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雨宮処凛がゆく! 防衛増税の裏で起きていること〜物価高への悲鳴、生活保護基準見直し、真冬を前に住まいがない人のホテル利用を著しく制限、倍増する水道の停止。

2022年12月14日 | 生活

マガジン9  2022年12月14日

 マガジン9 (maga9.jp)

 「物価が何もかも上がっていて、本当に大変です」

 「とてもじゃないけど年金では生活していけません」

 「ただでさえ生活保護費が引き下げられて大変なのにこの物価高で限界です」

 「水道料金の滞納で水道を止められ、それがきっかけで住む場所を失いました」

 これらの言葉は、この数ヶ月で私が耳にしたものだ。

 これを読んでいるあなたも、物価高は日々感じていると思う。何しろ総務省の消費者物価指数によると、今年10月の物価(生鮮食品のぞく)は前年同月比で3.6%上昇。これは1982年以来、40年ぶりの上昇率だという。食品だけでなく、電気・ガス代も上昇。このような状況を受け、毎週土曜日に東京都庁前で開催されている「もやい」と「新宿ごはんプラス」による食品配布には、11月末、過去最多の644人が並んだ。長引くコロナ禍と物価高というダブルパンチが今、庶民の家計を圧迫している。

 そんな中、岸田政権がトンデモないことをブチ上げた。今後5年間の防衛費を、1.5倍超にするというのだ。その額、43兆円。社会保障費などについては常に「財源がない」ことを理由に削減してきた自民党政権だが、なぜか防衛費に関しては財源論はスルーされる。いや、スルーどころではない。岸田政権は財源の不足は増税により賄うことで合意したというではないか。いや、なに勝手に「合意」しちゃってんの?

 東京新聞によると、物価高の影響で2022年の家計支出は前年比で9万6000円増えており、来年度はさらに4万円増えるという。そこに増税なんてされてしまったら。しかも来年には、フリーランスを潰すようなインボイス制度まで始まろうとしている。もう、本当にどうしてくれるのだろう。っていうか、岸田首相って、「聞く力」とか言ってなかったっけ? その力、どこ行った? あと、ここまで何も決められなかったのに、なんで国葬と防衛増税だけはそんなにすぐに決められるの?

 さて、そんな憤りの中、ある記者会見に参加した。12月9日のことだ。それは生活保護基準部会の報告書に関する記者意見。

 生活保護基準は5年ごとに社会保障審議会生活保護基準部会でそのあり方を議論され、来年度が生活保護基準見直しとなるのだが、その部会の報告書についての記者会見だ。

 報告書は、75歳以上の保護利用者の生活扶助基準引き下げが懸念される内容となっているため、会見では、くれぐれも引き下げないこと、この物価高では保護基準の引き上げこそが必要だということがおのおのから訴えられた。

 ちなみに物価高は今年に入って始まっているわけだが、部会でのもろもろの検証は19年の全国家計構造調査の結果を用いて行われており、現在の物価高はまったく考慮されていないという。これでは、実態をまったく反映していない。

 それでも、「物価が上がったからといって急に保護基準を上げるのは難しい」という声もあるだろう。が、過去には年度途中で保護基準が引き上げられた事例がある。1973年から74年にかけての「狂乱物価」と言われた時期、年度の途中だが緊急的に保護基準が引き上げられたのだ。

 ちなみに生活保護基準は第二次安倍政権下で史上最大の引き下げが強行されて13年から段階的に削減。それが今も保護利用者を苦しめている。これに対しては全国で引き下げを違憲とする裁判がなされ、大阪、熊本、東京、神奈川では引き下げに対して違法という判決が下されている。

 この日、会見の席には生活保護を利用する2人の男性が登壇。どちらも引き下げ違憲訴訟の原告で、苦しい生活を語ってくれた。

 58歳の男性は糖尿病がある身。ただでさえ13年からの引き下げで生活は苦しく、一週間の食費を1500円でやりくりしているという。そうなると、1日2食、お茶漬けと卵焼きという生活になる。しかし、この物価高でそれも厳しくなり、豆腐や納豆という生活に。体重は5キロ落ち、糖尿病の数値も悪化して医者には食生活の改善を指導されるものの、生活が苦しいのでどうにもならない。光熱費や通信費などの固定費はなかなか削れないため、食費を削るしかないという。

 もう一人、54歳の男性もやはり食費を削っていることを語ってくれた。現在のように寒い時期は室内でもダウンを着て暖房費を削っているという。電気代の値上がりも痛い。去年は3000〜4000円だった夏の電気代が今年の夏は倍の7000円になったという。

 「生活保護基準を上げてほしい」

 二人は切実な声で訴えた。

 保護基準引き上げに関しては、本当に人命に関わることなので喫緊の課題として国に取り組んでほしい。

 さて、貧しい人を踏みにじるような施策はこれだけではない。

 10月には、あまりにもひどい通知が厚生労働省から出た。それはホテル利用に関する事務連絡。

 コロナ禍では、多くの人が家賃滞納でアパートや寮から追い出されるなどして住まいを失った。この2年半、そんな人たちの生活保護申請に私も少なくない数、同行してきたのだが、このような状態で生活保護申請をするとどうなるか。

 コロナ以前であれば、「無料低額宿泊所」に入れられることが多かった。相部屋で、生活保護費のほとんどを取り上げられてしまうような劣悪なところも多いことで有名な施設だ。多くの人が逃げ出し、路上に戻る人が後を絶たないのだが、一度このような経験をすると「生活保護を受けるとまたあの施設に入れられる」と強い忌避感を持つことになってしまう。

 それがコロナ禍で一変した。東京では、住まいがない人が生活保護申請した場合、1ヶ月ほどビジネスホテルに泊まることができるようになったのだ。その間にアパートを探し、転宅するという流れである。このようにして路上やネットカフェ生活からアパート暮らしに移った人がコロナ禍、多く生まれた。住まいがあれば、住民票も取れて仕事の幅もぐっと広がる。こうして、多くの人がピンチをチャンスに変えるようにして生活再建をしたのだ。

 しかし、10月に厚労省から出た事務連絡は、そのホテル利用を著しく制限するような内容だった。これによって再び無料低額宿泊所に入れられる人が増えているという。その背景には、旅行支援によってホテルが埋まり、値段が高騰していることもあるようだ。

 住まいのない人の唯一の命綱のような場を奪い、余裕がある人の旅行は支援する。これほど格差社会を象徴するグロテスクな光景はないだろう。この件については12月2日、困窮者支援団体らが東京都に要請をした(私も参加予定だったがコロナ陽性で行けなかった)。

 もうひとつ、同日に都に要請されたことがある。それは、東京都では水道料金の滞納による給水停止が昨年より倍増している件について。共産党の和泉なおみ都議の質問によって明らかになったのだが、昨年の給水停止が10万5000件だったのに対して、今年の4〜9月だけで9万件にものぼっているのだという。

 その背景には、検針員が水道料金を払えない人のもとに訪問して催告を行い、困窮者は福祉につなげる委託事業を「業務の効率化」を理由にやめたこともあるという。そうして現在、郵送による催告となったことが給水停止の倍増という事態を招いているというのだ。

 その話を知って、最近、駆けつけ支援をした人のことを思い出した。私も所属する「新型コロナ災害緊急アクション」に、住まいも失い、残金もほぼゼロ円とSOSメールをくれた人のもとに11月、駆けつけたのだが、その人が住まいを失ったきっかけは水道の停止だった。コロナ禍はじめに宣伝された、水光熱費の支払い猶予の措置を覚えている人も多いだろう。多くの人が「助かった」と口をそろえる制度だが、減免措置が終わったとしても困窮している人の状況は変わらない。やむを得ず料金を払えずにいたところ、水道を止められてしまったのだという。

 水道の停止は、命に関わることである。それが昨年と比較して倍増している事実を、どれほどの人が知っているだろうか。

 さて、ここまでのことをまとめると、この国の政治の残酷さが浮き彫りになってこないだろうか。

 防衛費は増やすけれど、水道は容赦なく止める。お金を持ってる旅行者は支援するけれど、住まいがない人のホテル利用は厳しく制限する。どんなに物価が上がっても、生活保護費を上げるという議論はない。そして実質賃金が7ヶ月連続で下がり続けているというのに「増税」などとブチ上げる。庶民の声を聞く気などさらさらありません、と言っているようなものではないか。

 最近、ドイツの制度に詳しい人にある話を聞いた。

 ドイツでは、家賃を滞納すると大家さんが行政に連絡するのだという。そうして役所の人が訪れて、家賃を滞納した人が福祉に繋がれるようにするそうだ。

 翻って日本の場合、黙って追い出されるだけだ。水道だって黙って止められる。これまで、家賃滞納やライフラインの停止は絶好の「困窮を発見するチャンス」だと多くの人が指摘してきたし、私も書いてきた。が、「個人情報の壁」という言い訳で、発見できたはずの困窮は放置されてきた。

 そんな状況を思うたびに、「国には、本気で命を守ろうという気概があるのだろうか」と疑問を持つ。そんな国で、防衛費を増やすことで命が守れると誰が本気で思うだろう。やるべきことは、その前にたくさんあるはずだ。

 さて、そろそろ年末年始が迫っている。今年も相談会などの「命を守る」越年現場に張り付く予定だ。「聞く力」があるという岸田首相はぜひそのような現場を訪れ、厳しい状況に置かれた人々の声に耳を傾けてほしい。


 今日は一日天気も悪く、時々吹雪く状態で外出もやめた。
昨日は雨も降り、積雪も少なくなったが、これからの予報ではずっと⛄マークが続いている。しばらく外出不能か?


ダメ野党を尻目に 自民政治と距離を置く自治体首長が「もう1つの船を出す」とネットワーク

2022年12月13日 | 社会・経済

日刊ゲンダイDIGITAL 2022/12/12

 岸田内閣の支持率はジリ貧なのに、立憲民主党を筆頭に野党の支持率も上がらない。世間には「誰がやっても変わらない」という政治への諦めが広がっているが、そんな閉塞感を打破する動きが出てきた。

自民党と距離を置く新しいタイプの首長たち(C)日刊ゲンダイ

 先週金曜(9日)の夜、東京・中野サンプラザで開かれたシンポジウム「ローカル・イニシアチブ・ミーティング」に東京の5人の自治体トップが出席した。小金井市の白井亨市長、中野区の酒井直人区長、世田谷区の保坂展人区長、多摩市の阿部裕行市長、杉並区の岸本聡子区長(写真左から)。いずれも自民党政治とは距離を置く新しいタイプの首長たちだ。

 この集会を出発点として首長のネットワークで連携し、政策の共通化をはかり、来春の統一地方選に向け、新たな政治の選択肢を示していくという。集会には地方議員や立候補予定者ら30人も参加した。

 民主主義の再構築が必要、といった議論の中、集会にリモートで参加した政治学者の中島岳志氏はこう発言。

■国政ではもう1つの船が出ていない

 「野党は自公政権とは別の対立軸を示すべきだが、国政ではもう1つの船が出ていない。だから自公政権に皆、しがみついている。もう1つの選択肢が必要」

 そして、保坂区長が「政権交代は必要だけど、政治の質が転換しない中で、自民党ではない自民党のような政治ではダメ」と、いまの国政への歯がゆさを見せ、「もう1つの船を出す」と宣言した。

 コロナ禍で、自治体の政策の違いが命に直結することを目の当たりにし、首長の手腕への世論の関心は高まっている。保坂区長らは今後、全国に呼び掛け、賛同する立候補予定者を募っていくという。統一地方選の台風の目となるか。

統一選の前哨戦・茨城県議選は自民現有割れ 無所属加入で勢力維持か

 来春の統一地方選の前哨戦として注目された茨城県議選(定数62)は11日に投開票された。

 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)問題や閣僚のドミノ辞任で岸田内閣の支持率が3割台に低迷する中、現有44議席の自民党は9減の35議席に後退した。

 しかし改選前は3だった無所属は15人となり、自民推薦の無所属の2人も当選。今後、自民入りする可能性がある保守系候補も複数いて、改選前とほぼ同勢力を維持する見通しだ。

 岸田内閣への反感を背景に議席を増やせるかが焦点だった立憲民主党は3人擁立も現有2議席の維持、共産党は現有2議席から1減に終わった。

 日本維新の会は、初めて1議席を獲得。公明党は現有4議席、国民民主党が現有3議席を維持、参政党は議席を得られなかった。投票率は過去最低の38.54%。

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泉房穂 明石市長に訊け!! ① 子ども応援しない国に未来はない【山岡淳一郎のニッポンの崖っぷち】


 せっかくのチャンスをみすみす逃しているようだ。特に「立憲」の態度がふがいない。せっかく分裂して「国民民主党」の右派勢力が出ていったのに、さらに「分裂」か?もはや「立憲」を待つことに疲れてしまった。当面「立憲」無しでも革新勢力の結集を図っていくことだ。「国民」「維新」は論外だ。

 サイボウズ青野社長が始めた「ヤシの実作戦」や泉房穂 明石市長の「子供応援」などと連携を図り、具体的に政策を前進させることが必要だと思う。

」とは、選択的夫婦別姓や同性婚を進めない政治家をヤシノのように落とすことで、結果として賛成する政治家を増やし、制度の早期実現を目指す活動です。


拘束された久保田徹さんが証言したミャンマーの過酷な現実

2022年12月12日 | 事件

 「地獄みたいな」留置場、捏造証拠で有罪…

「東京新聞」2022年12月11日 

 国軍がクーデターを起こしたミャンマーで拘束され、先月帰国した映像作家久保田徹さん(26)が「こちら特報部」のインタビューに応じた。劣悪な留置施設や証拠の捏造ねつぞう、形式だけの裁判について証言。先が見えず、揺れ動いた心中を明かした。だが「ミャンマーの人々の現実を知れば、つらかったと思えない」と語る。視線の先には、国軍の弾圧に苦しみ続ける市民の姿がある。(北川成史)

 くぼた・とおる 横浜市出身。慶応大在学中からミャンマー国軍が迫害するロヒンギャを題材にドキュメンタリーを制作。「Light up Rohingya」は国際平和映像祭のAFP通信賞を受賞。

 

◆大学生7人の死刑判決に吐き気、自分も同じ法廷で…

 「昨日から動揺している」。取材冒頭、久保田さんは漏らした。1日、ミャンマーで反軍政の活動をした大学生7人への死刑判決が報じられたためだ。自身と同じ非公開の軍事法廷だった。「激しい動悸どうきと吐き気がした」

 久保田さんは7月14日、ミャンマーに渡航。昨年2月のクーデター後も、最大都市ヤンゴンで慈善活動を続ける友人のドキュメンタリーを作る目的だった。

 町は表面上平穏。しかし少し探れば、SNSに国軍批判を書き込んだだけで半年拘束された若者らの話が聞こえてくる。今でも必死に抗あらがう姿を捉えようと、ゲリラ的なデモ「フラッシュモブ」の取材を決意した。

◆ライフル突き付けられ車に「まずいことになった」

 デモの情報はSNSで得た。7月30日、ヤンゴンで15人余りが横断幕を掲げ、30秒ほど行進した。久保田さんは20〜30メートル後方から撮影後、通行人を装い、逆方向に歩いた。

 脇道に入った時、後ろから乗用車が近づき、軍人か警察官らしき私服の男2人が飛び出してきて、ライフルを突きつけた。手錠をされ、車に押し込められた。「まずいことになった」

 ただ、車内で男の1人がどこかに電話後、外国人を手荒に扱うなと指示されたのか「ソーリー、ソーリー」と態度を豹変ひょうへんさせた。

 警察署に着き、他に6人が捕まったと分かった。デモを待ち伏せし、片っ端から捕まえた様子だった。うち3人と屋外でデモの横断幕を持たされ、写真を撮られた。

◆「地獄みたいな所」わずか10㎡に20人の留置所

 初日の夜はエアコン付きの署長室で過ごす好待遇を受けた。だが翌日、警察官らはSNSで久保田さんの名前を検索し、イスラム教徒少数民族ロヒンギャに関する作品を発見すると一変。久保田さんを小突き、侮蔑的なしぐさを見せた。

 「地獄みたいな所に行くぞ」。酒臭い警察官に通告され、約2メートル×5メートルの広さに20人以上がひしめく留置場に入れられた。トイレは床に開いた穴と低い囲いがあるだけ。汗や汚物、ほこりの臭いが交じり、寝る時は体が重なり合った。収容者への暴力も目にした。

 取り調べ時に黙秘権の告知はなかった。大使館との連絡を求め、留置場ではハンガーストライキをした。

 横断幕を持ったデモ参加の捏造写真はこの間、SNS上で拡散していた。国軍や警察の情報操作だった。

◆雨水が入りゴキブリ這う独房で心の支えは「ペン」

 8月4日、刑務所に移動。外国人用の独房に入れられた。留置場よりやや広いが、鉄格子から雨水が入り、蛍光灯が夜通しついていた。就寝中、ゴキブリが手を這はった。それでも100〜200人が大部屋で過ごす現地の人よりましだった。同月22日、ようやく大使館と電話で連絡が取れた。

 単調な毎日で、心の支えは密ひそかに持ち込んだペンで紙切れに書く日記だった。

 「今、自分にできることはほとんどない」(8月4日)「俺の悲しみはこの国の人々に比べたらわずかなものだ」(同月17日)「あと何日、こんな夜を過ごすのか」(9月12日)「気持ちを強く持たなければ」(同月22日)。無力感や不安と戦っていた。

◆弁護士なし、証拠捏造の法廷で有罪判決

 久保田さんは3つの罪で起訴されたが、詳しい内容は知らされなかった。

 10月5日、刑務所敷地内の裁判所で、扇動と電子通信法違反の罪を審理する軍事法廷が開かれた。弁護士の同席を要求したが、軍事法廷を理由に拒まれた。

 前に立った軍人3人のうち、中央の人間が大声で何かを読み上げた。通訳は2、3分の話をごく簡単に訳すのみ。横断幕を作り、デモに参加したほか、人々を惑わす映像をネットに投稿したと認定されたという。前者は捏造写真を証拠とし、後者はロヒンギャ関連の作品を指すと思われた。

 「付け加えることはあるか」と軍人に問われた。大使館から、解放のためには判決が出るのが第一と聞いていたため、「ない」と答えると、すぐに禁錮7年を言い渡された。わずか1回、5、6分の審理だった。10月12日には観光ビザでの入国を巡る入国管理法違反罪の判決もあり、量刑は合計で禁錮10年となった。

◆刑務所内に紐、首つる姿が頭に浮かぶ

 有罪判決後も早期の解放はなく、刑の重みが心にのしかかった。「楽観的な気分と絶望的な気分が波のように交互に現れる。一度悪いほうに考えがいくと、なだれのように最悪のイメージばかりが浮かぶ」。10月26日の日記にそう綴つづった。刑務所内で紐ひもを見掛け、首をつる姿も想像した。

 恩赦の報は突然だった。11月17日朝、看守数人が来て「解放だ」と告げた。せかされ、数分で荷物をまとめて独房を出た。

 他の恩赦対象者と刑務所の講堂に集められた。テレビカメラが入っていた。記念撮影のように、出国前の空港で当局者や大使と並ぶ構図も撮られた。映像は国営テレビで流れた。久保田さんは冷静に振り返る。「明らかにプロパガンダだ」

◆昨年拘束された北角さん「悪化してる」

 クーデター後、拘束された日本人ジャーナリストは2人目だ。昨年拘束された北角裕樹さん(47)は、映像を購入し、偽ニュースを流したという罪をでっち上げられた。解放まで1カ月弱だったが、久保田さんは3カ月以上。北角さんは「状況は悪化している」と懸念を交えて指摘する。「国軍は恩赦で国際的にアピールできる外国人を解放したが、敵に回るのを恐れて自国民の政治犯はほとんど含んでいない」

 北角さんの映像の購入元とされたのは、日本育ちの映像作家モンティンダンさん(38)。拘束後に拷問され、有罪判決を受けて収監されている。久保田さんが大使館と電話する際、ミャンマー語に訳して記録する役割を課せられていた。

 人権団体によると、被拘束者は未いまだ1万3000人超。国際社会の批判を顧みず、政治犯らの死刑判決も相次ぐ。久保田さんは強調する。「ミャンマー人の友人は『国自体が監獄だ』と言う。今回の解放で国軍が軟化したと考えてはいけない」

 拘束中、帰国してもミャンマーの実態を伝えるよう政治犯らに頼まれ、「正義と人権、民主主義のため、皆さんの協力を」と書かれたメッセージを託された。

◆「自由の重み感じて、ミャンマーに目を向けて」

 久保田さんは「デモの現場に行った判断は甘かった」と自戒を込める一方、観光ビザでの入国だとしても、ミャンマーの人々の窮状に迫ろうとしたのは間違いではないと考える。報道ビザの取得は困難で、入手しても監視が付き、取材先に危険を及ぼす恐れがある。

 「私の体験を通じてミャンマーに目を向けてほしい」と願う。「日本は民主主義国で発言の自由がある。ミャンマー人が命懸けで求めている権利が保障されている重みを自覚すべきだ」

 日本政府には、国軍により強い姿勢をとり、ミャンマーからの難民受け入れの態勢を整備するよう望む。

 自身は再渡航できなくても、ミャンマーを題材にした作品を発信し、市民を支援していく決意だ。「自由のないミャンマーの人々に代わって、声を上げる義務があると思う」

◆デスクメモ

 日本では、防衛省が世論を誘導する工作の研究に着手したという。気付かないうちに、異論が封じられることになりかねない。久保田さんの体験に言論の自由のもろさ、尊さを見た。中国では、言論封殺に対してデモ参加者が白紙を掲げる。遠い国の話と無関心ではいられない。(祐)


日本国の「国軍」への対応が問われている。

ところで、今年の漢字が発表された。「戦」である。
わたしの感じでは「壊」が妥当だろう。

今日の雪景色

江部乙



元2世信者 小川氏の陳述(要旨)

2022年12月11日 | 社会・経済

参院消費者特委 統一協会被害者救済法案

「しんぶん赤旗」2022年12月11日

 統一協会元2世信者の小川さゆり氏(仮名)が9日の参院消費者問題特別委員会で行った陳述の要旨は次の通りです。

 私の両親は20歳前後のころ統一協会に入信し、「合同結婚式」で結婚しました。私はそこから生まれた2世信者で、現在は脱会しています。幼少期から学生時代には貧しい暮らしを強いられ、親戚からのおこづかいやお年玉は没収され、親からもなく、高校生から始めた5年間のアルバイト代も没収されました。このような生活状況にもかかわらず、両親は協会への高額な献金を繰り返してきました。

 私は18歳のころ統一協会の公職者から、悪霊がついているという理由でセクハラを受けました。韓国へ除霊しに行き、精神疾患で入院し、退院後もうつ症状とパニックを起こし救急車で複数回運ばれました。両親は、当時体調を崩していた私のことを「家にお金も入れないで、いつになったら働いてくれるのか」とお金のあてにしか思っていなかったことを知り、限界を感じ、脱会しました。

 被害者救済法案が本当に裁判で実効性を伴うのか、検証していただきたい。見直しの期間を1年にして、検討部会を今すぐ立ち上げていただきたい。

 法案の最大の課題は子どもの被害が現実的には全く救済できないことです。来年の国会で宗教的な児童虐待を防止する法案を与野党で協力して成立させるようお願いします。

 残った課題、そして統一協会の解散についても議論を続け、早急に対応してください。具体例としては、マインドコントロール(洗脳)下で韓国へ嫁いだ日本人被害者の問題や、信仰の強要、養子縁組など「宗教2世」の権利侵害や、そういった親から逃げる場所がない問題、劣悪な環境で育った「宗教2世」が精神的な診療を必要としたり、老後資金のない親を介護しなければならない問題、国際協力が必要な課題も多々あり、広い範囲で政府として積極的な被害防止、救済対策が必要不可欠です。

 これだけ被害者を出している悪質な団体が活動の一時停止もなく、今日も税制の優遇を受けていることはあってはならないことです。被害を見過ごしてきた政府としての責任を果たし、早急の対応をお願いします。

 被害者は何度も被害を訴え、そのたびに現役信者などから攻撃され、自分の経験を話すだけでも深く傷つき、皆が体調を崩しながら訴え続けてきました。それは、政府が本当に動いてくれるのか信じられない、被害拡大の張本人の与党側にそのような動きがみられないから、被害者がそこまでやるしかなかったという事実を忘れないでいただきたい。今後は積極的な政府の被害救済に期待します。


わたしも統一教会の早期解散命令を支持します。

今日の江部乙
午前中はまだ青空が見えていたのですが、家に返ってくるとまた白黒の世界になってしまいました。さぁ、また雪かきしてきます。


内田樹の研究室 『夜明け前(が一番暗い)』あとがき

2022年12月10日 | 生活

2022-12-09 vendredi

 みなさん、最後までお読みくださって、ありがとうございました。

 読んで、どういう感想を抱かれましたか。僕はゲラを通読してみて「悲観的な話が多いけれど、それほど気持ちが暗くもならない」という印象を持ちました。自分の書いたものについて「印象を持ちました」というのも変ですけれど。

 日本の現状がかなり悲惨なものであることは間違いありません。国際社会におけるプレゼンスも、経済力も、文化的発信力も、あきらかに低下しつつある。これはどんな指標を見ても明らかです。

 でも、これがシステムの全面的な壊死なのかというと、そうでもないような気がします。「日の当たる場所」はかなり悲惨な状況ですけれども、「日の当たらない場所」ではもう新しい活動が始まっているように思えるからです。すでに歴史は「次のステージ」に入っている。でも、「日の当たる場所」にいる人たち(昔風に言うと「エスタブリッシュメント」ですね)は、その潮目の変化にまだ気づいていない。

 それを感じたのは少し前に、知人の結婚披露宴に呼ばれた時のことです。知人の結婚相手はパン作りの若い女性でした。その関係で、披露宴で僕のすわったテーブルは新婦の「パンの師匠」と、同門の若いパン職人たちでした。その人たちの話がとても面白かった。みなさん同じ師匠について修業したあとに海外で修業を重ねてから、日本に戻って各地でパン屋を開業している方々です。細かい技術的なことは僕にはわかりませんけれど、彼らがあっさりと「日本のパンは世界一ですから」と言い切ったときに、はっと胸を衝かれる思いがしました。「いま、フランスのパン職人たちが必死に工夫しているのは、僕らがすでに10年前にやったことです。日本のパンは10年のアドバンテージがある。」そう言ってにっこり笑いました。

 こういうタイプの言明を聴いたのは、ずいぶん久しぶりのことでした。

 1960年代から80年代まではたしかに、「僕らの仕事が世界一ですから」とまるで「今日は天気がいいですね」くらいのカジュアルな口調で語る人たちにしばしば遭遇しました。ほんとうにそうだったんです。商社でも、メーカーでも、メディアでも、大学でも、エンターテインメントでも、「気がついたら、僕たちがしていることが世界標準になったみたいですね」という話をよく耳にしました。たしかに、そうでなければ敗戦から短期間に世界第二位の経済大国に急成長するというようなことは起こるはずがありませんから。

 寂しい話ですが、そういうことがほぼまったくなくなって30年近く経ちました。ですから、今の40歳以下の人たちは、「日本人がさまざまな分野で世界をリードしていた時代」というものをリアルには想像できないと思います。そんなことを年上の人が言っても「年寄りの愚痴」にしか思えないとしても不思議はありません。

 でも、国運というのは「上がったり、下がったり」するものなんです。古希を過ぎてまで長生きするとそのことがよく分かります。

 僕は敗戦の5年後の生まれです。中学に入るくらいまでは「戦争に敗けてたいへん貧しくなった国の国民」というのが自己認識の初期設定でした。子どもの頃に母親に何か買ってくれとねだるとほぼ必ず「ダメ」と言われました。「どうして」と訊くと、「貧乏だから」と母が答え、「どうして貧乏なの」とさらに訊くと「戦争に敗けたから」と言われて、それで問答は終了しました。そういうのが60年代の初めくらいまで続きました。

 でも、それから空気が変わった。何となく「このままゆくと世界標準にキャッチアップできるんじゃないか」という無根拠な楽観が社会に漂い始めた。

 伊丹十三の『ヨーロッパ退屈日記』は1965年の本です。『北京の55日』や『ロード・ジム』に出演した国際派俳優がそのヨーロッパでの生活を記したエッセイです。この本で僕たち敗戦国の少年は「ジャギュア」の運転作法や「アル・デンテ」の茹で方や「ルイ・ヴィトン」という鞄の存在を知りましたが、それはもうそれほど遠いものではなく、「あとちょっとしたら、僕たちにも手が届きそう」なものとして伊丹さんは僕たちに提示してくれた。そして、実際にその数年後に僕は赤坂のパスタ屋で、「ボロネーゼをアル・デンテで」とか注文していたのでした。

 先日、大瀧詠一さんと山下達郎さんがNHKFMでやっていた「新春放談」の古い録音を聴いていたら(1985年のお正月の放送でした)、山下さんが「最近、歌謡曲の人が、ニューヨークで録音するでしょう。音楽的に必然性があるならわかるけれど、ただニューヨークの方がスタジオ代が安いからというのでは」と語っているのを聴いてびっくりしました。都心のスタジオで録音するより、ニューヨークに行って、向こうのエンジニアを使った方が「安上がり」という時代が35年ほど前にはあったんです。

 1980年代終わり頃バブルの全盛期には、日本人はお金があり過ぎて、買うものがなくなり、とうとうマンハッタンの摩天楼や、ハリウッドの映画会社や、フランスのシャトーや、イタリアのワイナリーまで買うようになりました。「こんな無意味な蕩尽をしていると、そのうち罰が当たるぞ」と僕は思っていましたが、やっぱり予想通りになりました。図に乗ってはいけません。

 罰が当たって30年、日本は少子化・高齢化という人口動態上の負荷もあって、「落ち目の国」になりました。

 今の日本の指導層の方々は悪いけれど「落ち目の国に最適化して、貧乏慣れした」人たちです。だから、彼らはもう日本をもう一度なんとかするという気はありません。もう日本に先はないんだけれど、公共的リソースはまだまだ十分豊かである。だから、公権力を私的目的のために運用し、公共財を私財に付け替えている分には、当分は「いい思い」ができる。そういう自己利益優先の人たちばかりで政治や経済やメディアがいまは仕切られています。

「貧乏慣れ」した人たちというのは「日本が貧乏であることから現に受益している人たち」です。ですから、彼らは現状が大きく変わることを望んでいません。このまま日本がどんどん貧乏になり、国民が暗く、無力になり、新しいことが何も起きない社会であることの方が個人的には望ましいという人たちが今の日本ではシステムを設計し、運営している。

 でも、僕はこんなことがいつまでも続くとは思いません。

「落ち目の国」という環境に最適化して、「貧乏慣れ」して受益している人たちは、限りある資源を必死で切り取り合っているわけですから、分捕り合いに参加する人間はできるだけ少ない方がいい。だから、「落ち目の国のエリートたち」はしだいに頭数が減ってゆきます。そして、「落ち目の国の下層民」身分に押しやられた多数派の人たちは「できたら、もうちょっとましな国になって欲しい」と願っている。

 多くの人が強く願うことは実現する。これは長く生きてきて僕が確信を持って言えることの一つです。問題は「多く」と「強く」という副詞のレベルにあります。原理の問題ではなくて程度の問題なんです。

 かつて敗戦の瓦礫から立ち上がったように、また手持ちのわずかなリソースを使い回して、もう一度「僕らがやってること、とりあえず世界の最先端ですから」というような台詞がさらっと口から出るような時代に出会いたいと僕は思っています。

 そして、それは決してそれほど難しいことじゃない。

 もちろんAIとか創薬とか宇宙開発とか、そういう「やたら金がかかり、当たるとどかんと金が儲かる」領域では無理でしょうけれども、食文化とかエンターテインメントとか芸術とか学術のような、日本に十分な蓄積があり、かつ「新しいこと」を始めるのに、多額の初期投資とか、「えらい人たちへの根回し」とかが要らない分野でしたら、すでにそういう言葉が口元に出かかっているという人たちはいるはずです。

 僕らがそれを知らないのは、既成のメディアが「貧乏慣れ」して、ほんとうの意味での「ニューズ」に対する感度が鈍っているからだと僕は思います。

 そういう未来への期待を込めて、本書のタイトルを撰しました。みなさんも、一緒に「強く願って」くださいね。

 

2022年12月

内田樹


年末にふさわしい、新たな年を迎える言葉として受け止めたいと思います。
「多くの人が強く願うことは実現する」
そうです、多くの人が声を上げれば実現するのです。
今が夜明け前です。


実質賃金10月2.6%減 物価高直撃 「物価高倒産」ラッシュが始まった!

2022年12月09日 | 生活

「しんぶん赤旗」2022年12月7日

 厚生労働省が6日発表した10月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価の変動を反映させた実質賃金は前年同月比2・6%減でした。7カ月連続のマイナス。現金給与総額(名目賃金)は増えたものの物価高騰に賃金上昇が追い付かない格好で、減少幅は2015年6月以来、7年4カ月ぶりの大きさとなりました。

 基本給と残業代などを合わせた10月の現金給与総額は、労働者1人当たり平均で1・8%増の27万5888円。10カ月連続のプラスで、基本給が中心の「所定内給与」が1・3%増、残業代を含む「所定外給与」は7・9%増えました。賞与など「特別に支払われた給与」は1・1%増でした。

 ただ、実質賃金の算出に用いる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は4・4%上昇。電気代やガス代、外食などの物価高が響き、実質賃金の大幅な目減りにつながりました。

 就業形態別の総額は、正社員ら一般労働者が1・9%増の35万7332円。パートタイム労働者は1・5%増の9万9556円でした。

 1人平均の総実労働時間は、0・9%減の137・2時間。所定内労働時間は1・5%減りましたが、所定外は5・9%増えました。(時事)

*     *     *

「物価高倒産」ラッシュが始まった!年初の8倍に急増、年300件超確実も「まだ入り口」と識者

日刊ゲンダイDIGITAL 2022/12/09 

 「物価高倒産」が急増している。8日公表された帝国データバンク(TDB)の調査結果によると、11月の物価高倒産は46件に上り、5カ月連続で過去最多を更新した。今年1月が6件、2月が7件なので実に7~8倍にまで増えている。

 ◇  ◇  ◇

 TDBは燃料や原材料の仕入れ価格上昇や価格転嫁できない値上げ難などによる倒産を「物価高倒産」と定義し、独自に集計している。デフレが長く続いてきたため、「物価高倒産」は少なく、過去4年の月間平均は9件程度で推移してきた。

 ところが、である。今年も年初こそ1ケタだったが、直近は前例のない水準で推移している。5月、6月が23件、7月に31件と過去最多を更新し、以降、8月34件、9月35件、10月41件、11月46件とものすごい右肩上がりの勢いなのだ。11月は業種別では建設業(9件)、製造業(8件)、卸売業(8件)が多かった。

 2022年通年では、年間300件超となるのがほぼ確実。20年が97件、21年が138件だったから、300件超は突出している。

 「もともと経営が苦しい中小・零細企業を中心に、物価高が“最後の追い打ち”となり、倒産するケースがほとんどです。価格交渉で取引先の大企業に代替サプライヤーをチラつかせられると、中小企業は値上げを我慢せざるを得ない。また、そもそもエネルギーコストを価格転嫁していない企業も少なくない。そのうちに、手元資金に余裕がない中小企業は資金繰りが厳しくなり、倒産してしまうのです」(TDB情報統括部・佐古真昼氏)

 TDBが1265社を対象に12月2~6日に実施したアンケートによると、電気料金の増加分について「全く価格転嫁できていない」が7割に上る。

 この先、物価高倒産はどうなるのか。経済評論家の斎藤満氏が言う。

「とうとう物価高による倒産が始まったとの印象です。ロシアのウクライナ侵攻以降、世界的にインフレに見舞われましたが、その影響を受けた倒産は遅れて起きます。秋以降の1ドル=130円を超える円安による影響もこれからです。物価高倒産はまだ入り口。この先、件数は増えていくでしょう」

 松野官房長官は7日の会見で「価格転嫁が十分にできない中小企業も厳しい状況に置かれている」として「リスキリング(学び直し)など通じて生産性を向上させ、さらなる賃上げを生むという経済の好循環により、経済そのものを成長させていく必要がある」と力説していたが、これに斎藤満氏は手厳しい。

「生産性の向上は時間がかかり、足元の中小企業は救えません。1ドル=130円超の円安が続けば、中小企業は賃上げどころか、物価高倒産に追い込まれます。金利を上げ、円安による輸入のコストアップにブレーキをかけるのが政府・日銀の仕事です」

11月の倒産事例をみると、独自の飼料配合によるオリジナルブランド鶏卵を販売していた老舗「床鍋養鶏」(富山県)や、首都圏への定期便に合わせて配送する「詰め合わせ便」を展開する「阪神急送」(兵庫県)などユニークな企業も見られる。

 中小企業が元気でなければ、日本経済再生はあり得ない。


「自民党を潰さなければ日本が潰れる」
「自民党に殺される」前に・・・

今日の江部乙
概ね天気は良くないが短時間でも青空が出ると写真はカラーになる。


鹿の足跡だろう。


開戦の日に考える 戦争の足音が聞こえる 

2022年12月08日 | 生活

「東京新聞」社説 2022年12月8日 

 日本が焦土と化した太平洋戦争は一九四一(昭和十六)年のきょう十二月八日に始まりました=写真は、開戦を伝える国民新聞(中日新聞社が発行する東京新聞の前身の一つ)夕刊。あれから八十一年。憲法九条に基づく「専守防衛」が大きく変質しようとしています。耳を澄ませば、戦争の足音が近づいてくるようです。
 戦後日本の防衛政策は、戦争放棄と戦力不保持の憲法九条の下で組み立てられてきました。日本の安全保障を米軍の攻撃力に委ね、日本の自衛隊は専守防衛に徹するという役割分担です。
 自衛隊の装備は自国防衛目的に限られ、「他国に侵略的攻撃的脅威を与える」攻撃的兵器は、あえて保有してきませんでした。
 それは日本人だけで三百十万人というおびただしい数の犠牲者を出し、交戦国だけでなくアジア・太平洋の人々にも大きな犠牲を強いた戦争への反省に基づくものでした。日本は再び軍事大国にならないとの誓いでもあります。

◆平和国家を歩んだ戦後

 安倍晋三内閣当時の二〇一三年に策定された国家安全保障戦略は次のように記します。
 「我が国は、戦後一貫して平和国家としての道を歩んできた。専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持してきた」
 「こうした我が国の平和国家としての歩みは、国際社会において高い評価と尊敬を勝ち得てきており、これをより確固たるものにしなければならない」
 この平和国家としての歩みを大きく踏み外すのが、岸田文雄首相が年内に予定する国家安保戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の三文書改定です。
 その狙いは、他国領域を攻撃できる、政府与党が反撃能力と呼ぶ敵基地攻撃能力の保有と、防衛力強化のための財源確保です。
 歴代内閣は、他国領域にあるミサイル発射基地への攻撃は「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」と憲法九条が認める自衛の範囲内としつつも、他国を攻撃できる兵器を平素から備えることは「憲法の趣旨ではない」ともしてきました。
 長射程の巡航ミサイルなど、これまで保有してこなかった敵基地攻撃能力を実際に持てば、専守防衛を逸脱することになります。
 政府は、この敵基地攻撃能力を安倍内閣が一転容認した「集団的自衛権の行使」にも使えるとの見解を示しています。日本が攻撃されていないにもかかわらず、他国領域を攻撃することになれば、他国同士の戦争に積極的に参加することにほかなりません。
 岸田政権が敵基地攻撃能力の保有検討に至った背景には、軍備増強を続ける中国や、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の脅威があります。周辺情勢の変化に応じて安保政策を見直し、防衛力を適切に整備することは必要です。
 しかし、軍事力に軍事力で対抗することが地域情勢の安定につながるとはとても思えません。逆に軍拡競争をあおる「安全保障のジレンマ」に陥るのは必定です。

◆軍拡増税という分岐点

 抑止力の向上が狙いでも、攻撃的兵器をたくさん備え、他国領域も攻撃できると声高に宣言するような国を「平和国家」とはとても呼べない。戦後日本の平和を築いてきた先人への背信です。
 岸田首相は二三年度から五年間の防衛費総額を現行の一・五倍超の約四十三兆円とし、二七年度には関連予算と合わせて国内総生産(GDP)比2%にするよう関係閣僚に指示しました。二二年度の防衛費約五兆四千億円はGDP比約1%ですので倍増になります。
 そのための財源をどう確保するのか。政府の有識者会議は歳出改革とともに「幅広い税目による負担」を求めています。
 物価や光熱費が高騰し、社会保障費負担も増える一方、賃金はなかなか上がらず、国民の暮らしぶりは苦しくなるばかりです。
 いくら防衛のためとはいえ、国民にさらなる増税を強いるのでしょうか。国民を守るための防衛費負担が暮らしを圧迫することになれば本末転倒です。とても「軍拡増税」など認められません。
 戦争はいつも自衛を名目に始まります。そして、突然起こるものではなく、歴史の分岐点が必ずどこかにあるはずです。
 将来振り返ったとき、「軍拡増税」へと舵(かじ)を切ろうとする今年がその分岐点かもしれません。感性を磨いて耳を澄ましてみると、戦争の足音がほら、そこまで…。
 

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真珠湾攻撃から81年。太平洋戦争の火蓋を切った戦いがカラー化写真でよみがえる真珠湾攻撃から81年。太平洋戦争の火蓋を切った戦いがカラー化写真でよみがえる | ハフポスト NEWS (huffingtonpost.jp)

より一部紹介いたします。
 
「美しい南国のビーチに似つかわしくない戦争の景色」「この光景の再来がないことを願うばかり」と反響を集めています。

■日本軍の狙いが裏目に出た真珠湾攻撃。アメリカの世論は開戦へと傾いた

1941年12月7日午前7時55分(日本時間8日午前3時35分)、ハワイ諸島のオアフ島の海軍基地を、日本軍の航空部隊が奇襲した。これが太平洋戦争の端緒の一つとなった「真珠湾攻撃」だ。

ヒッカム飛行場に爆弾を投下した後、太平洋艦隊が誇る「カリフォルニア」「ウェスト・バージニア」「オクラホマ」そして「アリゾナ」といった戦艦が、日本軍機が投下した爆弾や魚雷によって、またたく間に黒煙に包まれた。犠牲者はアメリカ側の約2400人に対し、日本側は約60人だったという。

主要基地である真珠湾を攻撃することで、アメリカ人の戦意喪失を誘い、短期決戦に持ちこむのが狙いだったが、現実には逆効果となった。

日本の開戦通告は、攻撃の30分前にアメリカ側に届くはずだった。しかし、駐米大使館が本国から受け取った暗号文の解読に時間がかかり、実際にアメリカ側に渡ったのは攻撃の40分後だった。

真珠湾攻撃は「卑怯なだまし討ち」となり、ルーズベルト大統領率いるアメリカ政府は、「リメンバー・パールハーバー(真珠湾を忘れるな)」のスローガンを掲げて、アメリカの世論は、一気に開戦へと傾いた。


戦争はいけない!
決して起こしてはいけない!

その思いが「憲法」だ!
政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることがないやうにする」(前文)

リメンバー、パールハーバー

敵地先制攻撃。それは敗戦への第一歩だった。

「日本人が肝に銘じなければならない痛恨の歴史」(写真報道家・中村梧朗)


生物多様性会議 「30by30」への道筋を

2022年12月07日 | 自然・農業・環境問題

「東京新聞」社説2022年12月7日 

 乱獲や乱開発などによる生き物の消失に歯止めをかけ、結果として人類がその恵みを享受し続ける−。カナダのモントリオールで日本時間の八日始まる国連生物多様性条約第十五回締約国会議(COP15)は、そのために必要な新たな国際目標の採択が焦点になる。

 生き物の消失は加速し続けている。世界自然保護基金(WWF)によると、生物多様性の指標となる野生生物の個体群(ある地域にすむ同種の個体の集まり)は、一九七〇年から二〇一八年までに約七割減少した。

 世界経済フォーラムの報告によると、世界各国の国内総生産(GDP)の総計の半分超に当たる四十四兆ドル(約六千兆円)が自然の恵みに依拠して生み出されているという。農業や漁業をはじめ、経済活動への影響も大きくなる。

 このような状況に歯止めをかけるため、一〇年に名古屋市で開催されたCOP10で、二〇年までに達成すべき二十項目の「愛知目標」が採択された。ところが、国連の条約事務局による最終評価報告では、完全に達成されたものはゼロ。一部達成が六項目という厳しい評価がくだされた。

 今回採択を目指す「ポスト二〇二〇枠組み」と呼ばれる三〇年までの目標は二十二項目からなる。

 中でも注目されるのは、陸域と海域の30%以上を保護区や国立公園などとして保全する「30by30(サーティーバイサーティー)」と呼ばれる項目だ。琉球大などの研究によると、これにより、日本国内で野生生物の絶滅リスクを七割は減らす効果があるという。

 愛知目標が掲げた「陸域17%、海域10%の保全」が未達成だったことを思えば高いハードルだ。

 「『30by30』は美しい冠のようなもの。今回採択されたとしても国だけでは達成できないゾーンに入る」と東京大大学院農学生命科学研究科の香坂玲教授は言う。

 例えば、地域で管理する里山や、企業が所有する緑地といった「OECM(国の保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)」を拡大するなど、民間との連携によって保全地域を広げるための仕組みが必要になる。

 新型コロナのような感染症が流行するのは、自然破壊の影響で野生生物との接触機会が増えたからだとの指摘もある。生物多様性の危機は、人間社会の危機でもある。より高い目標に挑む意欲と実現への道筋を示してもらいたい。


「美しい冠」で終わりそうな予感が・・・・・

散歩道(雪の高速道)

 


日本人はなぜ科学より感情で動くのか

2022年12月06日 | 自然・農業・環境問題

東洋経済オンライン2022.12.03   

石浦 章一 の意見 

   私たちの生活を便利にしてくれる科学技術。その進歩とともに、身近なところで「ワクチンは打ったほうがいいのか? 打たないほうがいいのか?」などと今までにない判断を迫られることも増えてきている。

    濁った池の水を抜いて、池の底まで見通せるようなきれいな池にしたところ……何が起こったと思いますか?

    そのような現状をふまえ、エセ科学に踊らされないための科学リテラシー(科学的な知識を社会のためにどう上手に使えばいいのかを考える能力)がますます重要になってきていると強調するのは、東京大学名誉教授の石浦章一さん。『日本人はなぜ科学より感情で動くのか』を刊行した石浦さんに、科学リテラシーを身につけるコツについて話を聞いた。

透き通ったきれいな池にしたら起きたこと

    私が住んでいる近くの公園では、「かいぼり」といって市民ボランティアが池の水を抜いて、透き通ったきれいな水にしましょうという運動をやっています。そのとき、池の中から自転車が200台以上見つかりました。

    とんでもない話で、夜にそーっと来て池の中に要らない自転車を捨てている人がこんなにたくさんいたということがわかり、かいぼりというのは非常にいいことなんだと、多くの人は思ったようです。

    結論としては、かいぼりをしたところ、濁った水がなくなって池の底まで見通せるようなきれいな池になったのです。100%素晴らしいと思うでしょう。外来種がいなくなり、大型のコイもすべて駆除されて、底まで透き通ったきれいな池になったのですが、何が起こったかというと、かいぼりをしてから数年、魚がいなくなり鳥も来なくなってしまいました。死の池になってしまったのです。

    以前は、いろんな鳥が来ていて、いろいろな魚がいて非常に楽しい池だったのですが、今はほとんど何もいない池になってしまいました。数年たって、鳥は少し回復してきましたが昔ほどではありません。代わりに、外来種の藻が急激に増えて池全体を覆うことも多くなりました。これで本当に良かったのでしょうか。

    いろいろな生物がいるのが地球であり、外来種がなぜ悪いのでしょうか。このような疑問を持ち、立ち止まって考えてみることが、科学リテラシーを身につけるうえでとても大切になります。

    今の日本の外来生物法では、「外来生物」は「海外から我が国に導入されることによりその本来の生息地または生育地の外に存することとなる生物」と定義されています。

「外来生物」とほぼ同じ意味で使われる「外来種」には、人為的に放流された国内の魚なども含まれます。例えばワカサギは、食べるとおいしい魚だということもあり、たくさんの湖に放流されました。だから、今となっては喜ばれているワカサギだって、場所によっては外来種で昔は駆除の対象でした。

    しかし現在の生態系は、外来種の存在も含めてできているわけです。つまり、在来種か外来種かのいかんにかかわらず、現在の環境には、一番そこに適応している生物がいるということです。

    いわば皆さんは生物の進化の途中を見ているわけです。だから外来種を除けというのは、単に昔が良かったという話でしかなく、外来種を駆除することは意味のない話ではないか、という考えも当然あるわけです。

つまり、外来種に生存を脅かされている在来種を保護し、生物多様性を保つことは本当に必要ですか、ということです。

生物多様性重視はアメリカの経済政策の一環だった

    生物多様性が必要という考えが出てくるということは、実際に生物多様性が私たちにサービスをしているということを示しています。実は、生物多様性というのは、もともとはアメリカが経済政策の一環として言い出したことでした。すなわち、生物多様性を保つというのは、生物資源に価値を見いだして金儲けに走ることがなきにしもあらずだったのです。

    例を考えてみましょう。海の中にはいろいろな生物がいて、多様性のある環境が作られています。つまり海というのは、食料も提供してくれるし、その中から医薬品も作られる。例えば、ウミヘビの毒から医薬品が作られたりする例もあります。

遺伝資源(生物が持つ遺伝機能を備えた素材のうち潜在的に利用価値のあるもの)もいっぱいあります。海の中では栄養循環や光合成が行われ、地球上の酸素も海の中でたくさん作られていて、気候変動にも関わってきますから、生物が多様ということがやはり非常に大切なんじゃないかということが、一般の考え方になります。

    あるいは見方を変えると、海を見ているだけで精神が安定することもわかっています。文化的にも非常に大切で、宗教や教育にも影響力がある。ところが、海は種々の物質で汚染されている。汚染を除けば、海は非常にきれいになって、私たちの文化的な生活がよりよいものになるだろうという考え方もあります。

    ところが、生物は全部保護しなければならないかというと、反論もあります。役に立つ生物だけいればいいという考え方です。それに対し、役に立たない生物は絶滅していいのか、と怒っている人はいっぱいいます。かわいいものだけしか保護していない動物愛護も、批判の対象になります。

    また、希少な動物はワシントン条約などで保護されていますが、これは単に「いなくなるのが寂しい」「昔はよかった(昔はたくさんいたのに今はそうではない)」という論理と同じではないか、という批判もあります。

    先ほど述べたように、現在の生態系が現在の地球環境に最も適応したものですから、なんでもかんでも「昔はよかった」というのではよくないのではないかという考えも出てくるわけです。

    しかし、生態学者はそういう考え方に対して反論します。なぜかというと、昔から続いてきた生命の営みを断ち切ることはできないというのです。つまり、生物が多様だからこそ食物連鎖がちゃんと行われるのであって、そのうちの生物が一つでもいなくなると困る、という論理です。ところがそれなら、すでに生態系の一部となっている外来種だけを駆除していいのか、ということになります。

    一般人を感化するにはどうしたらいいかというと、情緒に訴えることが非常に大事です。「昔は良かった、自然がいい」と言うと、みんなだいたい賛成してくれるのです。あるいは「環境にやさしい」と言うと、みんなもろ手を挙げて賛成してくれます。しかし、本当にそれでいいのか。ときには「それは単に研究費を取って学者が生き残るための方便なのではないか」という批判的な視点を持つことも、科学リテラシーの重要な一部になるのです。

    「生物多様性、大事ですね」「里山、大切ですね」など、みんなが唱えている標語のことを「錦の御旗」と言います。この錦の御旗を与えると、みんな喜んで乗るんです。だから、同じように「外来種を駆除しましょう」と言うと、おおよそみんな乗ってくるのですが、考えてみると外来種だって生物です。自分で無理やりその場所に来たのではなく、持ち込まれた場所で必死に生きているだけなのです。だから、そういう2つの別々の考えがあるものを皆さんで議論して、どうしたらいいかを決めることが重要なことなのです。

自然エネルギーの落とし穴

    自然エネルギー(再生可能エネルギー)もすごくいい言葉の響きを持っています。再生可能エネルギーというのは、地熱、潮力、太陽光、風力、バイオマス、こういう自然を使ったエネルギーです。

    例えば、太陽光発電を考えてみましょう。メガソーラーといって広範囲にわたって太陽光パネルを敷くと、太陽の光だけで電力が得られるので非常にいいのではないかと最初は考えられたわけです。これは環境にやさしいですね、と。石炭や石油を燃やさなくても済むわけです。タダの太陽の光が使える。だからある人は、町一面に太陽光パネルを敷いたらどうかとか、ひどい人は、サハラ砂漠一帯に太陽光パネルを敷けばいいじゃないか、とも言ったのです。エネルギーの元がタダだからです。

    でも、もしそんなことをしたら大変なことになります。一帯が暑くなって、巨大な上昇気流が起こる。これは煙突みたいなものです。竜巻のような嵐が出てくるのは当然なんです。こんなことをしたら地球環境がむちゃくちゃになってしまいます。

    さらに、メガソーラーを導入してしまうと、その建設地にいた小さな虫がいなくなってしまうという問題もあります。『絶滅危惧の地味な虫たち』(小松貴著、筑摩書房)を読むと、メガソーラーの普及により、絶滅の恐れがあるメクラチビゴミムシの生息地が失われていることがわかりました。

    彼の言い分では、保護されているのはきれいなチョウや大型の甲虫などばかりで、小さくて地味な虫は保護されていない。だからこのような「絶滅危惧種を保護しよう」などという運動は、「人間にとって」きれいなものだけが対象ではないかと怒っているわけです。確かにそのとおりです。目に見えないようなものは保護されていないのです。

    ここでもう一度ちょっと考えてみましょう。どうして再生可能エネルギーが大事だとみんなが考えるようになったのか。

実は、こういうことなんです。人工的なものはいつか破綻するだろう。原発がそのよい例である。だから自然のもののほうがいいに決まっている。自然のものはタダだ。資源が無尽蔵だからいいのだというのです。

ところが、最初は非常にいい試みだとみんなが思ったわけですが、間違いだということがだんだんわかってきました。コストも非常に高いし、気象はコントロールできません。だから安定供給ができないのです。安定供給ができないということは、ひたすらお金だけがかかってうまく使えないということになります。もちろん、これを効率よく使えるようにするのも一つの方法なのですが、今の段階ではまったく役に立たないという考えがだんだん広まってきたのです。

    例えば、潮力を使った潮流発電も期待とおりには進んでいません。潮流発電というのは、自然に起こる潮の満ち引きを使うわけですから、タダのエネルギーです。これもまたいいのではないかとみんな思ったわけですが、実際にやってみると、実用化が難しく、なかなか使い物にならないことがわかりました。

「保護」と「保存」と「保全」の違い

    ここで、ちょっと大事なことを覚えておいてください。「保護」と「保存」と「保全」の違いです。

    「保護 (protection)」というのは、対象物に対して外部からの改変しようとする力を除き、自然状態のままにしておくことです。これはどういうことかというと、例えばアマミノクロウサギを保護しなきゃいけませんねというと、奄美の自然をそのままにしておけばいいということになります。

    次に、「保存 (preservation)」は何かというと、必要に応じて修復しなければいけないものが対象です。例えば、平安時代に造られた建物はだんだん腐ってくるわけですが、それをちゃんと修復しておいておく、ということが保存になります。

さらに、「保全(conservation)」とは何かというと、これはより良い状態にすることで、改善することも含む概念です。こちらのほうが人間の力がたくさん入っている。それを保全と言います。

だから、この3つは違う意味だということは知っておいてください。特に、「環境保全」は違う意味に使われていることが多いので、注意が必要です。


ん~!
これは考えなければいけません。
池に200台以上の自転車が捨てられている現状で飼っている魚やカメなどを捨てるなとと言っても、果してどれだけの効果があるのだろう?

人間社会においても同じこと。
「排外主義」ではやっていけない現状がある。

自然エネルギーについても予算を増やし、研究開発に力を入れてほしいものだ。
「地熱発電」が日本では有望視されているし、ペロブスカイト太陽電池にも注目している。

「今から始めよ!」現状認識である。

雪景色
家の前

江部乙

今のところ江部乙のほうが雪が多い。

 

 


書道家・石田美智子 詩「武器、基地捨てよ日本よ」

2022年12月05日 | 社会・経済

覚悟を込めた握手

「しんぶん赤旗」まど 2022年12月5日

 詩には切迫感がありました―。書道家・石田美智子さん(91)から、敵基地攻撃能力の保有を憂いた詩「武器、基地捨てよ日本よ」が届きました(1日付既報)。「詩の全文が読みたい」との要望が多く寄せられました。石田さんが部分的に直した詩を紹介します。

 ○…ああ日本よ君を啼(な)く 君、戦うことなかれ まだ百年も経(た)たぬのに 火が降り、若きが散りたるを。広島に生(あ)れし大臣(おとど)なれば、一瞬に死すその影や、放射能に病む人を、よも知らぬとは思われね。「敵基地攻撃能力不可欠」と 今朝のニュースに見出して、朝のこころは晴れやらぬ。日本原発列島に、生くる者なき幻を。壊るる地球その上に、生きる人間の勝手にて 永き未来の豊かさを 戦火に焼(く)べてよいものか。ことばを持てる人なれば ことばの力活(い)かすべし。ああ、日本よ、君を啼く

 ○…4年前に石田さんを取材。巻紙の手紙が届いていました。膝を痛め今年7月が直近の音信でした。

 ○…耳が不自由で対話が難しくても「残る武器はペンと筆」とめげていません。帰り際、あいさつのつもりで握手すると強く握り返されました。「がんばりましょうね」と絞り出す声に平和を守る“覚悟”のすごみを感じました。(寿)

⁂     ⁂     ⁂

次期NHK会長に元日銀・稲葉氏 来年1月、6人連続外部出身

2022年12月5日(共同通信)

  来年1月24日に任期満了を迎える前田晃伸NHK会長(77)の後任に、元日本銀行理事の稲葉延雄氏(72)が決まったことが5日、関係者の話で分かった。外部出身の会長は6人連続。NHK経営委員会(森下俊三委員長)が同日選出した。前田氏は1期で退任となる。(以下略)


 前川喜平さん、残念!
だば、日本の首相になってもらうか!
「野党」はもっと具体的に動いてほしいな。

今日の江部乙、モノクロの世界。

 


効果ある救済新法に

2022年12月04日 | 社会・経済

統一協会問題 国会審議前にシンポ

「しんぶん赤旗」2022年12月4日

 統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済新法の審議が国会で本格化するのを前に2日、緊急シンポジウム「統一教会の実態を徹底的に暴く」(共同テーブル主催)が東京・永田町で開かれました。全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士らが発言し、救済新法が実効性あるものになるよう、与野党に求めました。

 評論家の佐高信氏がコーディネーターを務めました。

 全国弁連の山口広代表世話人が統一協会の概要を解説。「協会は単なる宗教団体ではなく、政治や言論、事業など幅広い活動部隊を持つ複合体。開祖の故・文鮮明や後継者で妻の韓鶴子から日本統一協会に『今年の献金目標は何百億円』と指示があれば、日本側は『神の指示』として死ぬ気で取り組む、そういう組織だ」と語りました。

 全国弁連の川井康雄事務局長は、閣議決定された法案が法人による寄付勧誘について「自由な意思を抑圧する」ことなどを「配慮義務」としていることを指摘。「ここは非常に重要な問題。配慮義務でなく、禁止規定にするべきだ」と述べました。

 また、法案の対象が寄付(献金)に限定されているとして「寄付は統一協会の被害の一側面にすぎない。大枠として問題だ」と指摘しました。

 長く統一協会問題を取材してきたジャーナリストの鈴木エイト氏は「救済法案の制定に向かうのはいいが、肝心の、協会と深い関係にある政治家の追及がおろそかになっている。法案成立で決着したかのような雰囲気になるのを懸念する。メディアは報道を続けてほしい」と語りました。


今日もこのような天気です。


言葉の海へ:壊れゆく国(鈴木耕)

2022年12月03日 | 社会・経済

By 鈴木耕

マガジン9  
 マガジン9 (maga9.jp)
 

共産党区議の不用意な発言

 さすがに、岸田政権(というより自民党政権)はもう終わりでしょう。これだけ疑惑の連鎖が浮かび上がると、いくら自民党岩盤支持層のネット右翼諸氏だって、かばいようがない。だから、最近それらしき人々の勢いがない。
 反日だ! 売国だ! といつものように喚きたくても、それを強調すれば、彼らの大好きな安倍晋三氏にブーメランだもの、黙るしかない。
 ところがサッカーW杯に関して、ある共産党の区議さんが「日本代表は勝っちゃうしで、残念」などと、おかしなことをツイートしたものだから、ネット右翼諸氏の溜まりに溜まっていた憤懣が一気に爆発した。しかも共産党区議が相手だから、その噴出ぶりはすさまじい。考えてみれば、その区議さんもバカな発言をしたものだ。
 マスメディア、とくにテレビの異様なほどのサッカー報道に嫌気がさしている人は多い。ぼくだってそのひとりだ。ぼくは別にサッカーが嫌いじゃない(ラグビーのほうが好きだけれど)。W杯だって、試合を見ているのは楽しい。今大会も、夜中にひとりで日本戦を楽しんだりした。でもぼくは、「過剰」が苦手なのだ。みんなが一斉に熱くなって同じ方向に突っ走る「過剰な同調」が嫌なのだ。
 多分、あのツイッターの区議さんも、そんな軽い気分でツイートしてしまったのだろう。開催国カタールの人権侵害に抗議したドイツのサッカー協会の態度と、日本サッカー協会田嶋幸三会長のひどいコメントを比較して、この区議さんは「日本とドイツのサッカー協会の差を見せつけられちゃうし…」という前置きを書いているのだ。それはまっとうな批判だったのだから、そこで止めておけばいいものを、つい余計なことまで書いちゃった、というのがことの真相だろう。
 でもぼくは、そのツイッターを見た時に「あ、こりゃダメだ」と思った。スポーツと政治の絡みを批判する言説には強く反応し、「スポーツを政治の世界に引き込むな」などと叫ぶネット右翼の主張に、この区議さんは無防備だったということだ。当然のように〈反日! 売国!〉と罵倒されることなる。そういう反応が出るということに気づかなかったのなら、政治家としてはかなりお粗末だと思わざるを得ない。
 ネット右翼の人たちが、噴出場所を見つけられず、鬱々と自分の中に溜め込んでいた憤懣のはけ口を、この区議さんはわざわざ提供してしまったのだ。
 案の定、ネット右翼大爆発。いやはや、その罵倒ツイートの凄まじいこと。ここにはとても書けないような汚語のオンパレード。“ニッポン大好き”の人たちだから、誰に遠慮することもなく、ありとあらゆる罵声を浴びせることができた。しかも対象が、あの「共産党」である。ここぞとばかりのお祭り状態。
 久しぶりの鬱憤晴らしとなったわけだ。
 さすがに困ったのは、日本共産党。すぐに「あのツイートは区議個人の感想であり、日本共産党としての見解ではない」などとツイートもしたけれど、一度見つけた標的を、そんなに簡単に手放すネット右翼諸氏ではない。だって、ほかにパンチを浴びせられる対象が見つからないのだから固執するのだ。

ネット右翼の陥った矛盾

 安倍晋三氏の死によって拠り所を失った岩盤支持層とされるネット右翼層。比較的リベラルだとされる宏池会の岸田氏には、いまひとつ乗りにくい。しかも、閣僚は次々とドミノ辞任してしまう。岸田支持とは言いにくい。
 統一教会癒着疑惑は収まらない。ネット右翼諸氏も、教団創設者の文鮮明が徹底的な日本蔑視の言説を繰り返していたことを知れば、癒着議員を応援するわけにもいかない。教団を批判すれば、安倍批判につながってしまう。それでも安倍氏にすがるしかない。それが今、ネット右翼が陥っている矛盾なのだ。

 安倍派(清和会)には、安倍後継といわれる人物がまったくいない。もとはといえば、自分の権力維持のために、きちんとした後継者を育ててこなかった安倍氏自身の責任なのだが、ほんとうに人材枯渇の安倍派である。
 名前の上がっている“安倍後継”は、萩生田光一氏、西村康稔氏、下村博文氏、松野博一氏、稲田朋美氏、世耕弘成氏の6人らしいが、いずれもキズが目立ちすぎて、とてもじゃないけれど派閥の領袖としての器量はない。
 萩生田氏は政調会長として一定の権力を持つが、なにしろその傲慢な性格と言動には反発が多い。何より統一教会との関係の深さが致命的だ。
 西村経産相も傲慢体質は同じ。出張時にはお付きの官僚たちが「お土産係」だの「荷物運び係」、さらには「食事の好き嫌い調査係」などと気を使わなければならないほどの俺様ぶり。これでは人気が出るはずもない。
 下村元文科相に至っては、大臣時代に統一教会の「世界統一平和家庭連合」への名称変更を突然認めたことへの批判に対し、シラを切り通すという厚顔ぶり。
 稲田元防衛相は、安倍の秘蔵っ子として「初の女性首相候補」などと持ち上げられた時期もあったけれど、選択的夫婦別姓制度を巡って、高市早苗氏や山谷えり子氏などの党内ゴリゴリ右翼連中から目の敵にされて、あえなく沈没。
 さらに世耕参院幹事長や松野官房長官も名前が挙がるけれど「あんな小粒に派閥を任せられるか」と、ベテラン連中からは鼻もひっかけられないという。
 こう見てくると、いずれも帯にも襷にも短すぎて使いようがない。せいぜい、羽織のヒモ程度。いずれ、派閥内抗争が起きて安倍派分裂、というのが大方のジャーナリストたちの見方だという。

立憲民主と維新の共闘? 冗談でしょ!

 岸田政権の命運は、どう贔屓目に見ても長くはない。国政選挙がない3年間は安泰で「黄金の3年間」になるだろうと、岸田内閣発足当初は言われたものだ。しかし、岸田氏のあまりの愚図ぶりに、もう解散総選挙しか道はないとの意見まで出る始末。
 そこで、本来なら「好機到来!」と意気が上がるはずの野党なのだが、これがまたどうしようもない。それこそネット右翼に「じゃあ野党に任せられるか」と言われると、考え込んでしまうような状態が続いている。
 ことに、ぼくが危惧するのは立憲民主党と維新の会の接近ぶりだ。
 ぼくは、立憲と維新の選挙共闘は絶対的に拒否する。ぼくが重視する「憲法」「原発」「防衛」の3つのテーマでは、絶対に維新とは相いれないからだ。憲法は改悪の方向、原発は推進、防衛費増大の軍事大国化に賛成。これが維新の政策の肝ではないか。そんな政党と腕を組むなら、そんな腕は切り落とせ!
 統一教会被害者の「救済新法」では、たまたま共闘できているようだが、これが選挙にまで影響を及ぼしかねないほど、立憲泉健太代表は前のめりだ。ぼくは野党共闘を強く支持するけれど、立憲民主党+維新の会の共闘は、まさに別の「悪夢」の到来としか思えない。

この国は、もうダメかなあ…

 安倍氏の死に伴って、統一教会と自民党との凄まじいほどの癒着が暴露された。埋め込まれていた時限爆弾が、安倍氏の死をきっかけに爆発したのだ。安倍岩盤支持層のネット右翼は、そのため一時の勢いを失った。それはいいことだけれど、溜まった彼らの鬱憤の矛先が、別のターゲットへ向かった。
 今に始まったことではないけれど、安倍バンザイが言えなくなって、その分、彼らのヘイトは沖縄と在日朝鮮韓国人へ向かった。彼らにとっては、ヘイトの対象は何でもいいのか? ひたすら他人の悪口を言えればそれで満足なのか?
 自分と違う(と認識した)人たちを罵倒することで鬱憤晴らしをする。それは、人間としてとても悲しいことだとぼくは思う。
 ぼくは「沖縄タイムス(電子版)」を購読している。地元に密着したジャーナリズムの在り方を、この新聞は(琉球新報も含めて)体現している。それを極左だパヨクだと、読みもしないで罵倒する連中。そして、まるでせせら嗤うように皮肉を言う「ひろゆき」という人やその支持者たちを、切ない目で見ている。
 内田樹さんがこんなツイートをしていた。

朝刊開いて記事読んでいたら、「もう日本は終わりかも」という暗い気分になってきました。官民問わず、システムを管理する側の人たちには「それではお天道さまに顔向けできません」とか「ことの筋目が通りません」とか「人としていかがなものか」というふうに考える習慣がなくなったようです。(11月29日)

 同じ29日、電通や博報堂の「五輪談合」の記事を読んでの感想として、実はぼくも、こんなふうに呟いていた。

  しみじみ、この国はもうダメかなあ…と感じている。


参考資料 Football Tribe Japan - 11月22日より抜粋

 カタールW杯の開催を巡っては、カタールの法律で同性愛が禁止されていることにより、性的マイノリティに対する人権侵害が問題となっている。またワールドカップのスタジアムやトレーニング施設等の建設に携わった外国人労働者に対する給与未払いや違法労働も問題視されている。

 これらの問題に対しては、ドイツ代表OBのフィリップ・ラーム氏がカタールW杯のボイコットを宣言。国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター元会長が「カタールに開催権を与えることは間違いだった」と語るなど、多くのサッカー関係者から反発の声が上がっている。

 そんな中、田嶋幸三会長は21日に日本代表のトレーニング施設を訪問。一部メディアの報道によると、同会長は「差別や人権問題については、協会としていい方向に持っていきたいと思っている」と前置きした上で「今この段階でサッカー以外のことでいろいろ話題にするのは好ましくないと思う。他の代表チームも同じスタンスであってほしい」と語ったという。

 いやいや、「まともな」人はまだたくさんいる。いや、少数なのかもしれない。八方ふさがりの感ではあるが展望はある。統一教会、創価学会と政治の癒着を断ち切ることだ。「日本を前に」!後ろに引っ張る公明党!「自民党に殺される」前にたちあがれ!


驚くほどの低さ。厚労省職員のコロナワクチン“接種率10%”は本当か?

2022年12月02日 | 健康・病気

MAG2ニュース 2022.12.02

by 新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』

 

強制ではないものの、小児の接種にも努力義務が適用されている新型コロナワクチン。しかしその政策を取り仕切る側の人間たちは、ワクチンを避ける傾向にあるようです。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんが、とある勉強会で表面化した「厚労省職員たちの低接種率疑惑」を紹介。さらに1,908件にも上るワクチンの副反応が疑われる死亡例数を異常とした上で、コロナワクチン接種を推奨するにあたり、インフルエンザワクチンを遥かに上回る死亡率を明示しない厚労省を批判しています。

 

厚労省、コロナワクチン接種率10%の衝撃

 厚労省職員の新型コロナワクチン接種率が10%程度だとしたら、読者諸氏はどう思われるだろうか。

おいおい、待ってくれよ。そっちが推進してるんだろ…と疑念や怒りがこみ上げるに違いない。

国民にワクチンの効能を説き、接種にせき立てておいて、自分たちは副反応が恐いからやめておこうというのでは、国家スケールのイカサマではないか。

 疑惑が表面化したのは、11月25日のことだった。ワクチン接種に慎重な国会議員たちの超党派議連(会長・川田龍平参院議員=立憲民主党)の勉強会。新型コロナワクチン接種後に亡くなった人の遺族たちが、厚労省のワクチン関連部門の担当者たちと向き合った。

そのなかで、妻を亡くした遺族がこう語った。「あんたたち、マスコミ使って打て打てとあおりまくって、結果がこれでしょ。あんたらほとんど打ってないでしょ。厚労省の職員の接種率なんか10%くらいじゃない」

 ネット動画番組でこの場面を見ていた筆者は、「厚労省の職員の接種率なんか10%」というのを聞いて、最初は、何かの勘違いか、言い間違いではないかと思った。

しかし、どうやらそうではないらしいのだ。同席していた京都大学の福島雅典名誉教授が厚労省側に問いただした。

「いま仰った話に愕然とした。厚労省の職員の接種率は10%なのか。厚労省、国会議員、行政の関係者の接種率をしっかり提示してください」

厚労省健康局の予防接種担当参事官は、厚労省の接種率について、こう答えた。

「本日、そういったデータのほうは持ち合わせておりませんので…」

それに対し、福島名誉教授は「それが確認できんというのは組織的怠慢じゃないの。そんなものすぐ出せるはずだ」と憤った。

 福島氏は、科学に基づく医療、患者の権利の保護をめざし、日本にインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)を根付かせた先駆者だ。医療の「病根」に挑んできたベテラン医師ならではの迫力が激しい口調から伝わってくる。

官僚が「データを持ち合わせていない」というのは、たいがい正直に言うと都合が悪い時だ。ワクチン担当者が自分の役所の接種率を把握していないはずがないではないか。かりに「10%」がかけ離れた数字であるなら、即座に否定するはずである。筆者は、このやり取りを見て、「10%」が事実に近い数字なのだろうと確信した。

 ワクチンに関する情報にアクセスしやすい厚労省の官僚たちが、ワクチンを避けているとしたら、そのリスクの高さを知っているからではないか。自分たちはそのリスクから逃れ、国民には効果ばかりを宣伝して、接種に駆り立てている。そう疑われても仕方がない。

これまでにワクチン副反応が疑われる死亡例は1,908件にものぼっている。厚労省はそれらいずれについても、ワクチン接種との因果関係を認めていないのである。

そのため遺族は国の予防接種健康被害救済制度の救済が受けられず、悲痛な思いで日々を過ごしている。

 この日の会合で実情を訴えた宮城県の須田睦子さんは、夫の正太郎さん(当時36歳)を失った。正太郎さんは昨年10月、2回目の接種をした直後、関節痛と39度をこえる高熱に襲われた。3日後の朝、寝床に横たわったまま小学校3年だった長男の隣で亡くなっていた。解剖の結果、死因は「急性循環不全」とされたが、それまで正太郎さんはこれといった病気をしたことがなく、睦子さんがおなかに宿した子の誕生を心待ちにしていたという。

 大阪府の山田さんは夫(当時55歳)と二人で30年間、飲食店を経営してきた。夫は昨年6月、1回目の接種をした翌日、亡くなった。心臓疾患があったが、基礎疾患のある人は優先されたので、国を信用して積極的な気持で接種会場へ向かった。解剖医からは「ワクチンは関係ない、ただの心臓病や」と言われ、悔しかったという。

2人とも頼りにしていた配偶者をワクチン接種後に突然失い、途方に暮れたが、国からの救済はない。

 厚労省は何をもって、ワクチンとの因果関係がないと判断したのか。厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会に提出された「専門家の評価」資料には「情報不足などによりワクチンと死亡との因果関係が評価できない」という判定結果が記されているのみである。

福島名誉教授は、厚労省の判定方法を厳しく糾弾した。

「紙切れ一枚でどうやって評価するの。現場行ってカルテ見ないとだめなんだよ」「臨床的にカルテ見て、データを見て、一例一例きちっと丁寧にやれ。人の命がかかっているんだから」「調査委員会を設けて統計家とまともな学者を入れて全例調査しなさいよ」

 たしかに、副反応検討部会の議事録などを見ると、メンバーである厚労省御用達の学者、研究者たちが、長時間にわたって議論しているわりには、個々の事例には踏み込まず、とどのつまり、報告資料の中身を追認しているだけのように思える。

では、因果関係なしと判定した専門家とは誰なのか。それについて、同席した小島勢二名古屋大学名誉教授から次のような疑問の声が上がった。

「どういう形で死亡例を判定しているかと思って厚労省の資料に全部目を通したら、それで気がついたのが、これをやっているのは臨床医とは思えないということ。大学の講師以上の専門家が2人合議して判定しているというので、その専門家の医師免許の取得率はどうですかと聞いたら答えられなかった。専門家なら100%医師免許を持っているはず。あのレポートを見ると、担当医が100名以上、病理医が30人以上、この(ワクチン)が原因だと言っているのをすべて否定している。臨床医は普通、そういうことをしない」

 小島氏があらためて「専門家というのは誰なんですか」とただすと、厚労省側はこう答えるのみだった。「我々のほうで、必要な資質を持っている者で対応させていただいております」。

「我々のほうで、必要な資質を持っている者」とは、厚労省の医系技官をさすのだろうか。なぜそういう曖昧な言い方をするのか、不透明きわまりない。

 ここで、ワクチン副反応が疑われる1,908件という数字が、いかに異常であるかを確認しておこう。いちばん分かりやすいのがインフルエンザワクチンとの比較だ。

 首相官邸のホームページによると、11月28日に公表されたコロナワクチンの総接種回数は3億4,727万回。ワクチン副反応の疑い死が1,908件だから0.000005%ほどの死亡率だが、決して低い数字ではない。インフルエンザワクチンの死亡率は、それよりはるかに低い。たとえば、平成30年シーズンのインフルエンザ推定接種回数は5,251万回だが、副反応が疑われる死亡例は3件にすぎなかった。

 厚労省が今からこの数字を明確に示したうえで、ワクチンを推奨したとしたら、これまで通りの気軽さで接種に向かえるだろうか。むろん、厚労省はそんなことはしないだろう。たしか、国は新型コロナワクチンの確保にこれまで5兆円近い税金を投入しているはずである。いまさら後に引けないのだ。

 新型コロナワクチンを推進する厚労省の職員が10%しか接種していないのではないかという疑問に、いまだ厚労省は答えていない。筆者は必ずしもワクチンを否定するわけではないが、それだけに、ワクチン接種後に亡くなった方々に対する行政姿勢と隠ぺい体質を残念に思う。

 かなり前に、筆者にも5回目の接種を促す案内状が届いたが、机の上に置いたままにしている。いつまで打ち続けねばならないのかと、不安になってきたからだ。厚労省が徹底した副反応調査を進め、積極的に情報を開示しないかぎり、接種を受ける気にはならないだろう。

新恭(あらたきょう)

記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。


取材現場から~ワクチン接種反対の医師 その理由は

雪景色
家回り



江部乙


30%の支持率で「首相の座」いかにも,適材適所!

2022年12月01日 | 社会・経済

ヘイトの見本市”杉田水脈政務官薄ら笑いでデタラメ答弁連発!挑発40分“面の皮”に慄然

日刊ゲンダイDIGITAL2022/12/01 

 11月30日の参院予算委員会は慄然モノだった。立憲民主党の塩村文夏議員が差別発言を平然と繰り返す杉田水脈総務政務官の資質を40分あまり追及。薄ら笑いを浮かべた杉田氏はデタラメ答弁を連発し、「日本には命に関わるひどい女性差別は存在しない」と言い出し、審議は何度も止まった。安倍元首相の子飼いアピールで生き延びてきた杉田氏は、さながら「ヘイトの見本市」だ。

 杉田氏の異常な思考回路は「LGBTは生産性がない」で周知だが、女性差別も常軌を逸している。性暴力被害を訴えたジャーナリストの伊藤詩織さんを取り上げた英BBCの番組(2018年6月)のインタビューで、「彼女の場合は明らかに女としての落ち度があった」と発言。伊藤さんを中傷するSNS投稿に「いいね」を大量に押して東京高裁から賠償を命じられたが、最高裁に上告。20年9月の自民党内の会議で内閣府が性暴力被害者支援施設の増設を説明した際には、「女性はいくらでもウソをつけますから」と言い放った。

 塩村氏から「落ち度」や「ウソ」について問われた杉田氏は、「性暴力被害者に対して申し上げたことでは全くございません。女性を蔑視する意図も全くございませんでした」と、あからさまなウソ。その挙げ句、「BBCのインタビューを受けたのは4年前。当時は不起訴で検察(審査会の議決)も不起訴相当ということで、性暴力も性被害者も存在していなかった」とイケシャアシャアだ。

 14年10月の衆院本会議で「男女平等は絶対に実現し得ない、反道徳の妄想です」とブッて、男女共同参画社会基本法の廃止を求めたことについては「現在とは異なる政党に所属をしていた」と釈明。杉田氏の古巣は旧日本維新の会で、当時は次世代の党所属だったが、子どもの言い訳にも劣る。

 極め付きは16年の国連女性差別撤廃委員会に関するブログ投稿。「小汚い格好に加えチマ・チョゴリやアイヌのコスプレおばさんまで登場」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」などと罵詈雑言だったのだが、「100人ぐらいの方々が私を取り囲んで至近距離で罵声を浴びせた。当時、一般人だった私がこのような感想を持つのは仕方がなかった」とまたウソ。再選できず「タダの人」だっただけで、ブログには「近寄ろうとすると大勢の人間に囲まれました」と書いていた。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。

■ヘイト政権だと国内外に示したようなもの

「岸田首相は例によって〈適材適所〉とかばっていますが、こんな人物を政府に入れた時点で差別容認のヘイト政権だと国内外に示したようなもの。一連の辞任ドミノしかり、自民党にはこのレベルの議員しかいないということでもある」

 一事が万事だ。


札幌まで出かけていて更新が遅くなりました。
こちらも風があり、ときたま視界がきかないホワイトアウト状態に・・・
バスにしておいてよかったです。

しかしねぇ~
これで「適材」というのだから、終わってる。
おまえが一番「適材適所」だわ!!!