僕は写真家の中平卓馬が好きだ。生き方や考え方などその人となりも、実際の写真作品も。
中平卓馬を初めて知ったのは、ホンマタカシの『きわめてよいふうけい』という写真集でした。最初は中平卓馬を撮ったドキュメンタリー映画だったようですけど。(ちなみにホンマタカシも好きです。でもそれは彼の写真作品がという意味で。)そのタイトルにひかれて、中身は見れなかったけど買いました。見てみると、ホンマタカシの撮るぴりっと緊張感のある風景の中に、ゆるそうな小汚いおっさんが写ってる。それがいい感じだった。なにがいいかって、そのおっさんには写真だけしかない感じがした。写真を取ったらなにもない。そんな印象にある意味感動した。そして中平卓馬自身の写真集を見たりその周辺を知るにつれてますます惹かれた。
中平卓馬はすごい。野望欲望を持って写真を撮っているが、それは金や名声への欲望ではない。純粋に写真を撮ることへ向けた欲望である。(同じような理由で僕は画家の故・熊谷守一が好きですがそれはまた今度)僕もそんなふうになりたいと思うができないだろう。こんな文章を書いている時点で無理な話だろう。でも憧れているしその境地を目指したい。このおっさんは写真だけしかないと思った僕の第一印象は間違っていなかった。