今まで本カテゴリー(高山植物)で扱った花は東北の高山で見たものが大多数を占めている。
東北の山は(尾瀬の燧岳を除くと)一番高くても鳥海山の2200m程度であり、
厳密な意味での高山帯(草本帯)は存在しないと言われる。
しかし山に行くと、標高が1400mを超えるあたりから、早くも森林限界が現れ、
高山帯のような景観になることが多い。
極端な場合は奥羽山系の真昼岳のように1000m程度でも森林限界に達している。
森林限界が異常に低くなっているのは、緯度よりも、厳しい気象条件(豪雪、強風)や山体効果、
他には(早池峰山や一部の火山では)地質的な要因もあると思われる。
そのため、既に本カテゴリーで報告しているように数多くの高山植物が見られるわけだが、
中部山岳や北海道には有るのに、東北の山には無いものもけっこう有った。
本編ではそういった植物を集中的に取り上げてみるが、
まずはウルップソウとツクモグサだ。
1993/07/16 白馬岳三国境にて。ウルップソウ。
写真は大昔(1990年と1993年)、北アルプス白馬岳で撮っものである。
当時はリバーサルフィルムを使用しており、後にフィルムスキャナーで画像ファイルに変換した。
既にフィルムの劣化が進行しており、あまり鮮明とは言えないが、どうかご寛容頂きたい。
1990年7月下旬に初めて白馬岳に登った折り、山頂でウルップソウを見たが、
残念なことに花は終わり、黒い棒のようになっていた。
その隣にやはり花は終わっていたが、ツクモグサらしき実を見つけた。
1990/07/28 白馬岳山頂にて。ツクモグサの実姿。
これらの花は開花が早い。
真夏の登山シーズンには花後のものしか見られないと知った。
1993年は7月中旬に登っているが、三国境のガレ場で、見慣れぬ花風景に遭遇した。
それはツクモグサの群生だった。
1993/07/16 三国境にて。
1993/07/16 白馬岳三国境にて。ツクモグサ。
ツクモグサ Pulsatilla nipponica はキンポウゲ科オキナグサ属で日本固有種。
生育地は本州では雪倉岳、白馬岳、八ヶ岳、北海道ではポロヌプリ、石狩山地、芦別岳、日高山脈。
白馬岳(三国境)では、
イワベンケイやミヤマキンバイ、ウルップソウと一緒に小さな叢を作っていた。
ツクモグサとイワベンケイ
ツクモグサとオヤマノエンドウ、ミヤマキンバイ、ウルップソウ
ウルップソウ Lagotis glauca は、本州ではツクモグサと同じく雪倉岳、白馬岳、八ヶ岳、
北海道では礼文島、色丹島に隔離分布しているが、
国外では千島列島、カムチャツカ半島、オホーツク、アリューシャン列島、アラスカと広く分布している。
1993/07/16 白馬岳三国境にて。ウルップソウ。
1993/07/16 白馬岳山頂付近にて。バックは杓子岳。
1993/07/16 白馬岳山頂付近にて。ウルップソウは構造土上に群生していた。白っぽい花はハクサンイチゲ。
白馬岳では他にも、東北では見られない花にいっぱい巡り合っている。
ここでは二種類だけ。
チョウノスケソウ Dryas octopetara var. asiatica
はバラ科。名前は「草」だが低木。またチングルマに似ているが、別属。
分布は本州中部、北海道、千島、サハリン、朝鮮半島北部など。
基準変種のvar. octopetara は、北半球の高山帯や高緯度地方に広く分布。
1990/07/28 白馬岳にて。チョウノスケソウ。残念ながら花は終わる寸前だった。
1990/07/28 白馬岳にて。ハゴロモグサ。
ハゴロモグサ Alchemilla japonica
もバラ科。花は地味だが、以前、ガーデニングをやっていた頃、
近縁種のアルケミラ・モリス(レディース・マントル)を長年栽培していたので親近感がある。
本州では北アルプスと南アルプス、北海道では夕張岳のみ、海外では南千島、サハリンに稀に産する。
以上。
以前にも書きましたが、特にツクモグサは八ヶ岳で咲くのをまってコースを変えて登っています。日帰りで頑張ってますが、いつまでがんばれるかな~
昨年ははやくいきすぎました。
ちょうどいい時期にはウルップソウ、チョウノスケソウ、オヤマノエンドウなどが並んで咲きます。モウズイカさんのように構図に凝って撮ってみたりします。
そうそう、チョウノスケソウはカナダでは黄色い花もありました。
カナダの山も花いっぱいですから、できればもう一回行きたいと思ってます。2012年7月7日~15日・アッシニボインとロブソン
私はもはや北アルプスや八ヶ岳には行けないことでしょう。
ただ大雪山のホソバウルップソウには未練が有ります。
2017年7月下旬に行ったときは花が終わっておりました。
可能ならばもう十日くらい早く行ってみたいものです。
近くにチョウノスケソウの自生地もあるので、運が好ければ、両方が見れることでしょう。
ウルップ草・色も良くかわいいですね~
実物を見たいものです♪
ウルップソウもツクモグサも白馬では山頂付近と雪倉への稜線にしか生えてないので
最低でも山小屋に一泊以上しないと見られない花です。しかも梅雨明け前に咲くので
この時はホントに恵まれていたようです。
私もこれが最初で最後だったろうと思っています。