日本電信電話株式会社
科学技術振興機構(JST)
日本電信電話株式会社と産業技術総合研究所は、超伝導磁束量子ビットを用いて、量子ビットの寿命を制限する2準位欠陥を検出・識別することに成功しました。
量子コンピューター実現に向けて、超伝導量子ビットは最も有望な構成要素の1つです。しかし、超伝導量子ビットに関する研究開発の著しい発展にもかかわらず、誤り耐性量子計算が困難である理由の1つは、量子ビットが量子情報を保持することのできる時間(寿命)の短さにあります。この量子ビットの寿命を制限している大きなノイズ源が、量子ビットを構成するジョセフソン接合の電荷揺らぎを引き起こす、2準位欠陥です。したがって、2準位欠陥の特性を理解し、低減することが、誤り耐性型量子計算に向けた超伝導量子プロセッサーの進展に必要です。
本研究では、理論的に予想されていたタイプの異なる2準位欠陥を実験的に識別する方法を提案し、実証しました。本手法により深まった欠陥の特性に対する理解を、試料作製にフィードバックし、作製プロセスや材料を最適化することにより、限りなく欠陥を少なくした長寿命な量子ビットの実現が期待されます。
本研究は、米国東部時間2022年12月21日、米国科学誌「PRX Quantum」にオンラインで掲載されます。
『量子ビットの周波数を掃引することで、異なるタイプの 2 準位欠陥を識別する
ことが可能となりました。本研究を進めることで、欠陥の特性の解明が大幅に促進されます。さらに、 その結果を試料作製にフィードバックし、作製プロセスや材料を最適化することにより、欠陥のない 長寿命な超伝導量子ビットの実現をめざします。』2022/12/22
なにかと理論が先行する世界に実験実証手法が見出されたというだけでも朗報です。