理科の実験
中学3年の時の理科の先生は実験が好きで、よく授業で理科の実験をやっていた。生徒も実験が好きだったのでよかったが、まあちょっと変わった先生だった。
化学反応の結果、強烈なアンモニアが生成されるにも関わらず、そんなことは一言も言わず、”じゃあ、みんなビーカーの臭い嗅いでみて”と言って、みんな、鼻が潰れそうな思いをしているのを見て笑ったりする先生だった。
そんな先生の強烈な実験が、大きなたらいのようなプラスチック容器に濃塩酸と濃水酸化ナトリウムを混ぜた実験だった。思い出してほしい。塩酸と水酸化ナトリウムを混ぜると食塩水ができる。でも高濃度でやる必要はないんじゃないかと思った。容器の中ではグツグツと地獄谷のような音を立てて化学反応が起こっていた。そしてしばらくすると白いものが容器の下に溜まって出てきた。塩である。
その先生は何を考えていたのだろう。”よーし、みんな舐めていいぞー!”と言った。私も舐めてみた。確かにしょっぱかった。でも少し歯が浮いた。先生は”ちょっと塩酸の方が強かったかなあ”と笑っていた。
いまだったら絶対にNGな先生だろう。私が学生の頃には、そんな先生はたくさんいた。