世の中にはみうらじゅんのような一見無用の者に見える研究者がいる。その多くには一生日が当たらないのだが、京大の同姓同名の研究者を調べていてたまたまこの目に止まった。こういう横道が好きな私も無用の者に違いない。
京都大学情報学研究科特定教授で〈不便益システム研究所〉代表の川上浩司(かわかみ・ひろし)
不便益【ふべんえき/benefit of inconvenience】
不便のなかに益があるという考え方。「不・便益」ではなく、「不便・益」。効率的な業務遂行を目指す目的思考ではなく、手間そのものを楽しむプロセス思考で得られる益。効率化を追求してきた社会に一石を投じる考え方として、情報学に留まらず、工学や教育、芸術の分野からも注目されている。
不便を工学にするというのは現代的に知的な無用の者に違いない。なぜ不便が益をもたらすのかというと、工学的便利が理屈を封印(ブラックボックス)化するので、理屈を考えることが減ってしまう。積極的な不便はよく考える契機になるという便益論だ。高尚な学問でなくても、インスタントラーメンを作り始めて、スープ袋(ブラックボックス)がないことに気づいた時、あなたならどうするw Z?ということですわ。