日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 兵衛尉政次 Masatsugu Katan

2017-10-05 | 
刀 金房兵衛尉政次


刀 南都住藤原金房兵衛尉政次

同田貫に似た存在感を示しているのが金房派だ。活躍期は同じ戦国末期で、身幅広くがっしりとした刀を遺している。奈良の鍛冶である。この、腰元に剣巻龍の彫刻を施した刀は、政次としては珍しいもので、骨喰藤四郎を手本とした作。地鉄は特詰んだ板目肌で細やかな地沸が付き細い地景で肌目が綺麗に起っている。刃文はこの工の特徴的な小さく乱れる互の目丁子で、刃中に葉と足が盛んに入り、景色は複雑。帽子も調子を同じくして乱れ込み、先掃き掛けてわずかに返っている。刃長は二尺一寸弱の片手で扱うに適したもの。元先の身幅が広く、見るからに金房らしい、しかも優れた出来。

刀 金房兵衛尉政次 Masatsugu Katana

2017-10-04 | 
刀 金房兵衛尉政次


刀 南都住藤原朝臣金房兵衛尉政次天正九年十一月日

 二尺七寸強、反り九分強、これに対して身幅は一寸一分。寸法に比較して身幅が狭いようだが、この寸法に合わせて身幅を広くしたのでは、容易には扱えない。だから適度な身幅に仕立てたのだろう、この刀は重いもののバランスが良い。大鋒もこの工の特徴。地鉄は板目肌。刃文は複雑に、小模様に乱れた互の目小丁子。逆がかるところがあり、足と葉が入り乱れている。帽子は掃き掛けを伴い小丸返り。刃境には金線、細かな沸筋が入る。手許にある刀剣書をパラリと捲ったところ、金房鍛冶について「同田貫と同様に下作鍛冶」とあった。ひどい言いようだ。不当な評価だ。そんなことあるものか。金房派は室町時に隆盛したことから、手掻派の流れと考えてよいだろう、優れた刀槍を遺している。このような書き方をする研究者は、実は刀剣を好きではないのだと思う。


刀 藤原國勝(同田貫) Kunikatsu-Doudanuki Katana

2017-10-03 | 
刀 藤原國勝

 
刀 藤原國勝

 同田貫國勝の頑丈な造り込みの刀。國勝は後に正清より清の文字を賜って清國と改銘している。元先の身幅広く、鎬が張って刃先は鋭く、大鋒。革具足、鉄具足などかまいなく攻撃できるような考え方であろう。地鉄は縮緬状に揺れる板目肌で、大きな疵気はないものの肌立ち、強みが感じられる。刃文は焼幅の広い湾れで、帽子は乱れ込んで返り、棟焼に連続する。焼刃は匂口の沈んだ調子で小沸が付き、堅物斬りを想定した印象がある。どのような働きをしたのであろうか、健全度高く今に伝えられている。
 

 

刀 國勝

2017-10-02 | その他
刀 肥州國勝


刀 肥州國勝小山左馬助

 この國勝も同田貫派の一人。元先の身幅が広く重ね厚く、鋒延びて迫力があり、同田貫派らしい造り込み。このような作を同田貫として好む方が多いようだ。地鉄は板目が地景によって強く現れ、地沸が付いて躍動的。刃文は互の目湾れが帽子に連続し、そのまま帰って乱れた調子も同じく棟焼となっている。焼刃からの湯走りが淡く掛かり、かなり変化に富んだ出来。刃中はほつれが顕著で、砂流し金線も濃密。

薙刀 石見守信助 Nobusuke Naginata

2017-10-01 | その他
薙刀 石見守信助


薙刀 石見守信助

 同田貫とは切られていないが同田貫派の一人。かなりの上手だ。地鉄は比較的詰んだ部分と肌立つ部分とがあり、地沸が付き映りが立ち、匂調子の焼刃は凄みがある。湾れに互の目を交え、物打辺りが強く乱れて砂流しが加わり、帽子は浅く湾れて先小丸に返る。天正から慶長頃の実用の武器ながら、区深く残されて健全体躯を保っている。