8月もあと1週間余りで終わるが、まだまだセミの声がかしましい。
大阪市東住吉区の長居公園にある大阪市立自然史博物館の調査によると、
世界中で一番セミの鳴き声がうるさい街が、大阪だという。
理由は「声」が大きいクマゼミが多いこと。
東京では少ないクマゼミが、大阪にはワンサといるらしい。
僕は大阪しか知らないので、これが普通だと思っていたが、
どうやら、普通ではなく、世界一うるさい…ということだ。
それにしても、世界一とは、スケールの大きい話だ。
ほんまかいな…?
「蝉」といえば、角田光代さんの小説「八日目の蝉」を思い出す。
何年か前、新聞の夕刊に連載された時、毎日、読み耽った。
愛人の赤ん坊を誘拐する若い女性の逃避行…という話が鮮烈だった。
その後、檀れい主演でNHKテレビドラマ化され、これもよかったなぁ。
「八日目の蝉」のタイトルは、セミのはかない人生(?)を表している。
セミは7年間土の中にいて 地上に出ると7日目で死んでしまう。
でも、7日で死ぬということは皆と一緒なので別に悲しくないが、
皆と一緒でなく8日目に生き残ったセミがいたとしたら、その方が悲しい…
小説に、そんなふうな会話が出てくる。
実際、セミは2年~10年、幼虫として土の中で過ごし、
地上で暮らすのは数週間だと言われている。
はかないというか、あっけないというか…
でもまあ短い間であっても、あれだけ鳴き叫ぶのだから悔いはなかろう。
僕みたいに、長く生きても鳴かずかず飛ばずの人生よりはるかにマシだ。
ところで、ご承知のように、鳴いているセミはすべてオスである。
オスがメスを呼び寄せるために鳴いているわけで、メスは鳴かない。
前述の大阪市立自然史博物館の職員の方によると、
広い森で一匹鳴いていてもメスとめぐり合えないので集団で協力して鳴く、
ということだそうである。だから、あれだけ騒がしいわけね。
「いわばセミの集団婚活です」とその職員の方。
じゃぁ、セミの合コンってのも、あるかもしれない。
男ばっかりしゃべりまくって、女は全員黙っている…。
ナンだか不気味な光景だと思いませんか?
また、セミを専門的に研究している学者先生によると、
オスとメスの数はほぼ同じ。オスは複数回交尾できる。メスは1回しか交尾しない。こうしたデータを独自の数式にあてはめると…。結果は37パーセント。
…とのこと。
つまり、メスを求めて鳴き叫ぶセミ男たちの「婚活」の成功率は、
わずか37パーセントにすぎない、ということになりますよね。
せつないなぁ。
やっぱり「鳴かず飛ばず」でも、人間のほうがよさそうだ。