劇場で映画を見る機会がめっきり減っているここ数年であるが、
結構映画好きな私。たいていどんな映画も私なりに楽しむ。
中でも、
「スカッとして、元気をもらえる」映画と
「変わりようのない状況ややり場のない感情を突きつけてくれる」映画は、
特に好きだ。と言うより、私には時折必要らしい。
それぞれ、
ジェットコースターやスカイダイビングの時の爽快感や
久しぶりにあった親友や親戚と、泣いたり笑ったり、溜息をついたりした後で
「じゃあ、またね。」と別れる時のなんともいえない気持ちを映画を通じて体験させてくれる。
「悩みを一気に吹き飛ばすやり方」と「じっくり見つめるやり方」の両方がないと
バランスが取れないものなのかも。
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河瀬直美監督の「殯の森」がカンヌ国際映画祭グランプリ受賞。
彼女の作品は、わたしの中ではもちろん後者の
「変わりようのない状況ややり場のない感情を突きつけてくれる」映画の類にはいる。
そのなかでも、柔らかな女性らしさを感じる作品。
1997年にカンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を劇場映画デビュー作「萌の朱雀」
でとったときから、気になっている監督。女性であることもその理由の一つだろう。
「萌の朱雀」のタイトルシーンで、たおやかに揺らめく竹林を見た時に、なんとも言えぬ
新しい感覚が伝わってきたのを今でも覚えている。
「殯の森」についてHPなどですこし調べてみたが、「萌の朱雀」の時と同様、
1/f を感じさせる自然の風景が効果的に使われているようだ。
近くの映画館で上映されるといいなあ。
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「殯」(もがり)とは?
初めて聞く言葉なので、調べてみた。
一説に「喪あがり」の意で「あらき」に同じ。(広辞苑より)
「あらき」(荒城・殯)をひくと、
「貴人の本葬をする前に、棺に死体を納めて仮に祭ること。またはその場所。」(広辞苑より)
とある。
「もがり」が名詞なら、「もがる」は?と「もがる」も調べたり。。。
「もが」とくれば、「もがく」が一般的に思いつく唯一の言葉で、
音的には、「もがり」はまず私に「葛藤」を感じさせた。
「殯の森」では、主演の二人の名前がそのまま登場人物の名前。
自分の演じる役の名が自分の名前であるということは、
一体どんな感覚がするものなのだろう。