南のまち、と森の端

南九州の一隅からちょっとした日常の出来事や思いを綴ります。

「アルフォンシーナと海」

2018-05-15 14:44:25 | 芸術文化

たまたま耳にすることができた武満徹さんの「小さな空」という小品に心打たれ、CDを探していたら、このスペースで一度紹介させてもらったメゾソプラノの波多野睦美さん、とリュート・ギターのつのだたかしさんのCD「アルフォンシーナと海」の中に収められていることを知り、早速注文、取り寄せました。
このCDは2002年の録音なので最近出た盤ではないのですが、収められた15曲はラミレス、ピアソラ、ヴィラ=ロボス、ラヴェル、プーランク、ヴォーン・ウイリアムズ、武満徹などどの作品の演奏も秀逸で、心を揺さぶられました。
「アルフォンシーナと海」はフォルクローレの名曲といわれ、海で死んだ詩人を歌った曲。多くの人が歌っているが、波多野さんの声がこの曲の哀しさ、美しさを際立たせているようです。ピアソラの「オブリヴィオン」も知られた曲ですが、歌になるとこれまでのイメージとまた違った叙情を感じます。
他もプーランク、ボーン・ウイリアムズなど静かにささやくように歌う波多野さんの声についうっとり。心が浄化されるようです。
いちばん聴きたかった武満徹さんの曲は「小さな空」「三月のうた」の2曲。切ないくらいに美しい曲です。これもいろいろな人が歌っているようですが、波多野さんの声が曲の持つ素朴さ、やさしさといったものが最も合っているように感じました。
それにしても「ノヴェンバー・ステップス」を作った“世界のタケミツ”がこんなやさしい、心に沁みる曲を書いたのかと最近まで知りませんでした。5月11日、宮崎国際音楽祭のエクスペリメンタル・コンサートで、武満作品「MI-YO-TA」「ぽつねん」「翼」「死んだ男の残したものは」などの曲がカウンターテナーの藤木大地さん、ギター・福田進一さんの演奏で聴くことができ、とてもラッキーでした。

 

波多野睦美、つのだたかしさんのCD「アルフォンシーナと海」

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