福山市はデザイン全部がバラだなあ、とまた思いながらうろうろする。
よし、ここの店に行こうと思ったのはいいけれど、迷ってしまっている。
ミシュランに出たいい感じのお店があるそうな。
見つけた。一番星も居酒屋も弱い視力で。
『旬菜食彩 てっせん』
店名 |
旬菜食彩 てっせん(シュンナショクザイテッセン) |
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電話番号 |
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住所 |
〒720-0808 広島県福山市昭和町10-21 |
駐車場 |
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営業時間 |
月~土・祝日
ディナー 17:00~24:00 (L.O.24:00) |
定休日 |
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入り口に「空席」って書いてあるわかりやすい!
諦めやすいし、あきらめなくていい!
入る。
女将さんっぽい方に「少しお待ちください」と言われる。
待合席のようなところで数分待つ。
和だ。ジャパニーズトラディショナル書院造っぽい。銀閣寺みたいだよ、ってムシマルは金閣寺しか行ったことないのでした。
カウンターに落ち着く。
おススメにコロッケなんてものがあります。
ほほう、オリジナル人気メニュー。
目をつける。
メニューいっぱいあるな。
ゑ、カツ丼まである。
やばいな、筋が見えない。
どうするのが最善手か・・・・・・・・・・・・・福山市、ミシュラン、和風、カツ丼・・・・・・・・・うう、
『あなたに決めてもらう』
あ、おまかせがあるじゃん。困ったときは天ならぬ大将さんにおまかせ。
「おまかせ3品くださいな」
「牡蠣は大丈夫ですか?食べられますか?」と聞かれる、好物ですと薄く笑う。
どうなるんだろう。
きっと牡蠣が来るのだと思う、来なかったらびっくりしますよ腰が砕けるかも!
あと、「春キャベツのコロッケ」も注文した。こちらはのちに波紋を残す。
日本酒注文。『天寶一』。
このお酒は有名というか広島市でも飲んだことあったからほかの福山のお酒も頼みたかったけれど、メニューからはよくわからなかった。
安定感のある酒。
大将さん「グラスとお猪口があるけれど、どっちにしますか?味が違いますよ」
え?・・・・へーー、・・・・・えーと。
「じゃあ両方味わってみて」
日本酒が来る。グラスとお猪口で。
こ、これなら一人乾杯ができる。
ひとりルネッサーンス!はっはっはー。
ムシマルの宴は始まる。カーニバルでもフェスティバルでもない宴だ。
お通しがふるっている。
3種類あって、左側の小鉢は煮物、串に刺されたお魚。
そして白眉は、右側のやつ。「菱餅です」と給仕さん。
菱餅・・・・・・・今日(訪問日)が3月4日でお雛様の日の名残りがあるから?
ぱくり。
あ、あま・・・さもあるけどお菓子じゃない。上の茶色は醤油風味。
煮凝りみたいに出汁ツユを固めた味だ、日本酒のアテだ。
美しさにはみりき(魅力のこと:FF8に準拠する)が宿るな。
みたらしとカマボコとがやさしさというカスガイでくっついたみたいな舌あたりの良さ。
上品だ、と思ってちびちびといただく。お酒をだ。
!
『天寶一』がグラスとお猪口で味が違う。
グラスだと華のにおいがする。
お猪口だと茎をしぼっているかのよう。
根のように吸い上げてしまい。
葉のように広い気持ちになる。
日本酒は植物なのかもしれない。
こういう結論になるのは不思議だが本当だ。
そして来たお刺身が、まず容器が深緑。
これは意外とない気がする。
ない気がする・・・・・・・・・・・そこから先に語れる言葉がなかった。
ムシマル器を愛でる感覚は、あるけどニブイ。
マグロとイカはわかる、確かヨコワマグロとアオリイカ。
あとなんだっけ、銀と鼠桃色したんがサヨリで・・・
薄いピンクのものは寒鰆だったかもしれない、寒鰆だと思う、まちょっと覚悟しておけ。
う、うま。
刺身?そんな薄っぺらなものと同じにするな。
っていいそうなサヨリ。
なんというか、細かく手を加えている感じがする。
ボブスレーみたいにな。
お刺身レベルが本当に高い。
すっきりしたところのあるお魚。
抱きしめたい、と思った。だけど、お刺身は、そういう扱いをするものではない。
僕の手はそれに相応しい手ではない、と思い出して、諦めた。
旅先、鼻歌交じりのうろうろ、日本酒、お刺身。
なんだかすごくいい酔い方をしている。
眠くない、すっきりしている。
まぶたがちゃんと重力に勝利している。
近代以降は初めてのことである。
というところに、もっとスッキリしそうな食べ物が。
吸い物、でいいのかな。椀のもの。
餡かけっぽさがある。どこかとろみ。
いや上品だ。
上品でいて鮮やかなんて、そんなことある!?
夢であれ夢であれみたいな願いをなんだか祈りながら食べる。
ひう、胃にやさしいのは無論のこと、歯と舌と目と耳と鼻と歯茎とこめかみと・・・・・・・・五臓六腑にやさしい。
優しくない部分がない、バファリン越えを果たしてしまったようだ。
えびだしんじょだ。
生きるなー、生きる。
ああ、寒鰆が絶品。
侯爵ではあるまいか?お刺身界のと思いながら。
突然そんな感情が浮かびだす、ああ落ち着く。
落着く味なのですよなにか。
焼き、が来る。
「牡蠣の土手焼き」だったっけなんだっけ。
いやこれは牡蠣好きが悶絶しそう。
牡蠣からこれほどの〝圧”を、今まで感じたことがない。
だめだ食えねえ、俺が逆に食われる・・・・・・・・。
そうはさせるか、うっぎぃぃぃ、食う!
ひと口で一個をもぐもぐする。
小さな体から抱えきれないほど大きな海の香りがする・・・。
爆縮したみたいなうまみ。
ちょっと野卑が入って、そこからの還俗のようなすっきりさ。
ポテンシャルが生半ではない。噛んだら広がって、お酒がふうわりと止める。
ようし、酔いどれる。
あとなにげにお野菜がおいしい。
名前忘れたけれど。なんだっけ。
エシャロット、だっけ?
あと小さい赤カブみたいなやつ、このものらの存在で、料理は落ち着きすぎてない。
浮いているドラえもんのように少し上を。
最後の料理が来る。
「春キャベツのコロッケ」。
あたたかい・・・陽の光のような優しいころも。
ここで蒼いお皿。 なんだか浮き出て見えるよね。
青くって、黄色くて丸くて、もうドラえもんだね。
俺はこれからドラえもん的存在を食ってしまうのか!あわてる。
店主が、少しだけ誇らしそうに「これの作り方は難しくてね、よそではなかなかできないんですよ」と。
たしかにこれ、作り方よくわからない。
キャベツの千切り?食べるとこまかーく切られているキャベツが雨みたいに降ってくる。
これどうやってまとめ上げて揚げられたんだろう。
ほのかに甘くて、いやほのかじゃないかもお砂糖ばっさーみたいな甘みが感じられる。
甘み大。
これはすごいなあ、珍しさっていうよりも不思議さの方に寄っている。
・・・・・・・・・・あれからしばらくしてこの記事を振り返っているけれど(ムシマルは基本、「書く」「少し放置」「振り返って推敲」みたいな手順)、
一番おいしかったのは牡蠣だけど、一番味を覚えている甘かったなあと記憶に残っているのは、「春キャベツのコロッケ」なんだよな。
春、福山市を通るとここのことをきっと思い出すんだろう。
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お値段は6,000円とか。7,000円はしたかどうか覚えていない。
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