あの頃。
リアルに生活がしんどくて。
私の周りのもの、すべてが私に襲いかかって来て。
これ以上は。
もうこれ以上は。
怖くて、怖くて、怖くて。
夕方が来るのが、本当に嫌で仕方なかった頃。
しゃがみ込んだら立ち上がれないくらい、
婆さんの攻撃(口撃)に打ちのめされてた、あの頃。
それでも、私を奮い立たせてくれてたのは、「ONE」だった。
すばるの、
他を寄せ付けない力を秘めた、
ただ、ひたすらな言霊。
あれがなかったら。
たぶん、あの時点で。
私は、あの暗闇に浮かぶ銀色の鈍い光に負けてたんだろうとさえ思う。
また、
まだ。
この声を聴いていたい、聴かなくちゃ。
呪文のように繰り返した。
何度も、何度も。
だから。
ドームで、今のすばるが歌う「ONE」を聴けて。
不思議な優しさに包まれたことに、不意打ちをうけた。
若い頃の、がむしゃらな。
他をかえりみない、
ただ己のためにだけ突き進んで行くような。
自らを傷つけて、それでも前へと進んで行くような痛みが影をひそめて。
もっと深いところから包み込むような。
あったかい、というのとは少し違う。
尖ってないとか、丸くなったってこととは違う。
もっと。
なんだろう。
もっと。
抱きしめられたような感覚。
あれが、今のすばるのありのまま。
細い腕で、薄い胸で、
少し広くなって、少し深くなった懐に、抱こうとしてくれた。
ずるい。
ずるいんだから。
反則なんだから。
抱きしめたかったのは、私の方だったのにな。
先、越されちゃった。
歌い終わりに、「eighter--!」って、シャウトしたすばる。
その呼びかけは、次の曲のタイトルへと続く叫び。
あの声。
まだ、耳に残ってるよ。
誰に何と言われようと。
あの声ひとつで。
瞬間的に、無条件に体中が震えあがる。
ライブの間の、いろんな君の表情を覚えてる。
さまざまな仕草を、ひとつひとつ数えるように見続けてた。
すたすた歩く花道。
時折、ファンサしてみては、すぐにやめちゃうとこ。
トロッコにがっちり身体固定するお尻と足の角度。
遠くまで、上の方まで見えてた、見てたはずなのに。
「見えてないぞー!」って喜ばせてくれるとこ。
亮ちゃんに後ろから肩抱かれて、
歌いながら、もっのすごく照れ照れまくりになっちゃうとこ。
ダンスの連続、踊れないのを頑張っちゃうくせに。
やっぱり、途中でおどけてヒナちゃんを笑わせちゃうとこ。
タオル、回さずにぱしんぱしん足の間に挟んじゃうとこ。
まだまだいっぱい。
私の中に、あるよ。
もっともっとたくさん。
私の中に、入れたいんだよ。
どこまでも。
君が好きだよ、すばる。