一昨日は同級生ユリちゃんの実家のお寺で、また料理を作った。
世間はコロナ自粛のさなか。
バカじゃなかろうかと思われるだろう。
私もそう思う。
ともあれこの日は、“お磨き”と呼ばれる掃除の日。
お寺の本堂にぶら下がったキンキラキンの飾りを磨いたり
境内に祀られた小さなお稲荷さんを綺麗にする行事だ。
数名の檀家さんがお磨きに参加するため
昼ごはんを作って欲しい…
いつものようにユリちゃんから、我々同級生に依頼があった。
それを聞いた夫は、あきれ顔で言ったものだ。
「非常識にもほどがある…」
彼に非常識と言われたら、おしまいなのはともかく
毎年6月にはお稲荷さんのお祭がある。
人が集まるイベントとしてのお祭は、去年から開催を自粛しているが
お経をあげて感謝を捧げる仏事は例年通り行われる。
自粛だから掃除もしません…というわけにはいかないらしい。
神仏に、そんな言い訳は通用しないのだ。
もちろんユリちゃんにも、直前まで迷いはあった。
お磨きを行うのは決定事項だ。
しかし食事係を呼んでまで、決行するのはどうなのか…
また、少ないとはいえ人が集まる場所へ我々を呼んで
嫌がられはしないか…
ユリちゃんは心配していた。
が、お磨きは朝から午後までかかるため、昼ごはんはどうしても必要。
食べ物を出す店はことごとく休業中なので
コンビニ弁当しか無く、そんなモンではねぎらいにならない。
だからといって彼女か兄嫁さんが料理をするとなると
ただでさえ少ないお磨き要員が減ってしまう。
ユリちゃんの悩みは深い。
だから私は提案した。
「この状況は、まだしばらく続くと思う。
行事のたびに悩んでも仕方がない。
ちょっと前から考えていることがあるので、今回やらせて欲しい」
考えていたのは、弁当。
料理を皿に盛って出すのではなく、使い捨ての弁当パックに詰めるのだ。
おかずは全部、家で作って持ち込む。
お寺の台所でやるのは盛り付けと
ごはんを炊いて、おにぎりを作るのだけ。
それを各自に渡せば
お寺で食べる人、早退する人、ことづける人の全てに対応できる。
奉仕作業に飽きた檀家さんが次々に
「お手伝いします」
と言って台所へ集まる密も避けられる。
汁もお茶も紙コップ。
そうすれば洗い物も少ない。
前から思っていたのだが、食後に檀家さんたちがゾロゾロと台所に入り
我々と一緒に洗い物をする慣例こそ、密ではないか。
とはいえ弁当方式は、コロナ対策のためというより
これから訪れる地獄の夏に備え、私が無い頭で考え出した秘策である。
エアコンも換気扇も無いクソ暑い台所で、火を使うのは命がけだ。
直撃の西陽に炙られながら
いつ終わるとも知れない食器洗いだって、もうたくさんだ。
弁当にすれば、この二つの苦しみは一気に解消するではないか。
弁当のことを話すとユリちゃんは、う〜ん…とかすかに難色を示した。
理由はわかっている。
彼女の頭に浮かんでいるのは、味気ないコンビニ弁当。
パック詰めの弁当なんて、ショボくて失礼という気持ちがあるのだ。
今後も弁当方式にしたい私は“時節柄”を強調し、ユリちゃんに決断を迫る。
結果、「とりあえず今回は…」の注釈付きで許可がおりた。
さてこの日、いつもたくさんの料理を作ってくれるマミちゃんは
月末のために洋品店を閉められないので、私とモンちゃんの2人。
身体が弱くてスローなモンちゃんは、あんまりあてにできない。
私一人だと思ったほうがいい。
しかし当日になって欠席が相次ぎ、お寺で食事をするのは檀家さん3人に
ユリちゃん、兄嫁さん、我々で7人となった。
史上2番目の少なさ。
が、その分、持ち帰りやことづける弁当が増えるので
作る量はいつもとあまり変わらない。
今後も弁当方式を定着させたい私は、目にもの見せてやるわ…
と張り切り、家で作って現地で詰めた。

メニューは煮込みハンバーグ、ナスバンジャン、海老とししとうの天ぷら
アスパラと赤パプリカの牛肉巻き、サバの南蛮漬け、キンピラごぼう、五目卵焼き。
煮込みハンバーグは、パン粉に牛乳を加えて柔らかくするという
いつものやり方を使用しない。
多めのパン粉と卵でタネを固めに練り、焼く時、表面に小麦粉をまぶす。
そうした方が煮込んだり持ち運ぶ際に崩れにくい。
缶詰のデミグラスソースは高いので、ハッシュドビーフの素を使って煮込んだ。
我ながら名案だと思った。
ナスバンジャンはユリちゃんの兄嫁さんから教わった、檀家さんたちの好物。
長ナスはまだ出てないため、普通のナスで作ったが
時期的にまだ固いナスだったので、うまくいった。
本当は揚げナスの煮浸しにするつもりだったが
みんなが好きな物の方がいいジャン、簡単ジャンと思って変えた。
天ぷらは、弁当に海老が入っていると嬉しかろうと思って作り
牛肉巻きは、本当は鶏モモ肉で何か作るつもりだった。
しかし今、なぜか鶏モモが高い。
牛バラの方が安かったので、牛肉巻きに変えた。
夜、せっせと肉を巻いていたら
「最近、お寺で牛肉巻き、多くない?」
と長男に指摘されたが
「巻く中身が違う!食べる人が違う!」
と言い張る。
サバの南蛮漬けは、長男が釣ってきたサバを冷凍していたので採用。
南蛮漬けは前の日に作り置きができるため、時間的に都合がいい。
キンピラごぼうは、新ごぼうのシーズンなので作った。
新ごぼうは柔かいので、細切りしやすくて疲れないからである。
五目卵焼きは、病院のメニュー。
弁当には卵焼きだろうということで、登板。
みじん切りのハム、人参、ピーマン、ネギを入れる。
あと一つが何だったか忘れたので、かつお節を投入。
これで何とか、五目の面目が立った。
かつお節はダシと香りが出て、水分は出ないから、いいよ。

とりあえず20パックを用意。
隙間を埋める補欠に、貰い物のスナップえんどうを茹でて持参していたので
胡麻ドレッシングで和え、持ち帰り用のパックに置いた。
おにぎりは、なんとモンちゃんがにぎってくれた。
さすが事務職35年、きっちりと綺麗な形だ。
彼女の隠れた才能を発見。
お見それしました。
今後はおにぎり女王と呼ばせていただきます。
汁ものは撮影し忘れたが、写真を撮るまでもない。
温めるだけのスジャータ・コーンスープ。
弁当のおかずを作ったら、かったるくなり
数日前、特売で2本買ったのが冷蔵庫にあったので
これでいいやと持って行った。
パセリのみじん切りを散らして、紙コップに注げば終了。
今日一番の自信作かも。

デザートはプリン。
私の意気込みに刺激されたのか、長男がプリンを作ると言い出した。
前の晩に材料と容器を買いに行ってハウスプリンを固めておき
朝、生クリームを泡立てて、フルーツの飾り付けを済ませて出勤。
使い捨ての容器には背の高いフタが付いていて
仕上がったプリンの上にパカッと被せれば無傷で運搬できる。
キウイアレルギーの人が欠席だったので、緑が添えられて良かった。
さて弁当にしてみて、何が良かったか。
洗い物が少ないのは予想していたが
一番は台所と座敷の往復が1回だけだったこと。
モンちゃんが弁当7個、私がスープ7個とお茶の紙コップだけだもんね。
小さいお寺とはいえ、台所から座敷までは距離や段差があり
一般家庭のようにはいかない。
お盆に乗せた重たい料理を持って、何往復もする行程が無いのは大きい。
最初から弁当なんだから、持ち帰りの分を詰める作業も無い。
これもけっこう時間がかかって消耗するのだ。
疲れが全然違ったので、びっくりした。
弁当、ええわ〜!
世間はコロナ自粛のさなか。
バカじゃなかろうかと思われるだろう。
私もそう思う。
ともあれこの日は、“お磨き”と呼ばれる掃除の日。
お寺の本堂にぶら下がったキンキラキンの飾りを磨いたり
境内に祀られた小さなお稲荷さんを綺麗にする行事だ。
数名の檀家さんがお磨きに参加するため
昼ごはんを作って欲しい…
いつものようにユリちゃんから、我々同級生に依頼があった。
それを聞いた夫は、あきれ顔で言ったものだ。
「非常識にもほどがある…」
彼に非常識と言われたら、おしまいなのはともかく
毎年6月にはお稲荷さんのお祭がある。
人が集まるイベントとしてのお祭は、去年から開催を自粛しているが
お経をあげて感謝を捧げる仏事は例年通り行われる。
自粛だから掃除もしません…というわけにはいかないらしい。
神仏に、そんな言い訳は通用しないのだ。
もちろんユリちゃんにも、直前まで迷いはあった。
お磨きを行うのは決定事項だ。
しかし食事係を呼んでまで、決行するのはどうなのか…
また、少ないとはいえ人が集まる場所へ我々を呼んで
嫌がられはしないか…
ユリちゃんは心配していた。
が、お磨きは朝から午後までかかるため、昼ごはんはどうしても必要。
食べ物を出す店はことごとく休業中なので
コンビニ弁当しか無く、そんなモンではねぎらいにならない。
だからといって彼女か兄嫁さんが料理をするとなると
ただでさえ少ないお磨き要員が減ってしまう。
ユリちゃんの悩みは深い。
だから私は提案した。
「この状況は、まだしばらく続くと思う。
行事のたびに悩んでも仕方がない。
ちょっと前から考えていることがあるので、今回やらせて欲しい」
考えていたのは、弁当。
料理を皿に盛って出すのではなく、使い捨ての弁当パックに詰めるのだ。
おかずは全部、家で作って持ち込む。
お寺の台所でやるのは盛り付けと
ごはんを炊いて、おにぎりを作るのだけ。
それを各自に渡せば
お寺で食べる人、早退する人、ことづける人の全てに対応できる。
奉仕作業に飽きた檀家さんが次々に
「お手伝いします」
と言って台所へ集まる密も避けられる。
汁もお茶も紙コップ。
そうすれば洗い物も少ない。
前から思っていたのだが、食後に檀家さんたちがゾロゾロと台所に入り
我々と一緒に洗い物をする慣例こそ、密ではないか。
とはいえ弁当方式は、コロナ対策のためというより
これから訪れる地獄の夏に備え、私が無い頭で考え出した秘策である。
エアコンも換気扇も無いクソ暑い台所で、火を使うのは命がけだ。
直撃の西陽に炙られながら
いつ終わるとも知れない食器洗いだって、もうたくさんだ。
弁当にすれば、この二つの苦しみは一気に解消するではないか。
弁当のことを話すとユリちゃんは、う〜ん…とかすかに難色を示した。
理由はわかっている。
彼女の頭に浮かんでいるのは、味気ないコンビニ弁当。
パック詰めの弁当なんて、ショボくて失礼という気持ちがあるのだ。
今後も弁当方式にしたい私は“時節柄”を強調し、ユリちゃんに決断を迫る。
結果、「とりあえず今回は…」の注釈付きで許可がおりた。
さてこの日、いつもたくさんの料理を作ってくれるマミちゃんは
月末のために洋品店を閉められないので、私とモンちゃんの2人。
身体が弱くてスローなモンちゃんは、あんまりあてにできない。
私一人だと思ったほうがいい。
しかし当日になって欠席が相次ぎ、お寺で食事をするのは檀家さん3人に
ユリちゃん、兄嫁さん、我々で7人となった。
史上2番目の少なさ。
が、その分、持ち帰りやことづける弁当が増えるので
作る量はいつもとあまり変わらない。
今後も弁当方式を定着させたい私は、目にもの見せてやるわ…
と張り切り、家で作って現地で詰めた。

メニューは煮込みハンバーグ、ナスバンジャン、海老とししとうの天ぷら
アスパラと赤パプリカの牛肉巻き、サバの南蛮漬け、キンピラごぼう、五目卵焼き。
煮込みハンバーグは、パン粉に牛乳を加えて柔らかくするという
いつものやり方を使用しない。
多めのパン粉と卵でタネを固めに練り、焼く時、表面に小麦粉をまぶす。
そうした方が煮込んだり持ち運ぶ際に崩れにくい。
缶詰のデミグラスソースは高いので、ハッシュドビーフの素を使って煮込んだ。
我ながら名案だと思った。
ナスバンジャンはユリちゃんの兄嫁さんから教わった、檀家さんたちの好物。
長ナスはまだ出てないため、普通のナスで作ったが
時期的にまだ固いナスだったので、うまくいった。
本当は揚げナスの煮浸しにするつもりだったが
みんなが好きな物の方がいいジャン、簡単ジャンと思って変えた。
天ぷらは、弁当に海老が入っていると嬉しかろうと思って作り
牛肉巻きは、本当は鶏モモ肉で何か作るつもりだった。
しかし今、なぜか鶏モモが高い。
牛バラの方が安かったので、牛肉巻きに変えた。
夜、せっせと肉を巻いていたら
「最近、お寺で牛肉巻き、多くない?」
と長男に指摘されたが
「巻く中身が違う!食べる人が違う!」
と言い張る。
サバの南蛮漬けは、長男が釣ってきたサバを冷凍していたので採用。
南蛮漬けは前の日に作り置きができるため、時間的に都合がいい。
キンピラごぼうは、新ごぼうのシーズンなので作った。
新ごぼうは柔かいので、細切りしやすくて疲れないからである。
五目卵焼きは、病院のメニュー。
弁当には卵焼きだろうということで、登板。
みじん切りのハム、人参、ピーマン、ネギを入れる。
あと一つが何だったか忘れたので、かつお節を投入。
これで何とか、五目の面目が立った。
かつお節はダシと香りが出て、水分は出ないから、いいよ。

とりあえず20パックを用意。
隙間を埋める補欠に、貰い物のスナップえんどうを茹でて持参していたので
胡麻ドレッシングで和え、持ち帰り用のパックに置いた。
おにぎりは、なんとモンちゃんがにぎってくれた。
さすが事務職35年、きっちりと綺麗な形だ。
彼女の隠れた才能を発見。
お見それしました。
今後はおにぎり女王と呼ばせていただきます。
汁ものは撮影し忘れたが、写真を撮るまでもない。
温めるだけのスジャータ・コーンスープ。
弁当のおかずを作ったら、かったるくなり
数日前、特売で2本買ったのが冷蔵庫にあったので
これでいいやと持って行った。
パセリのみじん切りを散らして、紙コップに注げば終了。
今日一番の自信作かも。

デザートはプリン。
私の意気込みに刺激されたのか、長男がプリンを作ると言い出した。
前の晩に材料と容器を買いに行ってハウスプリンを固めておき
朝、生クリームを泡立てて、フルーツの飾り付けを済ませて出勤。
使い捨ての容器には背の高いフタが付いていて
仕上がったプリンの上にパカッと被せれば無傷で運搬できる。
キウイアレルギーの人が欠席だったので、緑が添えられて良かった。
さて弁当にしてみて、何が良かったか。
洗い物が少ないのは予想していたが
一番は台所と座敷の往復が1回だけだったこと。
モンちゃんが弁当7個、私がスープ7個とお茶の紙コップだけだもんね。
小さいお寺とはいえ、台所から座敷までは距離や段差があり
一般家庭のようにはいかない。
お盆に乗せた重たい料理を持って、何往復もする行程が無いのは大きい。
最初から弁当なんだから、持ち帰りの分を詰める作業も無い。
これもけっこう時間がかかって消耗するのだ。
疲れが全然違ったので、びっくりした。
弁当、ええわ〜!