『一方、表層気温変動の支配要因が大気二酸化炭素の温室効果であったとい う通常の解釈に対して、二酸化炭素の寄与はほとんどなく、実際に表層気温 を決定しているのは雲量であり、それを決定するのは銀河宇宙線の大気への 流入量であるとする新しい解釈が提案され(Svensmark & Calder, 2007)、そ の可否をめぐって議論が続いている。この問題については、現世の観測に基 づく検証が不可欠だが、一方で生物多様性の激変が起きた過去の例からもア プローチが必要である。特定時期の炭素同位対比の大きな振幅は大気二酸化 炭素の増減だけでは説明できず、地層記録に基づく海水準変動とも同期しな い。むしろ温暖化/寒冷化に良く対応するのは非生物学的な指標である Sr同位体比層序で、背景に無機的営力が関与しことを暗示している。銀河宇宙 線の流入量を決めるのは、起源となる超新星爆発の頻度とその地球との距離、 そして太陽および惑星地球が持つ磁気圏の磁場強度である。古地磁気極性反 転パタンの詳細は先カンブリア時代まで遡れるようになり、一方で単一ケイ 酸塩鉱物中から過去の磁場強度の解読が試みられ(Cottrell et al., 2008)、個々 のイベントについて地質学的検証が可能となりつつある。過去の銀河宇宙線 量についても、岩石試料の直接測定方法の確立が待たれる。
絶滅後の多様化、とくに新しい生物群登場には、生体に不可欠な栄養塩の 供給パタンの変化が重要である。とくに多種の必須元素を多量に含む大陸地 殻の広域露出が重要で(Maruyama, 2012)、大気酸素量の変化と合わせて、 やはり地質学的に検証する必要がある。』
引用文献
Zhu, M.Y. et al. (2007) Palaeogeogr. Palaeoclim. Palaeoeco., 254, 7 ; Isozaki, Y. (2009) Jour. Asian Earth Sci., 36, 459; Svensmark, H., Calder, N. (2007) Icon, 246p.; Cottrell, R.D.. et al. (2008) Phys. Earth. Planet. Interior, 169, 49; Maruyama, S. (2012) JpGU2012 abst. M-IS01-01.
炭酸ガスが熱を温暖化ガスGHEsかどうかということは、単に赤外線を吸収すると温度が逃げないということではなく、地球が放出する赤外線を吸収する波長域にあるだろうか?というウィンドウでみなければ思考の意味が無い。わずかに波長域は重なるが、メジャーな吸収でないことが明らかである。むしろ酸素やオゾンが放射光吸収域に有る。GHEsという意味で、放射波長域で炭酸ガスは無色透明なのです。つまり放射光をこれ以上減らさない。むしろ酸素やオゾンが減らす。
目には殆ど見えないが、皆既月食のときの赤い月の輝きがほぼこの波長域の光に相当する。
南極の氷はむしろ増加している
20151104
『(CNN) 南極大陸で年々失われていく氷よりも、増えている氷の量の方が多いとの研究結果を、米航空宇宙局(NASA)のチームがこのほど発表した。事実ならば、南極氷床の融解が海面上昇につながっているという従来の説は覆される。
NASAのチームは南極氷床の高さを人工衛星から計測したデータを調べ、その変化の様子から結論を導き出した。
南極大陸は米国とメキシコを合わせたほどの面積。氷の増減は大陸全体で一律に起きているわけではない。南極半島を含む西南極の一部で氷床の融解が進む一方、東部や内陸部の一部で氷が増加傾向にあることは、かねて指摘されていた。今回の研究では、この増加分が減少分を上回ることが明らかになったという。
氷が増加しているのは、1万年前から続く降雪の増加が原因とみられる。雪は年月を経て積み重なり、圧縮されて氷となる。
チームによれば、こうして1992~2001年には年間1120億トンの氷が新たに加わった。02~08年はペースが下がり、年間820億トンの増加となった。』
21世紀の気温は温暖化の証拠を強化していない。
『21 世紀に入ってから、二酸化炭素濃度は増え続けているのに地球の平均気温は上昇していない(Fig.
6)。この間の太陽活動は低調であるが 1991 年のピナツボ以来、VEI(Volcanic Explosivity Index、火山噴 出物体積(m3)の対数から 4 を引いた値、端数は原則として切捨て)が 6 を超えるような大規模な噴火はな く、たった 10 年のことではあるが、地球温暖化二酸化炭素主因説を疑う理由の 1 つにはなり得る。』藤井