なぜか毎年この季節になると聴いている音楽があります。ベートーヴェン「第九」ではなくてシューベルトの歌曲集「冬の旅」です。周囲が何となく慌ただしいので逆に心を落ち着かせるような音楽に傾くのでしょうか。
このところ毎日のように聴いているのは、発売されたばかりのCD「冬の旅 高橋悠治+波多野睦美」。
以前から持っている盤はバリトンのフィッシャー・ディースカウ、ピアノはジェラルド・ムーアが演奏し1972年に録音されたもの。シューベルトの歌の世界を心を込めてゆるぎなく歌っている気がして、愛蔵盤の1枚になっています。
厳しい叙情性によるものなのかどうか、青春時代に心をかき乱された「冬の旅」ですが、新しい波多野さんらの「冬の旅」は、従来とは趣がかなり異なって聴えてきます。でも自分の中では、シューベルトの歌の心に迫るという意味でディースカウさんとも深いところで共通しているようにも思えます。透明な歌声で疾走したりゆったり漂いながら、1語1語を大切に、時にはやさしく心に寄り添い、深く繊細に歌い上げていきます。
有名な作曲家でピアニストの高橋さんのピアノも独自の存在感があり、すごいと思いました。歌とピアノの交感の中に、どこか失意の果てにも光が射して心を潤してくれる、そんな感じも受けました。
この波多野・高橋さんによる「冬の旅」のコンサートが2018年 1月8日東京オペラシティリサイタルホールほか、1月23日福岡市、2月11日名古屋市でも開かれることになっています。
最新の画像[もっと見る]
- スイセンの花 5日前
- 「仲矢勝好と宮崎交通制作室の仕事」展 3ヶ月前
- これがジャカランダの花 8ヶ月前
- 香りの花 10ヶ月前
- 久方ぶり展覧会を観に高鍋へ 11ヶ月前
- 春の彩り 1年前
- 春の彩り 1年前
- 小さなスミレの花 1年前
- 柿の実 1年前
- 華燭の典 1年前