殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

お相手は‥

2017年05月28日 08時56分54秒 | みりこんばばの時事
海の王子




気さくな海の王子




ワイシャツの第一ボタンを外したラフな装いでありながら
スーツの捨てボタンは留めておられる海の王子




王子のギャランドゥに負けじと
谷間をご披露なさるお母上、背脂の君



こ のたびは、なんともうしあげてよろしいのやら

れ んじつにわたって

は んりゅうどらまをかんしょうするようなこころもちでございます。

いん ぱくとのあるおしゃしんばかりで

ぼ んじんのわたくしは、めをみはるばかりでございます。

う みのおうじさま、しんせんなおどろきをありがとうございます。
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シャク魔

2017年05月17日 08時45分17秒 | みりこんぐらし
コメント欄できょんさんとシャクについておしゃべりしていて

若かりし頃の自分を思い出した。

周りがシャクでシャクで仕方がなかった、暗黒の時代である。


結婚6年目で義理親との同居に踏み切ったものの

夫の両親は50代になったばかり。

当時の彼らの年齢を越えてわかったが

子供や孫と同居したからといって、急に悟れる年齢ではない。

両親と我々夫婦の性格をかんがみても、この同居には最初から無理があった。


「嫁は泣かせてナンボ、働かせてナンボ」

「実家の無い嫁は、いくらいじめても文句は来ない」

「ブス」

「死ね」

挙げればキリがないが、これらが何度も聞かされた義父の語録。

先に相手を叩いて潰すという、彼の対人手段に由来するものであり

嫁ぎ先から毎日実家に帰る娘を擁護する目的も含まれていた。


私は意地になって平静を装った。

同居が始まって5日後に次男を出産し、退院した晩のこと。

長男の躾がなってないという理由でしこたま怒鳴られ

それきり母乳が止まったのを根に持っていたからだ。


義父はひどい浮気性で、家の中はいつもゴタゴタしていた。

そんなヤツに、人を批判する資格があるものか。

浮気者は浮気者らしく、コソコソしとけばいいんじゃ!

口にこそしないが、その気持ちは表に現れるらしく

義父は私をますます憎んで暴言を重ねた。


その息子である我が夫、これが父親に輪をかけた浮気者ときた。

外泊と駆け落ちを繰り返し、たまに帰って来たと思えば

「離婚して新しい妻に取り替えたい」

とほざく。

それを聞いた親は親で

「子供はどうする?」

などとマジで話し合っている。

義姉はその光景に手を打って喜ぶ。


右を向いてもシャク、左を向いてもシャク

朝から晩まで腹が立ってどうしようもなかった。

こんな悪人どもが我が世の春を謳歌するありさまに

神も仏もあるものかと嘆き、やがてシャク魔と化した私だった。



シャク魔稼業はけっこうきつい。

何でもかんでもフン!と思わなければならない。

フン!と思った後は、こき下ろす事柄を考えなければならない。

シャク魔は忙しいのだ。


「いつかバチがあたる‥いや、あたれ」

シャク魔はいつもそう思い、彼らに天罰が下る日を待ちわびた。

それを見届け、高笑いしながら去ってやるもんね‥

考えるだけでも爽快で、鳥肌が立った。

しかし10年が経っても、待望の日はいっこうに訪れなかった。

焦れた私は子供たちを連れて家出し

以来、両親とは別居したまま自由な15年余りを過ごした。



そして5年前、義母の入院を機に同居生活を再開した。

義父は腎不全で入院中、義母は癌で手術

おまけに義父が裸一貫から興した会社は、億単位の借金で倒産寸前。

夫は親の世話に明け暮れながら、彼らの身代わりとして地獄を味わっている。

待ち焦がれた状況が、夫とその家族に訪れていたのだ。


私は胸がすいたか。

全然。

なぜなら、息子たちが成人していたからである。


成人し、社会人になったら保証能力が発生する。

銀行が、未来ある若者に保証をさせたがるのは見えていた。

夫一家は自分たちが助かるために、必ず息子たちに触手を伸ばす。

ここはどうでも居座って、目を光らせる必要があった。

高笑いしながら去るには、遅すぎたのである。



その頃銀行は、毎日午前と午後の2回、夫を呼び出しては絞っていた。

義父の会社が負っている借金を夫の個人保証へと切り替えるためである。

父親が死んだ場合、相続放棄をされたら終わりなので

銀行は急ぐ必要があった。

朝に夕に責めさいなむと、そのうちおかしくなって判断力を失い

判をついてしまう。

それを待っているのだ。


銀行から呼び出しの電話があると、夫はこの世の終わりのような表情になる。

30年余りに渡って経理を握っていた彼の姉は

危険を察知してよそへ就職し、借金や倒産とは無関係を装っている。

取り残された夫が行くしかないのだ。


うなだれて家を出る後ろ姿に、義母はおどけながら手を振るのだった。

「頑張ってね〜ん」

我が子の地獄を作成した張本人の一味でありながら

早くもギャラリーになっとる。

言うに言えぬ情けなさに、くやし涙を浮かべる夫。

辛いのは私だけじゃなかったと知った。


一方で会社がいよいよ危なくなると

義父の入院する病院へ、銀行員が所在確認に訪れるようになっていた。

債務者が逃亡していないか、時々見に来るのだ。

一人だと情に流されるので、必ず二人で来る。

寝たきりなんだから逃げられるはずはないが、一応規則らしい。


瀕死の病人に何か言ってコロリとなったら

銀行員も夢見が悪いらしく、何も言いはしない。

挨拶程度で、本人と確認したら終わる。

しかし義父はそのたびに意識不明に陥り、心臓が止まった。


驚いた銀行員が飛んで帰るからか、医師の蘇生措置によるものか

しばらくすると息を吹き返す。

人は恐怖の前で、こうなるのだ。

彼が人前で見せていた強気は、やはり演技だった‥

私は自分の目が確かだったことに気を良くした。


ついでとして早期に訪れるであろう臨終を前に、あれこれ思い返しているうち

彼が孫には良くしてくれたことを思い出す。

小学生だった長男が、不注意で義父に怪我をさせたことがあった。

どんなに怒られるかと身を縮める私に、義父は一言も言わなかった。

激痛に声が出なかったのかもしれないが、以後もなぜか触れなかった。

たった一度、見逃してくれた優しさ‥この恩を返したくなった。

完全にあきらめがついた私は、全てを引き受けることに決めた。


翌日、例のごとく銀行から呼び出された夫に同行し

「もう呼び出されても行きません」

と言った。

支店長はネチネチと常識論を述べたが

「話は義父が死んでから聞きます」

と言って帰った。


同時に、今の本社との合併を進めた。

銀行の支店長は合併を聞いて慌て、必死で止めた。

救済者が現れると、貸し剝がしができなくなるからだ。

銀行が嫌がるということは、やっぱりいいことなんだ‥

私はそう確信し、作業を進めた。

早晩、本社の出資によって借金のケリがついたので

夫への毎日の呼び出しも、義父の所在確認も無くなった。


倒産をまぬがれた途端、元気になった義父は

あれから3年生きて、2年前に死んだ。

義母は、亭主と息子をとことん苦しめたあの銀行で年金を受け取り

娘と一緒に定期積金を続けて、集金に来る若い男と笑いさざめいている。

お花畑というやつよ。


それでいいと思っている。

妾どもをお花畑で遊ばせる、旦那氏の気分に似ている。

死にものぐるいで奔走しているうちにどこかへ行ったのか

私の中に棲んでいたシャク魔は、もういない。


が、その一方でこうも思っている。

首を突っ込んだばっかりに、えらい目に遭ったのは確かだ。

しかしそれには、私のシャクも多少は関与していたのではないか。

人を恨み、不幸を願い、天罰を望んだからだと。

あ〜ら、自己責任。
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古い話と新しい話

2017年05月08日 09時48分17秒 | みりこんぐらし
ゴールデンウイーク、楽しく過ごされましたか?

私は例年通り、家事と仕事と、ちょっとしたドライブ。

最終日は実家の墓参りで、あっという間に終了。


「皆様のお陰で幸せです、ありがとうございます」

お墓でそうつぶやいてごらんなさい。

サ〜ッと柔らかい風が吹くから。

え?気のせい?

へへ。



さて、うちの実家のお墓は少々変わっているかもしれない。

墓石の横っつらに、文章が彫り込んである。

「當家は◯◯郡◯◯村に在り。

元禄年間、屋号を◯◯と称し‥」

で始まり

「十代目◯太郎、四男◯夫、昭和32年當地に移住す」

で終わる。

なんのことはない、百姓の証明である。

子孫の縁談のため、墓を一目見たら

全てがわかるようにしておきたいというのが祖父の意向だった。

我々子孫は皆、恋愛結婚なので今のところ役立ってはいない。


明治になって、全国民が苗字を持つようになった時のことを

祖父から聞いたことがある。

祖父もまた、自身の祖父から聞いたそうだ。


「苗字をつけるように」

明治政府からのお達しを伝えに来た役人は

襟を正して迎える一家にそう言った。

「どんなのがいいでしょうか?」

とたずねたら

「何でもいい、好きな苗字をつけて届けなさい」

カジュアルと言おうか、のどかと言おうか

田舎のお百姓たちは、こうして苗字を持ったらしい。


自由過ぎるとかえって迷うもので、一家はものすごく考えた。

結局思いつかず、屋号と似た苗字を届け出たという。

それを聞いた私は、屋号そのままの方が好みだったので

少々残念に思った。



ああ、古い話をしてしまった。

目新しいことといえば、この連休中に義母ヨシコから

ある事柄を伝えられた。

「キクオさんが死んだら、こすずはあの家に居たくないと言うの」

キクオさんとは、こすずの亭主。

こすずとは、夫の姉カンジワ・ルイーゼのことである。


義兄のキクオは還暦を迎えた2年前、パーキンソン病と診断された。

ワイシャツの袖のボタンが留められないので

おかしいと思って病院へ行ったら、難病だった。


本人は2年前に発病したと信じているが

ヨシコを含めた我々一家は、その何年も前から異変を感じていた。

歩いたり振り返ったりの動作がスローモーションになり

靴の脱ぎ履きや駐車に、ひどく時間がかかっていたからだ。


しかし、言わなかった。

キクオは穏やかな善人だが、繊細で神経質。

軽く精神を病んだ経歴もあり、何にどう反応するか

ガサツな我々には予測がつかない。


我々はルイーゼの旦那がどうなろうと知ったこっちゃなかったし

ヨシコの方は、キクオが何かの病気であれば

娘の苦労が始まるので口をつぐんでいた。

女房のルイーゼは、亭主の異変に全く気づいていなかった。


かくして病魔はキクオの肉体をむしばみ続け

発覚した時にはかなり進行していた。

しかしまだ、スローモーションながら日常生活は送れる。

そのキクオの死後の計画を

うちの一卵性母子は、はやばやと練っているのだった。

気の毒なキクオ。


「キクオさんが死んだら、あの家に居たくない」

というのは、この母娘得意の言い回し。

つまり、旦那が死んだら実家に帰りたいという意味である。


ヨシコはこの数日、不眠や頭痛を訴えていた。

不機嫌であてこすりがひどく、明らかにおかしかった。

何かあるとは思っていたが、人間、いざとなると欲が出るもので

脳梗塞か癌の再発を疑っていた。

これだったのね。


バロメーターはトイレ。

大腸癌の後遺症で、トイレ通いは元々頻繁だが

普段にも増して狂ったようにトイレに通い続け

大量のトイレットペーパーをガンガン流すので

トイレが詰まって修理屋を呼んだ。


こんな時は、悩みごとがあるのだ。

前にやった時は、義父の会社が潰れるかどうかの瀬戸際だった。

トイレの大惨事は、あれ以来。

ヨシコは娘の希望を私にどう切り出すか、深く悩んでいたらしい。


ただし彼女の悩みの深さは、遠慮や気兼ねの類ではない。

今住んでいる家は、義父の借金が元で我々夫婦が買い取った。

名義が変わってしまった家へ、頭を下げずに娘を迎え入れる

その手段を考えあぐねていたのだ。


私は即座に返答した。

「ここへ帰ったらいいじゃん」

逆流したトイレの後始末をさせられるより

ルイーゼ・カムバック計画に賛同する方がよっぽどマシである。


「あら‥そう?」

夫一族の常套手段、それとなく切り出して言質を取るという

伝統の手法が成功し、ヨシコはホッとして嬉しそうだった。

「そうよね、こすずは性格もいいし

あなたたちと仲良くやって行けるわよね!」

母親というのは、ありがたくも愚かな生き物である。

あのルイーゼが、我々と仲良く暮らせると思い込んでいる。

すげぇ‥私はひそかに舌を巻くのだった。



小姑が帰って来てもいいのかって?

平気。

現時点ではヨシコ、キクオ、ルイーゼ、そして我々夫婦

この中の誰が一番先に死ぬかわからない。

ヨシコが一番であれば、レッドカーペットを敷いて迎える者がいないので

ルイーゼは帰れないし、私が先であれば夫や息子が考えたらいい。

死の順番によって、結果は大きく違う。


母娘の計画通り、キクオが先に死んで

ルイーゼが母親のもとへ帰ることになったら、それこそ私の思うツボである。

家とヨシコはルイーゼに献上し、一家で引っ越す。

ワクワクするではないか。


50も半ばを過ぎれば

人生、そう思い通りにいかないことはわかっている。

凡人の着々や虎視眈々は、そこに欲が存在するため

成就しにくいことも体験で知っている。

それでも、新たに加わった魅力的な選択肢に上機嫌の私。

交渉が無事成立したヨシコの方も、不眠や頭痛と即座におさらばして

やはり上機嫌。

明るい嫁姑の暮らしは、ズレたまま継続していく。
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店探し

2017年05月01日 09時09分54秒 | みりこんぐらし
昨日は忙しい一日だった。

同級生女子の有志が集まる食事会の店を探したからだ。


5月1日の月曜日、市外に住む同級生のユリちゃんが

久しぶりに実家へ泊まれるという。

泊まれるということは、一緒に酒が飲めるということだ。

私の所へこの連絡が入ると、数人の同級生は万象繰り合わせ

這ってでも集まることにしている。

ユリちゃんはお寺の奥さん。

年中無休の忙しい身なので、まず彼女に合わせるのが習慣である。


この集い、いつもは決まった店で行う。

やはり同級生マミちゃんの義理のお兄さんがやっている

田舎では高級な所。

私らぐらいの年になると、少々高いのは構わない。

しょっちゅう集まるわけでもなし、なにしろ老い先短いのだ‥

たまのお出かけは気の利いた店で、美食と上質な酒を楽しみたい。

ガキどもが来る騒がしい店で、冷凍食品なんか食べとうないんじゃ。


が、この日、お義兄さんの店は臨時休業だという。

そこで急遽、店選びの役が私に回ってきた。


軽い気持ちで引き受けたものの、思いのほか難航。

お義兄さんの店を推すマミちゃんの前では口をつぐんでいたが

そりゃ時々はこっそり言っていた。

「たまには違う店にも行ってみたいよね」

それがどんなに贅沢なことだったのかを痛感した。


いざ別の店を探すとなると、帯に短しタスキに長し。

いつ行っても料理にハズレが無く、いろんな種類のお酒が楽しめ

グラス一つにも細心の注意がはらわれており

店の内装も人材も客層も上質な店というのが

我が町では他に見当たらないではないか。


特に我々はおばさんだ。

おばさんのカタマリは、どこへ行ってもあまり歓迎されない。

そこにいるだけで、ケチ、騒がしい、長っ尻

この三拍子が揃った印象を与えてしまう。

世間の冷たい視線を気にせず楽しめたのは

マミちゃんの身内だからなのだと、今さらながら気づいた。



しかもゴールデンウィークの合間の月曜日とくれば

田舎じゃ休む所が多い。

あちこち電話してみるが、1日はどこも連休の中日で休むという。

今回は5人の集い‥

たった5人では無理を言って開けてもらうわけにもいかない。

長期の休みを取っているのか、電話すらつながらない店もある。



店が決まらないまま昨日の日曜日、つまり集いの前日がやってきた。

私の窮地を見かねた夫が

「町内を回って探してみよう」

と言うので出かける。


まずは最近新しくできて、皆が行きたいと言っていた店三軒。

一軒は都会からIターンした人が古民家で始めたイタリアン。

一軒は都会からUターンした若夫婦の始めたフレンチ。

残りの一軒は、昼はトンカツ、夜は居酒屋になるという店。

が、イタリアンとフレンチは月曜が定休日でアウト。

トンカツにいたっては、店がもう無かった。


呆然とする私に、夫は言った。

「ワシの知り合いシリーズ、行ってみようか」

そこは蕎麦屋であった。

私は行ったことが無いけど、夫の知り合いが脱サラして始めた店で

時々来客を連れて行くらしい。

メインは手打ちそばだが、他のメニューも豊富で夜遅くまでやっており

店も洒落ているという。

行ったら本当に洒落ており、いい感じ。

でも月曜日はやっぱり連休の中日ということで、代休ですって。


「次!居酒屋!」

こっちは夫の同級生の会合でよく使う店。

建物全体に漂うチープ感が難点だが、夫によれば安くておいしいそうだ。

で、行ってみた。

ゴールデンウィークはずっとお休みですって。


「次!洋食屋!」

ここも夫がたまに行く店。

その日は貸し切りで無理ですって。


「次!和食屋!」

ここは夫のバドミントン仲間の店。

その日はちょうど病院に行く日で、臨時休業ですって。



途中、夫の友人にバッタリ会う。

どこかいい所が無いかと聞いたら、しゃぶしゃぶ屋はどうかと言う。

我が社の飲み会でも使う所だ。

メインはしゃぶしゃぶだけど、他の料理もおいしい。

静かで客層が良く、お酒にもこだわっている。

「おお!そこがあった!」

早速駆けつけたが、店主が高齢だからか、しばらくお休みですって。


夫がつぶやいた。

「呪いじゃ‥」

私も同意した。


が、最悪の事態は考えてある。

義母ヨシコの友達、骨肉のおトミの娘が勤めるホテルがある。

そこのレストランは気取るばかりで高くてまずいと評判だが

年中無休という売りがある。

ヨシコも最悪に備えて、いつでも連絡してやると言っていた。


力なく帰宅した私は、最悪のホテルの前に

電話がつながらなかった一軒へとダメ元で電話してみた。

今度はつながり、簡単に予約できた。


「呪いがとけた!」

私より激しく喜ぶ夫。

「バンザーイ!」

二人で手を取り合い、喜び合う。


夫は小指を怪我している様子だったので

手を取り合うといっても小指は避けてやる。

さっき行った店のどれかの一軒で、ドアに挟んだらしい。

この人、痛いって言わないから、よく注意しないとわからないのよね。

小指を立ててると、なんだかオカマみたいだわ。


ところであんた‥

私は言いたかった。

「さっき行ったボロい居酒屋だけど

昔、あすこの女将と付き合ってたよね」

でも言わない。

一緒に探してくれたんだもの。

一生懸命探すあまり、つい自分の秘密を放出してしまっただけだもんね。

これ、妻の仁義。
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