公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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今読んでる『人間を支配することばのマジック』 森岡健二 編集

2018-06-07 07:32:09 | 今読んでる本
ウェンデル ジョンソンというと、モンスター研究者でヒットする。怪物の研究者ではなく、非道な研究者ということだが、彼はアルフレッド・コージブスキーの弟子で重要な吃音の起源研究者であった。


彼はこう言っている。
『精神的に安定した人物を特徴づけるのは、主として、その人間が持っている特別な習慣ではなく、むしろ習慣を変えたり、環境の変化に対応したりするときの手際の良さである。融通のきかないひとりよがりで保守的な、何事もじっと傍観するタイプの人間とは反対に、変化に対する心積もりができている人間だ。』
他方で一流の運動選手ではルーティーンとよばれる一定の習慣を重視する。もちろん運動選手も変化に対する心積もりはできていいる。しかしその範囲は狭い。ゲームルールが予想すべき変化の範囲を制限しているからだろう。

リーダーに必要な資質は精神の安定した維持である。凡人はそうはいかない。10人以上の大きな集団を導くには人間の対応力が大切となる。おのずと監督やチーム経営の精神の置き方は選手とは違う。3人集まれば派閥ができるのが人の習性である。ぶれないなどということがもてはやされるが、君子豹変こそが必要で、毎日のように毎分言うことが違うトランプ大統領の扱い方はエスタブリッシュメントの国際派エリートほど苦手の組手となってゲームルールが成立しない。

Business insider

Trump's Secretary of State Mike Pompeo has said Trump receives daily intelligence briefings on North Korea. Pompeo said that when he was head of the CIA, Trump asked him about the country every day.

So why would Trump purposefully say, in front of his friend Abe, who has a lot to lose in the North Korea talks, that he wasn't preparing?

Perhaps because he personally enjoys raising the blood pressure of academics and experts.

After Trump withdrew the US from the Iran deal, his last bout of nuclear negotiations, the news website Axios reported that Trump was pleased by the largely negative reaction by prominent academics.

"POTUS ran against experts - the 'eggheads' - and believes that rebalancing our policies on trade, defense spending, security, etc., simply makes sense," a White House official told Axios at the time.


今読んでいるこの古い本は一般意味論の普及啓蒙の本で、その後この手の著作で研究者の論文はあっても大衆的なものは日本では見かけない。好奇心の強い日本人がアルフレッド・コージブスキーを知らないのは、不思議である。たぶん冷戦下の日本という特別な環境がそれを遮っていたからであろう。

なんとこの本はヘレン・ケラーの言葉とモノの対応という発見の自著「ものにはすべて名前がある」の翻訳から始まる。
『人間を支配することばのマジック ゼネラルセマンティックス』 *森岡健二 編集 至文堂 昭和42年4月30日発行 臨時増刊号とあとがきに書かれている。
*森岡 健二(もりおか けんじ、1917年6月11日 - 2008年3月27日)は、日本の国語学者、上智大学名誉教授。森岡 健二(もりおか けんじ、1917年6月11日 - 2008年3月27日)は、日本の国語学者、上智大学名誉教授。

言葉と事実は対応しない。この簡単な常識を自覚的に使用するだけで世界が大いに変化する。逆に言えば言葉の発明が天地を返すほど影響を持つ。19世紀ではマルクスによるプロレタリアートという言葉だ。この言葉の内実をマルクスはあえて示していない。自明であるかのように労働者貧民層というイメージから内容を乗り移らせている。20世紀の言葉はファシストだろう。これも内実を与えずに歴史的凶悪事実を連想させているだけで、古い世代がこの言葉を使う時に内容はいらない。そういうラベルを嫌いラベルを押されることを恐れている。21世紀はそれほどの言葉はまだ発明されていない。しかし変化を強調するあまり新しい用語があふれている。特にビジネスの分野ではIOTやビッグデータやAI。この言葉の省略に内包される事実は多くの場合誰も知らないか、事実の例示さえおぼつかない。こういう言葉をちりばめていれば大きな資金が集まるそれだけのことである。まさにマジックだろう。


設問に太宰治の『斜陽』が引用されていて、人間は皆同じだという観念が不安の原因かと疑っている場面が示唆に富む。言葉とモノの対応として人間ぐらい曖昧なものはない。ましてや自分を肯定することができても人間一般を肯定する理由はどこにもない。対応も因果関係もないものに悩んではいけないです。
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