吃飯了没有?

元中国深セン駐在員のブログ~中国・中国芸能情報・各方面の旅行日記、日本の街歩き情報を配信します。

楊逸著「時が滲む朝」

2009-06-13 22:08:02 | 本・雑誌関連
ときどき
先週6月4日は天安門事件の20周年でしたが、各地で追悼式が行われていました。この天安門事件は、昨年芥川賞を受賞した楊逸さんの「時が滲む朝」の題材として取り上げられています。

この本は天安門事件から北京五輪にかけて中国民主化を願って活動した若者たちの半生を綴った小説ですが、皆様は読まれましたか?

と書きましたが、この小説、この程度のレベルでどうして芥川賞を受賞できたのか・・・、内容は雑で浅く日本語は読みづらく、理解に苦しんでしまいました。今彼女の別の小説「金魚生活」を読んでいますが、こちらの方が主人公の揺れる心の変化が伝わってきて面白いと感じています・・・。

邱永漢著「食は広州に在り」

2009-05-29 23:51:14 | 本・雑誌関連
中国華南地区にお住まいの方で、少しでも食に興味があって本がお好きな方でしたらこの本をお読みになられていることでしょう。その本は「食は広州に在り」。「食は広州に在り」と言われるように中国料理の代表格・広東料理にまつわる数々のエピソードを食通の著者がウンチクを傾けて書いた傑作エッセイ集ですが、書かれたのが50年も前というのが不思議なくらい、古さを感じさせない内容となっています。

食への洞察、軽妙なユーモアを確かな文章力が支えていて、巷の食物エッセイとは一線を画します。それもそのはず、台湾で生まれ、東大を卒業し、その後亡命に近い形で香港に居を構え、文筆活動を始めるため東京に移住する中で、望郷の念を感じつつ、日々の生活の情景描写の中に著者の食へのこだわりがにじみ出てきているからです。面白いエッセイが多く、非常に参考になる1冊です。

粽の話、魚の話、酒の話、冬瓜の話、マカオ名物塩漬け魚(ハムイ)の話、豆腐の話、お粥の話等々・・・、面白い話ばかりですので食にこだわりのある方は是非一度はお読みになってみてください。

尚、彼はようやく食エッセイの新作「口奢りて久し」を昨年単行本で出しました。今それを読んでいますが、これもまた面白い内容です。

星野博美著「愚か者、中国をゆく」

2009-05-27 23:45:44 | 本・雑誌関連
久々に本の紹介です。が、著者は以前2度紹介したことのある星野博美さんです。本の名は「愚か者、中国をゆく」です。

交換留学生として香港に渡った著者が1987年、アメリカの友人、マイケルと中国旅行に出たときの紀行文です。中国社会が大きな転換期を迎えたこの時期に、著者が感じた「大国」の本質を鋭くとらえた貴重な記録ですが、これが20年前と言う大昔の話ではなく、たかだか20年前の話だということにぜひ留意していただきたいと著者のあとがきが書かれています。

本書のタイトルの「愚か者」はドストエフスキーの著書ですが、この言葉は香港からウイグルまで旅行する中で広がる著者とマイケルとの間の心の溝を象徴していて、旅行の中で不条理な生活を余儀なくされる中でお互いの心が離れていく状況が描かれていきます。

ここ中国にお住まいの方なら一度は体験したことのある驚きや、日本人とは異なる現実に出会いながら、そこに生きている中国人と等身大の自分とを優しく見つめる眼差しが感じられます。以前に何作か彼女の著書を紹介しましたが、彼女の作品は非常に温かさを感じるものばかりですので、一度はご覧になられてみてください。

星野博美著「謝々!チャイニーズ」

2009-03-10 22:25:51 | 本・雑誌関連
以前ここで星野博美さんの著書「転がる香港に苔は生えない」を紹介しましたが、彼女の本に共感された方はこの本も必ず読まれたことでしょう。その本は「謝々!チャイニーズ」。

この本は著者が1993年に、中国華南地区をバスを利用して単独で旅行したときの旅行記ですが、計画性と即興性、用心深さと無防備さ、骨太な表現を覆す繊細さが折り重なり、独り旅の醍醐味を堪能させてくれます。

ここ中国は彼女の手にかかると、本当に人間と人間の近さ、温かさ、更には暑さまで感じることができ、日頃感じてしまう人間関係によるストレスを逆の方向に導いてくれます。読んでいてとにかく彼女の優しさと強さが感じられ、その場に居合わせたい気分になってしまいますし、また本を読んだ後もそのような体験をしてしまいたくなる不思議な文力を有しています。

広西、広東、福建、浙江とどの章を読んでもそれぞれの人間模様が描かれ、読んでいて楽しいです。お薦めの1冊です。

沢木耕太郎著「深夜特急1香港・マカオ」

2009-01-06 23:46:21 | 本・雑誌関連
この本は1980年台に発表され、2000年台に文庫本化されたという古い本であるにもかかわらず、未だにバックパッカー達のバイブルとなっている。旅好きな読者の心を惹きつけてやまない。

当時の香港・マカオはまだマフィアが横行していた時代であり、この本に出てくる著者の香港裏社会やマカオ賭博場での体験が、煙草や麻薬の煙に漂っているかのような幻覚を覚える。

しかし内容は当時著者が現実として体験された事柄なのである。今の香港・マカオとのギャップに隔世の念を覚えてしまう。

この本に出会えたことで、香港・マカオの真髄に少しでも触れることができたとともに、旅の素晴らしさを改めて確認することのできた1冊となった。香港・マカオ・中国華南地区に住んでいらっしゃる旅好きな方の必読の書(決して言い過ぎではない)。

私は大小賭博の部分に惹かれてしまいましたが・・・。(笑)

星野博美著「転がる香港に苔は生えない」

2009-01-06 23:07:13 | 本・雑誌関連
読書、そして香港に興味のある方なら目を通された方が多いでしょう。その本の名は星野博美著「転がる香港に苔は生えない」。この本で彼女は大宅壮一ノンフクション賞を受賞されています。

内容は、1997年7月1日の香港返還前後の2年間を留学生として香港で過ごした彼女が、日常の生活で遭遇する様々な人間模様と彼女自身の心の変化をヴィヴィッドに描き出した作品です。

この本を読んでいるだけで当時の香港人、そして大陸から流れ着いた人々の心情・生活観を汲み取れるだけでなく、香港の本当の世界を彼女独特の優しいときには厳しい眼差しを通して知ることのできる珠玉の1冊です。

この本を読んで彼女の足跡を辿ってみたくなった読者は非常に多いことでしょう。私も未だ訪れたことのないこの本に紹介されたディープな香港をもっと知りたいと感じてしまいました。