トランプ前大統領のSNSアプリ、Google Playで配信停止に
ドナルド・トランプ前大統領が立ち上げたSNS「Truth Social」が、Googleの定める規則に違反しているとして、Google Playでの同アプリの配信が停止されていることがわかりました。
暴力的な発言を放置
GoogleはTruth Socialが暴力的な発言、脅迫的言動を含むコンテンツを放置しており、Googleの規則に反するとして、現地時間2022年8月19日に修正を要請しました。
これに対しTruth Socialを運営するTrump Media and Technology Groupは、言論の自由を守りつつ、Googleのポリシーを遵守すると回答しています。
なおAppleのApp Storeでは現在も変わらず配信されています。
SNSから締め出された前大統領
2021年1月に起きたトランプ前大統領支持者による米連邦議会の議事堂襲撃事件を受け、Twitter、Facebook、Instagram、YouTubeなどの大手ソーシャルメディアは前大統領のアカウントを凍結、利用を禁止しました。
前大統領は、2022年2月に自身のSNSであるTruth Socialを立ち上げています。
Source:Bloomberg
トランプSNSこと「Truth Social」、資金不足で存続に黄信号【Gadget Gate】
ホスティング代金が未払いです
Munenori Taniguchi
LINE
米国の前大統領ドナルド・トランプ氏が、Twitterアカウントを永久に停止されたのをきっかけに、独自のSNSとして立ち上げた「Truth Social」が、資金繰りに行き詰まっていると伝えられている。
Image:Rokas Teny/Shutterstock.com
Fox Businessによると、Truth Socialはインターネット・インフラ企業RightForgeと昨年10月にサービスのホスティング契約を締結したが、今年春頃からRightForgeへの毎月の支払いが滞っており、未払い額は約160万ドル(約2.2億円)にのぼるという。
RightForgeのCEOを務めるMartin Avila氏は「我々のもともとのビジョンは、アメリカのアイデアをオンラインでサポートする第二のインターネットを作ることだ。RightForgeはトランプ前大統領の自由な言論プラットフォームの使命を信じ、前大統領のメディア活動を引き続きサポートしたい」と述べている。しかし、このまま支払いがない状態が続けば、ソーシャルプラットフォームの存続は困難になるはずだ。
このサービスの最大の資産は、トランプ氏自身に加え、米議会への暴動をきっかけに同氏が主要なSNSから追い出された際に付いてきた支持者たちだ。しかし、忠実なファンを多く抱えているにもかかわらず、Trurh Socialは技術的な問題や失敗が続き、iOSアプリは2月にリリースされたものの、App Storeで広くダウンロード可能になったのは5月に入ってからだった。また、Android版のアプリはまだリリースもされていない。
Google Playストアでこのアプリがリリースされない理由についてGoogleの担当者は、「不十分なコンテンツモデレーション」が原因だとCNNに伝えている。具体的には、アプリを通じて提供されるコンテンツ内容が、暴力の煽動や物理的な脅威に対するポリシーなど、Google Playストアにおけるいくつかの基準を満たしていないとのことだ。
なお、CNNによるとTruth Socialの担当者は、Googleに対して「フィードバックを認め、これらの問題への対処に取り組んでいる」と返答したものの、Truth Socialの持株会社Trump Media & Technology Group(TMTG)のCEOであるDevin Nunes氏は、「アプリの承認はGoogle Playストア次第であり、われわれはただ彼らが承認するのを待つだけだ」と述べたとのこと。
もともとTruth Socialは、ベンチャー企業が手っ取り早く株式の上場を可能にするための手法「SPAC」(特別買収目的会社)を実行するため、Digital World Acquisition Corp(DWAC)と合併する計画だった。ところが計画は延期され、収益のないDWACは今年上半期に600万ドルを超える損失を計上した。現在、DWACは株価が3月のピーク時から75%も下落しており、米証券取引委員会(SEC)に提出した書類の中でSPACの期限を9月8日から延長するよう求めている。また投資家に対しては、トランプ氏の事業や1月6日の議会襲撃におけるトランプ氏本人の役割に関する調査で同氏の信頼が損なわれれば、Truth Socialの「人気が低下する」恐れがあると投資家に警告している。
TMTGは規制当局への提出書類のなかで、トランプ氏の政治的ブランドを促進するため、将来的にストリーミングやその他サービスに拡大していく幅広い計画があるとしている。しかし、トランプ氏はTruth Socialの支配権を持っているとされるものの、金銭的な出資はごくわずかか、あるいは無視できる額でしかないとされ、運営にもほとんど関わっていないという。
ちなみにトランプ氏本人は、Truth Socialが苦境に立たされていることにほとんど関心がない様子だ。今週月曜日にも、主要なSNSでは投稿できないような、Qアノンなどあからさまな陰謀論を含むメッセージをせっせと数十件も投稿していた。
一方、本人の事業やその他の活動にも問題が山積している。列記していくと、まず1月6日の国会議事堂での暴動におけるトランプ氏の役割をめぐる司法省の調査があり、また不動産およびブランド事業を展開するThe Trump Organizationの財務に関するニューヨーク州の民事調査も入っている。さらに、フロリダ州マー・ア・ラゴの邸宅に機密文書を違法に持ち出したとの疑いで行われた司法省の調査が、最近のFBI捜査のきっかけとなるなど、法的苦境に立たされている。
トランプ氏はこれらの調査は、自らが2024年の大統領選挙に出馬する可能性があるため、政治的な動機によるものだと主張している。またこうした調査に対して支持者が反発しており、Truth Socialへのトラフィックは急増しているようだ。しかしそれが、このSNSの収益に貢献しているかどうかは不明だ。
なおFox Businessは、Truth SocialがRightForgeへの支払いを停止した件について、事情に詳しい人物が「何らかの契約違反があった」と述べたとも伝えているが、その「契約違反」とされる行為が本当にあったかはわかっていないとしている。
Source: Fox Business,CNN Business,Axios(1),(2)
via: The Verge