かとうなおひこのブログ

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派遣とは日雇い也

2008-07-19 04:18:16 | かとうのニュース
 毎度の独断と偏見による、かとう個人の勝手な理論展開をいたしますので、鵜呑みにしたり、変に反感を持ったりされぬ様、お願い申し上げます。m(__)m

 グッドウィルの廃業のニュースはずいぶん前に流れましたが、ニュースでの正式な呼称は『日雇い派遣大手「グッドウィル」』、となってますねぇ。そうなのです。
 昔々(そんなに昔でもないけど)、ドヤ街の朝、トラックやマイクロバスが集まった所で、「ハイ、あんたはあっちのバスに乗って!、あんた、飲んでるね?今日はやめときな!あんた、昨日あそこの現場で使い物にならなかったよ、今日は軽めのやつやらせるからあっちの車に乗って!・・・・」と、手際よく肉体労働者をさばく日雇いの労働者の手配師。それが『日雇い派遣』なのであります。そしてその仕事は、日本の高度経済成長の土木部門を陰で支えていた商売でもありました。

 インターネットを使ったり、携帯で連絡したり、仕事が肉体労働ではなく、"テレアポ" やら "イベントスタッフ" やらと、横文字カタカナになり、「日雇い」という暗いイメージの言葉が「派遣」となっただけで、実態は朝のドヤ街と何も変わらない・・と、私個人は感じております。一泊数百円の2段ベッドがぎっしり詰まった安宿が、ネットカフェという一見かっこ良い横文字に変わっただけであります。
 
 では、なぜこんなに雨後のタケノコに派遣会社が乱立したかというと・・・、まぁ、お役所によるバブルの後始末の一環であると思われます。

 バブル以前の日本は、表向き民主主義、自由経済を唱えておりましたが、その内情は "極めて希有な、唯一成功した社会主義国家" だったと思っております。
 (一部の金持ちは存在していたが)「一億総中流。貧富の差は少ない」という意識を国民のほとんどが共有していた。企業はお役所のたてた計画通りに事業を発展させていれば安泰。企業に就職してサラリーマンにさえなってしまえば、企業により多少の収入の差はあれ、また、窓際族になろうが、成績トップの営業マンになろうが、出世に多少の差はあれ、社会的立場は保護され、老後の安定した生活まで、企業が面倒を見てくれていた時代。
 この状態は、社会主義の理想そのものでは・・と思えるのですが・・・・?
 
 で、調子に乗っちゃうのが日本人の悪い癖。バブル到来で企業の金を使いまくり、この世の春を謳歌した訳ですが、そのつけを払う事になりました。
 いくつかの会社や銀行をつぶしてみせたお役所は、ほ~ら、ちゃんとコストカットして健全経営にしないとこうなりますよ!と見本を突きつけた上で、リストラを勧告。(お役所のたてた計画通りやってバブルになったんだけどね)
 
 企業コストで一番金のかかるのは、人件費であるのは自明の事。何人の首を切れるかで、企業の生き残りが決まる事となりました。
 
 お役所は当然、多くの失業者が出て社会問題になる事を予想していました。そしてその受け皿に「職安」では役に立たない、と判断したのでしょう。"規制緩和"という口当たりの良い言葉で、職業紹介、派遣業を、免許制ながら民間に開放しました。人に働かせ、そのウワマイをはねるのは、一番おいしい仕事。「ほ~れ、儲かるからやってみー」とのお役所の音頭取りで、みんな派遣業に名乗りを上げました。

 リストラで放り出された、普通の企業では役に立たないと判断された人間の行く場所を作り出した訳ですねぇ。とは言っても建設業も不振の世の中、昔のようなドヤ街の朝も賑わう事の無い状態。「派遣社員」。けっして「社員」ではない「派遣社員」。「社員」って言葉が付いてる所がミソですねぇ。人は肩書きで安心するものですから・・(>_<)。
 正社員一人雇う経費で何人の派遣社員が雇えるのかは、業種によって違うと思いますが、健康保険、年金、失業保険、福利厚生、その他諸々の経費がまるまる浮く「派遣社員」は、企業にとっては何ともおいしい形態。
 
 実態としては、貧富の差が広がり、スラム化が起こっているのですが、言葉のマジックで「お前は落ちこぼれ、住所不定のドヤ街の浮浪者だ」というのを「ネットカフェをねぐらに成功を夢見る、派遣で暮らす自由人」というイメージにすることで、若者は自分がスラム街の住人だと言う事実に気づかずに暮らしてゆく・・・。
 日本全体として、労働賃金(労働者の手取りではなく企業の人事コスト)の大幅なダウンを実現した訳ですが、それとて中国に対抗出来るほどの安さではない。この低賃金層を上手く働かせる事で、企業を生き残させ、なんとか国としての経済状況を維持させる・・・。それが現状?
 
 でも、グッドウィルは、ちょいと調子に乗りすぎましたねぇ。やってる事は労働力の搾取そのものなのですから、ある程度の謙虚さをもってやるべきでしたね。で、お役所は、バブルのときと同じ、とりあえずグッドウィルを見せしめに潰してみせて、他の派遣会社に「もうちょっと上手くやれ!」と指導をして、世間の非難をかわすと・・・・。
 

 お役所ばかりを悪者にしてきましたが、お役所で働く人はみなエリート街道を歩んできた人達。エリートというのは道を踏み外す事を極端に恐れます。でも、理想的な社会主義国家を作り上げるためには、優秀なお役人が必要であり、それを養成してきたのもこの国家であります。ちょうど私の子供の頃は、良い大学へ行って国家公務員試験に受かって大蔵省にでも入れば、それが最高の人生・・・と教えられましたねぇ。私も中学で道を踏み外していなかったら、その道を歩んでいたかもしれない、エリートの卵だった事を思うと、あまり責められないんだけどねぇ~(^_^;)。
 
 理想的な社会主義国家が崩壊したこの国は、今どういう状態で、どこへ行こうとしているのか?それを考えるのは誰なのか?少なくても、もうアメリカは行政指導をしてはくれないよ!
 


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