公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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今読んでる 『もう一つの明治維新』 中沼郁

2017-05-23 11:23:02 | 今読んでる本
中沼了三(1816-1896) 隠岐 中村出身の人 、孝明天皇、 明治天皇の侍講を勤めた儒学者 。 慶應四(1868)年に隠岐島で起きた「隠岐騒動」の精神的支柱であった。明治維新の崎学 中沼塾に集まる人物群は以下の通り。西郷従道桐野利秋(この男が真面目に勉強したとは思えない)、川村純義(後の海軍大将、昭和天皇の養育掛り)ら薩摩藩士、千葉貞幹(十津川郷士,高野山三宝院で学ぶ。慶応3年12月(1868年1月)、右近衛中将鷲尾隆賢の次男として京都で生れた鷲尾隆聚の高野山挙兵 これに参加、後に裁判官)、松田重助(熊本藩士、七公卿たちと共に京都を去る(七卿落ち)再び上洛して同志らと再挙を謀議 元治元年(1864年)6月6日会津藩士に殺害さる) それに天誅組総裁の一人藤本鉄石 竹村東門の弟子中岡慎太郎までも西郷隆盛との接触?(探索と諜報)を図り入門している。錚々たる人物群を見ると、中沼塾は意図せず事実上の秘密結社だったと考えれば良い。中沼了三 鳥羽・伏見の戦いでは新政府軍の参謀であり、維新後の明治4年(1871年)二卿事件への関与を疑われ位階返上、投獄、鹿児島藩預り、神風連の乱にも関与したと疑われる(証拠なし)明治29年5月1日死没80近くの長命だった。尚、著者中沼郁氏は100歳まで生きた。

中沼郁氏の言葉
『その土地の役に立つ人間になりたいと思ったら、歴史を勉強しないとだめですよ。自分の住んでいるところの歴史を知らない人間はその土地を愛することができませんよ。また、自分の郷土を愛せない人間が、他の土地のことを愛せるはずがありません。自分の郷土を愛せない人間なんて、異郷で信頼されるはずがありません。そして、たとえ郷土を出て、異郷の地に住んでも、自分の郷土、自分の住んでいる土地の歴史を知っている人間はその土地に貢献できるんです。だからまず、郷土と自分が住む地の歴史を勉強してください。そして、その土地に貢献できる人になってください。そうすればあなた、どんなところに住んだって、それが外国でもやっていけますよ。』


中沼郁(かおる)氏はあとがきで、「歴史の非情さに憤りを感じる」と簡単に書いているが、吉田松陰、西郷吉之助、中沼了三に共通する義心と献身懸命は革命に必要な要素であるが、隠岐騒動(隠岐コミューン)に象徴されるように、権力闘争の原因を消すこと無しには、革命は反革命と対となって歴史に存在できる。だた一つの真実は革命が先に起こるために非業の死を受け入れなければならないのだけれども、「靖献遺言」に残された賢者の美学を知らなければ献身懸命はできなかったことは明らかで、植民地化されようとしていた当時の日本の抵抗線としては心の拠り所は古代よりの國の成り立ちであったことは疑いようがありません。ここに学問は究極の自問、疑い得ない自明に至るまでの自己問答であるわけです。

たまたま三橋メールに【『1984年』や『動物農場』といった小説を書いた英国の作家ジョージ・オーウェルは、「愛国心」について次のように述べています。すなわち「愛国心」とは、「自分では世界中でいちばんよいものだと信じるが他の人びとにまで押し付けようとは思わない、特定の場所と特定の生活様式に対する献身」(「ナショナリズム覚書き」)を意味します。】という内容が届いていましたが、この定義による特定の場所と特定の生活様式に対する献身に吉田松陰、西郷吉之助、中沼了三が命を懸けたのは彼らが学としての究極の自問、自己問答ができたからでしょう。、「歴史の非情さに憤りを感じる」とあるように、歴史は偶然の産物で不遇はごく当たり前。99%の人々は努力とは関係なく不遇であり好遇であるわけです。

明治維新のような革命において、人々は準備なく歴史を動かすことはできませんが、隠岐騒動のようにすべての歴史の動きにその努力の成就があるとは限らないのです。私は横井小楠も明治初期の不遇の三人に加えたいと思います。なぜ彼らが不遇となったかは隠されているので未だ本当の理由はわかりません。しかし四人に共通する人を動かす献身懸命の徹底した自問が革命を問いただし続ける魔力(暗殺によっては容易に取り除けない私利私欲を焼き尽くす人倫の光線)に安心できなかったグループがあったことは確かです。


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