最近、大阪府で起きた2つの殺人事件が大きく報じられています。
そのひとつは、堺市で起きた事件で、29歳の女性と長女で3歳のリリィちゃんの2人が刺されて死亡した事件。容疑者として指名手配されたのは夫でした。これがブラジル人だった。2人の上半身には刺し傷が十数か所もあったと新聞に書かれていますが、家族に対するそれほどまでの殺意は何だったのか?
そしてこのブラジル人は、事件を起こした2日後に成田空港からブラジルに飛び、今はそこに潜伏中とのこと。ブラジルのどこにいるかもわかっているようだけど、日本とブラジルの間には「犯罪人引き渡し条約」というのが結ばれていないため、ブラジル当局が彼の身柄を確保しても、日本に引き渡す必要は法的にはないということだ。じゃぁどうしたらいいの? ということになりますよね。
専門家によると「大阪府警は国際指名手配を視野に入れるべき」とのこと。
しかし、だからと言って国際警察が捜査するわけでなく、「ブラジルでブラジルの法律で裁く “代理処罰” の可能性が高い」ということです。そうなると、日本で裁くよりも罪が軽くなることが考えられるので、「両国の警察による綿密な情報共有や、外交ルートによる働きかけが重要」ということでした。
この「犯罪人引き渡し条約」が結ばれているか、いないかで、海外逃亡の容疑者の身柄確保の難易度が大きく違ってくるのは、もどかしいですね。今回のブラジル人の件にしても「また、これか」という感じ。日本で起きた事件なんだから日本で裁判をすべきなのに、それが無理とは。理解せぇと言われても、無理!
さて、もうひとつは、高槻市で起きた事件です。
去年の7月、50代の女性会社員が殺害された事件で、彼女と養子縁組をした28歳の男が逮捕されました。
2年前、男は女性に1億5千万円の生命保険に入らせたあと、去年に、彼女との養子縁組届けを偽造して役所に提出した。そして3カ月後に生命保険の受取人を自分自身に変更した。さらにその2カ月後、女性を浴槽に沈めて殺害した、という事件。
今年7月、警察はこの男を養子縁組届けを偽造した疑いで逮捕し、8月10日には詐欺容疑で再逮捕した後、8月25日、ついに殺人容疑で再逮捕した。
この28歳の男は東京に住んでいたが、大阪で犯罪を犯した。大阪の高槻市で女性を殺害した当日には、女装したり服装を変えたりしながら大阪へ行き、犯行を終えるとすぐに新幹線でに東京へ戻るという、ミステリー・ドラマのようなアリバイ工作をしていたけれど、今は防犯カメラがあるのでバレますわね。
しかし、そのあと、思わぬ事態が起きる。
その28歳の容疑者が今月1日の朝、大阪府福島署の留置場で首をつっているところを署員に発見され、病院に搬送されたが死亡したというのです。監視体制はどうなっていたのか?
1時間に5回程度、定期的に見回っていたというが、取り調べの雑談中に「逃走を考えている」と口にしたと新聞に書かれている。そんな容疑者だから、より厳重に監視するのは当然だと思う。ずっと見張っているとかカメラで監視しているとかのやり方もあったのだが、福島署は「そこまでの必要性は認められなかった」と説明しているそうだ。
なんだかなぁ。
安倍元総理の銃撃事件でも、警備体制が全然ダメだったと言われ続けているけれど、この容疑者の自殺を防げなかった留置場の監視体制もお粗末だったと言わざるを得ない。これで容疑者が裁かれることもなくなり、事件の詳細の解明は不可能になった。亡くなられた女性も浮かばれないでしょう。
ブラジル人の容疑者は国へ逃げ帰って、日本の警察は手を出せない。
周到な計画のもとに女性を殺害した男は、さっさと自殺してしまう。
大阪府で起きた2つの殺人事件は、どちらもモヤモヤしたままですわ。