A View To Kill

A View To Kill

強烈な視線を感じる
これは女の目線だ
恋焦がれて
愛する眼差しか
それとも
愛するが故の
憎しみの眼差しか
女の赤い唇が
薄く横に延び
せせら笑う顔が
サングラス越しに見える

未来

未来

未来は見通せない
未来を見るのは
光の先を見るのと同じだ
確かにそこに存在しているが
眩しすぎて光の元は見えない
投影された姿の後ろに
色濃く過去という影ができる
未来は目では見えない
未来は五感で感じる
未来はそこにある
でも未来を見る事は
我々にはできない

老いの末路

老いの末路

穢らひを払い
己の死を受け入れる
現世は泡沫
来世は来ない
我、是空となりて
彩色無色となる
嗚呼、我の前に
大いなる光あり
ようやく輪廻を解脱して
光と同化す
我、目を閉じて
遍在と化す

ひとりごはん

ひとりごはん

昔は家族で
食事は騒がしかった
働いている時は忙しくて
食事は短い時間で
忙しなかった
年老いて最愛の人との
食事は温かかった
そして最愛の人とも別れ
今、食事はひとりごはん
少し寂しくて、せつないけど
とても美味しいのが
逆に身に沁みるひとりごはん

心が震える

心が震える

心が震える
気持ちが揺れる
切なくて
涙が流れる
立ち止まりたい
でも前に進んでしまう
迷っている
悩んでいる
心が追い付いて行かない
僕は膝を抱えたまま
下を向いたまま動けない

微笑み

微笑み

彼女の微笑みは
天使の微笑みか
はたまた悪魔の微笑みか
青い空に白い雲となって
流れていくように
彼女の微笑みは
私の心を通り過ぎて行った
私は歩いていた足を止め
立ち止まる
そして空を見上げるのだ
360度に広がる天恵は
私を中心にして
置き去りにしていった
私は思案に暮れた

シャンパンを飲む女

シャンパンを飲む女

50歳を過ぎた女は
間接照明で暗くした洋室で
ロングソファに身を預けながら
シャンパンを飲んで
だらっとしていた
バックミュージックは
50年代のJazzだ
もう半世紀以上生きたのだから
ちょっとやそっとでは微動だにしない
女の虚ろな眼が
世界を朧気にする

浮かんでる

浮かんでる

ふわふわ浮かんでる

ショートボブの女の
ノースリーブの白い肩から
すらりと伸びる腕

肉付きのない細い骨の
ピアノの鍵盤のような繊細な手と
黒鍵の代わりの赤いマニキュア

透き通ったガラスの花瓶の
ふわふわと揺らぐ水に写る
女の切れ長の目と赤い唇

今日も何処かで浮かんでる
今日も天の上から俺を観ている

ふわふわ、ふわふわ
浮かびながら

世界

世界

世界は
言葉とフィールドから
成り立っている
複雑な器官が絡まり合い
身体は形作られている
単純化と複雑化を
繰り返しながら
世界は様相を変えている
我々は近代化という
フォエストの中で
暮らす住人だ
世界は海のように
蒼みがかっている

2045: Radical Man

2045: Radical Man

未来は暗黒の闇
日本はあちこちの街は
ゴッサムシティのようになる
アナキズムのジョーカーが
支配し蔓延る世の中になる
頼りなるのはバットマンか？
それとも闇を牛耳るジョーカーか？
政治は腐敗し
政府はあってないようなもの
欲しいものがあったら
力ずくで奪う時代が来る
自由も人権も奪われて
這いずり回る人々は
街を放火し、店を強奪し
ダウンタウンをナイフを持って
歩き回る