障害は機器のメモリー容量不足が要因で、第三者委は「容量管理の必要性が組織内で適切に引き継ぎ、共有されなかった」
文藝春秋
石井支店はすぐさま本店に連絡を取り、指示を仰いだという。金額もさることながら、愛媛銀行は恒生銀行と取引がなかったため、コルレス契約をしているみずほ銀行に送金を委託する必要があったのだ。
ただ、男性が大阪支店に口座を持っていることなどから、本店から「問題はない」との判断が降りた。石井支店は、その男性の希望通り、みずほ銀行を経由する形で、970万円を香港の恒生銀行に送金する。
だが、愛媛銀行の驚きはこれだけでは終わらなかった。男性は6月下旬にかけて、たびたび石井支店に姿を見せ、そのたびに1億円前後の送金を依頼してきたのだ。送金先は同じ香港・恒生銀行の口座。結局、都合5回、送金総額は5億5185万8000円に及んだという。
なぜ男性は四国の地方銀行から香港に5億円を超える送金を行ったのか。実は、送金先である「K Barun Company」は北朝鮮との関係がある会社だったのだ。そして、ドル取引で行われたこの案件を、米財務当局も掴んでいるという――。
果たして、FATFは愛媛銀行の案件にメスを入れるのか。
政府が危機感を抱く審査結果の公表は来年6月頃の見込みだ。
プレスリリース 2019年
1 FATFとは
FATF(Financial Action Task Force on Money Laundering:金融活動作業部会)は、マネー・ローンダリング対策における国際協調を推進するために、1989年のアルシュ・サミット経済宣言を受けて設立された政府間会合であり、2001年9月の米国同時多発テロ事件発生以降は、テロ資金供与に関する国際的な対策と協力の推進にも指導的役割を果たしています。
2 FATF参加国・地域及び国際機関
FATFへの参加国・地域及び国際機関は、2020年11月末現在、OECD加盟国を中心に、以下の37か国・地域及び2つの国際機関です。
我が国は、FATFの設立当初からのメンバーであり、1998年7月から1999年6月までは議長国も務めました。
カナダ、中国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ
香港、アイスランド、インド、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本
ルクセンブルク、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド
ノルウェー、ポルトガル、ロシア、シンガポール、南アフリカ、韓国
サウジアラビア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国
欧州委員会(EC)、湾岸協力理事会(GCC)
3 FATFの主な活動内容
FATFの主な活動内容は以下のとおりです。
- ① マネー・ローンダリング対策及びテロ資金対策に関する国際基準(FATF勧告)の策定及び見直し
- ② FATF参加国・地域相互間におけるFATF勧告の遵守状況の監視(相互審査)
- ③ FATF非参加国・地域におけるFATF勧告遵守の推奨
- ④ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の手口及び傾向に関する研究
- ※ ①のFATF勧告と②の相互審査については、次の項目で詳しく説明します。
4 FATF勧告について
(1)「40の勧告」(The Forty Recommendations)
FATFは、1990年に、マネー・ローンダリング対策のために各国が法執行、刑事法制及び金融規制の各分野でとるべき措置を「40の勧告」としてまとめ、提言しました。
その後、FATFは、1996年に、疑わしい取引の届出制度の義務づけ等を含む改訂を行い、さらに、その後の世界的なマネー・ローンダリングの方法・技術の巧妙化・複雑化を踏まえ、その対策を向上させるため、2001年から、各国の民間部門等の協力も得つつ、新たな見直し作業を開始し、2003年6月には、再改訂された「40の勧告」を発出しました。
再改訂に際して、「40の勧告」に新たに盛り込まれた主な点は以下のとおりです。
- マネー・ローンダリングの罪として処罰すべき範囲の拡大及び明確化
- 本人確認等顧客管理の徹底
- 法人形態を利用したマネー・ローンダリングへの対応
- 非金融業者(不動産業者、宝石商・貴金属商等)・職業専門家(法律家、会計士等)へのFATF勧告の適用
- FIU、監督当局、法執行当局など、マネー・ローンダリングに携わる政府諸機関の国内及び国際的な協調
なお、FATF勧告は、IMF/世界銀行が行うマネー・ローンダリング対策及びテロ資金対策に関する各国審査(FSAP)においても基準とされるなど、現在では、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金対策に関する国際的基準となっているといえます。
(2)「9の特別勧告」(FATF Special Recommendations on Terrorist Financing)
FATFは、2001年9月の米国同時多発テロ事件発生後のG7財務大臣声明(同年10月)を受けて、同月中に、テロ資金対策に関する特別会合を開催し、テロ資金供与に関する「8の特別勧告」を策定・公表しました。この「8の特別勧告」については、2004年10月に「キャッシュ・クーリエ(現金運搬人)」に関する9つ目の特別勧告が追加されて「9の特別勧告」となりました。
「9の特別勧告」の主な内容は以下のとおりです。
- テロ資金供与行為を犯罪とすること(特別勧告Ⅱ)
- テロリズムに関係する疑わしい取引の届出の義務付け(特別勧告Ⅳ)
- 電信送金に対する正確かつ有用な送金人情報の付記(特別勧告Ⅶ)(注)
(注)「特別勧告Ⅶの解釈ノート」(Interpretative Note to Special RecommendationⅦ)により、各国は1,000ドル/ユーロを超える送金に正確かつ有用な送金人情報を付記することが求められています。
(3)新たな「FATF勧告」(The FATF Recommendations)
FATFは、2012年2月の全体会合において、大量破壊兵器の拡散や腐敗などの脅威にも、限りある資源を効果的に配分して的確に対処すること等を目的として、新たな「FATF勧告」に改訂しました。主な改訂点は以下のとおりです。
- 従来の「40の勧告」及び「9の特別勧告」を統合
- マネー・ローンダリング対策(40の勧告)とテロ資金供与対策(9の特別勧告)は密接に関係するため、これらの従来の勧告を統合し、双方の対策をカバーする40の勧告とした。
- リスク・ベース・アプローチの強化
- リスク・ベース・アプローチのコンセプトを明確にするとともに、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与関連のリスク評価をより幅広く行い、高リスク分野では厳格な措置を求める一方、低リスク分野では簡便な措置の採用を認め、より効率的な対応を求めることとした。
- 法人、信託、電信送金システムに関する透明性の向上
- 犯罪者やテロリストによる悪用を防止するために、法人や信託の実質所有者/支配者に関する情報、電信送金を行う際に必要な情報等について基準を厳格化し、これらの透明性を高めることとした。
- マネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策のための当局機能や国際協力体制の強化
- 国内においてマネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策に責任を持つ法執行機関及びFIUの役割と機能を明確にし、より幅広い捜査手法や権限を求めることとした。
- グローバルなマネー・ローンダリング及びテロ資金供与の脅威拡大に対応するため、捜査当局等に求める国際協力の範囲を拡充した。
- 新たな脅威への対応
- 腐敗行為防止の観点から、PEPs(重要な公的地位を有する者:Politically Exposed Persons)の定義を拡大し、外国だけでなく国内のPEPs等に関しても、金融機関等による厳格な顧客管理を求めることとした。
- 第三次相互審査を通じて、税犯罪とマネー・ローンダリングが密接に関係していることが明らかになったため、税犯罪をマネー・ローンダリングの前提犯罪とすることを求めることとした。
- 国連安保理決議の要請に沿って、大量破壊兵器の拡散に関与する者に対し、金融制裁を実施することを新たに勧告化した。
※ 新たな「FATF勧告」 (PDF ENGLISH(PDF形式 1.5 MB))
5 相互審査について
FATFは、各メンバー国・地域に対し、順次、その他のメンバー国により構成される審査団を派遣して、審査対象国におけるマネー・ローンダリング対策及びテロ資金対策の法制、監督・取締体制、マネー・ローンダリング犯罪の検挙状況など様々な観点から、FATF勧告の遵守状況について相互に審査しています。
我が国に対する相互審査は、過去、1993年、1997年及び2008年の3度にわたり実施されました。
コルレス契約 読み方: | こるれすけいやく |
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英語名: | Correspondent Agreement |
分類: | 外国為替 |
コルレス契約は、ある銀行が他の銀行との資金の仕向・被仕向の為替取引を行う場合に、予め諸条件を取り決める「銀行相互間の為替取引契約」のことをいいます。
通常、外国為替で使われる用語で、国内と海外の銀行間において、送金の支払委託や手形の取立依頼、信用状の授受、決済勘定などについて予め取決めたものを指します。また、相手先の銀行を「コルレス銀行」、コルレス銀行が開設している為替決済勘定を「コルレス勘定」と言います。
現在、日本の銀行は、主要通貨などに対して、海外の銀行とコルレス契約を結んで、相手先(コルレス銀行)に口座を開設し、外国為替業務の代行をしてもらっています。
ソフトバンクグループ(SBG)が8日発表した2020年4~12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期の6.4倍の3兆551億円だった。SMBC日興証券によると、4~12月期としては日本企業で過去最大。世界的な株高を受けて保有する海外IT株が値上がりするなどして投資利益が大きく膨らんだ。