「自らに対し、少ししか要求しなければ、成長はしない。 極めて多くを要求すれば、何も達成しない人間と同じ程度の努力で、巨人にまで成長する。」
ドラッカー
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シチリアの成り上がり将軍アガトクレは、シチリアに進軍していたカルタゴ人アミルカーレと通じて極悪非道なやり方で評議委員をみな殺しにしてしまった。徹底した殺戮であったから、これに抗議しようなどという市民など一人もなく、彼はこの街の権力を独占し、これを保持することになった。
「この男の行動と手腕を考察してみると、フォルトゥナ(幸運)が彼を助けたわけではないことが明らかである。あったとしてもほとんどない。前述のとおり、彼はたった一人で、軍隊における地位を登りつめ、幾多もの困難と危険を乗り越え、君主の地位へと到達した。そして、あまたの大胆な決断をもって、危険から身を守ったのである。」
「だが、彼の行為を力量によるものと言うことはできない。信義を欠き、慈悲もなく、宗教心もなく、市民を殺害し、友人を裏切るような行為を真の力量と呼ぶことはできないのである。 このようなやり方では、権力は得ることはできても、栄光を獲得することはできないからだ。」
(略)
「彼の残忍さ、冷酷さ、そして非道、途方もない邪悪さを認めるわけにはゆかない。賞賛すべき優れた人物像の一人として、彼を列することは許されないことなのだ。それゆえ、彼が達し得た事柄については、全く例外なく、どれもこれも、真のフォルトゥナ(幸運)や真のヴィルトゥ(力量)に結びつけることはできないのである。」
(略)
「こんな疑いをもつ人がいても不思議ではなかろう。アガトクレやその同類どもは、果てしない裏切りと残虐の後に、どうして祖国に安住し続け、外敵から身を守ることができたのか。また、なぜ市民の中から誰も蜂起する者も出てこなかったのか。一方、残虐の力に頼った他の多くの者どもは、平和な時代にさえ地位を保持することができなかった。戦争の混乱期というわけでもないのにである。この違いはどうして生まれてきたのだろうか。」
(略)
「私は、これは、残虐さが適切に行使されたか、不適切に行使されたかによって生じた違いだと考えている。」
「それが必要だと確信できる対象に対してのみ、集中的に残虐性が行使され、かつ、その後はその方法が蒸し返されず、むしろ臣民の利益になるよう転換される場合である。」
(略)
「必要とされる全ての攻撃に漏れがないように検討を尽くしておき、その全ての攻撃は、後で蒸し返しのないように一気に行うべきである。蒸し返しをしなければ、人々を安心させ、恩恵をもって人心をつかむことができるのである。」
マキャヴェッリ 「君主論」第8章
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歴史はその男の動機の善悪で成功をひいきしたりしていない。
世間が見るリーダーの真の力量も、本人が何を望むかということの関数である。
それが残虐な手段を通じた望みであったとしても、力量は善悪に関係しない。
意志と環境と思慮の深さによって無限に上昇する。
多くはその男の望みが同じ機会に対してゼロなら力量もゼロ出力という事実があるだけにすぎない。
ドラッカー
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シチリアの成り上がり将軍アガトクレは、シチリアに進軍していたカルタゴ人アミルカーレと通じて極悪非道なやり方で評議委員をみな殺しにしてしまった。徹底した殺戮であったから、これに抗議しようなどという市民など一人もなく、彼はこの街の権力を独占し、これを保持することになった。
「この男の行動と手腕を考察してみると、フォルトゥナ(幸運)が彼を助けたわけではないことが明らかである。あったとしてもほとんどない。前述のとおり、彼はたった一人で、軍隊における地位を登りつめ、幾多もの困難と危険を乗り越え、君主の地位へと到達した。そして、あまたの大胆な決断をもって、危険から身を守ったのである。」
「だが、彼の行為を力量によるものと言うことはできない。信義を欠き、慈悲もなく、宗教心もなく、市民を殺害し、友人を裏切るような行為を真の力量と呼ぶことはできないのである。 このようなやり方では、権力は得ることはできても、栄光を獲得することはできないからだ。」
(略)
「彼の残忍さ、冷酷さ、そして非道、途方もない邪悪さを認めるわけにはゆかない。賞賛すべき優れた人物像の一人として、彼を列することは許されないことなのだ。それゆえ、彼が達し得た事柄については、全く例外なく、どれもこれも、真のフォルトゥナ(幸運)や真のヴィルトゥ(力量)に結びつけることはできないのである。」
(略)
「こんな疑いをもつ人がいても不思議ではなかろう。アガトクレやその同類どもは、果てしない裏切りと残虐の後に、どうして祖国に安住し続け、外敵から身を守ることができたのか。また、なぜ市民の中から誰も蜂起する者も出てこなかったのか。一方、残虐の力に頼った他の多くの者どもは、平和な時代にさえ地位を保持することができなかった。戦争の混乱期というわけでもないのにである。この違いはどうして生まれてきたのだろうか。」
(略)
「私は、これは、残虐さが適切に行使されたか、不適切に行使されたかによって生じた違いだと考えている。」
「それが必要だと確信できる対象に対してのみ、集中的に残虐性が行使され、かつ、その後はその方法が蒸し返されず、むしろ臣民の利益になるよう転換される場合である。」
(略)
「必要とされる全ての攻撃に漏れがないように検討を尽くしておき、その全ての攻撃は、後で蒸し返しのないように一気に行うべきである。蒸し返しをしなければ、人々を安心させ、恩恵をもって人心をつかむことができるのである。」
マキャヴェッリ 「君主論」第8章
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歴史はその男の動機の善悪で成功をひいきしたりしていない。
世間が見るリーダーの真の力量も、本人が何を望むかということの関数である。
それが残虐な手段を通じた望みであったとしても、力量は善悪に関係しない。
意志と環境と思慮の深さによって無限に上昇する。
多くはその男の望みが同じ機会に対してゼロなら力量もゼロ出力という事実があるだけにすぎない。