珍しく連日コンサートを聴く機会に恵まれました。
1つは、10月12日夜、宮崎市のイエス・キリスト宮崎福音教会で開かれた「きりんコンサート 『愛が消えるということ 生きるということ』」。
きりんさんは宮崎市を拠点に東日本大震災直後から陸前高田市などで支援活動を続ける音楽家で、自ら作曲をし、歌い、シンセサイザー・ピアノを演奏し、演奏活動など幅広い活動を続けています。音楽の持つ力を信じ、命や出会いの大切さを訴え、「被災地を忘れないでいること、ずっとそっと寄り添うこと」「自分にできることをやっていきたい」というきりんさんの活動は、東日本大震災の風化が徐々に進む今、私たちに何が大切なのか再確認を促す貴重な機会を与えてくれているのではないでしょうか。
また、福祉関係への活動などのほか、熊本県益城町、大分県日田市、広島県呉市安浦町でも支援活動も行っています。
この日は、被災した町の風景や被災者が経験した文章などの映像とともに、きりんさん作曲の歌や「祈り」「シャボン玉とんだ」など、聴く人を包み込むような澄んだやさしい歌声が会場に響き、また、田中祥歩さんのチェロでモーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ほかの演奏(ピアノ・きりんさん)がありました。
もう一つのコンサートは、同13日、宮崎市のメディキット県民文化センター・イベントホールて開かれた「プレクトラム マンドリン アンサンブル 第25回定期演奏会」。結成30年という節目の定演です。
指揮・肥後正文さん。プログラムは3部構成で「日本の歌」「ポピュラー・セレクション」と「マンドリンオリジナル曲」。この3部はジュゼッペ・ブランツォーリ「独創的綺想曲『熱情』」、ジョゼフ・ネスヴァドバ「ローレライ・パラフレーズ」、武藤理恵「PARADISO」。これら彩り豊かな曲をリリカルに、そして軽快にマンドリン音楽の楽しさを伝えていました。
一口に30年といってもその継続には大変なエネルギーが要るものですが、音楽に真摯に向き合っているこのアンサンブル、さらに次に向かって力強く歩んでほしいと思います。最後に、災害で亡くなった人たちへの鎮魂の思いを込めてカッチーニ「アヴェ・マリア」を演奏していました。