福留が、移籍後初本塁打を打った。
現時点ではまだ調整途上で、本調子になるのは開幕前後になりそう。
手放しでは喜べないが、
戦力として計算できるのなら喜ばしい限りだ。
普通なら、そう思う。
でも・・・。
何か、釈然としない思いが、胸の奥に存在する。
本当にこれでいいのか?
今も、自問自答する毎日だ。
阪神タイガースがこの2年、Bクラスに転落した事実。
2005年までに優勝したメンバーの高齢化や、
思いの外、若手の台頭がなかった事が原因として考えられる。
監督の采配の拙さなどは確かに有ったが、
それでも、戦力にジリ貧さを感じる年が続いたのも確か。
血の入れ替えが急務。
和田監督、そして中村GMはそう考えたのだろう。
実際、2003年に、大幅な血の入れ替えに成功したタイガースは、
それからの5年、黄金時代と言っても良い成績を残せた。
18年も優勝の無かったチームを変貌させたことは、
血の入れ替えが、当時ベストな戦略だと言う事を証明した。
この事を踏まえて、2013年、大改革を決断したのだと思う。
しかし・・・。
2003年以降の補強は、長く黄金時代を続ける原動力には成らなかった。
あくまでも目先の補強。
成熟したベテランと呼ばれる選手を獲得した故に、
その選手が朽ち果てるのと同じくして、チームも弱体化して行く。
金本が入る事により、チームに軸は生まれた。
新井が加入した事により、打線に厚みが出た。
しかし、レギュラー選手が常に1軍で活躍する中、
1軍の控え選手やファームの選手は出番が無くなり、
若い選手の芽を摘む格好になってしまった。
そうする事により、チーム内に空洞化が起こり、
トッププレイヤーと控え選手の間に大きな実力差が生まれてしまった。
その結果、今の2年連続Bクラスという憂き目にあってしまうのである。
残念ながら、タイガースは伝統的に選手を育てるのが上手くない。
なので、レギュラークラスが盤石の時に、
次の世代の若手を成長させる事が出来ない。
すると、どうしても空洞化が顕著になってしまう。
だから、また血の入れ替えと言って大型補強に走る・・・。
完全な悪循環だ。
2012年は、金本や城島の不調により若手選手の台頭が目立った。
そう言う年であった。
でも、球団は内野と外野、それぞれに大型補強を敢行した。
競争と言えば聞こえはいいが、
大リーグ帰りの選手がそこそこの成績を残せば、
必然的に若手の出番は減る。
大リーグ帰りの選手を優先的に使う事は当たり前だからだ。
競争になんか、なりようがないのが現実だ。
だから、和田監督にお願いしたい。
今年は、補強した選手だけでなく、若手選手にも十分チャンスを与えて欲しい。
成績が振るわなくても、我慢して使って欲しい。
優勝を狙うためには難しいかもしれないが、
この先、5年と言わず、10年以上の黄金時代を作るには、
彼ら、若手選手の活躍が不可欠だから。
よそ様選手を補強して5年強い時期を作るより、
生え抜きの若手選手の活躍で、10年以上の黄金期を作って欲しい。
そのための肥やしとする大型補強ならば、文句など言うつもりはさらさらない。
幸い、福留も西岡も、タイガースの若い選手に、
どんどん、技術やメンタルの持ち方の指導を買って出てくれているそうだし、
あとはフロントと首脳陣が目先の勝ちだけに執着しない、
先を見据えた戦略を考えてくれればいいだけ・・・なはずだ。
今年の開幕オーダーに、
生え抜きの選手が2人しかいない可能性が高い。
仮に、このオーダーで勝ち進んで行くとする。
その時、勝つことに対する嬉しさと、
阪神ではない阪神で勝つ事の切なさの狭間で、
なりとろ(阪神ファン)は究極のジレンマに襲われると思う。
これでいいのか、悪いのか・・・。
憎っくき 『黄泉売りと同じ道』 を歩む事への憤り。
それを晴らすためにも、
若手選手育成(一軍経験を積ませる事)と補強選手の起用方法の確立。
これに重点を置いて、シーズンを戦って欲しい。
福留は嫌いだ。
嫌いだが、インタビューで語る福留の姿が本当ならば、
思っていたほどの鬼畜ではないかも知れない。
そこに一縷の望みをかけるしか、今は出来ない訳だし。
それよりも問題は、やはりフロントと首脳陣の、選手の起用方法に尽きる。
起用方法を間違えると、結局、福留は単なるお荷物になってしまうと思うので。
優勝がすべてではない。
思いっ切り応援出来るチームであって欲しい。
なりとろが今年のチームに望むものは、それだけだ。