この本は1970年の初版であるが、対談は1969年いわゆる学園紛争が終息を迎える頃に行われた。小林も益川も坂田昌一門下生で、この当時はいわゆる若手の不安定な研究者である。
小林・益川理論
小林・益川理論(こばやし・ますかわりろん)は、
小林誠(京都大学、当時)愛知県名古屋市出身。愛知県立明和高等学校卒業。幼くして父を亡くしたため、母方の伯父に当たる海部家に身を寄せ、従兄の海部俊樹らと共に暮らす[6]。名古屋大学理学部にて坂田昌一らの指導を受ける。学位は理学博士(名古屋大学・1972年)。論文の題は 「軽粒子ハドロン散乱と流れ代数和則」[7]。 卒業後は京都大学や高エネルギー物理学研究所(現・高エネルギー加速器研究機構)で理論物理学の研究を続けた。その業績により2001年に文化功労者に選ばれ、2008年には益川敏英、南部陽一郎と共にノーベル物理学賞を受賞した[8]。
益川敏英(京都大学、当時)愛知県名古屋市中川区生まれ[3]。戦後は昭和区、西区で少年期を過ごす[3]。生家は戦前は家具製造業、戦後は砂糖問屋を営んでいた。名古屋大学理学部で坂田昌一研究室に所属し理学博士号を取得[4]。博士論文のタイトルは「粒子と共鳴準位の混合効果について」(名古屋大学、1967年)。
京都大学理学部の助手であった1973年に、名古屋大学・坂田研究室の後輩である小林誠と共にウィーク・ボゾンとクォークの弱い相互作用に関するカビボ・小林・益川行列を導入した。この論文は、日本人物理学者の手による論文としては歴代で最も被引用回数の多い論文である。
両者は1973年に発表した論文の中で、もしクォークが3世代(6種類)以上存在し、クォークの質量項として世代間の混合を許すもっとも一般的なものを考えるならば、既にK中間子の崩壊の観測で確認されていたCP対称性の破れを理論的に説明できることを示した。
クォークの質量項に表れる世代間の混合を表す行列はカビボ・小林・益川行列(CKM行列)カビボ・小林・益川行列(カビボ・こばやし・ますかわぎょうれつ, Cabibbo-Kobayashi-Maskawa matrix)は、素粒子物理学の標準理論において、フレーバーが変化する場合における弱崩壊の結合定数を表すユニタリー行列である。 頭文字をとってCKM行列と呼ばれる、と呼ばれる。2世代の行列理論をN.カビボが1963年に提唱し、3世代混合の理論を1973年に小林・益川の両者が提唱した。
発表当時クォークはアップ、ダウン、ストレンジの3種類しか見つかっていなかったが、その後、1995年までに残りの3種類(チャーム、ボトム、トップ)の存在が実験で確認された。
KEKのBelle実験およびSLACのBaBar実験で、この理論の精密な検証が行われた。これらの実験により小林・益川理論の正しさが確かめられ、2008年、小林、益川両名にノーベル物理学賞が贈られた[2]。
^ Kobayashi, M.; Maskawa, H. (1973). “CP-Violation in the Renormalizable Theory of Weak Interaction”. Progr. Theor. Phys. 49 (2): 652–657. doi:10.1143/PTP.49.652.
- ^ 大塚実 (2016年3月4日). “世界最高の衝突性能を目指す加速器「SuperKEKB」が始動 - 宇宙誕生の謎の解明なるか”. マイナビニュース (マイナビ)