『コインロッカーベイビーズ』を読みました。生まれてすぐコインロッカーに捨てられた二人がそれぞれの道を歩み、世界と自分との関係を理解し、自分なりの行動に移していくまでの話です。読み始めてから面白くて一気に読んでしまいました。『半島を出よ』を読んだときにも思ったのですが、村上龍の小説は盛り上がってくると時間の流れがゆっくりになる感覚があります。非常にゆっくりなスローモーションかもしくはその瞬間に時間が止まって隅から隅までじっくり視ていく感覚です。まぁそれはさておき、毒のある小説です。頭が麻痺するくらい。静かでなんでもない描写の中にも絶望が漂っていて、それが小説全体を覆っている感じです。グロくもないし激しくもないけれど、世紀末的な絶望感が見え隠れする。
僕は世界を滅ぼしたいとは思わないけれど、滅んでも仕方ないとは思っています。特に人類は滅んでしまったほうが世のため人のため(人はいなくなるけど…)になると思います。つまり僕は厭世主義者です。でも楽観的でもあるので、それについて考え込んだり悩んだりすることは全くありません。なるようにしかならないし、まぁ人生も人類も結局成り行きでしょう。ザ・クロマニヨンズの歌『ジェームス・ディーン』の中に“人類はわりと最低だけど、人類はてんで最高なんだぜ”というフレーズがあります。この言葉をすんなりと理解できます。ある瞬間のために生きててよかったと思えるし、今日は最高と言える瞬間を僕は確かに持っています。