一昨日、日本の各地でPM2.5(当ブログ名称:パーマン2号)が
大量に飛来して、自治体が注意を喚起したというニュースがありました。
パーマン2号の成分を測定できる顕微鏡が開発されたとの
ニュースもありました。
そのニュースでは、成分を分析して
中国製か日本製かを判別できるとしていました。
『飛来して』というとすべて中国大陸からという
イメージですが・・・(ほぼ高い確率ではそうでしょうが)
日本製もあるのですね・・・
かつて、日本も同じ公害大国でしたから
そのころは、PM2.5なんて聞いたことがありませんでしたが、
あったんでしょうね。
ちょうど一年前のこのころに上海で聞いた講演会の記事を
アップしました。
その時は、あっちの日本人駐在者のためにアップしましたが、
今度は、こっちの日本人のために再度アップします。
※以下は、私が聞いたものを個人的にメモしたもので、
講演会主催者の公式議事録ではありません。
上海市等の大気汚染について~微小粒子物質PM2.5とは~
在中国日本国大使館 経済部書記官(環境担当)
最近の状況は1961年以来最悪。
地面の温度が高く、空気の流れが上昇し、有害物質を上空に舞い上げている。
北京が一番ひどく、日本の1970年代と同じで、企業の操業停止もあった。
PM2.5の原因は、
自動車の排ガス(22%)、石炭の発電所(17%)、粉塵(16%)、工場煤煙(16%)。
PM2.5は、直径2.5μm以下(髪の毛の1/4)の微粒子で人体に入ると、肺・心臓に影響。
抵抗力の弱い老人や、運動量が多く呼吸が深い子供は特に注意が必要。
中国政府は
①状況の正確な把握と公表(74都市)、
②排出源のコントロール、
③健康被害への最小化の対策
をしているが、
個人レベルでも
①汚染レベルが上がった場合は外出を控える。
②N95規格対応(PM2.5を95%カット)のマスク着用。
3M製9010,8110s(子供用)。
③手洗い・うがいを励行し家の中に汚染を持ち込まない。
④部屋の中では空気清浄機を使う。
⑤たばこも汚染元、喫煙者はこの際禁煙。
などの対策が必要。
環境基準は、中国と日本・米で2倍以上ことなる。
中略
中国政府も対策しているが、
経済成長が早すぎて色々な問題を一度に対応しなければならず遅れがち。
上海では、2015年までに
①石炭消費量を増やさない。
②天然ガスへの移行を推進する。
③PM2.5を現在の60%にする。
などの計画である。
日本からも大気汚染に対して企業・姉妹都市・NGOから協力の手が差し伸べられている。
大気汚染と呼吸疾患
在中国日本国大使館 医務官
昨今の大気汚染は暖房期と連動している。
年間通して1-4月にかけて汚染度は下がり、10-12月に上がる。
医学的には、人体の異物排除システムは、4か所ある。
鼻から侵入した異物は、まず
①鼻毛にブロックされる。
そのあと、
②鼻腔内粘膜の分泌駅で鼻水やくしゃみとして排出される。
そのあとを口を通過して
③のどの繊毛によって痰として排出され、
最後は肺の奥の
④肺もう(O2とCO2の交換器)の活動によって排出される。
PM2.5は肺もうまで到達してしまい、
肺もうまで到達すると出てくるまでに時間がかかる。
異物別の症状としては、
硫黄酸化物は、
石油・石炭の燃焼が原因で日本では四日市ぜんそくが有名。
鼻・のどに障害がおこし、ぜんそくや慢性気管支炎などがおこる。
窒素酸化物は、
車の排ガスが原因で日本では光化学スモッグとなり、
目・頭に痛みがおこる。
粒子物質は、
工場煤煙が原因で肺気腫や肺がんを引き起こす可能性がある。
肺気腫は、肺もうの壁が破壊されて起こる。
粒子状物質が肺を通して血液にしみ込むと
循環器系に障害が現れれ、心臓に負担がかかる。
気管支炎・ぜんそく・肺気腫などの呼吸器系の疾患は、
一度発症すると、転地や禁煙などの対処療法しかないので、
予防が大切。
予防としては、
①外出時のマスク
②排気の綺麗な掃除機を使う
③窓をあけない
④雑巾がけ(大気汚染物質は水の解けやすい)
⑤疲労を避ける。
肺・心臓疾患になったら、日本に帰る!
質疑応答:
Q:大気汚染は以前からあったのか?なぜ最近ひどいのか?
A:今年1月は特別だった。
ただ、経済活動によるエネルギー消費は増えているので
気象条件が悪いと高くなる。
Q:N95マスクは特別なのか?
A:N95はPM2.5を95%カットするマスク。
普通のマスクでもぎざぎざがあり、
角度があったら微少粒子には効果がある。
Q:どのくらいで発症するのか?
A:ぜんそくはアレルギー性、咳もすぐに出てくるが、個体差はある。
肺がんの発症については長期のデータが不足していてわからない。
10年くらいのデータが必要。
ただ遺伝子損傷はあるのでリスクは存在する。
Q:空の見た目の状態でPM2.5の量を判断できるか?
どんなところに住めばいいか?
A:空の見た目とPM2.5の量は相関がある。
住む場所については海に近いところは比較的きれいといえるが、
気象条件により変化する。
自動車の排ガスは低いところにたまっているので高層階の方がいい。
Q:汚染物質が水に溶けやすいとのことだが、
水を通して汚染することはないか?
A:まだわからない。
中国には食品の安全については別のリスクもある。
Q:上海の汚染はどの辺がひどいか?
A:発電所・工場の近くだが、今は市全体に広がっている。
Q:N95のマスクを買えるところはどこ?
ネットを見ても価格がまちまちで偽物臭い。
領事館での配布は考えられないか?マスクの使用期限は?
A:どこで買えるかはわからない、メーカーHPから購入するのが安心。
マスクは使い捨てです。
Q:公表データに中国政府の改ざんはないのか?
汚染は中国だけでないのか?
A:アメリカも公表しているが観測地点が少ない。
規制の値は日米と中国で違うが、公表値はほぼ正確だろう。
汚染は中国だけでなく国際的で、現在大気汚染ネットワークができつつある。
Q:2/19に当局が一部の企業・業種・地域に排出基準の強化したと聞いたが
A:特に強化ではなく、2012年9月のものと同じ。
そのために1/末、日本企業を含めて操業停止になった。
Q:空気清浄機も加湿機能付きの方がいいのか?
A:PM2.5は水に弱いので、加湿機能は効果があるかもしれない。
ただ、エアコンも外の空気を取り込むので、PM2.5も侵入してしまう。
対応エアコンを使うのがいいでしょう。
以上
その時も書きましたが・・・
対策は・・・
つねに空の状況や公表されるデータを見て、できれば外出しないこと。
やむなき、外出するときはN95対応のマスクを使う。
日本でもそうですね。
去年、字ばかりなので、グラフィックを駆使する上海や昆山の方が分かりやすいと
批判した環境省PM2.5の専用ホームページ・・・
相変わらずでした。残念!