NHKなどによれば、電通の違法残業事件で、東京地検は「36協定」が労基法の要件を満たさず違法であることを発表した(電通 月50時間までの残業認めた労使協定は無効(http://bit.ly/2sUbpc9))。電通は東証1部上場の大企業だから手厚い対応がされるだろう。では、中小零細企業の会社員に、同じことがあった場合のケースを考えてみたい。
会社と闘うことは簡単ではない
「残業代が未払い。休日出勤や風呂敷残業はあたり前」。たしかに悔しいのはわかる。上司に仕返しをしたいという気持ちも理解できる。しかし、ドラマのように嫌いな上司に「一泡吹かせる」というわけにはいかない。まず上司は立場が上だから、人事権を行使することができる。目をつけられれば評価がどうなるかは言うまでもない。
さらに問いたい。会社にとって必要な人材は、「あなた」か、それとも「上司」だろうか。なかには、泣き寝入りをしたくないからと労働基準監督署(労基署)に行く人がいる。厚労省によれば、相談件数は8年連続で100万件を超えている。しかし、労基署が問題を解決してくれるわけではない。つまり労働者の駆け込み寺ではない。
たとえば、労基署に「残業代が出ない」ことを相談したと仮定しよう。証拠としてタイムカードや出勤簿などを持参した。監督官に事情を説明したら、このように言われるはずだ。「まずは自分で話してみてください」。もしくは、違法性が高いなら次のように言われるだろう。「会社に連絡しますが、あなたの名前を話しても構いませんよね」。
労基署に通報するというのは「会社が労基法に違反しています」とタレこむことと同じ。「名前は伏せてください」は通じない。次ぎに、あなたが通報したことが会社に知られたとしよう。労基署への申告を理由に、不利益を与えることはできないが、そのまま平穏に済むとは思わないほうがいい。会社にとって、あなたは裏切り者だからだ。
労働者にとって最も重要な賃金は簡単には下げられない。しかし、異動や昇進昇格・降格は会社の裁量だ。普通に考えれば
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