令和4年12月21日(水曜日)
非常に内容の濃かった日田市議会12月定例会の閉会から一夜明け、地元二紙(大分合同・西日本)にも、その結果が載りました。
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市長の選挙公約である総合的な子ども支援拠点の創設について、最初に、市議会の一般質問で取り上げたのは私で、選挙直前の令和元年6月定例会のことです。以来、複数の議員が質問し、今度の12月定例会では、佐藤議員(市政クラブ)、日隈議員(日本共産党)、松野議員(公明党)、原田議員(市政クラブ)、梶原議員(市民クラブ)、中島議員(市民クラブ)、私・中野哲朗(無所属)と7人の議員が取り上げました。
予算としては、令和2年度が78万2,000円(講師等謝礼、旅費など)、令和3年度が66万円(講師等謝礼、旅費)、そして今年度当初予算が14万7,000円(検討委員謝礼、旅費)で、実質的な議案の審査は、今回が初めてでした。
教育福祉委員会では、審査2日目の15日、12月定例会に提案された支援拠点の創設に向けた実施設計委託料(1,865万6,000円)の審査に先立ち、11月22日に示された「日田市総合的な子ども支援拠点建築計画書」についての報告を受け、長時間にわたる質疑を行いました。
昨日の本会議では、各常任委員長から審査結果が報告されました。これを「委員長報告」と言いますが、基本的には、審査の経過と結果を報告するもので、簡潔でよいとされます。しかし、今回の教育福祉委員会の審査内容は、相当に重要なものでした。そこで、審査の過程で出された意見などを詳細に述べる形を取りました。二年前、私が総務環境委員長だった時に提案された市役所1階フロア階段撤去問題の時と同様です。報告案を作成した委員長と副委員長と委員会担当書記は、大変だったと思います。
私は、予算案が減額修正されたのは、執行部が、議案が提出できるような状況ではなかったことを軽視し、検討委員会での検討を重ね、パブリックコメントを済ませたという手順を踏んだことだけを重視したことに、その原因があると捉えています。また、このような状態で、議会に対して予算案を提出し、結果として、いつの間にか、子育て支援事業がハコモノ建設事業へとすり替えられた感のある事業の是非の判断を、議会に押し付けたかのような姿勢は、責任転嫁と思えます。
しかし、私の主観に基づく発信には、限界があります。そこで、昨日の委員長報告の該当部分の全文をお示しし、委員会審査について、報告したいと思います。
長くなりますが、ぜひお読みください。
【日田市議会 教育福祉委員長報告】
3款3項1目 児童福祉総務費のうち、総合的な子ども支援拠点創設事業 について申し上げます。
本事業は、教育福祉委員会において、1年以上をかけて、慎重な審査及び先進地視察等の研修を行ってきました。委員会では、子ども・子育て支援事業を否定するものではなく、日田市にとって必要な子ども・子育て支援事業について、執行部が日田市の抱える課題整理や情報収集が不十分ではないか、教育の視点を踏まえた、福祉と教育が一つになった機能や人員配置の整理が不十分ではないか等の意見がありました。
具体的には、
子ども・子育て支援事業に対する市民からの要望や意見については、対象が妊娠期から18歳までに拡大されたにも関わらず、改めてアンケート等は行っていない。中心部への集約化による周辺部との格差が生まれる可能性や、現在の課題をしっかりと整理し、「必要とされる内容」を十分精査した上で、「必要なスキルをもった人材」や「必要な場所」について、再度執行部内での多角的な議論の余地があるのではないか。
令和5年4月1日に創設される「こども家庭庁」が所管する「こども家庭センター」の設置趣旨からも、子ども支援拠点の核となる機能は「相談支援」であって、「一時預かり」「遊び・交流」「学び・情報発信」は2次的な機能と考えられる。まずは、現在の困りのある妊産婦・子ども・子育て家庭に対して、できる限り早期発見と情報収集に努め、支援を確実に提供できる相談支援機能体制の構築を図る必要があり、「一時預かり」「遊び・交流」「学び・情報発信」等の総合的な機能については、相談支援機能体制の構築後、対象者や支援拠点創設検討委員会、専門家等の意見を踏まえて検討する必要があるのではないか。
施設整備に関しては、審査の中で出された代案や、整備縮小などの検討もされておらず、多方面からの検討が不十分であり、この時期に支援拠点事業を提案する理由も明確ではない。
支援拠点創設検討委員会においては、事業ビジョンに曖昧な部分があり、委員の意見集約が十分ではないことや、委員から事業費についての質問があったにも関わらず4億円を超える事業費の説明もされないまま、意見を聞くだけで協議内容の集約・意見統一も示されていない。
などの意見が出されました。
日田市が進めようとする子ども・子育て支援事業については理解できるものの、事業の実施設計委託料を、この段階で認めることは、11月22日に公開された「日田市総合的な子ども支援拠点建築計画書」に基づく事業の推進につながることから、委員会では、慎重に検討し、種々、議論しました。
その結果、支援拠点に必要とされる機能の精査がいまだ不十分であり、支援拠点の利用者数の見込み、必要なスキルをもった人材の配置、職員の連携体制、費用対効果など、まだまだ議論の余地が多いことを確認しました。
また、このような状況で実施設計に着手すると、今定例会の、本委員会で審査した中津江地区福祉保健施設移転整備事業及び公立教育・保育施設整備事業のように、のちに多額な工事費の追加が必要となる恐れもあります。
したがって、将来にわたって施設整備の必要性を否定するものではありませんが、今定例会に提案された実施設計委託料については、現行の「日田市総合的な子ども支援拠点建築計画書」に基づく施設整備につながること、さらには、当該事業がいまだ議論の途上であることから、現時点においては、認められないとの判断に至りました。
そこで、お手元に配付しておりますとおり、総合的な子ども支援拠点創設事業に係る実施設計委託料の1,865万6千円を減額する修正案が提出され、採決の結果、全会一致をもって修正案のとおり、可決すべきものと決しました。
これまで、執行部に対しては「政策形成や内部の意思決定のプロセスが曖昧で、見通しの甘い事業に対しては、厳しい財政状況を十分考慮し、事業効果を厳しく検討するとともに、事業の状況把握や金額の精査に努め、適切な予算計上を行うこと」を再三、指摘してまいりましたが、予算案の修正可決が頻繁に繰り返されている現状を鑑み、今回の議案提出の経緯や本委員会で可決とならなかった要因を分析し、今後の議案提案につなげられるよう要望します。