神ならぬ身の奥さんは、甲斐バンドのクリスマスディナーショーのお知らせが来るとも知らず
7月の横浜赤レンガ倉庫ライブで、45周年プロジェクトが終了した時に
来年春のビルボードツアーまで、何もお楽しみがないとツマンナイからと
この舞台「ムサシ」の大阪公演チケットをゲット♪
初演は2009年で、翌年はロンドンとニューヨーク
2013~14年には、ソウル、上海などのアジア公演も行われた
「蜷川幸雄 晩年の代表作」と称されている作品とあって
その内容や評判のおおよそのところは耳にしていたものの
2018年の蜷川さん3回忌追悼公演の際は、甲斐さんのビルボードツアーが決定していて
大阪公演が開催される3月には、その先行予約があったりして
「気持ちはもうビルボード!」って感じだったらしく(笑)
奥さんにとっては、今回の7回忌追悼公演が「初ムサシ」
大阪公演初日ソワレ、大阪楽日マチネという
なかなかイイ感じの対比で、2公演を観ることが出来たみたいだけど
プログラムに目を通すと、ムサシ役の藤原竜也さんは元より
初演からのレギュラーキャストでいらっしゃる吉田鋼太郎さんと白石加代子さんが
奇しくも、この戯曲を書き下ろされた井上ひさしさんは
ご自分たちのことをよく判っていらして「当て書き」して頂いたかのようだと話されていたり
吉田さんが、再演されるたびに、少しずつ形を変え進化して来た今
改めて思い返されると、初演の佐々木小次郎役は「小栗(旬さん)そのもの!
女々しい、甘える、調子に乗る、すぐカッとなって、すぐ泣く(笑)」とおっしゃって(笑)
他のキャストの皆さんも大笑いなさったと知り
やはり、その都度その都度「リアルタイムで観るべきだったなあ」と申しておりました(苦笑)
ちなみに…蜷川さんは、海外公演で2代目小次郎役を務められた勝地涼さんには
巌流島の戦いで敗れてから6年間、ムサシをつけ回し、仇討ちの機会を窺う
「野良犬のような野性」をお求めになり
3代目にして現・小次郎でいらっしゃる溝端淳平さんに関しては
「彼の加入は大きい!所作も含めて、よく練習している
エリート剣士が敗れて、ムサシをつけ狙う感じが自然に出ている」と評されたそうです
その溝端さんに、小栗さんが「出たかった」と記された熨斗袋を渡されたり(笑)
LINEで「小次郎返せよ!」と送って来られるというエピソードもイイですねぇ(笑)
奥さんは、以前に吉田さん演出の「ヘンリー五世」に出ていらした溝端さんを拝見して
ドラマ「BOSS」や「天国と地獄」「古見さんはコミュ症です」などでの
ちょっとコミカルな役のイメージが、一気に吹っ飛んだみたいですが
ボクは今回、7回忌公演の大千秋楽後に始まった配信映像を拝見するまで
奥さんが、溝端さんの演技がどれほど素晴らしいか…
立ち姿が美しい、目線が決まっている、滑舌がよくセリフが響いて来る等々
「舞台映えすることこの上ない!」…を説明してくれても
「だって『ゆとりハチマキ』の『八巻刑事』でしょ?」と思っておりました…スミマセン!(汗)
あっ!今更ですけど、この作品は、1980年代にアメリカで起こった「ムサシ」ブームによって
「ドリームガールズ」を手がけた作曲家ヘンリー・クリーガーと、脚本家井上ひさしさんで
ブロードウェイ・ミュージカル化の企画が持ち上がり
井上さんは、全員女性キャストという構想で、クリーガーと打合せもなさっていたものの
残念ながら、実現することなく終わってしまい…(汗)
それから20数年経って、井上さんからホリプロの堀威夫さんに
「ムサシ書くよ!必要だったらやってくれ。必要がなければ捨ててくれ」と突然の電話があり
「共に同時代の演劇界の最前線を走りながら
若き日にはなかなか接点がなかった」
蜷川さんとの初めての、そして唯一の書き下ろし作品が完成したんだとか…
ただ、この強力タッグによる作品は、制作発表会見が行われた
2009年の正月明けには、まだ影も形もなかったらしく(苦笑)
「台本の執筆は『段取り8分、書くのは2分』今、段取りの7分半まで来てる」と井上さん
蜷川さんは「半分は恐怖心だけど、ワクワクしている
全員が『ムサシを待つ小次郎』の気持ちで待ってます(笑)
どんなことがあっても、初日は必ず開けるよ」と「SHOW MUST GO ON」の構えで
2月から稽古をスタートなさったところ、書き上がった分だけ届く台本には
能や狂言といった伝統芸能の要素が新たに盛り込まれていて
殺陣や摺り足といった時代物ならではの所作の訓練の他に
各界の第一人者である指導陣によるレクチャーが加わったり
物語上、重要となる「セット」が、いきなり登場して来て、スタッフの方々を慌てさせたり
台本の到着が途切れた時には、蜷川さんが、キャスト・スタッフの皆さんを
禅寺体験や井上家の表敬訪問にお連れになっていたそうです(笑)
その井上家近くの海岸で、藤原さんと小栗さんが「巌流島」の稽古をなさったりしながら
初日が近づいても台本は完成しないという綱渡り状態の中
初日の数日前にようやく脱稿されたみたいで
蜷川さんが「竜也と小栗は、3日徹夜すればセリフ覚えられるよな?」と
稽古の初日に口になさった冗談が、そのまんま実現してしまったらしい(汗)
まあ、吉田さんは「台本はないけど時間はたっぷりあったし(笑)
台本が小分けで来るから、セリフを覚えるのが楽だった(笑)」とおっしゃってるし
鈴木杏さんも「『出来上がったトコまでやって
出来上がってない分はお金返そう』って話してました(笑)」と明かされてましたが…(笑)
ただ、初演の当日に新しい台本が届き、開演2時間前に演出が変わったため…って
18時開演ということは、17時30分には開場するんでしょうし
カツラや衣装、メイクなど、キャストの皆さんの準備もおありだと思われますけど
ナンと!16時まで、ロビーで稽古をなさっていたんだとか…!?(汗)
ともあれ…大阪公演初日は、緊急事態宣言中とあって
当初から、収容人数の半数のチケットが売れたら「販売打ち切り」とか
公演後でも「払い戻し可」といった告知があったみたいだけど
奥さんは、2回目のワクチン接種の副反応がハンパなくて
接種当日を含めて3日間苦しんだあと、2日間出勤したものの、帰宅してから微熱が続き
…って、36.5度~37度くらいでも、平熱35.3度の身には堪えるらしく(汗)
会場入場時の検温は大丈夫だとしても、発熱状態で入場していいのか?
こんなコンディションで、ちゃんと舞台を楽しめるのか?と悶々…(汗)
当日は、朝から解熱剤を飲まずに、36度だったら出かけようと決め
何度も体温を計りつつ、一応、洋服や靴などを準備している内に
いよいよ決断を下さなければいけない時間となり
最後の検温は…35.9度!バタバタと出かけることに…(笑)
コロナ禍で、場内の喫煙所は使用できないだろうと諦めていたら
会場の向かい側に、JTの喫煙スポットがあり「ラッキー♪」(笑)
まあ、全3時間の舞台、往復の移動時間も含めると、プチ禁煙になるので…(苦笑)
地下の会場に向かうと、駐車場脇の喫煙所は使用可との案内もあったそうです
もっとも、ソワレ終演後はどちらもクローズだったみたいだけど…(苦笑)
「時間に余裕を持ってお越し下さい」となっているだけで
チケットには開場時刻が表記されていなかったため、開演の45分前に会場前に行くと
ほどなく開場となり、ソーシャルディスタンスを守りながら、しずしずと入口を通過して
手指消毒と検温を済ませると「手袋をした係員がチケットの半券を回収させて頂きます」
…との案内表示の通り、2月の観劇の時みたいに
自分でモギることも、チケット裏に名前と連絡先を記入することもなく、すんなり入場
まずは、グッズ売場へ向かうと「現金払い」と「クレジット払い」で、列が分けられていて
「これは、コロナ禍が終わっても続けて欲しいな」と奥さん
やはり、キャッシュレスの列はスムーズに流れていたそうです
プログラムと「集合写真」のA・B両セットをゲットし、ホールの入場口に向かう途中に
蜷川さんのお写真とお花が置かれていて、大勢の皆さんが記念撮影中…
と、ここで「ヘンリー五世」を観に来た時も
溝端さんのファンの方を始め、女性客の割合が高くて
かつての甲斐バンドライブよろしく、男子トイレが女性用に開放されていたことを思い出し
慌ててトイレに向かうも、すでに長蛇の列…(苦笑)
まあ、このご時世、手洗いに時間をかける方はいらしても
メイク直しをなさる方はほとんどおられず、トイレ内が「密」になることはなかったらしい
座席に着くと、予想通り「換気のため」場内は冷え冷え~(汗)
終演後は規制退場が行われることや(チケット裏に名前と連絡先を記入する代わりに)
ロビーに掲示されているQRコードで、緊急連絡先の登録を…と呼びかけるアナウンスがあり
係員の方から、カメラ・テープレコーダーによる録画録音、場内での飲食はもちろん
「お連れ様同士の会話もお控え下さい」と、かなり念入りな注意…って
最後の事項に関しては、全く無視の方もいらしたんだとか…(汗)
奥さんの席は、両日とも4列目のサイドブロックだったんですが
最前列はクローズになっており、初日に関しては、若干?間引いて販売されていたのか
舞台上に見えない場所はなくて、なかなかの良席♪
ただ、仕事帰りに駆けつけられる方が多かったらしく
奥さんの席近くでも、開演してからワサワサすることが続き
「アレはちょっと勘弁して欲しい…」と申しておりました(苦笑)