里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

年金、きょう支給日 受給者に不安と怒り

2022年06月15日 | 生活

食品 電気 ガス 水道 電話代 医療費… 物価高でも年金減!?

「しんぶん赤旗」2022年6月15日

高齢者「生活できない」

 「物価高なのに年金減らすの!? これじゃ生活できない」―。きょう15日は、年金がこれまでより0・4%減額されて支給されます。年金受給者の間には、不安と怒りが広がっています。(武田祐一)

 「新年度の年金通知を見てびっくりしました。年間7700円近くも減らされます」と話すのは東京都内に住む元会社員の阿部修二さん(75)です。「厚生年金と国民年金の合計額から、介護保険料と住民税が差し引かれ、ひと月当たりの生活費は10万円ほど。さらに今年から後期高齢者医療保険に切り替わり、医療費の負担増が心配だ」といいます。

 「食品でも何でも値上がりしているのに。庶民から年金や消費税をむしり取るのはやめて、大企業・富裕層から税金を取って社会保障にまわすべきです」と声を震わせます。

ただでさえ少ない

 「ただでさえ少ない年金を減らすなんて、やめてほしい」と話すのは都内で鮮魚店を営む女性(79)。6年前に夫を亡くし、1人で店を切り盛りしています。「年金は年額50万円ほど。そこから介護保険料を11万円近く引かれ、今度の改定でさらに2千円減っちゃう。こんなんじゃ暮らしていけないよ」と憤ります。

 元縫製業の女性(83)は一人暮らしで、年金だけが頼りです。「月7万円ちょっとで、やりくりしています。食品もだけれど、電気、ガス、水道、電話代が高い。公共料金だけで1万円以上が消える」といいます。

 この女性は戦前、「満州」(中国東北部)から、命がけで引き揚げてきた経験があり、ロシアによるウクライナ侵略に胸を痛めています。「戦争は絶対ダメ。岸田自公政権は軍事費を増やすというけれど、とんでもない。国民が生活で、こんなに困っているのだから、消費税を5%に戻すとか暮らしにお金を使ってといいたいね」

「参院選で変えて」

 元ガラス工芸職人の男性(85)は「物価が上がっているのだから、年金の支給額も上げてほしい」といいます。

 20年前に脳梗塞になりました。ある程度回復したものの、左手が利かなくなりました。精密な作業が困難になり、廃業。それ以来、年金生活です。

 「みんな、ぎりぎりでやっている。医者に通うのに毎月5、6千円かかる。75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担の2倍化はやめてほしい」と訴えます。

 「岸田政権は軍事費を2倍にするとか、改憲めざすとか、やりたい放題だ。今度の参院選で政治を変えていかねば。そのためにも日本共産党に頑張ってもらいたい」と期待を寄せます。


 私の年金ももちろん下げられました。そして「介護保険料」が上げられ天引きです。物価が上がった分の消費税までも取られるのです。せめてこの時期、5%までひきさげるべきではないでしょうか!腹が立ちます。

草刈りをしていると鳥の巣を見つけました。ヒヨドリでしょうか?


5.6羽いるようです。周りの草は刈ってしまいましたので木の枝を持ってきて隠してその場を離れました。

スイレンも咲きました。

バイケイソウ


黒田総裁辞任でも円高効果はせいぜい10円…円安ブレーキを阻む「アベの壁」

2022年06月14日 | 社会・経済

日刊ゲンダイDIGITAL 2022/06/14 

 円安が止まらない。13日は一時1ドル=135円台前半まで下落。約24年ぶりの円安水準となった。急速な円安進行が襲っても、「金融緩和を粘り強く続ける」と強弁する日銀の黒田総裁の辞任が円安ブレーキの特効薬だが、それを阻むのが「アベの壁」だ。

 原油高と円安により、さらなる物価上昇は必至。暮らしは苦しくなる一方だ。黒田氏は「値上げ許容発言」こそ撤回したが、ことあるごとに「金融緩和の継続」を強調。いたずらに円安を加速させている。

「黒田総裁が緩和継続を訴えるたび、投資家は安心して円を売ってドルを買える。もっと発言が控えめな総裁なら、これほど円安が進んでいなかったでしょう。4月の対ドル円相場の実勢値は、日米の消費者物価指数から算出した理論値より、13%割安との試算がある。実力から、かけ離れた円安の責任の一端は、黒田総裁にあります」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)

アベノミクス否定を許さない

 先週、政府と日銀が「円安を憂慮する」との共同声明を出したが不発。為替介入も米財務省が「極めて例外的な場合に限られるべきだ」と牽制しており、円安阻止に効果的な為替介入は難しいとの見方が強い。

「市場では、円安を食い止める最大の特効薬は黒田総裁辞任との見方が浮上しています。新総裁が就任すれば、利上げに踏み切るかもしれないとの心理が働き、円売り、ドル買いは慎重になるはず。黒田辞任で10円程度の円高効果はあるとみていいでしょう。ただ、任期途中の辞任はアベノミクスの否定につながり、安倍元首相のメンツをつぶしかねない。日銀も望んでいないため、政治判断で任期を全うさせる公算が大。政府も日銀もどこを見て仕事しているのかということです」(森岡英樹氏)

 安倍氏は「骨太の方針」への自民党の提言案をめぐり、「アベノミクスを批判するのか」と同僚議員を恫喝するほど。「アベの壁」はブ厚い。

 世論の6割近くが、黒田氏は「日銀総裁として不適任」と答える中、来年4月の任期いっぱいまで居座れば、底なしの円安地獄が待っているだけだ。


園のようす。

ベニバナイチヤクソウも下の花から枯れていきます。これが種となって増えるのか?

 


内田樹の研究室 『複雑化の教育論』をめぐるロングインタビュー その1

2022年06月13日 | 教育・学校

長い記事です。お義理のリアクションは結構です。
「その2」もあるのですが、やめておきましょう。
興味のある方は内田樹の研究室 (tatsuru.com)


2022-06-06 lundi

――『複雑化の教育論』のもととなった講演から約1年。この間に、教育関連で気になった出来事は?

 いろいろと気になる報道はありますが、とりわけ大学教育が危機的であることが気になります。例えば、「大学ファンド」制度。認定を受けるには年3%の事業成長を大学は国に約束しなければならないという方針が話題になりました。大学に「稼ぐ」ことを求めて、稼ぎによって格付けするということになると、教育研究の方向が短期的な利益を出すことに限定されるし、教員の労働もさらに過剰になる。あらゆるレベルで教員が労働過剰になっているせいで、教員のなり手が減っていることも深刻な問題です。

――公教育が危機にさらされているように感じます。オルタナティブな選択をする保護者も増えていると聞きます。

  公教育にはその時々の支配的な政治イデオロギーが深く関与するというのは日本の現実です。自治体の首長が変わると、地域の教育ががらりと変わるということが現に起きています。 

 それに対して、私立学校には建学の精神や独特の校風があって、教育内容が時の支配的な政治権力に直接影響されるということには抑制がかかります。ですから、保護者が政治の過剰を嫌って、子どもたちを私立学校に進めようとするとしても、それはしかたのないことだと思います。

 ただ、私立学校で気になるのは、どうしても同質性の高い生徒たちが集まってしまうということです。学力や出身階層について同質性の高い級友たちと、中高一貫6年間、あるいは小学校からの12年間を過ごすということは、子どもの成長にとってあまりよいことではないと僕は思います。子どもは成長期にはできるだけ多様な出自の、多様な考え方をもつ友人と出会った方がいい。その方が成熟してゆく上ではよい環境だと思います。それに、私立に通わせるためにはそれなりの経済的な余裕が要ります。

 個人的には、他にもいろいろ選択肢があります。「学校へ行かないで、高卒認定試験を受ける」というのもあるし、「通信制などのオルタナティブスクールに行く」というのもあるし「いっそ海外に行く」というのもあります。そういう選択は個人の前には開かれています。 

ただし、それはあくまで個人レベルでの問題解決であって、制度的な問題の解決にはなりません。それに、進学について多様な選択肢を享受できるのは、ここでもやはり親に経済力がある場合です。貧しい家の子どもには、それほどの選択肢はない。だから、やはり公教育の再建が急務だと思います。

――公教育の危機は、どのような要素からの影響が大きいのでしょうか。

 「政治」と「マーケット」という2つのファクターが日本の公教育を壊している。それは間違いないと思います。

  教育、医療、行政、司法などの制度は共同体が存続するために不可欠のものです。ですから、とにかく安定的に運営されていることが最優先します。政体が変わろうとも、経済システムが変わろうとも、これらの制度はそういう社会的変化とはかかわりなく継続的に管理・運営されなければならない。政権交代したからとか、株価が下がったからとかいうことで教育や医療の制度が軽々に変わっては困る。

 でも、政治とマーケットはそういう安定的な制度が社会内に存在することそれ自体に対して敵対的です。「変化しないもの」を許容しない。それが政治とマーケットの本質的な傾向です。とりわけ政治家は政治過程から相対的に自律的に機能している制度というのが嫌いです。ですから、「改革」を掲げる政治家はまず行政、医療、教育に手を突っ込みたがる。そして、わずかな社会的変化に即応して「ころころ変わる」制度に変えようとする。それが正しいと信じているんです。でも、選挙があるたびに一朝にして前の制度が放棄されて、また新しくなるというようなことは医療でも教育でも行政でも、本当はあってはならないことなんです。

 一方、マーケットが医療や教育に首を突っ込んで来るのは、資本主義が限界に来て、もう金儲けのための「フロンティア」がなくなったからです。医療や教育は「それなしでは集団が維持できない制度」ですから、どれほど制度をいじりまわしても、機能不全にしても、破壊しても、最終的には税金であれ私財であれ、誰かが金を出してその制度を維持しようとします。ビジネスマンが医療や教育に首を突っ込むのは、それが絶対安全な「金儲け」の機会だからです。

 教育と政治がかかわりを持つことはなかなか抑制できません。明治からあと、近代学制において、学校教育は「国家須要の人材」を育成するという国家目的に基づいて制度設計されていました。近代国家を立ち上げ、維持するために必要な人材を育成するという考え方自体は間違っていないと思います。ただ、その場合でも、長期的な視点で「どのように国力を高めるか」を考えるべきです。

 多様な才能が、百花繚乱的に花開くような仕組みを作るというのが長期的には国力向上に最も効果的だと僕は思います。でも、そういう仕組みでは、教育現場に大きな自由裁量権を与えなければならない。反権力的、反体制的であることを恐れない元気のよい若者が輩出してしまう。ですから、統治コストの最少化を優先的に考える政治家はそういう仕組みを採用しません。そうではなくて、たまたまその時に政権の座にある人間が、政権を安定させ、自分たちの支配を長期化するために、政権の安定のために「都合のよい人間」を作ることを学校教育に求め出します。上位者に無批判に従う、批判力のない、「イエスマン」を量産することを学校に命じてくる。そうなると、短期的には統治コストは低くなり、政権は安定しますが、次第に国力は衰えてくる。国は貧しくなり、国際社会でのプレゼンスが低下し、文化的生産力も衰える。それは世界のどこの国でも同じことです。

 だから、学校教育においては、「国家須要の人材とは誰のことか?」という根源的な問いを繰り返し問わなければならない。具体的に言えば、そのときたまたま政権の座にある政治家が、自分にとって都合のよい国民を「国家須要の人材」であると定義することをどうやって防ぐか。それが公教育にとって死活的に重要な問題だと思います。

 戦前は「教育勅語」によって国家が公教育に介入して、「天皇ために死ぬ国民」を制度的に量産しました。それによって日本は数百万の国民を失い、国家主権も国土も失いました。間違った教育が日本を滅ぼした。この前例を徹底的に反省して、二度と政治が教育に介入しないような自律的な仕組みを作るという決意から戦後教育は始まりました。けれども、その時にあったような緊張感が今の日本の学校教育にはもうまったく見ることができません。

 ビジネスからの学校教育への介入も、政治の介入同様に、決してあってはならないことです。産業界はとにかく「高い能力を持ち、安い賃金で働き、上位者に逆らわない人間」を量産しろと言ってきます。これは営利企業である以上当然の要請です。でも、それはあくまで彼らの短期的な利益のために過ぎない。そういう人材がほんとうに必要ならば、企業内に教育機関を作って、自分たちがコストを負担して教育を行えばいい。でも、彼らは企業で人材育成コストを負担する気がありません。教育コストはすべて公教育に「外部化」しようとする。税金を使って自分たちに都合のよい人材を育成させようとする。「コストの外部化」は資本主義企業の基本ですから、彼らがそうすることを防ぐ理屈はありません。僕らにできるのは、「マーケットは学校に口を出すな」と繰り返し言うだけです。

 政治の介入に関しては親たちも結構ナーバスになりますが、マーケットの介入については、保護者たち自身が骨の髄まで「資本主義的マインド」になっているので、「マーケットが介入することのどこが悪いのか?」と不審顔をされることがあります。教育というのは子どもに「付加価値」を付けていって、労働市場で高く売るためのものでしょう...と本気で思っている保護者は少なくありません。企業が望むような人材に育て上げることを学校教育に求めたりする。そういう人たちが「教育投資」というような言葉を平気で使う。マーケットのロジックや用語は親たちにも、子ども自身にも入り込んでしまっています。

 政治とマーケットの介入をどうやって遠ざけて、公教育を自律的なものにするか。それが喫緊の課題なのです。でも、これはほんとうに困難な課題だと思います。

 というのは、公教育への政治の介入を押し戻すためには、政治の介入が必要だからです。教育現場のフリーハンドに任せて、政治は教育に介入しないということを決定するためには、そういう政治決定を下す必要があります。「公権力の介入を排する」ためには「公権力の介入を要請する」という矛盾したことをしなければいけない。

 だから、「政治の変化に期待する」というのは、学校教育にとっては諸刃の刃のリスクがあります。たしかに政治の変化がないとなかなか学校教育の自律性は回復できない。でも、政治の変化に期待するということは、政治の公教育への介入を受け入れるということです。僕たちはこのジレンマに苦しまなければならない。

 マーケットの介入を防ぐことは、今の日本ではもう不可能だと思います。大人たちは、親も教師も、子どもたちに高い付加価値を付けて、労働市場に送り出すことが学校教育の目的だと心の底から信じている。その思い込みをどこかで引き剥がさないといけない。でも、どれほど言葉を尽くしても、たぶんわかってもらえないでしょう。

 僕らにできることは、今の教育の現実を客観的に、ありのままに提示して、「今の教育はこんなふうになっています。このままでは日本はただ衰退するだけです。このままでいいのですか? これをどうしたらいいんでしょう?」と問いかけ、みんなで知恵を出し合うしかない。誰か力のある人に「正解」を出してもらって、それに従うというわけにはゆきません。市民全員が徹底的に「学校教育はいかにあるべきか」と問い続けなければ話は始まりません。公教育をここまで破壊するのに何十年もかけたわけですから、これをまた再建するためには官民一体となっても同じだけの歳月がかかると思います。

――「格差社会」が問題視されて久しいですが、社会格差や学歴社会など、学校教育と絡めてどう見ていますか。

 学歴に対する過剰な意味付けは今しだいに弱まっている気がします。子どもたちが有名になったり、お金を稼いだりするためのキャリアパスはいろいろと用意されていますから。

 僕が子どもの頃、日本がまだ貧しかった時代は、貧しい家の子どもたちがキャリアを形成するためには高学歴しか手立てがありませんでした。プロ野球選手になる、歌手になるといったキャリアパスはよほど例外的な才能のある人にしか開けていなかった。キャリアを形成する上で一番フェアに開かれていたのが学歴でした。だから学歴社会になった。

「勉強さえできれば、何とかなる」というのが戦後日本の貧しい家の子どもたちにとってほとんど唯一の希望でしたから、学歴偏重になったことはある意味仕方がなかったと思います。もちろん、子どもたち一人一人に先天的な能力差がありますから、それだって決してフェアな競争ではないのですけれども、それでも家が貧しくても、身体が弱くても、学歴社会においては競争することができた。そういう点ではフェアでした。「学歴社会」は敗戦で貧しくなった日本社会が民主主義を採用した以上、必然的に登場してきたものだったと思います。

 逆に、今は学歴の重みがしだいに軽くなっています。理由の一つは、多くの職業が世襲になったせいだと思います。政治家も世襲、経営者も世襲、芸能人も世襲。社会の上層部を占める職業ほど世襲が増える。「家業」を受け継ぐ子どもはキャリア形成では圧倒的なアドバンテージがあります。今ではもう「勉強ができる」というだけでは手が届く地位が限定されてきた。

 学歴社会でなくなってきたというのは、別にそれで何か「よいこと」が起きたわけではありません。むしろ、生まれた段階でキャリアパスの割り当てが終わっていて、個人的努力で這い上がることのできる範囲が狭くなったということです。それだけ社会的流動性が失われて、階層が固定化したということです。

 学歴が軽んじられるようになったもう一つの理由は「反知性主義」が広まったせいだと思います。「勉強なんかできてもしょうがない」ということを声高に言う人たちが、社会の上層部に増えてきた。「オレは勉強なんかできなかったけれど、こんなにえらくなった。だから学校の勉強なんか意味がない」ということを誇らしげにいう人がどんどん増えてきた。

 戦後日本が学歴偏重であったのは、もちろん今言ったように「キャリアをめざす」ためには高学歴を手に入れることが合理的な道筋だったという事情もありますけれど、それと同時に「知性と教養」を高く評価する「教養主義」も大きくかかわっていたと思います。

 僕は子どもの頃には、かなり真面目に勉強をしました。でも、それはいい大学を出て、いい会社に行って、出世して、高い給料をもらうというような生臭い目的のためではありません。そういう「立身出世」は僕の場合は勉強のインセンティブではなかった。僕が勉強を一生懸命やっていたのは、いい学校に行って、すばらしい先生に就いて、レベルの高い勉強をして、学友たちと熱く議論して...という教養主義的な動機にドライブされていたからです。そういう子どもは決して少なくなかったと思います。別に出世したり、金儲けをしたいから勉強するのではなく、勉強して広い知識や深い教養を身に着けたいという子どももたくさんいました。だから、受験勉強そのものは「無意味だ」と思いながらも、これを通過すれば、「アカデミア」に参入できると自分に言い聞かせることができた。

 いまは、学校での勉強が「ハイレベルの知性の場」に参入するための足場だと考えている子どもはきわめて少数ないんじゃないかと思います。受験はただの「格付け」のための競争であって、勉強で高いスコアをとることがその先の「アカデミア」への参入につながり、それこそが勉強することの目的だというふうに考えている保護者も子どももほとんどいないんじゃないでしょうか。

 学校教育がただ選抜と格付けのためにあるのだと思ってしまうと、あとは競争で相対的に優位に立つことしかすることがない。競争相手を1人でも減らせば自分が有利になる。自分の学力を上げることよりも、周りの競争相手の学力を下げることの方が、費用対効果がよいですから、学校教育を格付けに使うと、子どもたちの学力はどんどん下がって来るのは当たり前なんです。

 相対的な優劣だけが問題であるなら、全員が「勉強ができない」という状態のときこそ、わずかな学習努力で大きなアドバンテージが得られるからです。同学齢集団全体の学力が低下することが、相対的な優劣を競う環境としては、一番楽です。だから、いかにしてみんなが勉強に意欲をなくすようにするかに子どもたちが努力するようになった。今の子どもたちは無意識的にはほぼ全員がそうしていると思います。子どもたち同士の会話を横で聴いていても、おたがいの知的パフォーマンスを向上させるためのやりとりというのはまず聴くことがありません。ほとんどの会話は「そんなことを知っていても、学力向上には何の影響ももたらさない情報」のやりとりだけで構成されている。そういう話題の選択が無意識に行われている。

 日本では、この10年間の政治家たちの知的劣化は目を覆わんばかりです。深い教養を感じさせる政治家の言葉というものを僕は久しく耳にしていません。逆に、知性にも教養にもまったく敬意を示さない政治家たちが教育についてうるさく発言している。その結果、日本の高等教育は先進国最下位に向けて転落し続けています。そのことに切実な危機感を持たないと日本という国にはもう先がないと思います。


 参議院選挙も迫ってきている。候補者を選ぶ前にその所属する党を選ばねばなるまい。そこで重要なことは未来の「政策」より過去の態度である。直近では「岸田総理不信任決議」への態度である。賛成したのは立憲と共産だけ。れいわ・維新・国民民主は棄権、他与党は反対だった。そして「細田議長不信任決議」も同じ構図であった。驚いたのはれいわの態度である。結果として岸田自民党を助けセクハラまで不問としたのだ。


物価上昇9%で「消費税1.8兆円負担増」の衝撃試算! 岸田政権は“隠れ増税”で左うちわ

2022年06月12日 | 生活

日刊ゲンダイDIGITAL  2022/06/12

 怒涛の値上げラッシュが続く。岸田首相は「消費税を触ることは考えていない」と消費減税をかたくなに拒んでいる。税率はそのままで物価が上昇していけば、消費税額はどれだけ増えるのか。試算してみると、「隠れ増税」とも言える大きな国民負担が浮かび上がった。

 ◇  ◇  ◇

 石油情報センターによると、6日の全国のレギュラーガソリン価格は1リットル=170円。1年前(昨年6月7日)の153円より17円値上がりしている。このうち消費税額は14円から16円へと2円増えている。年間のガソリン消費量は約4500万キロリットル。仮に1年間、2円アップが続けば、消費税の税収額は約900億円も増える。本体の値上げに加え増税とは、消費者には踏んだり蹴ったりだが、政府の財布は潤うことになる。

 税理士で立正大客員教授の浦野広明氏(税法)の試算によると、物価が1%上昇すれば、年間の消費税額は約2000億円増えるという。

「税率アップとは違う形での増税です。岸田首相は税率を下げないことによって事実上、消費増税を実行しているということです。改めて、低所得者ほど負担が重くなる消費税の残酷さを痛感します」(浦野広明氏)

 10日、日銀が発表した5月の企業物価指数は112.8となり、4月に続き過去最高となった。上昇率は前年同月比プラス9.1%と高水準だ。

 4月の消費者物価指数(生鮮食品も含む総合)は前年同月比2.5%アップだったが、この先、企業物価の上昇分が転嫁され、さらなる値上げに波及する恐れがある。

国民は踏んだり蹴ったり

 日銀が2月4日から3月2日に実施した「生活意識に関するアンケート調査」によると、1年前に比べて、物価が「上がった」は8割を超えた。実感する上昇率の平均値は6.6%、中央値は5.0%だった。

 まだウクライナ戦争の影響が少ない段階で、5~6%とは驚きだ。その後、戦争は長期化し、毎月、値上げが相次ぐ。帝国データバンクによると、今年値上げされる食品は既に1万品目を突破し、値上げ幅は平均13%にも及ぶ。

 この先、消費者物価指数が企業物価指数の9%台に近づいてもおかしくないのだ。浦野氏の試算によると、物価上昇率が9%になれば、消費税は1.8兆円増額されることになる。税率1%分の増収に迫る金額だ。

 財務省に物価上昇に伴う消費税の増収見通しを問い合わせたが、「対外的には公表していません」(主税局総務課歳入係)と答えた。

「本体の値上げに加えて、消費税の負担が重くなっていることに気づかない国民も少なくありません。財務省は最低限、物価高による消費税増収額を国民に明らかにする責任があります。恩恵を受けているわけですからね。物価高騰の中、岸田政権は消費減税を一切せずに事実上の増税を続けようとしている。インフレ下の消費税問題は参院選の大きな争点にすべきです」(浦野広明氏)

 原油高と円安で上げ材料には事欠かない。青天井の物価上昇に岸田政権は「左うちわ」ということか。


「何もしない」のがとりえの岸田首相。何もしなくても「結果」がついてくる。

いちごが色づいてきた。


円安急加速で「値上げラッシュ」は来年以降も

2022年06月11日 | 生活

価格転嫁できた企業はまだ半数以下!

日刊ゲンダイDIGITAL2022/06/10

 

 いったん落ち着いたかに見えた円安が、また急加速だ。

 今月に入ってからの7日間だけで5円超も進み、9日は一時1ドル=134円56銭まで下落した。「黒田緩和」継続で日米金利差がある限り、円安は止まらない。さらなる物価上昇が、もう一段、家計を圧迫することになる。

 ただでさえ7月以降に値上げが予定されている商品は食品だけで4500品目以上ある。今後も増え続けるのは確実。湖池屋のスナック菓子や冷凍食品のように「再値上げ」も続出するだろう。原材料費など仕入れコストが急激に上がりすぎて、企業はまだ100%の価格転嫁ができていないからだ。

 帝国データバンクが今月3~6日に実施したアンケート調査(有効回答1635社)によれば、仕入れコスト上昇分を「すべて価格転嫁できている」企業は6.4%にすぎなかった。7割以上が「多少なりともできている」ものの、全体の価格転嫁率は44.3%。仕入れコスト100円に対し、半分以下の44.3円しか価格に反映できていないということになる。

「再値上げ」続出も必至

「値上げは来年以降も続くと見ています。小麦価格にウクライナ戦争の影響が反映されるのは、10月からの政府売り渡し価格からです。それがパンやパスタになるのに3カ月かかります。大豆やトウモロコシなど飼料価格も上がっていますから、豚肉や牛肉、物価の優等生の卵にも影響するでしょう。値上げラッシュはまだ入り口。終わりが見えません」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)

 岸田首相に勧められても、これではとても「投資」どころじゃない。生活防衛には「必需品以外、お金を使わないことしかありません」(荻原博子氏)だそう。


 防衛予算5兆円増? そんな大金、困っている国民に少しでも回してあげようという気持ちもなく、年金は減らし、医療費、保険料は値上げ、生活保護費まで下げている。65歳以上の高齢者の約2割が生きがいを持っていないと報じられた。おそらく「貧困層」であろう。お金がなければ楽しくないのは当たり前。この「貧困層」ますます増えていくことになるのだろう。「明日は我が身」にならないように、いよいよ始まる参議院選挙で打撃を与えねばなるまい。

 予報では、あまり期待できなかった☂。昼過ぎから降り始めるが、期待を裏切るようないい雨となった。恵みの雨だ。


雨宮処凛がゆく! ニュース女子、ウトロ放火事件、そして6年前の相模原事件に潜んでいた「予兆」。

2022年06月10日 | 社会・経済

2022年6月8日

https://maga9.jp/

 

 「『ニュース女子』問題、二審もDHCテレビに賠償命令 辛淑玉さんに対する『名誉毀損』」

 

 その報道を知った瞬間、「よかった……」と全身から力が抜けるような思いがした。

 ご存知の通り、2017年1月、TOKYO MXの「ニュース女子」という番組で、辛淑玉さんに関する誤った情報が放送された件だ。これを制作したのがDHCテレビジョン。

 番組では、沖縄の米軍ヘリパッド建設抗議運動に関して、「反対の人たちはお金をもらっている」「反対を扇動する黒幕の正体は?」などのテロップが出されるという演出がなされた。辛淑玉さんを貶め、その印象をおどろおどろしいものにするような内容だった。

 この問題が起きた時、とても他人事とは思えなかった。私だって、私の関わっている運動などを快く思わない人から、こういうことをされる可能性がゼロとは言えない。テレビ番組を使って「こいつは怪しい奴」という印象をばらまかれ、それによって多方面から攻撃されてしまうかもしれない。

 「もし自分だったら」と思うだけで、吐き気がこみ上げてくるほどの恐怖に襲われた。番組そのものが、辛淑玉さんという一人の女性を「公開処刑」にしているかのようで、こんなことが許されていること自体、信じられなかった。もし自分がこんなことをされたら、日本にいられないかもしれない……。その後、辛淑玉さんがドイツに渡ったと聞いて、集団リンチのようなことが許されてしまう状況に心から憤った。

 だからこそ、二審でも勝訴となり、番組の重要な部分の真実性が証明されているとは認め難いとして、名誉毀損が成立するとされたことは嬉しい。

 しかし、一方で思うのは、この番組が放送された17年と比較して、状況はさらに悪くなっているのではないかということだ。

 例えば判決には、「在日朝鮮人である原告の出自に着目した誹謗中傷を招きかねない構成になっているということ」という一文も加えられたという。冒頭記事によると、辛さんの弁護士は、「人種差別であることを認めてくれた」と評価したそうだ。が、この件に限らず、ネット上の見るに耐えないヘイトは「ニュース女子」以前から多くの在日コリアンの人々に牙をむいてきた。

 それが「ネットだけで済まなくなった」のはいつからだろう。もちろん、在特会のデモなどは00年代からあるが、在日コリアンの問題に限らず、「ネット上の悪意が現実を侵食し、人の命を危険に晒す」ような事件はエスカレートしている気がして仕方ないのだ。少なくとも、10年前にはなかったタイプの事件が起きている。

 直近だと、3月に辻元清美・前衆院議員の事務所の窓ガラスが割られ、荒らされるという事件があった。5月に29歳の男が逮捕されたが、男は「本人に危害を加えようと考えていた」と供述。辻元氏のTwitterによると、防犯カメラに映った男はハンマーを持っていたという。深夜だから誰もいなかったものの、もし、辻元さんやスタッフがいたらどうなっていたのだろうか……。

 そうして21年8月には、在日コリアンが多く暮らす京都のウトロ地区で火災が発生。この年の12月、非現住建造物等放火の罪で逮捕されたのは、奈良在住の22歳の男性だった。

 「韓国が嫌いだった」という男は、ウトロ地区に放火する前月、在日本大韓民国民団の愛知県本部の壁に火をつけたとして愛知県警に逮捕されていた。それだけでなく、奈良の民団支部でも同様の犯行をしていたという。

 様々な報道を見ると、男は在日コリアンへの差別意識と、被害者意識に近いような憎しみを抱いていたことが伝わってくる。

 例えば男はBuzzFeedNewsの取材を受けているのだが、その記事で以下のように語っている。

 「コロナ禍で自分を含めて経済的に貧困状態にいる、保護を受けたくても受けられない人が多数いるような状況のなかでも、彼らは特別待遇を受けている」

 特別待遇ってどんな??  と思わず首を傾げたくなるが、記事を書いた籏智氏が指摘するように、これはネット上の「古典的なデマ」である。このようなデマを挙げることからもわかるように、男を動かした背景には、確実に「ネットの声」がある。知識がないまま、虚実ないまぜの情報を自分の都合のいい部分のみ鵜呑みにして起きた事件。

 そんな男の情報入手先は「ヤフーニュースのコメント欄です」とのこと。あの悪名高き「ヤフコメ」で知識を得ていたことに言葉を失うのは私だけではないだろう。また、動機についてはこう語っている。

 「対人被害に最大限注意したうえで、(在日コリアンが)日本にいることに恐怖を感じるほどの事件を起こすのが効果的だったのです」

 確信犯である。ちなみにこの放火で怪我人や死者が出なかったのは、たまたま子どもたちが留守にしていたからだというからゾッとする。

 駄目押しのように、男はこうも語っている。

 「日本のヤフコメ民にヒートアップした言動をとらせることで、問題をより深く浮き彫りにさせる目的もありました」

 ネット上に氾濫する差別が事件を呼び起こし、実際に人々が暮らす生活の場に火が放たれる。これを引き起こしたものを「たかがネットの悪ふざけ」などと放置していいのだろうか。「悪ふざけ」で済まされるレベルをとっくに超えている。

 一方、「ヤフコメ」というキーワードで思い出すのは、相模原事件を起こした植松聖だ。事件が起きたのは今から6年前の16年だが、あの事件こそ、「ネットの悪意を真に受ける」ことが引き金のひとつとなった事件ではなかっただろうか。

 障害者施設で45人を殺傷、19人が死亡するという事件の重大性、逮捕されたのが元職員だったこと、本人の特異なキャラクターや逮捕後も拘置所から発信が繰り返されたこともあり、忘れられ、薄まっている部分もあるが、彼もヤフコメの常連だった。彼は月刊『創』にあてた手紙で以下のように書いている。

 「かつて私はヤフーニュース等のコメント欄に沢山の書き込みをして遊んだことがあります。イイネしかできないSNSと比べてワルイネ(bad)が新鮮で、赤の他人だからできる直球のコメントにも魅力を感じていました。

 ですが、気がつくと私のコメントはほとんど削除されていました。内容は『トランプ大統領は真実を話している!!』『大麻は世界で認められている!!』等々、日本の世論には反する文章でした」(『開けられたパンドラの箱』より)

 ひどい書き込みがなかなか削除されないことが問題となってきたヤフコメで(特に植松が書いていたのは16年以前)、「ほとんど削除されていました」というのだから、よほどのものだったのだろう。覚えておきたいのは、彼の日常に、ヤフコメのヘイトに満ちたコメントが当たり前に存在したということである。そして、彼にとって、書き込みをすることは「遊び」だったこと。

 一方、植松は事件前、動画サイトに自らの動画を投稿している。現在は全編を見ることはできないが、ほんの一部の断片はYouTubeに残っている。そこで彼は車の運転をしながら、「最近世界がやばい」「第三次世界大戦が始まっている」「このままでは日本が滅びる」「不幸な人ばっかり」などと語っている。

 初めてボートレースに行った日には、「じじいばばあばっかり」「死に損ないしかいなかった」「いなくなっても誰も困らない」「どうすればいいんだろ、あれでいいのかな」などと高齢者の存在を否定するようなことも語っている。

 この動画サイトでは、彼の過激な主張に対し、多くの賞賛の声が上がっていたそうだ。

 ヤフコメの差別やヘイトに満ちたコメントや、自分の動画の過激な発言(おそらく「障がい者を殺す」もあっただろう)に賛同する人々のコメントを見るうちに、「これくらいやってもいいんだ」「これがみんなの本心なんだ」「これこそが世論なんだ」と思っていったのかもしれない。

 おそらく免疫がなかったゆえに、植松はネット上の悪意を真に受け、容易に感化されたのではないだろうか。もちろん、それだけであれほどの重大な事件を起こすとは思えないが、ネット上にいくらでも転がっている「剥き出しの、暴力的な本音」じみたものとの出会いが、植松に少なからず影響を与えていることは間違いないと思うのだ。それに衝撃を受けてから、彼の「間違った使命感」に火がつくまでは、きっと早かったはずだ。

 ウトロ放火の男にも、植松に近いものを感じる。彼の中には、明らかに歪んだ使命感がある。でなければ、3件も同様の事件を起こしたりしない。

 二者ともに共通するのは、ネット情報だけで「世界の真実」を知った気になり、「自分が何かしなければ」と一人で「決起」したところではないか。どちらも、「パッとしない」日常の中にいた。そこに降って湧いたように訪れた、「壮大」な使命。使命感や正義感があれば、人間はどんなことだってできてしまう傾向がある。ウトロ放火の裁判で読み上げられた被告の供述調書には、「仕事も経済的にも不安定で、友人家族とも疎遠で守るべきものもなく、自暴自棄になっていた」という言葉もある。

 一方で、この男は植松のように、事件後も自分のしたことを正当化し続けている。今後の裁判で、彼の態度は変わるのだろうか。

 そちらについては注目していきたいが、現在のようにヘイトとデマが氾濫し、悪意が煽られ続けるネット空間を放置しておけば、同様の事件は続くだろう。

 改めて、このような状況に何ができるのか、気が遠くなりそうになりながらも考えている。


園の花。

ツルアジサイがアジサイに先駆けて咲きだした。

大山蓮華。

花菖蒲。

鉄線のつぼみ。

 


江戸川区内「ひきこもり」約8000人 半数超が相談せず

2022年06月09日 | うつ・ひきこもり

 区長「ショックな数字」 昨年度調査 40代が最多

「東京新聞」2022年6月9日

 東京都江戸川区が2021年度に実施したひきこもりの実態調査で、区内に7919人(7604世帯)のひきこもり当事者がいることが明らかになった。区はこれまで当事者64人を把握済みで、今回の調査結果を含めると、約8000人がひきこもりと判明したことになる。当事者や家族の多くが複数の困りごとを抱えながらも「(行政などに)相談したことはない」との回答も多く、重層的な支援の必要性が浮き彫りになった。(太田理英子)

◆病気、職場になじめず…

 調査は、15歳以上で給与収入に課税されていない人や、介護など行政サービスを利用していない人を対象とし、区内世帯の約半数に該当する18万世帯に、昨年7月から今年2月にかけて郵送と訪問で実施。57.2%にあたる10万3196世帯から回答があった。8日に区が調査結果を公表した。区によると、ひきこもりに関するこうした大規模な実態調査は全国的にも珍しいという。

 調査で把握した年代別当事者で、最も多かったのは40代で17.1%だった。ひきこもり状態になっている期間は、1年~3年未満が28.7%で最多。きっかけは「長期に療養を要する病気にかかった」「職場になじめなかった」などが目立った。現在の困りごとについては76%が複数項目を上げ、当事者からは「自分の健康」や「収入・生活資金」「家族の健康」との回答が多く占めた。

◆さらに調査を進め、対策を強化する方針

 行政などへの相談について当事者の62%と家族の45%が「相談したことはない」と回答。8日に記者会見した斉藤猛区長は「行政としてはショックな数字で、なんとかして充実させないといけない」と話した。

 また、区教育委員会は不登校の子ども1113人を把握しており、今回判明した当事者と合わせると、9000人超がひきこもりに該当するとしている。

 区は今後、回答した当事者らへの追加調査と、未回答の世帯への再調査を実施する方針。11日から当事者と家族のオンライン交流会を始めるほか、新たな居場所づくりや自立支援の場として、区内での駄菓子屋の運営も検討している。


園の花
クゲヌマラン?ボケてしまいました。

ベニバナイチヤクソウ


雨宮処凛 生きづらい女子たちへ 虐待、親の精神疾患、援〇交〇、そしてコロナ禍〜「普通になりたかった」という彼女

2022年06月08日 | 生活

Imidas 連載コラム 2022/06/07

 

「何よりも、普通になりたかったんです。普通の女子高生とか女子大生になりたかった」

 取材中、彼女は何度かそう口にした。

 普通の人生。それに憧れる理由が、彼女には多くあった。

最近注目された言葉に「ヤングケアラー」がある。

 小さな頃から家族のケアを担ってきた子どもたち。親が病気で家事や兄弟姉妹の世話をしてきたという人もいれば、祖父母の介護を担ってきたという人、また親が精神疾患だったという人もいる。

 精神疾患のある親のもとで育った子どもの生きづらさもこのところ注目されている。中には虐待された経験を持つ人もいれば、小さな頃から親が偏見に晒されていることに気づき、何かとケアしてきたという人もいる。一方、このところ「毒親」問題も注目されているが、毒親と一言で語られる問題の背景には、やはり精神疾患などの病が隠れていることもある。

 今回登場して頂くリカさん(20代前半・仮名)は、今紹介してきたようなことを一身に背負うような子ども時代を過ごしてきた。

 繰り返される母親からの暴力。そんな母親へのさまざまな対応。それだけでなく、「教育虐待」と言えるような環境に身を置いてきた。一方、教育熱心な母親はなぜか子どもにマトモな食事を与えなかった。空腹に耐えきれなかったリカさんは、中1から援助交際を始めている。

 さまざまな経験を経て、今は信頼できる支援者と出会い、「将来は自分もなんらかの形で女性支援に関わりたい」と語るリカさんに話を聞いた。

 リカさんが生まれたのは、経済的には何不自由ない家庭だった。父親が働き、母親は専業主婦。その母親は統合失調症だった。

 幼い頃から、リカさんには母親から多大な期待がかけられていた。それに応えられないと待っていたのは殴る蹴るの暴行だ。高いところから突き落とされて歯が欠けたこともあるという。

「生後8カ月から塾に行ってて、2歳からバレエ習ってました。幼稚園の時は、朝6時半から塾のテキストをやらされて、それが終わらないと幼稚園に行けない。ずーっと母親が隣にいて、1問間違えるごとに殴られて、鉛筆の芯で刺されたりしました」

 その話を聞いて頭に浮かんだのは、5歳で命を落とした目黒女児虐待死事件の船戸結愛(ふなとゆあ)ちゃんだ。

「もうおねがいゆるして ゆるしてください」「ほんとうにもうおなじことしません ゆるして」

 毎朝4時頃に起床して、一人でひらがなの練習をさせられていた結愛ちゃんがノートに残したものだ。結愛ちゃんが思い通りにならないと、義父は殴る蹴るの容赦ない暴行を加えた。わずか5歳の女の子にである。そうして結愛ちゃんは、虐待によって命を奪われた。

 幼い頃のリカさんの境遇も、これに近いものだったのではないだろうか。

 子どもに暴力を振るう妻に対して夫はどうしていたのかと言えば、「腫れ物扱い」だったという。また、ある時期から父親は単身赴任のような状態となり、家庭は母親と子どもだけの密室になった。そんな母親はリカさんが小学生の頃に精神科に2度ほど入院しているそうだが、退院すると通院も服薬もやめてしまったという。当然病状は悪化するものの、家庭内を知る大人はいないという状況。暴力と隣り合わせの日常の中、彼女は常に萎縮し、10年も経つ頃には痛みも感じなくなったという。

「感覚もなくなっていって、殴られても痛くなくなるんです」

 痛みの感覚には鈍くなったものの、耐えられないのは空腹だ。

 母親の作る食事は、リカさんが小学校高学年頃から「とても食べられたものではない」状態になっていった。カビた食パンに生の鶏肉をまぶしたようなもの。真面目に食べたきょうだいが吐いてしまうほどで、「いかにうまく捨てるか」に神経をすり減らしていたという。育ち盛り、食べ盛りの時期、家で食事がとれないのはあまりにもキツい。中学生になり、部活に励むようになってから空腹は耐え難いものになった。

「給食とかも『おかわり』って言えるタイプじゃなかったし、部活から帰ってきて食べれないって、すごいしんどかったです」

 そう振り返るリカさんはある時、「おっさんと会って言われた通りにしたらお金をもらえる」ということを知った。実際にアプリを使って書き込むと、すぐに会う相手が見つかった。待ち合わせ、本屋さんのトイレで言われた通りにすると5000円が手に入った。初めて自分のお金でお菓子が買えた。

「こんなに簡単にお金が手に入るんだって思いました」

 まだ中1だった。それからリカさんは援助交際を重ねたという。そこで稼いだお金は食費と、「周りの子みたいなちょっとした娯楽」に使った。友達と遊ぶにも何をするにもお金がかかるようになる時期だ。

 お金が手に入るようになっても、家に帰らなければならない現実は変わらなかった。母親は変わらず暴言暴力でリカさんを追い詰め、きょうだいは母親に刃物で刺されることもあったという。警察沙汰もあったそうだが、あまりにひどいことが起きた時の記憶はない。家にいない父親からは、「何かあったらベランダから車の上に飛び降りろ」とだけ言われていた。そんな環境に耐えられず、中3の時、学校で市販薬を大量に飲む。そのことによって、やっと児童相談所に保護された。

 保護されて病院で初めて食べた夕食を、今も鮮明に覚えているという。ご飯、味噌汁、卵焼きに魚、納豆。

「一般的なものだけど本当に嬉しくて。人間として扱われてるって思いました」

 それほどに、家には「人間らしい生活」がなかったのだ。

 一時保護が解除された後は、親戚宅に身を寄せた。そこから通信制高校で学ぶ。勉強自体は好きだったので、1年分のレポートを1週間くらいで終わらせたという。精神科に入院することもあったが、勉強の甲斐あり、無事に大学に合格。

「独学ですごい!」と思わず口にすると、「とりあえず、普通の18歳になりたかったんです」と彼女は言った。その願いは叶(かな)い、大学では友人にも恵まれ「普通の女子大生」のような時間も持てたようだ。

「学生寮に入って、それまでずっと友達いなかったのが初めてできて、『みんなでご飯行こう』とか、ものすごく楽しくて嬉しかったです」

 しかし、生活は苦しかった。父親に「生活費は出さないが学費は出す」と言われていたものの、2年生から学費の支払いは止まってしまう。奨学金とバイトでやりくりするようになるが、それは過酷な日々だった。月〜金は大学に行き、休みの日は警備のバイト。朝の4時から夜中12時まで拘束されることもあった。警備だけでは足りない時は工場で働いた。月のバイト代は7万円くらい。「1日でも休めばピンチ」という状態が続いたという。

 そんな自転車操業の日々を襲ったのがコロナ禍だった。警備の仕事はぱったりなくなり、大学の授業もすべてオンラインに。4年生では2回しか登校せずに卒業となってしまった。

 が、何よりも大変だったのは、住まいの確保だ。

 家賃が高い学生寮にい続けることはできず、出ることになった。しかし、ギリギリの生活だったので部屋を借りるお金などない。学費も出してくれない父親に経済的に頼ることもできないし、当然、実家に戻る選択肢などない。

「だったら生活保護を受ければいい」という人もいるかもしれない。が、大学生が生活保護を使うには、休学か退学しなければならないという厳しいルールがあるのだ(夜間大学はOK)。

 結局、給付型の奨学金を受けられることになり、また、たまたま見つけた民間のシェルターに住むことができたものの、ずっといられるわけではなく期限が来てしまう。再び住まいを失ったのは、2020年4月、初めて緊急事態宣言が出る直前。コロナでバイト先を見つけるのも至難のわざという時期だった。

 行き場がない彼女が見つけたのが、自立援助ホームだった。自立援助ホームとは、何らかの理由で家庭にいられなくなった15〜20歳(場合によっては22歳)の子どもたちがいられる施設。が、その施設はいっぱいで入ることはできなかった。しかし、支援者の好意で住む場所が与えられることに。そこで大学卒業を迎えたという。

 ただ、そこもずっといられるわけではない。大学を出る3月には出なくてはいけないことになり、卒業と同時にまたしても住む場所を失ってしまう。近年、児童養護施設出身の若者を支援する取り組みなどもあるが、彼女は養護施設には行っていないので対象外。制度の穴に落ち込むようにして、支援の網からこぼれ落ちてしまう。

 話を聞きながら、「虐待」と一言で語られるものの現実を、まざまざと突きつけられる気がした。

 多くの人が「虐待」という言葉で思い浮かべるのは、船戸結愛ちゃんのような幼い子どもの痛ましい死ではないだろうか。しかし、亡くなる子どもが報道される一方で、この国にはその何倍もの「生き残った子ども」たちがいる。その「元子ども」たちは、トラウマを抱えてその後の人生を生きていかなくてはならない。

 それだけではない。「親に頼れない」というハンディを抱えた中、格差社会をサバイブしなければならないのだ。

「もし自分だったら」と考えてほしい。20歳そこそこで、親に頼れずに自立などできただろうか。

 私自身のことで言えば、高校を出て美大の予備校に入るために北海道から上京した18歳から物書きとしてデビューする25歳の7年間は、もっとも親に迷惑と経済的負担をかけた時期だった。予備校時代は学費を払ってもらった上に仕送りしてもらっていた。進学を諦めフリーターとなってからは、バイト代だけでは足りず、家賃を滞納したり電気やガスが止まるたびにお金をせびっていた。あの時期、親に頼れなかったら。私はいろんなことを諦めて、失意の中、実家に帰っていただろう。

 しかし、虐待で親から逃げ続けている「元子ども」たちには、帰れる実家もないのだ。

 せめてリカさんが住む場所や学費に困らず安心して学べる制度があったらと思うのは、私だけでないだろう。

 さて、そんな時期に出会ったのが、前回の本連載「DVを経験した彼女が、加害者更生と女性支援を続ける理由」にも登場して頂いた吉祥眞佐緒(よしざきまさお)さんだ。彼女の支援を受け、現在は生活保護を利用しながらシェアハウスで暮らしている。やっと「いつまでここにいられるのか」を心配せず、落ち着いて過ごせる日々がやってきたのだ。

 そんな彼女にとって大きな心配は、「母親に居場所がばれないか」ということだ。親から逃げているすべての人にとって切実な問題だろう。

が、これには「支援措置」という制度が使える。虐待の被害者やDVやストーカー被害者が申し出れば、住民票の写しや戸籍の附票の写しの交付などが制限される制度だ。親子や婚姻関係がある相手は住民票や戸籍の住所を見られるため、逃げた人が新しい居場所を知られないための制度である。詳しくはNHKハートネットの記事「虐待・DV 家族に住所を知られたくない人のために」(21年8月18日)を参照してほしい。リカさんも、この制度を使っている。

 やっと安心できる居場所を手に入れつつあるリカさんに、子どもの頃、大人たちにどんなふうにしてほしかったか聞いてみると、彼女は言った。

「なんかしら、関わり続けてほしかった。私が『もういいです』って言ったらみんな引いたので。傲慢かもしれないけど、気にかけていてほしかった」

 児童相談所は大量服薬をして保護された時は「わーっと来た」ものの、保護が解除された途端にいなくなった。親戚宅に住むようになってからも、伴走するような支援はなかった。中学時代、唯一相談できると思っていた先生には、「お母さんも頑張ってるのよ」と言われて心が折れかかった。大学生になってから出会った支援者にも、「ここまでしかできません」と線を引かれている感覚があった。

 しかし、吉祥さんとの出会いは彼女を変えたようだ。「細く長く関わっていこう」と言ってくれて、時に怒ってくれる存在。もうひとつ安心できる居場所的なところもあり、今、リカさんは他者への信頼を取り戻しつつあるように見える。

 が、当然、波はある。嫌なことがあったりすると、全部リセットしたくなる衝動が抑えられないこともあるという。住まいを失い、いろいろなところを転々としてきたので、トランク1個でいつでも逃げられる状態でないと安心できないようだ。それでも、彼女が手を伸ばせば、今は握り返してくれる人がいる。

 まだ、20代前半。これまで大変だった分、たくさんたくさん幸せになってほしいと勝手に熱望している。頭の回転が速く、自分の気持ちを言語化することに長けている彼女がこれからどんな大人になっていくか、それを見るのも楽しみだ。

 そして彼女と同じような境遇の「元子どもたち」が、もっともっと生きやすい社会になるよう、その小さな声に耳を澄ましたい。改めて、そんな決意を固くしたのだった。


ツルニチニチソウと鉄線が競う。


日銀総裁「家計が値上げを受け入れている」発言に「世間知らず」「月給20万円で生活してみろ」と非難轟々

2022年06月07日 | 生活

2022/06/06 

『女性自身』編集部

    6月6日、都内で開催された「共同通信きさらぎ会」の講演における日本銀行・黒田東彦総裁の発言が波紋を呼んでいる。

    各メディアによると、黒田総裁は日本経済が新型コロナウイルス禍から回復途上にあるということを理由に挙げ、「金融引き締めを行う状況には全くない」と述べたという。

    さらに、商品やサービスの値上げが相次いでいることに関連してこうコメントしたのだ。

「家計が値上げを受け入れている間に、良好なマクロ経済環境をできるだけ維持し、賃金の本格上昇につなげていけるかが当面のポイントだ」

    家計が値上げを受け入れ始めた背景としては「ひとつの仮説」とした上で、新型コロナウイルス禍の行動制限による「強制貯蓄」が関係していると私見を述べていた。

    現在日本では原油をはじめ、電気、ガス、食料品など生活に関わるものが続々と値上げされている。また小麦製品は今年1月に最大13%値上げしたにも関わらず、7月から再びパンやパスタなどが値上げされる事態にーー。

「原油価格高騰に加えて、ロシアのウクライナ侵攻や円安といった要因が加わり、値上げの波は今後も続いていくことが予想されます。しかし国民の給料はほとんど上がっておらず、生活に困窮する人はますます増えていくでしょう」(全国紙記者)

 そんな状況にも関わらず“家計が値上げを受け入れている”という黒田総裁の発言にTwitterでは「#値上げ受け入れてません」というハッシュタグがトレンド入りするなど批判が殺到。

 さらに、こんな怒りの声も。

《は?????》

《マジで世間知らず》

《誰が受け入れてんだよ!!! 強制されてるんやろが!!!》

《何言ってんだこの人!?️日銀総裁何年やってるんだよ。その間の景気悪化の責任とりなよ》

《日銀総裁さん。手取月給20万円で1年間生活してみてから言ってくれない?》

    値上げラッシュが続くも、給料が上がらない日本の現状を自分の目で見て確かめてほしいものだーー。

出典元:WEB女性自身


 ようやく20℃を超え22℃。それにしても、今朝の気温、予報では7℃だったか、少しハウスの肩を開けて帰ったのだが、なんとハウス内に設置した温度計は4.2℃だった。観測地点と現場では違うのが当たり前。危ない危ない。

 今日はアカゲラの巣を見つけた。まだ抱卵中か、鳴き声は聞こえない。

菖蒲も

ジュンサイも見えてきた。


シンガポールでもNATOでも 岸田首相「軍事大国」国際公約

2022年06月06日 | 社会・経済

日刊ゲンダイDIGITAL  2022/06/06

 

 岸田首相が「国際公約」行脚だ。10日にシンガポールで開くアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に参加。基調講演を行う。米欧やアジア各国の国防相らが集まる場で、日本の防衛力の抜本的強化を打ち出す。

 さらに、岸田は29~30日にスペインで開かれるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議への出席を検討している。実現すれば、日本の首相として初めて。この舞台でも、防衛力の抜本的強化に触れるのだろう。

 こうした国際会議で防衛力強化を明言すれば、事実上の国際公約になる。先月23日、東京で行った日米首脳会談で「日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意」を、いきなりバイデン大統領に“口約束”して以降、着々と進む防衛費増額の国際公約化。

 岸田は国会で「防衛費はわが国が主体的に決めるものだ。決して対米公約ではない」と詭弁を弄したが、それで決意が揺らぐわけではない。

 防衛費増額について、岸田の念頭にあるのは東・南シナ海で威圧的な行動を重ねる中国の存在であり、台湾有事の可能性だ。

「ウクライナは7日の東アジアかもしれない」とも語り、危機を煽っているが、中国が再統一を目指すはずの台湾有事でなぜ、日本が攻撃対象になるのか。

 米国の台湾関係法では武力侵攻に対する防衛義務は定めていないが、台湾の防衛力強化のため武器を供与することは可能だ。対中関係が悪化する中、トランプ政権は毎年、米国製の武器を台湾に売却し、バイデン政権になっても昨年は計7億5000万ドル相当の武器を売却している。

 派兵はしないが、機密情報や武器の提供を中心に軍事支援は行う──。米国のウクライナ支援と酷似した構図である。

■軍拡競争を仕掛け、緊張が増す東アジア情勢

 仮に米国が台湾有事に軍事介入する場合、沖縄を中心とした在日米軍基地から軍を出動させることになるだろう。その時は日本も中国のターゲットになり得る。それを防ぐには中国との共存・協調を図るべきなのに、岸田は米国の先兵役を買って出て、防衛力の抜本的強化を世界に約束。盛んに危機を煽る姿は、とても「ハト派」には見えない。軍事ジャーナリストの前田哲男氏が言う。

「バイデン政権にとって最大の仮想敵国は台頭する中国です。ウクライナ侵攻を追い風に自衛隊の戦力を拡大し、従来以上に日米一体化を進め、日本を踏み台にして中国にあたらせる狙いがある。将来的には同盟国の韓国やクアッド4カ国(日、米、印、豪)を巻き込み、従来の日米安保の枠組みを大きく超えた軍事同盟を結成し、中国包囲網を築き上げたいのでしょう。そんな米国の思惑を忠実に実行し、防衛費増額で中国に軍拡競争を仕掛けようとしているのが、岸田政権です。包囲される中国も黙ってはいません。猛反発して軍拡競争はエスカレート。東アジア情勢の緊張関係は強まり、軍事衝突のリスクを高めるだけです」

 日本は戦後、GDP比1%以内を目安に防衛費を抑え、軍備拡張への国内外の懸念に応えてきた。日本の首相が防衛政策を大転換。防衛力強化に踏み切れば、どんなハレーションが起こるのか。バイデンのイエスマン、岸田には危うさしか感じない。

そもそも台湾有事に現実味はあるのか

 抜本的に強化される防衛力の裏付けとなる防衛費を増額した場合、財源はどうなるのか。普通に考えれば、医療・福祉・介護など社会保障費の削減か、増税か、国債発行で賄うしかない。

 特に前者2つの選択は国民生活に痛みが伴い、国民への十分な説明が必要だろう。

 ところが、岸田は財源を明言せず、ゴマカしてばかりだ。

 日米首脳会談後の岸田・バイデン共同声明の英語版では「防衛費の相当な増額」の「相当な」には、「実質的な」「かなりの」を意味する「substantial」という言葉が用いられている。この点を先月31日の参院予算委員会で共産党の小池晃議員に指摘され、岸田はこう答弁していた。

「『相当な』は防衛力を抜本的に強化する。それに見合うだけの予算をしっかり用意するという意味で『相当な』予算を用意すると申し上げた。(防衛力強化の)具体的な内容が決まらなければ、それに見合う予算を言うことはできない」

 こんな言葉遊びで論点をずらし、はぐらかし、けむに巻く。質問に真正面から答えない「ご飯論法」は、まるで安倍元首相譲りだ。“宗主国”の米国の思惑に忠実に従うためには、福祉カットや増税で国民生活の行く末はどうなっても構わないというのか。

「そもそも、『台湾有事』にどれだけの現実味があるのでしょうか。台湾政府が『独立』を宣言すれば中国も“武力解放”に動くのでしょうが、わざわざリスクを冒してまで『台湾独立』を宣言することは現実的にはあり得ません。その限りでは、中国が武力を行使する根拠はありません。また、海に囲われた台湾を落とすのは困難です。1949年、中国の人民解放軍は中国本土・アモイ湾口にある台湾の離島・金門島や馬祖島への上陸作戦を敢行しましたが、島ぐるみで要塞化された2島に阻まれ、攻略に失敗しています。その先例をわきまえ、中国も台湾攻略は不可能と考えているはずです」(前田哲男氏=前出)

■黄金の3年は軍拡メニューが目白押し

 リアリティーのない有事に備え、本当に国防に役立つならともかく、米国に言われるままに高い武器を買わされる。そのために、防衛予算が青天井に上がっていくのだ。

「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」

 過去にそう息巻いていた安倍は、2日の自派閥会合で政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」の原案に、自民党の安全保障提言が防衛費増額の目標として念頭に置く「5年間でGDP比2%」の記述がないことに難色。「本来であれば書くべきだ」と難癖をつけたが、翌3日に政府は骨太の方針に「(防衛力を)5年以内に抜本的に強化」する方針が盛り込まれたことが判明した。早速、最大派閥の長のイチャモンに屈したわけで、一国をあずかる首相の岸田が、まるで安倍の雇われマダムのようだ。

 いや、それも世を忍ぶ仮の姿かも知れない。公示まで2週間余りの参院選に与党が勝利すれば、岸田は国政選挙のない「黄金の3年」を迎えることになる。それまでは「人間、辛抱だ」という心境なのだろう。

 しかし、増額する防衛費の捻出のため、福祉カットに増税と国民には「地獄の3年」が待っている。

 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。

これまで国民が社会保障の拡大を求めても、歴代の自民党は『財源がない』と拒んできました。それが防衛費になると、ロクに財源も示さず、なし崩しで予算は青天井とは国民を愚弄しています。自民党の提言通り、GDP比2%まで防衛費を倍増すれば、予算は約11兆円に達します。来たる参院選で社会保障費の削減や増税など痛みの伴う財源を真正面から打ち出せば、勝敗に大きな影響を与えてしまう。だから、岸田首相は選挙が終わるまで、財源をぼかし続けるのでしょう。『勝てば官軍』で黄金の3年を手にすれば、指揮統制機能を含めた敵基地攻撃能力の保有など、憲法9条を踏み外し、安倍政権を上回る軍拡メニューが目白押しです。ウクライナ侵攻を機に高まる日本の安全保障環境への国民の不安に付け込み、米国にひたすら追従。軍事大国を目指す負の印象を中和するのが、ハト派の仮面をつけた岸田首相の役割です。彼の正体に国民は気づくべきです」

 それでも、日本人は軍事大国を選ぶのか。


ジェット解析図・偏西風蛇行図|気象予報士松田巧気象情報 By COKBEE Weather

これが北海道に寒さをもたらしているのだろう。


大学ファンド 私物化狙う 「チーム甘利」実動組織

2022年06月05日 | 教育・学校

 宮本岳志氏が追及

「しんぶん赤旗」2022年6月4日

衆院文科委

 日本共産党の宮本岳志議員は3日の衆院文部科学委員会で、自民党の甘利明前幹事長に連なる関係者ら「チーム甘利」が内閣府に自らの実動組織を立ち上げ、10兆円の大学ファンドをテコに大学政策を私物化しようと画策してきた経過を暴きました。

 宮本氏が取り上げたのは、2019年に発足した内閣府の「大学支援フォーラムPEAKS」です。第1回全体会合では構成員でない甘利氏がなぜか冒頭の開催趣旨説明に立ち、「チーム甘利」の橋本和仁科学技術振興機構理事長、上山隆大総合科学技術・イノベーション会議常勤議員、五神真・理化学研究所所長の参加の意義を強調しています。(肩書はいずれも現在)

 宮本氏が、甘利氏と渡海紀三朗元文科相がその後も毎回、主催者然として冒頭あいさつを行ってきた異様さをただすと、内閣府の合田哲雄審議官は「上山座長の判断」だと答弁。宮本氏は、甘利氏がツイッター上で同フォーラムの「創設者」を自任している事実を突きつけました。

 宮本氏は、20年の全体会合で渡海氏が自身と甘利氏をファンドの「発案者」だとし、今後も資金の使い道に関与すると表明したことや、上山氏が「大学という資源を使い尽くす。完全に隅々まで使いつぶして」などと述べたことを指摘。「『チーム甘利』が10兆円ファンドを牛耳ろうということだ。このような形で大学政策が決められていいのか」と迫ると、末松信介文科相は「全く好ましくない。大学政策は政治家のみならず特定の者に左右されるべきではない」と述べました。


 天気は良いのだが寒いです。作業をする分には心地よいのですが、露地作物には厳しいのではないかと思っています。
 最低気温が一桁は中旬まで続くようです。毎日ハウスを閉めて帰らねばなりません。

今日の花
オオダイコンソウ

ヒメフウロ

満開のスズラン。


コロナで労災申請が14倍! パートでも“保険金を貰い損ねない”方法

2022年06月05日 | 生活

昨日投稿する予定でしたが寝落ちしてしまいました。

「女性自身」2022年6月14日号

2022/06/03 荻原博子

 

    終わらないコロナ禍で、労災申請が急増しているのを知っていますか? 私たちがもらえるはずのお金を、忘れずに受け取るためにはどうすればいいでしょう。

“労災”の基本に立ち返り、荻原博子さんが解説してくれましたーー。

■申請の件数が14倍に急増した背景

 コロナ関連の労災申請が急増しています。労災(労働者災害補償保険)とは、会社に雇用される方の仕事中や通勤途中のけがや病気、障害、死亡などに補償を行う制度です。労災は、労働者を1人でも雇う会社に加入の義務があり、保険料は全額事業主が負担します。また、正社員だけでなく、パートやアルバイトも労災の対象です。

 新型コロナ感染症について、当初は医師や看護師、介護職などを労災対象とするものの、職場クラスターなどへの対応があいまいでした。そこで厚生労働省が対象を明確化。

(1)感染経路が職場だと明らかな場合

(2)感染経路が特定できなくても、感染者が出た職場での業務や不特定多数への接客など業務での感染リスクが高い場合

(3)業務以外で感染したと断定できない医師や看護師、介護職

(4)コロナ後遺症で治療が必要な場合

 上記を労災の対象としました。

  しかし、労災が認められ補償金をもらう労災事故が多くなれば、会社が払う保険料が上がるため、申請させない“労災隠し”がよく起こります。そこで’22年1月から、新型コロナ関連ならいくら労災給付が増えても保険料は変わらない特例措置をとりました。

 これを受けて労災申請は’22年1月の582件から、2月は1千395件、3月は5千934件で過去最高。4月はさらに増えて8千98件と、1月の約14倍に急増したのです。

■労災はパートも対象! 忘れずに申請を

  コロナ関連の労災申請は労働基準監督署の調査を経て、3つの補償給付が受けられます。まずは、治療費が無料になる「療養補償給付」です。コロナ発症時の入院などは全額公費負担。患者は無料で治療を受けられますが、後遺症は通常どおり現役世代なら3割負担です。労災が認められればこれらが無料になり、支払った分も返金されます。

 次は仕事を休み給料が支払われなかった日の「休業補償給付」です。休業4日目以降、給料の約8割が支給されます。ちなみに休業3日目までは、会社に給料の6割を支払う義務があります。

 休業補償といえば、業務上以外で発生した理由で休む際に、会社の健康保険から支給される「傷病手当金」もありますが、給料の約6割。労災のほうが手厚いです。さらに亡くなってしまった方の遺族には「遺族補償給付」も。

 ここで覚えていただきたいのは、労災保険は原則、労働者自身が手続きを行うこと。先述のとおりパートも対象なので、「職場で感染した」と思う方は、最寄りの労働基準監督署に相談してください。

  ただし、労災申請には期限があります。療養補償給付と休業補償給付は2年間、遺族補償給付は5年間です。’21年のデルタ株にかかった方などは、期限まであと1年ほどなのでお早めに。最近はマスクをいつ外すかが議論の的ですが、まだ不安があります。一日も早く、心底安心できる日が来てほしいものです。


 風が冷たいのです。北寄りの風、日は照っているので動いているときは心地よい。
今朝の最低気温ハウス内で6℃、明日朝は5℃の予報が出ています。ハウスを全部閉めて帰ってきました。寝坊できません。予報では曇りです。

テッセンが咲き始めました。

「雑草」になってあちらこちらに出没。
亜麻。周りの草刈をしましたが多くの株が消えてしまいました。


75歳以上医療費2倍

2022年06月03日 | 生活

 医師怒り   保団連 中止求め署名提出集会

「しんぶん赤旗」2022年6月3日

 政府が10月から実施を狙う“75歳以上の医療費窓口負担2倍化”の中止を求め、医師らでつくる全国保険医団体連合会(保団連)は2日、衆院第2議員会館で、署名提出集会を開きました。計画中止を求める署名は延べ70万3717人分に上りました。

宮本徹氏が出席

 署名は1月から始めたもの。3回目の提出となる今回は9万6507人分の署名を国会議員に手渡しました。「署名をさらに広げて絶対に計画を中止させよう」と声を上げました。

 保団連の住江憲勇会長は、40年来の新自由主義と2年半のコロナ禍、今年からの物価高騰で「国民生活は厳しさを増している。こんな時に2倍化をすすめることは断じて許せない」「自公政権に解決能力はない」と訴えました。

 会場には120人が参加。32カ所をオンラインで結び、全国の医師が発言しました。「負担増のたびに受診抑制が起きている。2倍化でさらに深刻になる」「『これ以上、病気を見つけないで』と検査を拒む患者さんもいる。貧困が病気を生み、病気が貧困を生んでいる」と怒りの声が続きました。

 日本高齢期運動連絡会の吉岡尚志代表委員が「高齢者の怒りを引き出そう」とあいさつ。日本共産党、立憲民主党の国会議員も参加し、日本共産党からは宮本徹衆院議員が出席し、あいさつしました。

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防衛費倍増に必要な「5兆円」教育や医療に向ければ何ができる? 自民提言受け考えた

「東京新聞」2022年6月3日 06時00分

 自民党は国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に防衛費の大幅増を政府に提言し、岸田文雄首相も「相当な増額」を表明した。2022年度の防衛費はGDP比1%程度の約5兆4000億円で、2%以上への増額には5兆円規模の予算が必要となる。自民党は、厳しさを増す安全保障環境の下、国民を守るために防衛費の増額が必要と説明するが、5兆円の予算を教育や年金、医療など暮らしのために振り向ければ、どのようなことができるのか、考えてみた。(村上一樹)

 「コロナで国民の生活は萎縮し、物価高で生活苦に沈む年金生活者やワーキングプアはあふれている」「防衛装備より環境問題や貧困・格差問題に充てるべきだ」。政府や自民党が防衛費の大幅増を打ち出して以降、本紙には読者から切実な訴えが寄せられている。

 一方、自民党の安倍晋三元首相は2日の派閥会合で、GDP比2%以上への防衛費増額を経済財政運営の指針「骨太の方針」に明記するよう求め、「国家意思を示すべきだ」と訴えた。

◆教育...児童手当の所得制限撤廃も大学、給食無償化も

 5兆円とはどんな規模で、何ができるか。教育施策に使う場合、立憲民主党の試算によると、大学授業料の無償化は年1兆8000億円で実現。家庭の経済事情で進学を断念せざるを得ない若者の支援につながる。

 さらに、児童手当の拡充にも充てられる。支給対象を現在の中学3年までから、高校3年までに延長した上で、親の所得制限を撤廃して一律で1人1万5000円を支払う場合、年1兆円で賄えると立民は試算する。

 小・中学校の給食無償化は、末松信介文部科学相の国会答弁によると、年間4386億円で実現する。大学無償化、児童手当の拡充、給食無償化の三つを組み合わせても3兆円台で収まる。

◆年金...全員に月1万円上乗せ

 食料品や電気・ガスなどの急激な値上がりに苦しむ年金生活者のために使うとすれば、4051万人の年金受給権者全員に対し、月1万円、年12万円を上乗せして支給することができる計算となる。

 物価高対策では、立民や国民民主党、共産党が消費税の減税を求めている。5兆円あれば、税率を10%から8%へと引き下げる2%分の財源になる。食料品などの負担が大きい低所得層ほど減税の効果は大きい。

◆医療...自己負担ほぼゼロに

 医療に使う場合はどうか。厚生労働省の資料によると、19年度の医療費のうち、国民の自己負担額は5兆1837億円。5兆円は、自己負担をほぼゼロにできる規模だ。

 共産の志位和夫委員長は5月の記者会見で、医療費の規模に触れ、「軍事費2倍というのは生易しい額ではない。仮に(5兆円の確保を)医療費負担にかぶせるとしたら、現役世代は3割負担が6割になる。国民の暮らしをつぶすという点でも反対だ」と批判した。


こんなに苦しい時に国民を医療から遠ざけるとは、いかに!

園の花
ブルーベリー

アロニア

お馴染みオダマキ


マイナ保険証 強引な普及慎むべきだ

2022年06月02日 | 生活

「東京新聞」社説 2022年6月2日

 政府がマイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」の利用を促し、従来の保険証は原則廃止する方針を示した。

 しかし、マイナ保険証を導入する必然性はあるのか。低迷するカードの普及率を上げることが狙いなら、仕切り直すべきだ。

 マイナ保険証は昨年十月に本格稼働したが、利用者は少なく、読み取り機器の設置は病院などの約二割にとどまる。政府は導入促進策として、マイナ保険証に対応した医療機関に診療報酬を加算したが、患者の負担増につながり、利用者の不評を買った。

 政府が今回、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会に提案したのは、病院や薬局にマイナ保険証を読み取る機器の整備を義務付け、従来の保険証は将来、原則廃止する案だ。

 厚労省側はマイナ保険証の導入の利点として、薬の処方歴や特定健診の記録が一目で分かり、就職などの際にも保険証を作り直す必要性がなく、保険資格喪失の見落としも防げることなどを挙げる。

 しかし、薬の処方歴には「お薬手帳」があり、保険証の再作成も頻繁にはない。むしろ、医療機関を多用するお年寄りには、デジタルに不慣れで認証操作に戸惑う人が少なくない。個人情報の詰まったカードを紛失しないかという不安も付きまとう。資格喪失の見落としというミスもごくまれだ。

 患者側に導入を必要とする切迫した事情はなく、政府の狙いが必要不可欠な保険証を利用し、マイナンバーカードの普及を図ることにあるとしか考えられない。

 政府は二〇二二年度中にほぼ全ての国民が取得する目標に向け、カード取得者にポイント還元するマイナポイント事業などさまざま手を打っているが、現時点でカード普及率は四割強にすぎない。

 医療情報は究極のプライバシーだ。カード情報の漏えいや目的外使用がないのか、政府の情報管理に対する根強い不信がカード取得をためらわせている。実際、国からマイナンバーを含む個人情報の入力を委託された業者が無断で別の業者に再委託し、情報流出が懸念される事案も起きている。

 従来の保険証を「原則廃止」する方針はカード取得への圧力となるだろうが、あくまで任意という原則を忘れてはならない。政府にとって国民の不信解消が先決だ。強引な普及は慎むべきである。


 札幌からの帰り、激しい雨に見舞われた。東の方を見ると真っ暗で竜巻雲のようなものが見える。まだ幅が大きく、竜巻になっていない状態のように見える。江部乙の畑やハウスが心配になり寄ってみたが、この辺りの道路は乾いていた。虹がきれいにかかった。

 


雨宮処凛がゆく! 生活保護引き下げ違憲訴訟の勝訴、そして「科研費」裁判と『教育と愛国』

2022年06月01日 | 社会・経済

マガジン9 2022年6月1日

https://maga9.jp/220601-1/

 

 報道を見た瞬間、大きな声で叫びそうになった。

 その報道とは、5月25日の熊本地裁判決。この日出たのは、生活保護基準引き下げ違憲訴訟、通称「いのちのとりで裁判」。それが勝訴となったのだ。

 第二次安倍政権で強行された生活保護引き下げが憲法違反だとして、引き下げ処分の取り消しを求めて全国29都道府県で生活保護利用者1000人以上(最大時)が原告となって始まった裁判。これまで9地裁で判決が出ており、昨年2月、大阪地裁で引き下げの処分取り消しが命じられ、勝訴。しかし、それ以外は原告の請求棄却が続いていた。

 それが10件目の熊本地裁で勝訴となったのだ。

 2013年からの保護費引き下げは、もっとも厳しい生活を強いられる層を大いに苦しめてきた。平均6.5%、最大10%の生活扶助基準の引き下げが3回にわたって実行されたのだ。総額は史上最大の670億円。

 これによって、生活保護利用者に何が起きたか。

 食事の回数を減らした、家族や親戚のお見舞いや葬式にも行けない、どんなに暑くても電気代が怖くてエアコンなんてつけられない――。そんな悲鳴があちこちから上がった。もっとも耳にしたのは「生きていてはいけないと言われている気がする」という言葉だ。

 社会参加を阻まれ、孤立を強いられるという声もあった。

 例えば大阪の原告の一人は、保護費の引き下げによって、施設に入院する母親に会いに行く回数を減らさざるを得なくなったという。施設までの交通費は片道1700円。引き下げ以前は月に4回程度行っていたそうだが、引き下げ後は月に1、2回しか行けなくなった。事情がわからない母親に「なんで来てくれへんのや」と言われるのがもっともつらかったそうだが、そんな母親はもう亡くなった。最後はコロナの影響もあって面会できず、寂しい思いをさせたことを悔やんでいるという。

 「生活保護基準引き下げ」の現実は、人と人との関係、家族の絆を断ち切るものだったのだ。

 それを裏づけるデータもある。毎年生活保護利用者にアンケートをとっている大阪の支援団体によると、引き下げ後に顕著なのは、「交際費を減らした」という声。19年で83%にものぼっているという。70代の女性は、友人らと月に一度行くカラオケを楽しみにしていたものの、引き下げによってその700円がどうしても捻出できなくなり、付き合いを継続できなくなったという。

 また、食費を減らした人は19年で87.6%。衣類購入を節約した人は93%にものぼるという。

 そんな引き下げに対して、「もう我慢できない」と生活保護利用者たちが立ち上がったのが今回の裁判だったのだ。そうして熊本県内に住む36人が起こした裁判で、裁判長は、厚労省による引き下げの過程や手続きは「裁量権の逸脱または乱用で、生活保護法に違反し違法だ」として処分を取り消したのである。

 一連の裁判が始まって、6年。全国の原告の中には高齢者が多いことから、すでに亡くなった人もいる。昨年2月、大阪で勝訴した際には、当初は51人いた原告は42人にまで減っていた。「いのちのとりで裁判」は、すでにこの世にいない人たちの思いも背負っている。

 このところの物価高で、多くの人が悲鳴を上げている。値上げしていないものを探すのが難しいほど、あらゆるものが値上がりしている。低所得世帯でなくともこの値上がりには悲鳴を上げているというのに、生活保護世帯であればどれほど厳しい状況だろう。そんな中、生活者の実態に照準が当たったような判決に、胸を撫で下ろしたのだった。

 この日はもうひとつ、嬉しい判決があった。

 それは映画監督の想田和弘さんたちが原告となった裁判。海外在住の日本人が最高裁裁判官の国民審査に投票できないのは違憲として起こした裁判だ。それが最高裁にて、裁判官15人全員一致で「違憲」と判断されたのだ。

 喜ばしい気持ちでいっぱいになったが、この日、がっくりと肩を落とすような判決もあった。

 それは大阪大学名誉教授の牟田和恵さんらが原告となった、「科研費」を巡る裁判。訴えられているのは、自民党の杉田水脈議員。牟田さんらの研究を「反日」や「捏造」とし、科研費が不正に使用されているような内容を拡散した杉田氏を名誉毀損等で提訴した裁判だったのだが、京都地裁は原告の請求を棄却。これにはあちこちから落胆の声が上がった。

 私も肩を落とした一人だが、同時に背筋が寒くなる思いもした。なぜならこの判決の数日前、映画『教育と愛国』を観ていたからだ。

 映画についてはもう語りつくせないが、劇中、ゾッとしたシーンがある。それは杉田氏がこの「科研費」について国会で質問している場面。18年の衆議院予算委員会で、杉田氏は科研費で研究している人が、「韓国と手を組んでいる」などと発言。また、櫻井よしこ氏とネット番組でこの問題に触れ、自身のTwitterでは「我々の税金を反日活動に使われることに納得いかない」と書く。

 なぜ、ここまで標的にされるのか。それは、ジェンダー論を専門とする牟田氏の研究対象に「慰安婦」が含まれていたからだろう。

 映画にはもう一人、「慰安婦」を巡って大きなバッシングに晒される人が登場する。それは大阪府の公立中の教師の平井美津子さん。彼女の授業は実践的と注目され、18年、共同通信に取材され記事となるのだが、これに対して現大阪府知事の吉村氏がTwitterで、記事中に「従軍慰安婦」という表現があったことを根拠として、この授業は「史実に反する軍による強制連行」を教えていると批判。平井さんは「従軍慰安婦」という言葉を授業で使っていないのだが、フォロワー100万人以上の吉村氏のTweetは平井さんを窮地に追い詰めていく。学校には抗議の電話が相次ぎ、文書訓告を受ける。

 この映画には、このように、政権に都合の悪い史実に関わる人々が、どんどん窮地に陥る様が描かれている。

 中学の歴史教科書では圧倒的なシェアを誇ったものの、戦争加害の記述を増やしたことで採択が激減し、会社が倒産した日本書籍もそのひとつだ。

 このようなことがあると、業界の中では「加害の記述を増やすとヤバい」という空気が一気に広がるだろう。一方、右派が良く思わない教科書を採択した学校には、大量の抗議のハガキが届く。

 こういうことが続くと、どうなるか。みんなが空気を読み、先回りして「忖度」するようになる。

 特定の政治家が声高に何かを主張し、煽ったり誘導したりするわけではない。

 しかし時々、「見せしめ」的に誰かが「反日」と執拗に抗議され、教科書会社が倒産し、学校の先生が大炎上して学校に抗議が相次ぐ。そのようなことが知られるだけで効果は抜群だ。人々は確実に萎縮する。

 思えばこの10年ほど、ずーっとそんなことの繰り返しではないだろうか。その間に、一部の人たちによる、「SNSで誰かの人生をめちゃくちゃにさせる技術」は格段に向上してしまった。

 『教育と愛国』で描かれることの多くは「新しい歴史教科書をつくる会」の台頭など、90年代から始まっている。しかし、今やその時に始まったうねりはネットを駆使し、政治家が「バッシングしていい誰か」を名指し、特定の人を「公開処刑」的な炎上に晒すことで、より力を得ている気がしてならないのだ。

 誰だって、訴えられたくないし、SNS上で「公開処刑」されたくない。

 そうしてみんなが萎縮した先には、何があるのだろう?

 そんなことを思って、またしても暗澹たる気持ちが込み上げてきた。


明日は札幌に行ってきます。

当園にも藤の花が咲いていました。