柿の種、お好きですか?
か・き・の・た・ね。
ピーナッツが入ってる、あのちょっと辛い柿の種なら、
お好きな方も多いでしょうが。
ちょっと、聴いてよぉ。
うちの元気にボケてる婆さんってば。
がりっとばくっと。
食べちゃったんだよぉ。
柿の種(木になってる、だいだい色の果実の中にある、あれです)。
当然。
食べられませんわな。
噛んだところで、歯に当たれば。
違和感でそれ以上は噛まないだろうと思うんですけども。
なんだろうねぇ。
噛んじゃったんだねぇ。
食欲の発露、
噛む力も凄かったんだねぇ。
噛んだ種が、これまた薄っぺらいやつだったんだねぇ。
(だから切り分けた私も気づかなかったんだけども)
奥の方の歯と歯のあいだに挟まっちゃって。
「取れない―取れないー助けてー死んじゃうー」
・・・となったわけですよ。
待て待て待て。
それくらいじゃ死にたくても死にやしないと思うんですけども。
婆さんは必死な形相なわけです。
散々、喚き散らした揚句。
入れ歯を取ればいいと気づいた婆さん。
かぱっと入れ歯外して、
つまようじで、ほじほじっと柿の種を取りだした。
ああ。やれやれ一件落着。。。と思うでしょ?
それが、そうは問屋がおろさなくって。
今度は外した入れ歯が、ハマらない。
「歯が取れちゃった、取れちゃった、物が食べられなくなる、死んじゃう死んじゃう」
とまあ。
大騒ぎなわけです。
大口開けて、入れ歯差し出して。
「はめてくれ」って言われたって、どうすりゃいいのさ。
ってか。
婆さんの口に手を突っ込むなんざ、絶対、イヤじゃ!
あげく。
「おまえが柿なんか食べさせるからだ」ときたもんだ。
ええええ。そこですか。
そこに文句つけてきますか。
もうすでに、婆さんの中では生きるの死ぬのという騒ぎになってますので、
この事態を私ひとりで収拾するのは至難の業。
とりあえず。
入れ歯をなんとかせねば。
婆さんの親戚の歯医者(かかりつけ)に電話をし。
(かろうじて診療時間内だった)
夕方の混み具合のハンパない田舎道をすっ飛ばして診察に行き。
ものの数十秒で、すこんとはめてもらい、婆さん安堵。
なにもなかったような顔で礼も云わずに、すたすた車へ戻ってしまい。
残されたこっちは平身低頭。
ぺこぺこ謝りつつ、家に戻ってきました。
生きるの死ぬの、って話が消えたのは良かったんですけど。
「柿なんか食べさせられて、死ぬ想いだった」ってのは頭に残ったらしくて。
帰宅した夫に、なにやらぐちぐちチクってたようです。
あのね。
ひとつ、言わせてもらっていいですか。
柿の種は本来食べられません!
おかげで。
煮込んで美味しくなるはずの「どて煮」。
煮込む時間が足りなくて。
(病院への行き帰りの45分ほど)
若干、味の煮詰まり具合が・・・
「1日めのどて煮は美味しくないよなぁ」って、ひっきー息子。
それは私のせいじゃないもーーーん。
二日目が美味しいっていったって。
明日になる前に、鍋の半分以上は食べちゃうくせに(笑)
文句いうんじゃありません。