閲覧できる。個人データの削除も可能だ。こうした監視が何よりも不可欠なデジタル庁の実態について、我が国では情報格差の厚い壁が障害になっている。利便性だけを宣伝され、無邪気に日本のデジタル化を急くことは、〈デジタル・ファシズム〉への入り口を開けることになりかねない。


ゆうちょ銀行と韓国の銀行が連携してする計画とは?

 

政権への「信頼」が不可欠だ。その裏に何かがある。

今日の天気予報では朝の一時期小雨というものだったがほぼ一日霧雨状の雨が降っていた。明日は晴れて暑くなる予報。

 

 


堤未果 デジタル庁は発足から波乱続きも…「どうせ前途多難」となめてはいけない

2021年09月08日 | 社会・経済
日刊ゲンダイDIGITAL 2021/09/08 
 
【国民が知らないデジタル庁の恐ろしさ】#1

9月1日に発足したデジタル庁。菅政権の“目玉”になるはずだったが、トップをめぐる迷走に加えて、菅首相の退陣が決まり、「器だけか?」の声も聞かれる。だが、この組織を甘く見ちゃダメだ。近著「デジタル・ファシズム」(NHK出版新書)で、個人の権利を侵害しかねない日本のデジタル行政に警鐘を乱打した国際ジャーナリスト、堤未果さんの緊急寄稿――。

◇ ◇ ◇

今月に発足したデジタル庁が冒頭から波乱を巻き起こしている。

旗揚げした菅首相は総裁選不出馬を表明、サーバーは初日からダウン、事務方トップの石倉洋子デジタル監は商用画像の無断利用が発覚し、就任早々、謝罪に追い込まれた。

主要マスコミは、デジタル庁は、コロナ禍での〈テレワーク促進〉や〈特別定額給付金〉の遅れがきっかけだと強調する。

だが、本当にそうだろうか。

日本社会を隅々までデジタル化する壮大な計画の一端がデジタル庁のスタートであり、これはコロナ禍で生まれたものではない。

「デジタル・ファシズム」という本にも書いたように、この計画は長い時間をかけ巧妙に練られ、着々と進められてきた。それがコロナを理由にして一気に加速されている。最大ターゲットは、デジタル時代の石油といわれる、私たち国民の〈個人情報〉だ。

政府は、これまで各省庁や自治体ごとに保存されていた国民の個人データを一カ所にまとめることで、行政手続きが便利になると言う。ICチップ付きのマイナンバーカードでログインすればスマホ画面で、名前、住所、世帯情報、所得、税金の支払い状況、ワクチン接種履歴などが全て閲覧できるようになるからだ。

だが同時に、一元化された膨大なデジタル個人情報は、顧客の消費傾向分析と誘導で利益を生み出す、企業にとって喉から手が出るほど欲しかった重要データに他ならない。

これまでは自治体が条例で守ってくれていたが、政府はこの間、一つ、また一つと規制を外して、昨年5月、検察庁の黒川問題のどさくさに紛れて、わずか11時間の審議で「改正国家戦略特区法(スーパーシティ法)」が成立した。官民連携などと言い、企業が国民の個人情報に簡単にアクセスできるようなシステムを堂々と完成させてしまったのだ。

今年5月、63本もの関連法案を束ね強引に成立させたデジタル庁は、各省庁のデジタル技官を縦断的にまとめる代わりに、最強権力で上から束ね、巨額の予算を握る内閣の直轄機関として誕生した。今後、巨大な金脈になるIT利権を各省庁から剥がして一カ所に集め、その支配を握るこの省庁にビジネスのにおいを嗅ぎつけた企業が国内外から群がるだろう。

職員は非常勤待遇や兼職容認で民間から集め、「回転ドア」で出入り自由にするという。企業に本籍を置いたままの民間人の利益相反や情報漏洩リスクを防ぐのは至難の業だ。いったい、誰のための個人情報一元化なのか?

この間に政府は、〈世界一、企業がビジネスをしやすい国へ〉を掲げ、規制緩和を進め、随所にお友達優遇体質が見え隠れした。コロナ前も後も、その体質は1ミリも変わっていない。

デジタルはそうした優遇を加速させる上、専門知識を持たない国民には何が起きているかが、ますます見えなくなるだろう。私たちにとって大切なことは〈デジタル〉という先鋭イメージや利便性にだまされず、その軸となる〈透明性〉と〈公正性〉を政府に要求し続けることだ。台湾のデジタル担当相、オードリー・タン氏はこう言った。

「デジタル化を成功させるには、絶対に、権力を一カ所に集中させてはなりません」(つづく)

(堤未果/国際ジャーナリスト)


後からはどうにでもなるということです。

今日咲いた花。


ユートス


秋明菊

まだ頑張っているアジサイ。


雨宮処凛  生きづらい女子たちへ   スピリチュアル市場がフォローしてフェミニズムが取りこぼしたもの

2021年09月07日 | 社会・経済

Imidas連載コラム2021/09/07

 吉川ひなのさんの自宅出産をドキュメントしたYouTubeが話題だ。

 もともと彼女は「自然なお産」や「おむつなし育児」「洗わない育児」など独特のスタンスを持っていたようである。そうしてこのたび第三子を自宅で水中出産したのだが、妊娠中には「普通の妊婦健診」を受けていないことをインタビューで語り、医療従事者らからその危険性を指摘されていた。本人はその後、最低限の検査を受けていることを発表。そうして無事、ハワイの自宅で子どもを産んだ。

 突然こんな話を始めたのは、橋迫瑞穂さんの『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』(集英社新書、2021年)という本を読んだからである。*以下〈 〉部分は同書よりの引用

 この本の内容を説明する文には、以下のような記述がある。

〈今世紀に入り、日本社会で大きく膨れ上がった「スピリチュアル市場」。特に近年は「子宮系」「胎内記憶」「自然なお産」に代表されるような妊娠・出産をめぐるコンテンツによって、女性とスピリチュアリティとの関係性はより強固なものとなっていった。しかし、こうしたスピリチュアリティは容易に保守的な家族観と結びつき、ナショナリズムとも親和性が高い。本書は、この社会において「母」たる女性が抱く不安とスピリチュアリティとの危うい関係について、その構造を解明する〉

 ここで私の体験を書きたい。

 それは何年か前、婦人科系の病名をネット検索した時のこと。投薬や手術など治療が必要な病気なのだが、パソコン画面には「子宮をあたためる」ことで治ると主張するサイトがずらりと並んでいたことに面食らった。

 科学的根拠を無視したような記述が多く、やたらとファンシーなデザインばかりだったのだが、それが初めて「子宮系」に触れた瞬間だった。

「これがいわゆるスピリチュアル市場か……」

 目の前に広がる光景にしばし言葉を失いつつ、荒唐無稽と思いながらもそれらのサイトの文章を読み進めた。

 すると、何やらいろんな不調は「冷え」から来ているらしく、とにかく子宮をあたためれば万事解決するらしい。しかも病気が治るだけでなく、美容も健康もお金も手に入るという大盤振る舞いぶりではないか。これ、いろいろ不安を抱えていたりしたらあっという間にハマるかもな……。そう思ったことを覚えている。

 ちなみに私自身は、ひとり身で出産経験なしの40代。スピリチュアル系にハマった経験は皆無だ。

 そんなスピリチュアルの世界だが、その言葉で真っ先に思い出すのは安倍前総理大臣夫人の安倍昭恵氏だ。

 反原発と大麻と神社と農業と天皇と神と宇宙と夢と平和とエコロジーと「水の波動」理論などのエセ科学と「もう一度日本の素晴らしさを取り戻そう」的な国粋主義が矛盾なく共存しているという、かなりとっ散らかった彼女の状態を私は勝手に「ゆるふわ系愛国」と名付けていたのだが、そのすべてにまぶされていたのが「スピリチュアル」という魔法の粉である。

 そんなスピリチュアルの世界について、『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』が取り上げるのは――。

1 妊娠・出産を司る臓器である子宮を重視して聖性を付与する「子宮系」

2 生まれてきた子どもは母親の胎内にいた時のことを記憶していると主張する「胎内記憶」

3 過度に医療に頼らずに女性ができるだけ「自然」なやり方で出産することを推奨する「自然なお産」

 まずは子宮系。関連する多くの書籍が出版されているが、同書によればこれは「努力型」と「開運型」の二つに分類されるという。

 努力型では、子宮の状態を改善するヨガや体操やマッサージ、ツボの位置などが紹介されるのだが、セルフケアをすることで子宮から「悪い気」を追い払うことに比重が置かれている。また、努力型の例として紹介する「カラダを内と外から整える――インナー子宮風水」と題する記事では、〈「子宮は女性の体の中にある神秘的な〈桃色のお宮〉」〉とされ、〈それが不調をきたすと心身や運勢に不調をきたすという主張が〉展開されている。そんな子宮系では、「昔の女性」にならうことが良いとされ、また子宮が「冷えて」いる原因として欧米型の食生活があげられたりする。

 一方、「開運型」は、〈「本当の自分の声」は「子宮の声」〉であり、〈それを聞けば結婚や子育て、お金などがうまく回り出す〉という主張のようで、そんな内容の書籍はベストセラーにもなっている。ちなみに子宮系のマーケットでは、膣に入れるパワーストーンなども売られている。

 さて、次は胎内記憶だ。生まれる前から子どもが持つとされる記憶のことで、お腹にいた頃だけでなく、子どもが「かみさま」と相談して母親を選んだ記憶などを語り出すというものである。

 子どもが自分を選んで生まれてくれた――。そのような物語は、スピリチュアル好きな女性の大好物だろう。その上、胎内記憶には母親の失敗や後悔を子どもが許し、受容するといったエピソードが散見されるそうだ。そんな胎内記憶、スピリチュアル市場において人気コンテンツだそうだが、危うさもはらんでいる。

 同書で紹介される胎内記憶の主導者的な人物は、〈赤ちゃんは自分が挑戦できる環境を選んで生まれてくるため、虐待が起こりやすい家庭に生まれたり〉する場合もあると述べているそうだ。この「虐待」というキーワード、私はどうしてもひっかかる。なぜなら、私の友人知人で親から虐待を受けていた人々は、多くが親から「あなたは私という親を選んで生まれてきた」と教え込まれていたからである。その言葉は、親からの虐待を正当化するような作用ももたらしていた。あなたがどれほど親を呪おうとも、あなたが私という親を選んで生まれてきたのだからすべては自己責任。端からは荒唐無稽に思えるそんな主張でも、子どもの頃からずーっと言われ続けていれば強固に当人を縛り付けるものとなる。

 著者の橋迫瑞穂さんも「虐待する家族を選ぶ」という主張が組み込まれていることについて、虐待する家族やそれを放置する社会が免責されることに疑問を呈している。

一方、この「胎内記憶の主導者的な人物」は、保守的な家族観を押し出した一般財団法人親学推進協会の特別委員でもあることも付け加えておきたい。

 次は「自然なお産」。

 できるだけ医療や医薬品に頼らずに女性が主体的な意識を持ってお産に向き合うことを指している。

「自然なお産」がスピリチュアル市場で注目されるきっかけは、10年に公開された河瀬直美監督の『玄牝(げんぴん)』という映画。医療器具にほとんど頼らない出産を目指す医院で「自然なお産」に挑む女性たちを記録したドキュメンタリーだという。

 それだけ聞くと、「良さそう」に思えるかもしれない。しかし、妊娠・出産をめぐるスピリチュアル市場には非科学的だったり根拠に乏しい情報が散見される。

 例えば昔の女性は月経血コントロールができたというもの。畳で生活したり、着物姿の所作の中でおのずと筋肉が鍛えられていたなどの主張を聞くと、思わず「エビデンスは?」と問いたくなってくるのは私だけではないだろう。

 さらには〈「昔の女性」は生活のなかで体が鍛えられていたから、スムーズに妊娠・出産ができた〉という話も多いようだが、これも眉唾モノだ。著者も〈むしろ、死産の割合から見ると実態は逆であると考えるのが妥当である〉と書いている。医療の発達によって、死産や出産時の母親の死亡は劇的に減っている。そのことは、この問題にまったく詳しくない人でも共有している事実だろう。

 それではなぜ、女性たちはスピリチュアルな世界に惹かれるのか。それを著者は「フェミニズム」が取りこぼしてきたものと指摘する。

〈フェミニズムは一貫して、女性に育児や家事を一方的に担わせることを批判してきた。 〉〈母になることを全面的に肯定するということは、フェミニズムがここ三〇年の間で実現できなかった、あるいはしてこなかった出来事でもあった 。〉〈妊娠・出産を必ずしも肯定してきたとは言い難いフェミニズム 〉―確かにそうだ。

 一方で〈特に「子宮系」においては、保守的な「女性らしさ」を身につけることで女性としての自分に自信をつけたり、社会のなかに確固たる居場所を見つけたりすることが目指されている。これらはいずれも、「女性らしさ」を束縛するものととらえ、そこからの女性の解放を目指すフェミニズムとは対極に位置する。 〉

 長らく、スピリチュアル好きな女性たちが、どうして自分の子宮や身体という内側にばかり目を向けるのかが不思議だった。そしてなぜ、「女は子どもを産んでこそ一人前」という保守的な空気に抵抗するような姿勢が見えないのかも。

 しかし、そんなスピリチュアル系人気そのものが〈女性たちの葛藤〉そのものであり、〈女性たちが前向きに諦めようとする態度だ〉と著者は書く。

〈あらかじめ変容への心づもりをしておけば、妊娠・出産に迷ったり悩んだりすることはないかもしれない。さらに、「家庭」という枠組みの外側に対する期待、例えば妊娠・出産する女性や育児への社会的支援、キャリアに変容をきたさない職場環境の形成などに対して、最初から当てにしないで済む。その上で、妊娠・出産する身体に聖性が付与されるなら、この身体性を生きることにもそれなりに価値がある、というようにとらえることができるだろう。〉

 ここまで書いて、改めて、自分のことを考えた。

 25歳でデビューしたフリーランスの書き手である私にとって、「妊娠・出産」という選択肢は、ほとんどSFと言っていいくらいにリアリティのないものだった。

 完全歩合制で日銭を稼いでナンボ、忘れられたら終わりの商売。かなりの売れっ子であればしばらく休んで産むという選択もあるだろうが、私自身は妊娠・出産なんかしたら仕事が途切れて産んだ子とともにリアルに死ぬと思っていた。その上、私は就職氷河期のロスジェネ。ただでさえ妊娠・出産へのハードルが高い世代だ。

 そしてそれは、周りの非正規女性たちとも共通する感覚だった。「そうとう守られている大企業の正社員であれば妊娠や出産を考えられるかもしれないけど、自分も彼氏も非正規という状態で妊娠、出産とか異次元の話」という声をどれほど聞いてきただろう。

 ここに、ロスジェネ女性の苦悩を記した一文があるので紹介したい。

「いちばん働きたかったとき、働くことから遠ざけられた。いちばん結婚したかったとき、異性とつがうことに向けて一歩を踏み出すにはあまりにも傷つき疲れていた。いちばん子どもを産むことに適していたとき、妊娠したら生活が破綻すると怯えた」

 社会学者の貴戸理恵さんが『現代思想』(青土社、19年2月号)に書いた原稿「生きづらい女性と非モテ男性をつなぐ――小説『軽薄』(金原ひとみ)から」の一部だ。

 これはそのまま私の実感にもあてはまる。

 もしかしたらそんなロスジェネ女性の苦境を見ていたからこそ、今、少し下の世代によって「妊娠・出産をめぐるスピリチュアル市場」が成り立っているのかもしれない。

 女の人生は、予期せぬ妊娠で180度変わることがある。そういうことに振り回されうる女の人生に、この社会の制度は何一つ追いついていない。そしてフェミニズムは「非正規など不安定さゆえに結婚や出産を考えられない」という声に答えてこなかったとも言える。そこをぴたりと埋めたスピリチュアル系。

 そう思うと、問題の根深さに頭を抱えたくなってくる。


とうとう最低気温が10度を下回った。

秋の空。

実りの秋。

ぶどう、もう少しだ。

アロニア、黒く塾した。
数年前と同じ蛾が大発生である。〈マイマイガではない、より大きい〉



チャガー〈カバノアナタケ〉

2021年09月06日 | 健康・病気

今年の1月23日
キノコ カバノアナタケ=チャガー
いう記事を掲載した。

その記事が最近になってまた注目を浴びているようで(記事ではなくチャガーが)再度わたしの体験も踏まえて掲載することにした。

 まずわたしの体験談をご披露しようと思う。
25才ころから様々な皮膚の疾患を経験してきた。
 最近では手の平に小さな水疱がたくさんできてかゆい。指先があかぎれのように割れて痛い。爪の根元から第2関節まで紫色に変わりジクジクとしている。爪が正常に生成されず凸凹。体全体にも小さな赤い湿疹ができ痒みがある。医師からはアトピーと診断されている。

 そんな折昨年11月よりカバノアナタケ茶を飲み始めた。
途中3回ほど好転反応と思われる鼻水とくしゃみに襲われる。
年を明けて明らかにきれいな皮膚を取り戻し、水疱や割れもなくなった。
これで治ると思った。
春を迎えストーブも消されていくとそのまま「お茶」も降ろされ飲まなくなってしまった。
6月ころからまた元の木阿弥。今まで「お茶」のことを忘れてしまった。
また思い出して今月1日から飲み始めたところ、2日目で手の平に変化が見え始めた。今日は6日目だが1時間ほど鼻水とくしゃみが襲った。やっぱり効いているんだと実感した次第です。

お求めは下記写真の電話番号へどうぞ。


チャーガマガジン  (chaga-magazine.com) より

がんやアレルギー疾患の抑制効果を期待できるカバノアナタケ・チャーガマッシュルーム

チャーガマッシュルーム(chaga mushroom)という名前は、日本ではあまりなじみがないかもしれません。北海道では和名のカバノアナタケとして北海道土産として売られているキノコです。

このカバノアナタケを採取しやすいロシアなどではさかんに研究が行われており、カバノアナタケによるがんの抑制効果や免疫を活性化する効果、ウィルスに対抗する効果などが証明されています。今回は、今までの研究から明らかになっているカバノアナタケの効果についてまとめます。

カバノアナタケ/チャーガマッシュルームとは

カバノアナタケとは、サルノコシカケ科に属するきのこで主にロシアを中心とした寒い地域で育ちます。日本でも、以前は北海道で見つけることができたといわれていますが、最近では乱獲が進み、ほとんど発見困難になっています。

カバノアナタケは和名ですが、チャーガとよばれることもあります。学名はFuscoporia obliqueと表記します。寒さに強く、マイナス20℃でも生育でき、白樺の木などに寄生し、樹液を栄養分として吸い取り10-15年以上かけて大きくなります。

見た目は黒く、ゴツゴツしているためこぶの様で、大きいものでは直径30センチになることがあります。最終的に白樺の木の栄養分を全て奪い、枯らしてしまうため「白樺のがん」とよばれていました。

しかし、カバノアナタケの研究が進むにつれて、その成分の健康効果が認識されるようになり、現在は発見することが難しい貴重なきのことなったため「幻のきのこ」、「森のダイヤモンド」とよばれるようになっています。

カバノアナタケの成分

カバノアナタケには、がん細胞を抑制する効果だけでなく、免疫力やウィルスに対する抵抗力を上げる効果があるといわれています。なぜ、そのような多岐にわたる効果を期待できるかというとカバノアナタケに含まれている特別な成分のためです。

カバノアナタケは、タンパク質、脂質、食物繊維、糖質、ビタミン類、ミネラル類、フラボノイド、リグニンなどを含みますが、特に注目されているのはβDグルカンとSOD酵素です。βDグルカンには、免疫細胞のはたらきを活性化させ、免疫力を増強させる効果があるといわれています。

カバノアナタケに含まれるβDグルカンは他のきのこに比べて多く、タンパク質を30%以上含むので吸収率が高いことがわかっています。SOD酵素は、体の中の余分な活性酸素を除去する効果があります。

活性酸素は、本来は細菌やがん細胞と戦うために必要ですが、過剰に産生されると正常な細胞まで傷つけてしまいます。過剰な活性酸素は、がんや老化、生活習慣病の原因になることが明らかになっており、活性酸素を除去できるSOD酵素にはがん細胞抑制効果があるといえます。

カバノアナタケにがん細胞を抑制できる効果があるのは、豊富に含まれたSOD酵素によると考えられています。

カバノアナタケの効果

ロシアには、カバノアナタケをお茶代わりに飲んでいる村人はがんの発症率が低いという言い伝えがありました。この事実に注目した研究者たちは、カバノアナタケに含まれる成分とその健康効果を次々に明らかにしていきました。

カバノアナタケの研究は、1951年にソビエト連邦科学アカデミー植物研究所と第一レニングラード医大が協力して始まりました。

当時のソビエト連邦では、臨床研究後にカバノアナタケのエキスが連邦薬局法指定公認の薬として、手術不能ながん、胃腸や十二指腸潰瘍、慢性胃炎、胃腸のポリープ治療に推奨されていました。その後も、多くの研究によりカバノアナタケの効果が示されました。

現時点で、抗がん効果、免疫力の強化作用、活性酸素除去作用、抗エイズウィルス作用、抗インフルエンザウィルス作用、O-157などに対する抗菌作用、糖尿病や高血圧の予防と改善作用、アレルギー疾患の予防と改善作用、慢性肝炎や慢性腎炎の予防と改善作用、ダイエット効果などが国内外の研究によって報告されています。

カバノアナタケによってがん細胞を撃退できる理由

がんは、喫煙、飲酒、ストレス、バランスの悪い食生活、不規則な生活、遺伝などによって引き起こされることがわかっています。遺伝が原因で発症するがんもありますが、多くのがんは毎日の生活習慣による免疫力の低下によって引き起こされるのではないかと考えられています。

実は健康な人の場合でも、体の中では毎日3000-5000個のがんの芽が発生しているといわれています。しかし、私たちの体が健康な場合には、もともと備わっている免疫力によってがんの芽を摘み取るようになっています。

つまり、免疫力を低下させるような生活習慣を繰り返していると、がんを発症しやすくなる可能性があるといえます。

がんに対する治療法は、外科療法、放射線療法、化学療法の3つが基本となっていますが、どの治療法も正常な細胞まで傷つける可能性があるため副作用や合併症が起きることがあります。

一方で、注目される免疫療法は、人間が本来もっている免疫力を高めることでがんを撃退するので正常な細胞を傷つける可能性は低いといえます。

カバノアナタケには、免疫力を高める効果に加えて、がんの犯人と考えられている活性酸素を除去する効果や抗酸化作用があるため、がん細胞を抑制することができると考えられています。

免疫細胞を活性化させるカバノアナタケ/チャーガ

具体的には、カバノアナタケにはβDグルカンとよばれる多糖類が豊富で、免疫細胞を活性化する効果を期待できます。またカバノアナタケに含まれる食物繊維も免疫力を活性化させることが知られています。

カバノアナタケに含まれるSOD酵素とメラニン色素は、活性酸素除去効果や抗酸化作用があるためがん細胞を攻撃、排除することを期待できます。活性酸素は、本来は体に必要なものですが、過剰に体内で産生されると正常の細胞まで傷つけて、がんや老化を招くといわれています。

カバノアナタケに含まれるSOD酵素は、がんの原因となる活性酸素を除去し、がんを起こしにくくすると考えられています。また、カバノアナタケに含まれるメラニン色素には抗酸化作用と遺伝子保護作用があることが明らかになっています。

メラニン色素には紫外線から肌を守る重要な役割がありますが、女性にとってはシミの原因となるので敵に感じるかもしれません。

しかし、メラニン色素は人間にとって欠かせない防御システムを担っており、メラニン色素がないと皮膚がんをはじめとするがんを発症しやすくなることがわかっています。

このようにカバノアナタケには、免疫力を活性化させる効果と活性酸素を除去する効果の両方が期待できるため、がんを撃退できるのではないかと注目されています。

実際に、ロシアからの報告では、乾燥したカバノアナタケとその他のきのこを投与したところ、カバノアナタケを投与したグループにおいてがんの転移の阻止率が高かったことが明らかにされています。

カバノアナタケが癌だけでなく、ウィルスにも効く理由

1993年の日本エイズ学会で、カバノアナタケはがんだけでなく、エイズウィルスにも有効であるという事実が発表されました。その後もカバノアナタケによるエイズウィルス抑制効果に関する研究や報告が続きました。

また、1999年には第51回北海道公衆衛生学会でカバノアナタケはHIVウィルスだけでなく、インフルエンザウィルスが体内で増殖することを抑制する効果があると発表されました。

なぜ、カバノアナタケにウィルスの増殖抑制効果があるかというとリグニンという成分が含まれるからです。ウィルスが体の中で悪さをするためには、ヒトの細胞に対して酵素を出し、細胞膜を溶かして浸入する必要があります。

しかし、カバノアナタケに含まれるリグニンはウィルスが出す酵素を吸収し、ウィルスが攻撃できないように阻害します。ウィルスはヒトや動物の細胞に寄生しないと生きることができないので、リグニンによって侵入を阻まれたウィルスは死滅するしかありません。

このように、カバノアナタケはリグニンという有効成分によって抗ウィルス作用を発揮するといわれています。

アレルギー性疾患を抑制する可能性もあるカバノアナタケ

カバノアナタケによる健康効果は、免疫増強効果、がん細胞を抑制する効果、抗酸化作用、抗ウィルス作用など多岐にわたりますが、アレルギー疾患にも効くのではないかと期待されています。

アレルギーは、肥満細胞とよばれる細胞からヒスタミンが遊離されることにより起きるといわれています。マウスを対象に行われた研究では、カバノアナタケから抽出したエキスによってヒスタミンの放出が抑制され、アレルギー反応を低下させたことがわかっています。

難治性の皮膚病にも効果を期待できるカバノアナタケ

皮膚がんなど、さまざまながんに移行する可能性があるとされている皮膚病として乾癬(かんせん)が知られています。乾癬とは、長期にわたる経過をとる皮膚病で、人によって症状や発症する場所が異なります。

典型的な症状としては、皮膚から少し盛り上がった赤い発疹の上に、銀白色のフケのようなものが付着し、ぼろぼろと剥がれ落ちます。乾癬では、炎症を起こす細胞が活性化しているので、皮膚は常に赤みを帯びているような状態になります。

日本では1000人に1人が発症するといわれていますが、現時点でも原因不明です。治療は塗り薬や飲み薬、紫外線を当てる光線療法、生活習慣の改善などですが、あまり効かない人もいます。

カバノアナタケのエキスを乾癬の患者に投与した研究では、規則正しく飲用すると3か月で最大の効果が得られたそうです。多くの患者において、皮膚の発疹が消滅し、乾癬によって変形した爪も2-3か月で改善傾向となりました。

患者の中で数名が、症状が改善した後にカバノアナタケのエキスの飲用をやめたところ、皮膚に再び症状が出たため飲用を再開し改善したことが認められました。

今回の研究では、カバノアナタケの乾癬に対する治療効果のメカニズムは明らかになっていませんが、カバノアナタケの免疫力増強作用や抗酸化作用によって体の中から体質が改善したことが関連しているのかもしれません。今後のさらなる研究が期待されています。

カバノアナタケの副作用

カバノアナタケは、古くからロシアの家庭薬として親しまれてきました。多くの薬は、効能がある一方で副作用を起こす可能性があります。しかし、カバノアナタケは長い歴史の中で目立った副作用は報告されていません。

つまり、多くの人が副作用を気にせず安全に摂取できるといえます。ただし、どのような薬や食べ物でも、人によって合わないことがあります。もし、カバノアナタケを摂取後に体に異変を感じた場合には早めに医師に相談するとよいです。

カバノアナタケの摂取の仕方

では、具体的にカバノアナタケは1日どれくらい飲めばよいのでしょうか。ロシアでは、カバノアナタケをお茶代わりに飲んでいる村ではがんが少ないといわれていました。

健康維持を目的とする場合には、1日約10-20gを目安にするとよいと言われています。がんなどの治療中の方の場合には、体調を見ながら量を増やして調整することも可能です。ロシアでは、ハーブティーと同じ感覚でカバノアナタケのお茶が飲まれているといいます。

例えば、細かく砕いた約5g程度のカバノアナタケをティーバッグに入れ、2Lのお湯で煮出して何度かに分けて飲みます。温かくても冷たくても飲むことができます。

カバノアナタケを飲むタイミングは、寝る前が理想的と考えられています。

なぜなら、免疫細胞は寝ている間につくられるため、免疫を活性化する作用のあるカバノアナタケを寝る前に飲めば効率がよいと考えられているからです。しかし、大切なのは自分の続けやすいタイミングで毎日継続して規則正しく摂取することです。

効き目に関しては、早い人では1週間程度、遅くても1か月程度で体の変化を感じるといいます。なるべく継続して摂取した方が、体調を改善できると考えられています。

カバノアナタケの最新エビデンス(論文・根拠)

カバノアナタケに関する研究結果は国内外から報告されており、その効果は明らかなようです。以下に最新のエビデンスについてまとめます。

○カバノアナタケのエキスががんの進行を抑制

マウスを対象とした研究では、カバノアナタケのエキスを3週間連続で投与するとがんを60%抑制した。また、がん細胞の増殖やがんの増殖に必要な血管の新生を阻害し、がんの進行を抑えた。興味深いことに、カバノアナタケのエキスはマウスの体温を上昇させることがわかり、代謝を上昇させることによってがんの進行を抑制する可能性があることが明らかになった。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27441282

○カバノアナタケのエキスが酸化ストレスによる肝障害を改善

ラットを対象とした研究では、カバノアナタケのエキスを酸化ストレスによる肝障害に対して投与したところ肝機能の改善を認めた。カバノアナタケによる抗酸化作用によると考えられた。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26853962

○カバノアナタケによる大腸がん細胞の増殖抑制効果

大腸がん細胞を対象とした研究では、カバノアナタケの成分であるエルゴステロールペルオキシドががん細胞の増殖を抑制することがわかった。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26210065

○カバノアナタケに含まれる多糖類が脳腫瘍細胞の増殖を抑制する

カバノアナタケのエキスに含まれる多糖類が、ヒトの脳腫瘍細胞の増殖を抑制することがわかった。腫瘍細胞の抑制が起きるメカニズムとしては、カバノアナタケが細胞死(アポトーシス)を起こすカスパーゼ3の発現を促進することが考えられた。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24940902

○カバノアナタケがアレルギー反応を抑制した

アナフィラキシーショックを起こさせたマウスを対象とした研究では、カバノアナタケの抽出液を投与するとアレルギーに関与するIgEのレベルが低下することがわかった。今回の研究から、カバノアナタケは抗アレルギー効果のある食材として有効である可能性が示された。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23535020

○カバノアナタケがヘルペスウィルスの侵入を防いだ

細胞を用いた研究で、カバノアナタケの抽出液を投与するとヘルペスウィルスの侵入を制御できることがわかった。ウィルスの糖タンパク質に対してはたらきかけ、細胞内への侵入を防ぐことが明らかになった。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23510282

○カバノアナタケが炎症性腸疾患を改善した

炎症性腸疾患を発症したマウスにカバノアナタケの抽出液を投与したところ、炎症に関わる物質の抑制によって腸の炎症性病変を改善することが明らかになった。炎症性腸疾患に対するサプリメントとしてカバノアナタケは有効である可能性が示唆された。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22819687

○カバノアナタケは認知機能障害と酸化ストレスを改善する

認知機能の障害を起こさせたマウスに対して、カバノアナタケを投与すると認知機能障害に関連する物質と酸化ストレスを抑制することが明らかになった。カバノアナタケが、脳の学習や記憶などの機能に良い影響を与える可能性が示唆された。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21779570

○カバノアナタケは炎症性腸疾患患者のDNA傷害を抑制する

炎症性腸疾患患者のリンパ球を採取し、カバノアナタケの抽出液をかけたところ傷ついたDNAの数が減少することが明らかになった。今回の研究から、カバノアナタケは炎症性腸疾患患者におけるDNA傷害を改善することがわかり、サプリメントとしてカバノアナタケが有効な可能性が示された。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18997282

 参照URL
http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/tyaga/
https://www.sup-pedia.com/ingredients/charga/

ライター紹介:大塚真紀

東京大学大学院医学系研究科卒。腎臓、透析、内科の専門医。医学博士。

東京で内科医師をしていましたが、現在は主人の留学についてアメリカに滞在中。医師歴は10年で、腎臓と透析が専門です。アメリカでは専業主婦をしながら、医療関連の記事執筆を行ったり、子供がんセンターでボランティアをして過ごしている。医師としての記事の監修、医学生用のコンテンツ作成経験有。

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チャーガ(カバノアナタケ)に含まれる成分一覧と安全性・副作用について

チャーガはどのような成分が含まれているのか?副作用はあるのか調べました。

チャーガ【別名:カバノアナタケ】は身体に物凄く効果があると近年で有名になっていますが、効果があるといっても詳しく知らない人にとっては身体に良いことくらいで大雑把にしかわからないですよね。

そんな人間が体内にもつSODの量には個人差が見られ、尚且つ、SODの力は年とともに弱まっていくと言われています。 チャーガ(カバノアナタケ)にはホウレン草の250倍・野菜ジュースの175倍・アガリクスの23倍の抗酸化力があります。

チャーガ(カバノアナタケ)にはSOD活性が非常に高いことが確認されています。主な有効成分がどのような効果を持っているのか詳しく書いていきたいと思います。

・チャーガに含まれる成分一覧まとめ

免疫力アップ、便通改善、美肌効果、抗酸化力アップ、ウイルス抑制などが言われている。

チャーガの主な成分とどのような効果を持っているのかまとめました。

β―グルカン・・・キノコ類に含まれる免疫細胞を活性化させる成分

ベツリン酸・・・ガン細胞を死滅させ、成長を抑制させる

サポニン・・・コレステロール減少、肝機能向上、便通改善、二日酔予防、脂肪代謝促進

リグニン・・・抗菌、抗酸化作用、ウイルス抑制作用

ナトリウム・・・細胞の浸透圧を維持し、血液などの体液を中性に保つ

カルシウム・・・骨粗鬆症を予防したり筋肉が正常に働くように助ける

マグネシウム・・・動脈硬化や心疾患の予防

亜鉛・・・生殖能力の向上、皮膚炎予防、味覚低下予防

マンガン・・・活性酸素を消去したり血中脂肪酸を減少させる

ポリフェノール・・・抗酸化作用

フラボノイド・・・活性酸素除去、高血圧安定、抗アレルギー作用

エルゴステロール・・・コレステロール低下させたり抗ガン作用

トリテルペノイド・・・血管新生阻害作用、毒物による肝障害から肝臓を保護する作用

アルカロイド・・・脳の疲労をやわらげ、動脈内の血流をスムーズにする

プテリン・・・抗酸化作用があり活性酸素を除去

アガリチン酸・・・NK活性の増加

イノシトール・・・血液の流れをよくし、蓄積してしまった脂質を取り除く作用

その他含まれる成分・・・タンパク質・脂肪・灰分・食物繊維・糖質・ビタミン類・ミネラル類

それでは上記の中でも特に抑えて置きたいチャーガの成分を詳しく解説していきたいと思います。

・免疫力を高めるβ-グルカン

きのこ類に豊富に含まれている成分の1つ「β-グルカン」と言われる多糖類ですが、この成分は、免疫力を高める働きがあります。

身体の中にガン細胞が出来てしまうと、必ず免疫と呼ばれる生体防御でがん細胞を駆逐しようとします。この免疫力が弱いと段々とがん細胞を排除できなくなってしまい、様々な部位で悪さをしてしまうようになるのです。

その免疫力を高める成分であるβ-グルカンですが、アガリクス茸等に含まれるβ-グルカンは水溶性のヘテロβ-グルカンのみに対し、チャーガは不水溶性であるホモβ-グルカンも併せ持っており、多岐にわたるきのこ類の中でもこの2種類のβ-グルカンをもつきのこは、チャーガ(カバノアナタケ)以外には見られないほど希少なものなのです。

ですので、チャーガ(カバノアナタケ)は β-グルカンの含有量も他のものよりも秀でており、天然のアガリクス茸と比べると3~4倍も含まれていると言われています。

チャーガ(カバノアナタケ)に含有される水溶性多糖類と不溶性多糖類の2つともに、抗腫瘍活性が確認されています。

ロシアではチャーガ(カバノアナタケ)の抽出液から作られた「ベフンギン」という抗ガン剤が公式な薬として国に認可されてもいるのです。

ロシアでは民間療法としてのチャーガ(カバノアナタケ)の歴史は長く、当然安全性・効能は素晴らしく、副作用についても天然成分ゆえに、一部の免疫抑制剤などを使われている方などを除き、心配要りません。

 医薬品全般を否定するものではありませんが、化学生成物は副作用の心配がつきまといます。また、チャーガ(カバノアナタケ)のβグルカンは免疫力が弱い人には免疫強化し、強すぎる人には抑制する働きがあります。

つまり人体の免疫細胞を強化して免疫力を上げるだけではなく、人体のバランスも整えてくれるお薦めの効能をふんだんに成分として持つのがチャーガの特徴となります。

更にチャーガの特徴としてチャーガ(カバノアナタケ)にはβグルカンの中でも特に有用なβ1,3グルカンを多く含んでいます。

 β1,3グルカンの研究論文の一部

  1. 1963年 βグルカンが、がん細胞の縮小に効果を持つことが初めて発表された。
  2. 2001年 酵母細胞壁β1,3Dグルカンは免疫細胞だけでなく、ヒトの皮膚線維芽細胞上の受容体に結合して皮膚組織修復を促進する、という実験結果が米免疫・感染症医療誌「Infection and Immunity」69(6)で発表された。
  3. 2005年 米外科医療誌[Neurosurgical Review]2005年28(4)号では、H.カヤリ博士、M.F.オズダグ博士等の研究陣が酸化ストレス状況に置かれたラットを使って実施したベータグルカンの抗酸化作用の実証実験が発表された。
  4. 2009年12月 宮崎忠昭教授の研究チーム(北海道大人獣共通感染症リサーチセンター)の実験結果から、インフルエンザウイルスに感染したマウスへβグルカンとEF乳酸菌の組み合わせを投与すると、インフルエンザウイルスに対する免疫力が高まり重症化を防ぐ効果があるという結果が発表された。

ウィキペディアより引用

https://ja.wikipedia.org/wiki/%CE%921,3-%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%B3

・がん細胞に栄養を与えないように制御するベツリン酸

チャーガ(カバノアナタケ)に含まれている成分で注目されているこのベツリン酸という成分は、そもそもチャーガが寄生している白樺の樹皮に多く含まれているものです。

そしてチャーガ(カバノアナタケ)は、白樺の樹液を養分として育ち、白樺のガンとも言われるように、白樺を枯らしてしまうほど白樺の樹液の養分を10年20年とかけて小さな体内に取り込みます。

白樺の樹皮に多く含まれるベツリン酸(betulinic acid)には、がん細胞にアポトーシスを誘導する作用や、血管新生阻害作用などが報告されています。

ベツリン酸が、がん細胞のミトコンドリアの外膜の透過性を高めさせてアポトーシスを誘導する作用が報告されているのです。

アポトーシス誘導とは、固体をより良い状態に保つために行われる働きで、細胞死と呼ばれるメカニズムで不具合が起こっている細胞を自滅させ、優良な細胞だけを残していくということを指します。

このアポトーシス誘導があるおかげで、ガン細胞も死滅させ大きくなっていくことを抑制させます。ベツリン酸は、正常細胞には効きにくく、ガン細胞に特にアポトーシス誘導をするということが報告されており、ガンの治療薬としても期待されています。

ベツリン酸は、今現在問題になっている抗がん剤に抵抗性をもったがん細胞のに対して抗がん剤を効きやすくさせる効果があるとも報告されています。

 血管新生阻害作用というのは、そもそも細胞の維持や増殖のため栄養を隅々まで送り届ける必要があるので、既存の血管から新しく血管を作るという作用を阻害するもので、血液から酸素や栄養を取り込まなければ血管を新たに作ることはできず 血管ができなければガン組織は1~2mm以上の大きさにも成長できません。

癌抑制遺伝子は血管新生を負に制御している。さらに、MMP阻害薬、VEGF受容体阻害薬及びPDGF受容体阻害薬などの薬物や可溶性VEGF受容体は血管新生阻害作用を示す。 サリドマイドが奇形を引き起こすのは、胎児の手足の末端の血管新生が阻害されて十分に成長しないためである。現在では、この作用を利用して抗がん剤としての利用が試みられている。 出典 ウィキペディア

 なのでチャーガ(カバノアナタケ)に多く含まれるベツリン酸は、すぐにガン細胞と見極め血管新生を阻害する働きをする効果があるとして今後更に研究が加速することでしょう。

・SOD様物質による抗酸化作用

チャーガは「最高の抗酸化力をもつキノコ」と言われています。

参考 https://www.sup-pedia.com/ingredients/charga/

SODとはスーパー・オキシド・ディムスターゼという酵素のことです。

私達の体内にて、有害な活性酸素(有益な活性酸素も存在します)を分解する働きがあり、その主なものがSODです。

人間が体内にもつSODの量には個人差が見られ、尚且つ、SODの力は年とともに弱まっていくと言われています。

そこで嬉しいことに チャーガにはSODと同じような働きをするSOD様物質が含まれいるのです。

SOD様物質のおかげで チャーガ(カバノアナタケ)にはホウレン草の250倍・野菜ジュースの175倍・アガリクスの23倍の抗酸化力があります。

また、チャーガ(カバノアナタケ)にはSOD活性が非常に高いことが確認されています。最新の学術研究では、ウィルス以外でのいわゆる病気の90%は、有害な活性酸素が原因だそうです。

代表的な例としてがん、心筋梗塞、脳血管障害、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病、肝炎、痴呆、しわ、シミ、吹き出物などの肌トラブルも活性酸素が関係していると言われています。活性酸素は常に体内で発生していますが、さらに大気汚染、化学物質、食品添加物、ストレスなどにより、多くの活性酸素が体内で発生するといわれています。現代病の主要因と言えそうです。

そういった現代病と闘わざるを得ない、現代人の必須成分であるSOD様物質を多く含むチャーガの効能がとても有益だと思われます。

特に天然100%であれば、安全生・副作用の心配は非常に少ないはずです。

・チャーガには食物繊維が豊富です

食物繊維の効能として、

1.有害物質を体外に出す。 

2.第二の脳とも呼ばれる腸の働きを整える。 

3.コレステロール値を下げる。

などが上げられます。

特に重要なことは チャーガにはリグニンという食物繊維が含まれていて、ポリフェノール以上に生活習慣病予防・発ガン性物質の活性を抑える・抗菌・抗酸化作用・ウィルス抑制作用があります。

ガンの原因として遺伝や生活習慣などが上げられますが、実はウイルスや細菌が深く関与するガンも存在します。

主なものとして子宮頸がんや肝臓がん、成人T細胞白血病などは、特定のウイルスへの感染が原因です。と言うことは、ウイルス性のがんは「ウイルスに感染しなければ、発症する可能性はほとんどない」ということになります。

チャーガに含まれるリグニンの効能でウィルス感染が防げる可能性が高まります。さらにチャーガから抽出されたリグニンで、強いHIV(エイズ)ウィルス抑制作用がある事が報告されています。

・副作用のないチャーガ

チャーガは毒性や副作用はなく、トラウマ、不安、肉体的疲労などのストレスへの抵抗能力を高める働きのある天然のハーブであるとされる「アダプトゲン」とされています。

 ウィキペディアで「アダプトゲン」を調べると、アシュワガンダ、冬虫夏草、党参、エゾウコギ (シベリア人参)、ホーリーバジル、高麗人参 、イボツヅラフジ 、アマチャヅル、甘草(カンゾウ) 、マカ 、霊芝(レイシ)、ルージァ・カルタモイデス 、ロディオラ 、朝鮮五味子、チャーガ、シラジットと様々なストレスへの抵抗能力を高める働きのある天然のハーブが出てきます。

アダプトゲンとは「体に悪影響を与える物理的、化学的、または生物学的なストレスの原因を、非特異性の抵抗力を高めることによって撃退するもの」と定義されています。

▽アダプトゲンの定義

1 毒性 (副作用)がない。

2 作用が特定の臓器に限定されない。

3 正常化作用を持っている。

副作用はないと言われているチャーガですが、キノコアレルギーを持っている方は避けたほうがいいでしょう。またチャーガエキスを濃縮したロシア薬局方指定医薬品の「ベフンギン」というエキスタイプの抗がん治療薬では過敏症も禁忌としています。

引用 ロシア医薬品百科事典 http://www.rlsnet.ru/tn_index_id_4255.htm

チャーガは特に副作用や毒性がないため、飲み過ぎて良くないということは基本的にはありません。普段のティータイムや、私生活の飲料水の代用として健康のためにお茶として飲まれています。ノンカフェインで子供でも安心して飲めます。


最後まで真実に触れない菅首相と『NHKニュース7』

2021年09月05日 | 社会・経済

鈴木祐司 次世代メディア研究所代表/メディアアナリスト

YAHOO!ニュース〈個人〉9/5(日) 

9月3日午前11時30分、菅首相は自民党本部で行われた役員会で自民党総裁選に立候補しないと突然表明し、永田町に衝撃が走った。菅首相は記者団に対して、立候補せず事実上退陣する旨を次のように述べた。

「先ほど開かれた自民党役員会で、新型コロナ対策に専念をしたいという思いで、自民党総裁選挙には出馬をしないことを申し上げた」

「私自身、出馬を予定する中でコロナ対策と選挙活動を考えた時に莫大なエネルギーが必要だ。そういう中でやはり両立はできず、どちらかに選択すべきだ」

「国民に約束を何回もしており、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため私は専念したいと判断した。国民の命と暮らしを守る総理大臣として私の責務なので、専念してやり遂げたい。来週にも改めて記者会見をしたい」

コロナ対策と総裁選挙の選挙活動は両立できないので、立候補せずコロナ対策に専念したいということだ。

ただし9月2日夕方に、二階幹事長に菅首相は立候補の意思を伝えたと報じられており、一夜のうちに感染症対策や選挙活動の大変さが分かったとは考えにくい。違和感のある内容だ。

発言内容が真実だと思っていない国民も多いのではないのか。

しかも記者団の質問に答えずその場を立ち去っており、国民には伝わらない発信だった。最後まで記者団とその向こうにいる国民への語りかけの姿勢が弱いと言われても仕方あるまい。

費やした時間も2分弱、総理大臣の事実上の退陣表明としては何とも物足りない。

首相動静によれば、この後の日程は午後1時59分まで特に書かれていない。つまり時間がなかったわけでもない。

菅首相の1年間の発信を象徴するような、事実上の退陣表明と言わざるを得ない。

報道に大差

この菅首相のぶら下がり会見および退陣については、この日の夜のニュースは多くの時間を費やしていた。

一国の宰相の電撃辞任の報道だ。新聞でも号外が配られるほどのビッグニュースだったことは言うまでもない。

テレビ朝日『報道ステーション』は40分超の企画とした。

NHK『ニュース7』が34分ほど、日本テレビ『news zero』も29分近くを割いて詳しく伝えた。

関東地区70万台強のスマートテレビで1秒毎の接触率を計測する東芝視聴データTimeOn Analyticsデータによれば、3番組のコーナーが始まった時点での接触率は『報ステ』と『ニュース7』が6%強、『mews zero』は4%強だった。金曜日で深夜11時30分からの放送だったために、『news zero』のスタートは低く見える。ところが時間経過とともに、『報ステ』と『ニュース7』は少しずつ数字が下がっている。明らかに途中で「もう十分」とチャンネルを替えるかテレビを消した視聴者が少なくない。

一方『news zero』は、基本的に右肩上がりを続けた。

明らかにザッピングなどで流入する視聴者の方が多く、途中で見るのをやめた人が少なかったと言える。同じネタを扱いながらも、見る人にとっての納得性に差があった可能性がある。

『news zero』の工夫と構成力

冒頭に件のぶら下がり会見を置き、視聴者の心を掴んだのは『news zero』。

ユーモアとジャーナリズム精神をとびきり感じせた点は卓越していた。

記者団の質問に一切答えようとせず立ち去っていく菅首相。

その背中に、ちょっと聞き取りにくい記者の音声に合わせて、「総理!」「きょうは最後まで答えてください!」という吹き出し風の文字をスーパーした。

さらに「丁寧な説明をお願いします!」「責任を放棄するんですか!」の言葉も重ねられる。

菅首相はそのまま去り、「説明は2分にも満たない時間で終わりました」というアナウンサーコメントが付け加えられた。

他のニュースでも、キャスターやゲストから「最後までこの人から、本当の言葉は聞かれませんでした」など、菅首相の説明不足を斬るコメントはあった。

ただし『news zero』は、映像で菅首相の姿勢を浮き彫りにした点で他と異なった。

しかも29分ほどの中で、彼の政治姿勢を描いた構成力は際立った。

「この日のドキュメント」「退陣までの背景」「記者解説」「コロナ関連」など、それぞれの項目自体は他のニュースと大差ない。ところがシーンのつなげ方が視聴者の生理に寄り添う、いわゆる“意識のしりとり”を守った編集になっていた。視聴者が見たいもの、知りたいことが過不足なく出てくるのだ。

例えばぶら下がり会見の後は、キーマン二階幹事長のインタビュー。

「けさ聞きました」発言を受けて、朝の総理官邸に時間は飛ぶ。そこで首相に近い関係者の証言として、一夜で退陣を決めたことを伝える。そもそも立候補に何度も意欲を見せていたにもかかわらずだ。

その後は小泉環境相のインタビュー。

批判が多いが本当は「全く逆で、温かい方」という発言。涙もしっかりわかるように編集している。ところが視聴者には、菅首相が自民党内でどんな立場にあったのかが、小泉環境相をクローズアップした分よくわかってしまう。

以降、自民党内外の反応や街の声が続く。

ここでも特筆すべきは、秋田県民の「誰がやっても厳しい1年」と同情の声を聞かせた直後に、飲食店店主が「正直言って何の説得力もない」とコロナ対策の失政を厳しく批判する。

その後に、この1年の菅政権を振り返るVTR。

「国民のために働く内閣」というコメントがあり、畳み掛けるように「国民の命と暮らしを守る」という言葉が繰り返されてきたと紹介された。

ところがGoToトラベル問題や、緊急事態宣言が何度も発出された事実を並べることで、最優先の新型コロナ対策がうまく機能しなかったこと、ひいては「国民のために働く内閣」という言葉の虚しさがにじむ。

こうした事実を積み重ねた上で、スタジオ解説などが登場する。

ゆえに言葉による説明が、視聴者の腑に落ちるように出来上がっている。基本はVTRで見せたことを、図で俯瞰することで構造をわからせ、背景を深掘りする手法だ。

ここまで視聴者の納得性を高めた上で、最後は今後どうなるのか。

生活者の最大の関心事は、総裁の後継もさることながら、コロナ禍の今後だ。ワクチンを2回接種した後の生活を展望すると共に、忘れてはいけない現状の課題もおさえる。

こうして構成された29分間。

声高には主張していないが、菅政権の問題点は明確に浮き彫りにされた。放送は夜11時半からで、既にニュースの概要を知っている人も多かっただろうが、途中で見るのをやめる人は一部だった。

接触率が右肩上がりを続けたのは、こんな工夫と構成力にあったからである。

批判なき『ニュース7』

一方『ニュース7』も、このぶら下がり会見をドキュメント風のパートの中で扱った。

1分50秒まるまる発言を扱っているようだが、菅首相が最後に「改めて来週にも記者会見をしたい、このように思います」と述べると、間髪入れず「終わります」という女性の声が入り、「総理」と呼びかける記者の声で次の項目に移った。

質問の続行を求める記者の声を聴かせようという意志もなく、「終わります」という官邸側の合図でこのニュースも整然と終わった。

為政者の国民に向き合う姿勢がいかなるものか、この編集では伝わらないし、伝える気もないように見える。

しかも「コロナ対策に専念するための不出馬」という菅発言について、この後に記者が不出馬の理由を解説する際、冒頭で引用しさらに手厚く報道していた。

NHKの『ニュース7』は、菅首相就任以来、拙稿「NHKニュースの露出過多で増幅 コロナ・五輪で菅発言の空疎感」(6月1日)や「国民はうんざり 菅首相のニュース7占拠~NHK忖度報道で接触率半減!」(7月10日)で報じたように、菅首相の記者会見ばかりでなく、ぶら下がり会見もそのまま放送するケースが非常に多く、忖度報道ではないかという指摘がされてきた。

しかも発言内容の重要性に関わらず、ニュースの中に所かまわず入ってくるので、「うんざり感」も言われてきた。

今回の総理のぶら下がり会見は、一切の質問を受けつけない「特別版」だった。

これを無批判に放送すると、視聴者から「たれ流し」の指摘を受けても仕方ないだろう。しかも最も視聴率が上がりやすい時間帯に放送されていなかがら、単なる「たれ流し」で、伝える側のジャーナリズム精神が欠けるためか、途中で見る気をなくす視聴者が少なからず出ている。

放送行政やNHKに詳しい菅氏の首相就任以来、NHKと官邸との力関係が歪み、メガバンク出身の会長という事情もあって、報道機関としての影が薄くなったという声がある。

拙稿で指摘してきた数々の「忖度疑惑」ばかりでなく、菅首相や二階幹事長にインタビューしたニュースの問題、報道番組のキャスター交代など圧力人事も報道もされた。

菅首相の退陣を機会に、NHKにはこれまでの報道姿勢を改め、公共の報道機関としての矜持を取り戻してほしい。

そのための努力と毅然とした姿勢こそ、受信料を払っている多くの視聴者の想いであることを忘れて欲しくない。

鈴木祐司

次世代メディア研究所代表/メディアアナリスト

愛知県西尾市出身。1982年、東京大学文学部卒業後にNHK入局。番組制作現場にてドキュメンタリーの制作に従事した後、放送文化研究所、解説委員室、編成、Nスペ事務局を経て2014年より現職。デジタル化が進む中で、メディアがどう変貌するかを取材・分析。特に既存メディアと新興メディアがどう連携していくのかに関心を持つ。直近の制作番組では、テレビ60周年特集「1000人が考えるテレビ ミライ」、放送記念日特集「テレビ 60年目の問いかけ」(共に2013年)。著作には「放送十五講」(2011年、共著)、「メディアの将来を探る」(2014年、共著)。津田塾大学では計算機科学研究所にて客員研究員を拝命中。


更新が遅れてしまいました。
プリンターに不具合が出ましてそれを直そうと奮闘していたところです・・が、うまくいきませんでした。罫線がブレブレに印刷されるのです。メーカーの「罫線ずれチェックシート」に基づいて訂正しようとしてもPC,プリンターの再起動、プリンターデバイスの再インストール等試みたのですがだめでした。

ヘブンリーブルーのはずがホワイトが咲きました?


「へそ出しトップスで登校禁止」に多くの人々が反発。その理由を探ってみた

2021年09月04日 | 教育・学校

「へそ出しトップスで登校禁止」に多くの人々が反発。その理由を探ってみた|さわぐり|note2021年8月25日 

 デンマークの学校には制服がない。ごく一部の私立校を除き、普段、デンマークの子どもたちは私服での登校が一般的だ。また服装や髪型、染髪についても校則で規制しないため、子どもたちはいつも自分たちの好きな恰好で通学している。

 ところが今年8月半ば、新学期を迎えたある学校では、義務教育の高学年(7‐9年生、日本の中学生に相当)の子どもたちが、クロップトップス、いわゆるへそ出しトップスで登校することを禁止した。この決定に一部の保護者や生徒が違和感を示したため、その後この出来事はデンマーク中で話題になった。今回の記事では、なぜこのことが多くのデンマークの人々の関心となったのかについて、わたしなりにその理由を探ってみたい。

 8年生で14歳のある女子生徒は、普段からクロップトップスが好きで着ていたが、授業中に学校の先生から肌を隠すように指導され、上着を着用するようになった。この学校では同様の例がいくつか続き、教員と学校の管理職で話し合った結果、学校として高学年のクロップトップス着用禁止を決定したそうだ。

 学校側の意見は、クロップトップスは自宅の庭やビーチで着用するものであり、子どもたちにとっての「職場」である学校や公の場では、その場に見合う服装をする必要があるとのこと。この点について保護者に対し、家庭で子どもと話し合いをするように求めていた。またこの学校の校長はメディアの取材に対し、学校はさまざまな人が集う場所であり、だれもが健やかに過ごし必要な課題に専念できるよう、この決定を下したと発言していた。

SNS上で多くの反発

 このニュースが報道されるやいなや、SNS上ではクロップトップス禁止に反対する声が続々と挙げられた。著名人たちも男女を問わず自分のへそ出し写真をSNS上に掲載。子どもたちの服装について、学校が一方的に禁止することへの危惧や、生徒が学習に集中できない理由を女子生徒の服装のせいにするべきではないという意見が相次いだ。デンマーク初の女性首相を務めたヘレ・トーニング・シュミットもSNS上で「女の子たちにどんな服なら着ても良いかっていつまで言い続けるんですか?」「次は何がくるんでしょうね」と批判している。

 SNSだけではなく、この話題はワイドショーやプライムタイムのニュースでも取り上げられ、職場や学校でも話題になったところもあるという。実際、わたしの14歳の娘も学校で友人たちとこの是非をめぐって話をしたそうだ。

続く議論ー争点はどこなのか

 日本で生まれ育ち、中学時代には白色靴下や染髪禁止といった校則を無批判に受け入れて生きてきた者として、今回のクロップトップス禁止のニュースには正直あまり驚きを感じなかった。むしろ、どこかで制限をしなければ、ありとあらゆる服装が無制限に可能になることに疑問も感じたし、たとえクロップトップスがだめであっても、他に禁止されているものがないのであればそれほど不自由でもないだろう、その程度にしか感じていなかった。また、この決定を合理的だと考える人々の中には、職場や冠婚葬祭など、実際多くの場にはドレスコードがあり、子どもたちはそれを学校という場を通して学ぶ必要もあるのではないかという意見もあった。

 だからデンマークの多くの人々が根強くこの問題に意見したり反発し続けることには正直少し驚いた。だがしばらく観察していると、これは単にクロップトップスの是非を問うているのではないこともわかってきた。

 この問題について意見する人々の多くが口にしたのは、学校が一方的に生徒の服装を規制するのはおかしいということだった。この決定がされる前に生徒たちの意見は問われたのか、決定時に生徒の代表は含まれていたのか、学校の運営委員会(教員、管理職、保護者と生徒代表が含まれる)の判断はどうだったのか。そんな問いかけがいくつも見られた。つまり、反発する人たちは、クロップトップスの是非が焦点だったのではなく、子どもの服装に関する決定を、当事者である子ども自身や民主的プロセスである学校委員会と意見を交わすことなく決定したという、意思決定のプロセスに反発していたようだ。むしろ、これが学校内で民主的に決定されたのであれば、これほど人々は騒がなかったのかもしれない。

 さらに別の理由もある。これは学校側が一部の生徒(例えば女子)が肌を5㎝ほど露出していることで、他の生徒(仮に男子とする)が学習に集中できないということを、これまた一方的に断言していることへの反発だ。ここでも、集中できないとされる側の意見は反映されていない。また、デンマークでは近年復活したMeTooの影響もあり、女性の服装を男性の性欲と絡めてその是非を問うことにも疑問の声が上がるようになっている。大人がむやみに子どもを性的な存在として、女子生徒の服装の是非を独断で決定したことについても、危惧する声が多かった。

ある男子生徒の意見

 この点については、自由党青年部の副代表で9年生の男子生徒が新聞に意見を投稿している。同じ年頃の男子生徒として、女子生徒がクロップトップスを着ているだけで自分たちが授業に集中できないだろうと、一方的に性的な判断を押し付けるのはもう辞めてもらえないかという意見だった。

もちろん、僕らは若いしホルモンが身体中をかけめぐっています。でも、お腹の肌がちらっと見えたぐらいで興奮するなんてどう考えてもありえません。

残念ですが、これは男性/男子の性欲への考え方だけでなく、2021年になってもまだ消えない女性へ視線、つまり、男を興奮させないよう女はなるべく肌を覆うべきだ、というとんでもない考え方をも表しているのです。

僕たちは今、親世代が引き継いできた女性やマイノリティといった人々の捉え方を変えていく時代に生きています。だからこそ、僕はこの学校の決定にはとても残念なのです。当然、女子は学校でもクロップトップスを着て良いし、男子は少しの肌の露出にも耐えられないような動物でもありません。 (エミール・ノアヴァン)

私の身体は私のもの

 クロップトップスの禁止は、その後約1週間ほどで解除された。同校の学校委員会(上述)が学校側と話し合い、この決定は無効であるという旨が発表された。翌日から女子生徒たちはまたいつも通り、自分たちの着たい服を着て登校するようになった。学校委員会による決定という、民主的なプロセスを経て再び議論され決定がなされたためか、人々の不満の声は落ち着いた様子だ。その一方で、クロップトップスを着ることや、女性の服装への批判については引き続き高校生らがSNS上でクロップトップスを着てデモを続けている。高校生らは、女子生徒の学校生活が性的な視点によって制限されるべきではないと語っている。

 改めてこの国の人たちは意思決定のプロセスに非常に敏感なのだなと感じる。そして、たとえ子どもであっても意志があり、それを大人がどのような意図であれ、軽視したり一方的に封じ込めることには、子ども自身だけでなく、大人も批判的になる。そこに近年のフェミニズム的な視点も加わって、女子・女性の服装についての判断も今後さらに変わっていくのだろう。

 わたし自身は子どもの頃から育んでこなかったこのような批判的視点からは学ぶことが多い。人々が何に対して怒りを感じるのか、また議論の争点は何なのかなど、時には思いも寄らないことであり非常に興味深い。長く暮らしていても、いつも新しい発見がある。


 今日の気温は25度心地よい天気なのかもしれないが日が照るハウスで作業する身はつらい。

ウドの実。


重大なことはたくさんあるのだが・・・

2021年09月03日 | なんだかんだ。

ブログに引っ張ってきたいような話題がない。
スガ?いやぁ、全く興味なし。
随分時間を食ってしまった。今日は更新無しで・・・
と思ったが、今おもしろ記事を目にしたので紹介しよう。

中田翔放出で日本ハム若手伸び伸び打線が爆発! 12球団ワースト貧打がウソのよう

中田翔放出で日本ハム若手伸び伸び打線が爆発! 12球団ワースト貧打がウソのよう

先頭打者アーチの浅間(C)共同通信社

(日刊ゲンダイDIGITAL)

 単なる偶然ではない。

 最下位の日本ハムが首位オリックスに引き分け、2カード連続の勝ち越しを決めた。最終回に4点リードを守れず5連勝とはいかなかったが、好調はキープしている。

 主因は打線の奮起だ。前半戦終了時は81試合を消化して1試合平均得点は3.06。後半戦に入ってもソフトバンクにいきなり2試合連続完封負けを喫し、3試合目は0―0の引き分け。続くオリックス戦は2試合が降雨中止。負けた1試合も2得点と相変わらずの貧打だった。チーム打率.232は12球団ワーストである

 ところが、だ。後輩への暴力行為で無期限出場停止処分を受けていた中田が巨人へ電撃トレードされた8月20日からチームは活気づく。そこから2日までの11試合は5勝2敗4分け。4得点以上が7試合(11試合平均5.27点)もあり、1日は本塁打なしでも16安打12得点。前半戦が嘘のような猛攻をみせた。ここで3安打4打点と気を吐いた高卒7年目の浅間は、10安打6得点の昨2日も先頭打者アーチでチームを盛り上げた。

本人は巨人移籍後10試合で.154

「生き生きしている若手は他にもいます」と、日ハムOBがこう言う。

「高卒3年目の野村は、中田移籍の当日に2号、3号を連発。4日後には自己最多の4号を打った。浅間と同期で、主に中田の本職だった一塁を守る高浜も中田移籍の翌日(21日)に6号アーチを放ち、1日まで9試合連続安打。8月28日の西武戦では五回のソロ弾で引き分けに貢献した。若手が明るく伸び伸びプレーしているように見えるのは確かです」

 ちなみに、巨人の中田はここまで10試合に出場し、26打数4安打9三振とサッパリ。2日のヤクルト戦では七回に代打を送られ、2タコに終わった。

とさ。
政界もスガ放出ではすまないだろう。


金持ちの税負担はフリーター以下

2021年09月02日 | 生活

MAG2NEWS 2021.9.2.

元国税が指摘「日本の富裕層はフリーターより税金を払っていない」不都合な事実

by 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税… 

実は今、日本でもっとも税金を払っていないのは富裕層です。こういうことを述べると

「日本の金持ちは決して優遇されてはいない」

「日本の金持ちは世界でもトップレベルの高い税金を払っている」

と反論する人もいるでしょう。インターネットの掲示板などでも、日本の富裕層は世界一高い所得税を払っている、というような意見をよく目にします。

しかし、これはまったくデタラメです。確かに、日本の所得税の税率は、世界的に見て高いです。しかし、これには、カラクリがあります。日本の富裕層の所得税には様々な抜け穴があって、名目税率は高いのだけれど、実質的な負担税率は驚くほど安いのです。むしろ、日本の富裕層は先進国でもっとも税金を払っていないといえるのです。

日本の税制では、富裕層の最高税率は50%です(所得税と住民税を合わせて)。最高税率50%というのは、先進国ではトップクラスであり、これだけを見れば日本の金持ちはたくさん税金を払っているように見えます。しかし、日本の金持ちの場合、税制に様々な抜け穴があり、実質的な税負担は欧米の先進国よりもかなり低いものとなっています。

というより、日本の超富裕層の実質的な税負担は、なんとフリーターよりも安いのです。下の表は、年収5億円の配当収入者と年収200万円のフリーターの実質的な税負担の比較です。配当収入者というのは、大企業の株などをたくさん持ち、多額の配当などを得ている人のことです。富裕層の多くはこういう形で収入を得ています。

年5億円配当収入者と年200万円フリーターの税負担の比較

         配当収入者  フリーター

所得税・住民税   約20%    約6%

社会保険料     約0.5%     約15%

収入に対する消費税 約1%     約8%

合計        約21.5%   約29%

これを見ると、富裕層はまず所得税、住民税自体が非常に安いことがわかるはずです。高額所得者の名目上の最高税率は50%なのですが、配当所得者は約20%なのです。日本には、配当所得に対する超優遇税制があります。配当所得は、どんなに収入があっても所得税、住民税合わせて一律約20%でいいことになっているのです。平均的サラリーマンの税率とほぼ同じです。

これは、配当所得を優遇することで、経済を活性化させようという小泉内閣時代の経済政策によるものです。先ほど述べましたように、富裕層の収入は持ち株の配当によるものが多いのです。だから富裕層の大半は、この優遇税制の恩恵を受けているのです。

また配当所得者に限らず、「経営者」「開業医」「地主」など富裕層の主たる職業ではだいたい税金の大きな抜け穴が用意されています。名目通りの高額の税率を払っている富裕層はほとんどいないといっていいのです。

日本の金持ちは社会保険の負担も著しく低い

そして富裕層の実質税負担が少ないもう一つの要因が社会保険料です。国民の税負担を検討する上では、税金と同様の負担である社会保険料も含めたところで、考えなくてはなりません。

社会保険料というのは日本の居住者であれば、一定の条件のもとで必ず払わなくてはならないものです。そして社会全体で負担することで、社会保障を支えようという趣旨を持っており、まさに税そのものなのです。国民健康保険の納付書などには「国民健康保険税」と記されています。

そして社会保険料の負担率を加味して検討した場合、「富裕層優遇」というのは、さらに鮮明になるのです。今、国民の多くは、社会保険料の高さに苦しんでいます。社会保険料は年々上がり続け、税金と社会保険料を合わせた負担率は40%にのぼっています。これは実質的に世界一高いといえます。「日本は少子高齢化社会を迎えているのだから、社会保険料が高くなるのは仕方がない」国民の多くは、そう思って我慢しているはずです。

しかし、しかし、富裕層の社会保険料の負担率は、驚くほど低いのです。5億円の配当収入者ではわずか0.5%に過ぎないのです。

現在の社会保険料は、原則として収入に対して一定の割合で課せられています。たとえば厚生年金の場合は約8%です。

しかし社会保険料の対象となる収入には上限があります。たとえば国民健康保険の場合は、介護保険と合わせて約100万円です。つまりいくら収入があろうが100万円以上の保険料は払わなくていいのです。

国民健康保険の上限に達する人は、だいたい年収1,200万円程度とされています。ということは、1億2,000万円の収入がある人の負担率は、年収1,200万円の人の10分の1でいいのです。6億円の収入がある人は、50分の1でいいのです。収入が増えれば増えるほど、社会保険料は負担率は無料のように安くなっていくのです。

社会保険料の上限制度というのは、ほかの先進諸国にもありますが、欧米の先進諸国では、社会保険料の負担の多くを企業が担っています。企業が社会保険料の大半を担っているということは、間接的に株主が担っているということであり、富裕層が担っているということになります。

が、日本の場合、サラリーマンの社会保険料は企業と社員が折半となっていますし、そもそもフリーターなどの場合は、会社から社会保険に入られないことが多く、全額自費で払っていることが大半です。

また上の表にあるように、金持ちは消費税の負担率も非常に低くなっています。消費税の場合、低所得者は収入のほとんどを消費に回してしまうので、「収入に対する税負担率」は限りなく消費税率に近づきます。

しかも日本の消費税は、ヨーロッパ諸国の間接税のような生活必需品の税率を非常に低く抑えるというような配慮もありません。だから、低所得者の消費税負担率はほぼ10%になるのです。

その一方で、富裕層は消費するのは収入のごく一部であり、収入の大半は貯蓄や投資に充てられます。年収5億円の人が年間1億円を消費し、残りの4億円は貯蓄や投資に充てた場合は、収入に対する消費税負担率は2%になります。

つまり収入に対する消費税負担率で見た場合、年収200万円のフリーターの方が、年収5億円の配当所得者よりも何倍も高いのです。このように、日本の税制というのは、よくよく詰めていくと、金持ちがものすごく優遇されているのです。

日本は昨今、急激に格差社会化していますが、その大きな要因の一つが税金なのです。

(※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2021年9月1日号の一部抜粋です。全文をお読みになりたい方は、初月無料のお試し購読をどうぞ)


そして「税」の使い方がまたメチャクチャです。
国民が高い保険料を払っても「自宅療養」させられ、まともな医療を受けられずになくなるケースが増えています。その一方で「上級国民」はすんなりと・・・
更にこのようなときに

「東京新聞」<社説>防衛費増額要求 際限なき膨張止めねば

2021年9月2日 

 防衛費の際限なき膨張には歯止めをかけなければならない。

 防衛省予算の二〇二二年度概算要求は五兆四千七百九十七億円となった。過去最大だった二一年度当初予算(五兆三千四百二十二億円)比2・6%増。金額を明示しない「事項要求」も含まれ、年末に編成する二二年度予算案は過去最大を更新する可能性がある。

 防衛費は冷戦終結後、減少傾向が続いたが、安倍晋三前首相の政権復帰後に編成した一三年度に増額に転じ、当初予算は二一年度まで九年連続で増え続けてきた。

 防衛省は要求根拠に、中国などの台頭で周辺情勢が厳しさを増していることや、サイバーなど新領域に対応する必要性を挙げる。

 情勢変化に応じて防衛力を適切に整備する必要性は理解するが、防衛費の膨張が続けば日本に軍事大国化の意思ありと誤解を生み、軍拡競争を加速させかねない。

 防衛費膨張の一因には、最新鋭ステルス戦闘機F35A=写真=やF35B、イージス艦に搭載する迎撃ミサイルSM6など、高額な米国製の防衛装備品を購入し続けていることも挙げられる。

 これらは米国が価格や納期の設定に主導権を持つ対外有償軍事援助(FMS)で契約され、調達費用をさらに押し上げる要因になっている。本当に必要な装備か、仮に必要だとしても調達方法が妥当か、検証し続けるべきだろう。

 高額な装備は複数年度に分割して支払うため初年度の計上は少ないが、残額は「新規後年度負担」として積み上がる。二二年度は要求段階で二兆七千九百六十三億円と過去最大を更新した。

 後年度負担を含めた実際の防衛費は、見かけよりもさらに膨張していると考える必要がある。

 防衛予算の編成では事項要求に加え、当初予算段階では見送り、補正予算で計上する手法も多用されている。当初予算を低く見せることで国民の反発を避ける意図があるのなら見過ごせない。

 新型コロナウイルス感染症対策に巨額の予算が必要とされ、財政状況は厳しさを増している。防衛費を聖域化せず、防衛力整備には節度を持って臨むべきである。


内田樹の研究室 旧悪は露見するか?

2021年09月01日 | 生活

2021-08-31 mardi

 ある週刊誌から「旧悪の露見」についてコメントが欲しいという電話があったのは2週間ほど前である。五輪開会式にかかわったクリエーターの二人が、民族差別といじめについての「過去の言動」を掘り返されて職を解かれたことについて、「こんなふうに簡単に昔のことを掘り出して炎上させることができる時代になると、誰でもがプライバシーを侵害されるリスクがあるのではないでしょうか」という論調でコメントを取りに来たのである。

 私は「その作業は決して簡単ではない」ということをまず申し上げた。

 例えば、私の過去の書き物のうちから何であれ「差別的」な発言を取り出して、「炎上」させることは理論的には可能である。ただその場合に、その人は私のとりあえず手に入る限りの私の著作を通読し、かつ過去十数年分のブログ記事すべてを読まなければならない。

 たぶんすべてを探せば「差別的な発言と解釈できなくもない」文言は見つかるとは思う。だが、私の書き物からそれを探しだすのは「干し草の山から針を探す」作業に近い。おそらく数週間にわたり、朝から晩まで私の書き物を読み続ける(場合によって、その挙句「何も見つからなかった」ということもあり得る)という地獄のようなタスクをこなさなければならない。

 どれほどの苦役であろう。

 だから、「ネットで検索すれば簡単に旧悪がばれる」という記者の設定そのものに私は同意しない。「ネットで検索すれば簡単に旧悪がばれる」人がいたとしたら、それはその人にとって「旧悪」ではなく、頻繁に更新され、上書きされてきた「新悪」だからである。今もなお「いかにもそういうことを言いそうな人間」だから、過去のテクストをサルベージしたら「すぐ」にお目当てのものが出てくるのである。

 二十年前に「言わない方がいいこと」を言ってしまい、それを消去する手立てがないという場合には、それから後「そういうことを言いそうもない人」たるべく自己陶冶するはずである。

 ジャン・バルジャンだって、別に「旧悪が露見した」わけではない。起業して成功し、人望篤い市長になっていたのである。彼の旧悪が明らかになったのは彼が無実の罪を着せられた人を救おうとしたためである。ふつう、心を入れ替えて「よい人」になろうと思って日々努力している人の身には「旧悪が露見する」ということは起こらない。もしかしたら、こいつ「ろくでもないやつ」じゃないのか・・・という疑惑を周囲に抱かせるからこそ「旧悪」を調べるようという気になるのである。

 だから「ネット時代になれば、誰でも過去の失言を咎められるリスクがある」というのは事実ではない。仮に過去に恥ずべき失言をなしたことがあったとしても、その後反省して、「そういうことを言いそうもない人」なるべく努力を重ねていれば、その人について「恥ずべき過去があるに違いない。いくら時間がかかっても構わない。徹底的に調べてやろう」という人は出てこない。

 ネットというテクノロジーを駆使するのは生身の人間である。生身の人間においてある人物の「旧悪」を探す意欲がむらむらと湧き上がることがなければ、仮に恥ずべき過去があったとしても、それはいずれ忘れられる。それでいいと私は思う。

 というコメントをしたのだが、企画自体が没になったので、コメントは採用されませんでしたという電話がさきほどあった。

 せっかくしゃべったことなので、備忘のために書き残しておく。

(2021-08-31 17:42)


(糞の話です。食事前の方はご注意です!) 

 先日見つけたクマのものと思われる糞について一応市役所に連絡した。すぐに職員二人と地元のハンターが来てくれた。ハンターは一目見るなり「おう、これはまさに」と。更に注意深く見ると、それらしきものが数箇所ある。更に内容物など分析していたが小麦が主であるらしく鹿の可能性が・・・。熊は樹の実を食べるのに、それがないこと。鹿は草を食べてた頃はコロコロとした糞であったが最近は栄養価の高い小麦などを食べるようになって糞の形も変わってきたらしい。それで結論は出せないということで、カメラを設置してしばらく様子を見ることに相成った。