南のまち、と森の端

南九州の一隅からちょっとした日常の出来事や思いを綴ります。

「美しい夏キリシマ」と、えびの駅

2018-08-14 21:53:43 | 地域

嘉例川駅、大隅横川駅(JR肥薩線)などとともに好きな駅の一つにJR吉都線えびの駅(旧加久藤駅)があります。この駅は1912年・大正元年に開業した木造駅舎。いまは無人駅ですが、なんと言ってもすばらしいのはその景色。広々とした田んぼ、その向こうには霧島の山々がそびえ立っています。
訪れた日は山に雲がかかっていたり列車が停まっていたり景色を見るには今ひとつですが、その前に広がる田んぼの緑といい、いかにもおおらかなこの地方の夏の風景そのもの。明日は終戦記念日。あの日もきょうと変わらぬ駅舎があったわけで、柱や改札口のてすりなどにこの駅を利用した庶民の歴史、汗や涙の記憶がしみこんでいて、すごく重い感じがしました。
えびの市出身の故・黒木和雄監督が手がけた「父と暮せば」「TOMORROW/明日」など戦争レクイエム4部作の一つ、「美しい夏キリシマ」で、この駅が戦争にかかわる重要なシーンの背景となっていました。映画では「霧野駅」となっていましたが、この景色があったからこそ映画化を決意したのではないか、と思ってみたり。黒木監督の多感な少年時代と重なってリアルな作品になっていました。
ロケには多くのえびの市民が協力して完成。駅舎前に2002年に「えびのロケ記念碑」が建てられました。


えびの駅改札口から霧島山方面を臨む

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