■□■カムイミンタラ■□■

旅の話、仕事の話、色々と書いてます。。。

晩年

2006-12-08 22:50:01 | 病院のシゴト
朝、着替えていると「Iさん、昨日、亡くなったんだって」と話しかけられた。

「え?どこで? ココ? だって先週、退院したばかりだよ・・・」

Iさんは50代の男性。お酒大好き、タバコ大好き。不摂生しすぎて内蔵悪すぎ。

目も白濁しているぐらい。歩くことは出来るけど、ふらつきがあるから通院は

車いすを利用している。何度となく入退院を繰り返している。

本人は入院することが嫌で嫌で仕方がないうえに病気だという認識がかなり低い。

入院しては暴れる。杖を振り回す。点滴を勝手に抜くので血まみれになる。

病室内でタバコを吸う。なので毎晩、自宅へ外泊する。入院・・・なのか?笑

かなりやっかいな患者リストに入っている。救急隊から連絡が入るたびに

各病棟で押し付け合いになる。苦笑。でも振り返ってみれば最後とその前の

入院は子供返りしていた為か、やっかいものだけど何故か愛されキャラに

なっていた。見た目は怖そうなオッサンなんだけど手を振れば、にかっと

笑って手を振り替えしてくれる。やっかいなことをしでかす度にみんな

文句を言うが本気では怒っていない。私も部屋の前を通る度になぜか

「大丈夫?」と覗いていた。何故だろう?未だに答えは出ない。

で、亡くなった日も外来にいつものように来ていたらしい。

採血の数値が悪かったらしくまたしても入院って事になったみたいで

入院して30分後に部屋に行ったら心停止していたという。

挿管もしたけどダメだったらしい。

その日は私はちょうど休みだったのでお別れできなかったけど

病棟スタッフ以外に外来ナースまで霊安室にお別れしに行ったと言っていた。

奥さんもほっとしました。と言っていたというが、ホンネだろうなって思う。

あのオッサンを家で看るって相当大変だと思う。私たちは仕事だから出来る。

やっかいなオッサンだったけどみんなに愛されて最期は苦しまずにコテっと

死んで、不謹慎だけどいい死に方だったんじゃないかな~って思う。