NHK連続テレビ小説「半分、青い。」のことですが、この一風変わったタイトルの意味は、ドラマを見ている人にはわかりますよね。最初の頃、こんなシーンがありました。
雨がザーザーと降っていたある日、小さい頃の病気が原因で左の耳が聞えない主人公の鈴愛(すずめ)が傘をさしていると、右耳でしか雨の音が聞えないので、
「半分だけ雨降っとる。右(耳)だけ雨降っとる!」と母に叫びます。
鈴愛からみれば、左耳側は雨が降っていない、つまり晴れている(青い)というわけ。そして雨が上がったあと、鈴愛が空を見て、
「半分、青い。」
とつぶやく。
胸を打つシーンでしたね。
そしてドラマの今週の展開は、高校を卒業した鈴愛が、漫画家をめざして東京に出て、トヨエツが演じる人気漫画家・秋風羽織のところに弟子入りする、というところです。出てくる人たちの軽妙な会話と鈴愛の天衣無縫なキャラクターが、何とも言えず楽しいです。
ところで、つい最近まで知らなかったのですが、脚本を書いている北川悦吏子さんも、左耳が聞えないそうなんです。ある雨の日に傘をさしていると左側だけ雨の音がせず、それがちょっとおもしろく感じ、タイトルの「半分、青い。」もそのとき一緒に思いついた、と語っておられたとか。つまりご自身の体験からこのドラマが生み出されたということなんでしょうね。
それにしても、片耳が聞えないというハンデを、不幸とは考えず「おもしろい」と感じるのは、何という素晴らしい感性だろ。マイナスとしか思えないようなことも、プラスになり得るモノがあるんだということで、勇気づけられます。
「耳」と言えば、僕の場合は耳鳴りです。2007年の9月に耳鳴りが発症してから、もう10年半もの間、ず~っと24時間休むことなく「ジーン・ジーン・ジーン」と左耳の奥で鳴り続けています。「鳴る」というより「鳴り響く」という表現のほうがわかりやすいでしょうね。左の耳の奥から脳にかけて鳴り響いているのです。しかも最近ますますその音が増幅してきているようで、気にしないようしていても、やはり気になるし、不安や苛立ちを覚えずにはいられません。
「耳鳴りは治りません。慣れることです」
というのが、耳鳴りに対する医学界の見解なので、耳鼻科へ行ってもほぼ相手にされず、心療内科への受診を勧められたりします。わかってもらえないんですよね~耳鳴りの辛さが。
耳鳴りに慣れる、というのも無理な話で、「慣れる」というより「あきらめる」しかないんですよね。
そんな耳鳴りは、僕にとっては100%マイナスだと思っています。
でも、鈴愛のように片耳が失聴しても、100%マイナスとは思わず、
「半分、青い。」
の気持を持つヒロインのドラマを見ていると、「人生に100%マイナスのことなんて存在しないのよ」と語りかけてくれているような気もするんですよね。
もしかして、自分のこの耳鳴りも、何かプラスのことがあるのだろうか?
と、ドラマを見ながら、ふと思い巡らしたりもします。
で、僕が脚本家だったら、この左側の耳鳴りをテーマにして、どんなタイトルのドラマを作るだろうか、と妄想してみました。その結果、
「半分、うるさい!」
というタイトルぐらいしか思いつきませんでした(笑)。
(どんなストーリーやねん!)
すみません。何のイミもない、ただのボヤキです。
やっぱり耳鳴りがプラスになるようなことを探すのは難しいです。
しかしそれでも、
「人生に100%マイナスのことなんて存在しない」
ということを、信じたいですね。