いざ、キックベースの試合開始。 この中に、モミィがいます。
(5月20日。 市内の中学校の校庭で)
先月、モミィが小学校に入って間もなく、近所の女の子から、
地域のキックベースチームに入らないかと、誘われていた。
小学生の女の子たちだけで結成されているチームである。
桜が満開になった頃、そのチームの子どもたちや保護者、監督らが、
近くの公園でお花見をするので、来ませんか…とのお招きを受けた。
僕と妻とモミィの3人で公園へ行き、モミィは小学生の先輩たちに遊んでもらい、
僕たち夫婦は、監督、コーチらに「ぜひモミィちゃんをチームに!」と誘われた。
ビールを呼ばれながら、僕は妻と顔見合わせ、
「いいよね」 という感じで、お互いにうなずき合った。
ただ、モミィがチームに入るには、2つの問題があった。
チームは、毎週土曜日の午前中に小学校の校庭を借りて練習する。
土曜日の午前中といえば、モミィがスイミングへ通う時間帯だ。
まずこのスイミングを、別の曜日に変更しなければならない。
もうひとつの問題は、モミィはお世辞にも運動神経がいいとは言えず、
特にボールを投げたり蹴ったりというのは、まるで苦手な子なのである。
キックベースチームに入れてもらっても、チームの戦力になるかどうか…?
「まだ小学生になったばかりじゃないですか。大丈夫ですよ」
と、監督さんは、今年は新1年生のチームへの加入がゼロなので、
ぜひともモミィに入ってほしい…と、熱心に僕たちを口説いたのだった。
そういう経過で、結局、土曜日に通っていたスイミングを、
5月半ばから水曜日の夕方に変更することで調整がつき、
先週の土曜日、モミィは初めてキックベースの練習に参加した。
ところで、このキックベースだけど、ルールなど僕もよく知らなかった。
ウィキペディアには、こんなふうに説明されている。
ドッジボールと野球とサッカーが入り混じったようなスポーツである。
また、大阪市鶴見区のキックベース大会の動画があったので、
興味のある方は、どうぞご覧ください ↓
http://www.youtube.com/watch?v=9nLNsh2VWeg
そして、いよいよ、先週土曜日の初練習の日が来たのである。
モミィが毎日通う小学校の校庭を借りて練習が行われるので、
僕はモミィを連れて行き、練習風景を見学させてもらった。
冷たい飲み物や折りたたみ椅子やテーブルなどが並び、
選手のお母さんたちが、何かとお世話をされている中で、
子どもたちと監督、コーチが運動場に出て、練習が始まった。
モミィはたったひとりの1年生なので、中でもひときわ小さく、
激しく走ったり、ボールを受けて投げ返したりする選手たちの間で、
まごまごしたり、コーチからマンツーマンで指導してもらったり…
遠くから見ても、結構楽しそうにしているのがわかる。
まあ、これなら長続きしそうだな~、と一安心した。
9時から12時まで、みっちりと練習が行われた。
モミィは、先輩女子に手を引かれ、何度も休憩に戻ってきた。
チームの女の子たちみんなが、モミィの世話をしてくれる。
「お茶、飲む…?」
「トイレに行きたくない…?」
と、女の子たちが、モミィを気遣ってくれていた。
こういう、年齢を超えた交流が、モミィにとってはきっとプラスになるだろう。
その経験を踏まえ、来年以降はモミィが年下の子を世話するようになる…
そんなことを想像すると、このチームに入れてよかった、と思う。
これで土曜日は、朝の9時からキックベースの練習日となった。
そして日曜日には、月に1~2回、いろいろな試合があるという。
火曜日はエレクトーン、水曜日はスイミングと隔週でエレクトーン、
木曜、金曜はダンス教室…と「稽古事」でとても忙しくなってきたけれど、
当のモミィは全然嫌がらず、むしろこういう多忙を楽しんでいるみたいだ。
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…そして、翌日、日曜日。
さっそく地域のキックベース大会があり、
モミィも「選手」として参加させてもらうことになった。
世話役の方から、前日に試合用のユニフォームと帽子などを届けてもらい、
日曜日の朝、僕はモミィとともに早朝から待ち合わせ場所に行き、
みんなで試合場である近くの中学校へ向かった。
試合用のユニフォームは6年間使うものである。
だから、モミィが着ると大きすぎて、ドレスのように長い。
それを見て、お母さんたちが、
「うちの子も、最初は“ドレス”でしたよ。懐かしいです~」
そう言って、ぶかぶかのユニフォーム姿のモミィに目を細めた。
試合場の〇〇中学の運動場には、さまざまなユニフォーム姿であふれていた。
開会式の入場行進でも、モミィは一番小さかった。
他のチームのお母さんたちも、モミィを見て、
「あの子、可愛いね~。まだ1年生やろね~」
と話しているのが聞こえた。
試合は地域のチーム対抗で、午前中は予選リーグ3試合が行われ、
午後から、予選順位による決勝トーナメントが行われる日程だ。
この1日で、なんと、6試合も戦うことになるのだ。
選手たちにも大変なスタミナが必要である。
モミィのチーム「ミ〇キー」は予選を2勝1敗で決勝トーナメントに進んだ。
その予選の試合で、一度だけ監督さんがモミィを「代打」で出してくれた。
相手チームの関係者や選手たちが 「ん…?」 という顔でモミィを見た。
プロ野球の試合に、急に子どもが打席に入ってきたような雰囲気である。
審判の合図を受け、モミィがボールを蹴った。
コロコロと、いちおうボールが前に転がった。
当然、1塁へ走らなければならないが、モミィはじっと立ったまま。
すると相手の監督さんが、「走るんだよ~」とモミィのそばへ行き、
一塁方向を指すのを見て、そうかという顔で走り出したがむろんアウト。
僕はお腹を抱えて笑ったが、他の人たちもみんな笑顔になり、
一瞬、試合の緊張がほぐれたようでもあった。
昨日、初めて練習に参加し、今日、いきなり試合デビューとは…
それだけではない。
午後からの決勝トーナメントで、このチームは連勝し、
ついに決勝戦まで進出したのである。
さらにそれだけではない。
決勝戦も、追いつ追われつの大激戦の末、
昨日、モミィが入ったばかりのこのチームが、
最後に逆転して7対6で勝ち、みごと優勝したのである。
ぱちぱちぱちぱち。
午後4時過ぎから行われた表彰式で、
チームに優勝旗とカップが手渡された。
そして、選手たちの首に金メダルがかけられた。
モミィにも、金メダルがかけられたのである。
昨日初めてチームに入って、
まだキックベースの 「いろは」 もよくわからないうちに、
地域の大会に参加し、しかも金メダルを授与されるとは…
なんとも、まあ、運のいい子である。
試合開始前。 背番号7の小さな 「選手」 がモミィである。
ひとり、ユニフォームが 「ドレス」 になっちゃってる~
試合中はアウトカウントのパネルを持って、
チームメイトを応援するモミィ。
ついに試合にデビュー。
ボールを蹴ったモミィ。 しかし蹴るだけで、走らない。
相手チームの親切な監督さんが飛び出してきて、
「一塁へ走るんやで~」 と言われ、
あわてて走り出すモミィであった。
優勝の瞬間。 モミィ(右端)もベンチから飛び出して喜ぶ。
優勝旗といっしょに記念撮影。 モミィも金メダルをかけてもらった。