すばるに恋して∞に堕ちて

新たに。また1から始めてみようかと。

STORY.22 選ばれし者

2009-06-02 18:30:52 | 小説
もう、ドーム二日目が始まりましたね。

今朝のWSで、彼の、『愛しあおうぜ』を、久しぶりに耳にして、
懐かしさと同時に、
彼への愛しさだけを抱きしめております。

さて、今宵は、小さなお話をひとつ、
皆様に、贈ります。


本編へ行く前に、前書きもどき、を、少し、よろしいですか?

このお話は、あのJ-ROCK大阪の二日目。
開場までの時間調整をするために入ったスタバで、種が植えられました。

浮かんでくるのは、断片的な言葉だけで、
その場では、
まったく、繋がりもせず、ふくらみもしませんでした。

いろんな思いを抱えて帰ってきて、
一つ一つを消化して、
あらためて、
あの日のノートに書きとめた文字を見ながら、
彼に、同化することを試みました。

正しく同化できた、とは思いません。
あらぬ方向へ、向いているのかもしれません。

ただ、
こうすることでしか、

私は、私の気を鎮めることが、できませんでした。

今までより、かなり、短めですので、
一気に、行きます。

よろしければ、続きから、お付き合いください。

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暗闇の中、
俺は、どこかに、ひとつ、失くし物をした。

俺が歩いてきた道の、
どこにそれを落としたのか、
いや、
忘れたのか。


ひたすら、
ここまで歩いてきた。
歩くのに、必死、だった。
だから、
この手に、何を持ってたか、なんて、
もう、忘れちまってた。

     淋しくはなかったの?

彼女が訊いた。

なんでや。
淋しかったことなんか、ひとつもあらへん。
俺の周りには、いっつも誰かがおって、
笑ったり、けんかしたり、騒いだり。
身体が一人になることはあっても、
心が置き去りにされることは、なかった。

自ら望んで、他を拒絶した、あのとき、以外は。

彼女の手が、俺の右手に重なる。

     今は、楽しい、のね?

小さな柔らかい手のひらから伝わる温もりが、
じんわり、甲を包み込む。

俺の顔を確かめるように、彼女が覗き込む。

     そこに、あなたの居場所は、ある、のね?

吸い込まれるような、深い癒しの色。

俺の居場所?

忘れてたんは、それか?
探してたんは、それか?

いや、ちゃうな。

俺には、与えられた場所があった。
『そこがおまえのおる場所やぞ』と、決め付けられた。
そこが、
狭いテリトリーでも、
俺なり、一生懸命やってた。

時々、空回りして、
時々、わけわからんようになって、

やりたいことと、やれることの区別もつかんかったけど、な。

     何が、やりたかった、の?

さあ、なんやろな。
前は、考えたこともなかったわ。

     今、は?

やりたいことは、ある。
こっから、ずっと、続けていきたいし、
仲間とやったら、続けていける気、するし。

昔からの仲間がおって、
俺が自由になれる。

新しい仲間がおって、
俺が責任も持てる。

この声で、
みんなと繋がることが出来る。

歌うことで、
想いを届けることが出来る。

     歌える、の?

歌えるよ、そりゃ。

歌う以外に、俺に出来ること、ないやん。

ああ。
そうか。

俺は、歌いたかったんや。

誰かから、押し付けられて歌うんやなくて、
望まれて歌うんでもなくて、
もちろん、
ただの生業でもなくて、

心底、
俺の身体の、真ん中から、
湧き上がるように、
噴出すように、
ほとばしるように、

俺は、心のまま、
歌いたかったんや。

俺を見つめた彼女が、微笑んだ。

ふわりと、
その細い腕で、俺を抱くように包み込む。

懐かしい香りが、鼻をくすぐる。
心地よい音が、胸に響いてくる。

俺は、これを知ってる。

これは、なんや?
いつの記憶や?

彼女は、誰、や?

そう、思った瞬間、彼女の姿が消えた。

あとに残る、声。


      歌うことから、離れてはダメ。

この先、君を襲う全てのものに立ち向かえる、
それは、
たったひとつの武器で、
唯一の魔法。

ミューズに愛された君だから。










FIN.


2 コメント

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Unknown (ままちゃん)
2009-06-03 00:51:59
ミューズに愛された彼。
 ”選ばれし者” は、見かけの華やかさに相当する…もしかしたら、それ以上の苦難もあるかもしれない。
だけど…彼は、選ばれた者だから。
それを全うすることが出来ますように…。
魔法にかかった私たち…
できる限りの声を…! {ハート}を…!!
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Unknown (のゆから、ままちゃんへ )
2009-06-03 13:50:27
お付き合いくださって、ありがとうございます。

彼を抱くミューズになりたい。
とことんまで、彼を愛し見守り、支え続けるために。

彼の声に魅せられた私たちもまた、
ある意味、選ばれし者たちです。
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