公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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KININARU技術 6水素精製用PdCu合金の成膜法

2019-03-05 07:13:51 | 今日の単語

《水素精製法の中で、単工程で純度100 %の水素を精製できる金属系水素透過膜が注目され、中でもPdCu合金はその高い耐久性と触媒機能のため世界中で研究開発が進められている。しかし、従来の成膜法では前処理や薄膜化に複数のプロセスが必要であり、簡略な成膜法の開発が求められていた。

研究の経緯
産総研FREAは開所以来、「新しい産業の集積を通した復興への貢献」を使命とし、2013年度からは、東日本大震災の被災地(福島県、宮城県、岩手県の三県)に所在する企業を対象とした「被災地企業のシーズ支援プログラム」を実施してきた。産総研と山王の両者は、本プログラムのもとで、電解めっきを用いたパラジウム(Pd)系水素透過膜の研究開発を共同で推進してきた。

今回、PdCu合金をワンステップで成膜できれば従来の成膜法の課題を克服できると考え、電解めっきによるワンステップ成膜の技術開発に取り組んだ。

研究の内容
水素精製用のPdCu合金膜は高い機械的強度や水素透過性、均質な膜質などを兼ね備えることが必要である。このようなPdCu合金膜を作製するには、PdとCuの合金比率や結晶構造制御などの最適化が求められる。今回、電解めっきで水素精製用のPdCu合金を成膜するための最適な合金比率や、組成ムラが少なく、厚さも均質になる2種の異なる金属の析出法を見いだした。これは、山王のめっき技術で成膜しためっき膜を産総研のさまざまな技術によって分析・解析し、その結果をめっき技術にフィードバックすることで実現できた。それによって、圧延法よりも容易で、省エネルギー化を達成できる電解めっきによる水素精製用PdCu合金の成膜法の開発に至った。

図1(a)に電解めっきの様子を示す。電解めっきには特殊な装置などは使用しておらず、市販のステンレス基板(6 cm×6 cm)と量販されている整流器を用いた。めっき膜は、膜の端に切り込みを入れることで基板から剥離でき、単体のめっき膜として回収できる(図1(b))。また、流す電流の大きさ(電流密度)とめっき時間の制御により、膜厚も調整できる。

基板から回収しためっき膜から水素透過試験用めっき膜を切り取り(図1(c))、Pdと銅(Cu)の組成を分析したところ、原子比でPdとCuの比率は49:51であった。PdCu合金膜の中で最も水素透過量が高いPdとCuの組成は47:53であることが知られており、これに近い組成を実現できていた。また、6 cm×6 cmのめっき膜の端部と中央部の濃度差は小さく、原子比で±3 %程度であった。》



原子比で±3 %程度ならば実用性十分。

Pdの価格が上がり続けている背景に水素エネルギーの利用が進む可能性がある。実はそれだけではない。この膜を多段階に積層すると重水素精製製造を容易にするという元素変換技術が隠れている。

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