『うつ向いて膝に抱きつくポンド安』
落目 金之助
スタイリッシュなメイ首相のUKはポンドと同じく見た目安を材料に産業を取り戻す助走をはじめている。見た目は大事。
10/4英国の欧州連合(EU)離脱見通しがより明確になる中、通貨ポンドが再び下落したことで、同国の大型株から成るFTSE100指数は4日午前に7000台を1年4カ月ぶりに回復した。しかし、英国株の半分余りを保有する外国人投資家は喜んではいない。
10/6【ロンドン時事】メイ英首相は5日、中部バーミンガムで開かれていた与党・保守党の党大会で閉幕演説を行い、英国の欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票に関し、「人々は変化を求めて投票した。その変化はやってくる」と述べ、離脱交渉を成功に導くため尽力する考えを改めて強調した。
メイ首相は開幕日の2日、離脱交渉開始の引き金となるEUへの通告を来年3月末までに行うと明言。閉幕演説では「静かな革命が起きた」と離脱の結果を評し、国民投票で分断された党や国の融和を図り、「団結した英国」を築いていく決意を表明した。
10/7(Bloomberg) -- 英ポンドの対ドル相場がアジア時間朝の取引で一時6.1%下落した。英国民投票で欧州連合(EU)離脱が選択された今年6月以来の大幅な下げとなったが、トレーダーはすぐにその理由を説明できないでいる。
ブルームバーグが集計したデータによれば、ポンドは一時1ポンド=1.1841ドルと1985年3月26日以来の安値を付けた。トレーダーらは、コンピューターを駆使する注文が下げの引き金となり、アジアの早朝時間帯の流動性の薄さが値動きを増幅させたのではないかと疑い、ヒューマンエラーや「タイプミス」の可能性もあるとみている。また、英国はEU離脱の報いを受ける必要があるとのフランスのオランド大統領の発言を英紙フィナンシャル・タイムズ(オンライン版)が報じており、この記事が原因だと指摘する向きもある。
10/8■米雇用統計前に異変! 英ポンド/米ドル突然の暴落
FRB(米連邦準備制度理事会)の幹部たちは相変わらず「言いたい放題」であり、市場参加者は今晩(10月7日)の米雇用統計を待っている。その間に、マーケットに異変が生じた。今朝(10月7日)の英ポンドの急落だ。
2016年10月7日(金)午前8時4分から、英ポンド/米ドルが突然暴落し、数秒のうちに6.1%の下落幅を達成した。
ブルームバーグによると、ザラバの安値は1.1841ドルを記録し、1985年3月26日(火)以来、最低レベルだという。
10/122016 年 10 月 12 日 17:48 JST 英国が6月に欧州連合(EU)離脱を決定した際、英ポンドは半世紀ぶりの大幅な下げを記録した。ただ、エコノミストの多くはこれを好材料だとみなした。
ブレグジット(英国のEU離脱)の衝撃にもかかわらず、決定から3カ月以上たっても英国では経済危機の具体的な兆候はほとんど見られていない。雇用は安定している。株式市場も持ちこたえている。国債は堅調で、住宅市場では通常の売買が持続している上、個人消費も腰折れしていない。
エコノミストらはポンド下落によるところが大きいと指摘する。つまり、ポンドの下げがブレグジットの衝撃を吸収する役割を果たしているという。ポンドはEU離脱の是非を問う国民投票後の2営業日でドルに対し11%下落した。先週も急落し、対ドルでの下落率は16%に達した。
国外から見れば、英国民の資産は6分の1減少し、英経済は6分の1縮小したように見える。ここ1週間の国際通貨基金(IMF)の統計では、英経済は宿敵のフランスに追い越され、世界5位から6位に転落したことが示唆された。
しかし、ポンド安で英国が経験する痛みは、失業率上昇などと比較すれば大したことはないかもしれない。これはユーロ圏の債務危機の際に加盟国が手にできなかったぜいたくだ。経済学の常識からすると、長期的には、通貨安により国外での販売が押し上げられる。従って、消費者の購買力低下により失われる個人消費分は輸出増で補われることになる。
GAMホールディングの投資ディレクター、ティム・ヘイウッド氏は「機能するこうした調節弁があることは重要だ」と話す。
ブレグジットにより、この調整弁の強さと信頼性が大いに試されることになる。短期的には混乱極まりない大幅な通貨安で金融パニックが生じる可能性もある。
ポンドは7日のアジア時間に対ドルで一時6%超の下げとなり、31年ぶりの安値に沈んだ。先週はメイ英首相がEU離脱に向けた日程を示すなど、ポンドにとって慌ただしい1週間となった。
最近のポンドの最大の下げは6月23日の国民投票の翌日に見られ、最大で8%安となる場面もあった。ファクトセットによると、これは対ドルでの1日の下落率としては1967年11月18日以来最大だった。
1967年当時、景気が低迷し外国人投資家が英国から資金を引き揚げる中で、英当局はポンドの米ドルとのペッグ(連動)を維持しようと躍起になっていた。最終的には当時のハロルド・ウィルソン首相が1ポンド=2.80ドルから同2.40ドルへの14%の通貨切り下げを強いられた。
アナリストらは、英国はブレグジットが決まった時、通貨のペッグ制を取っていなくて幸運だったとの見方を示す。
ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授(経済学)は「英国が固定相場制を取っていたら、吹っ飛んでいただろう」と話す。
変動相場制により、経済は主に2つの方法で衝撃を吸収できる。株式や債券ではなく、通貨が資本流出の矢面に立つことと、世界の舞台で国内企業の競争力が高まることだ。
変動相場制によって国家は金利設定が可能になり、金融資産の価格のかじ取りができることになる。対照的に、固定相場制の場合、混乱時には債券や株式市場が崩壊する。さらに、銀行は流動性を求めて奔走することになる。
国内事業が中心の中規模企業で構成される英FTSE250種中型株指数を例に取ると、ドルで投資する投資家にとって同指数はブレグジット決定以来13%急落しているが、ポンドで算出すれば約4%上昇している。
さらに、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)や製薬大手のグラクソ・スミスクライン(GSK)、アストラゼネカといった英最大手企業は利益の大半を国外で稼いでいる。こうした企業はポンド安で売上高が大幅に膨れ上がっているように見え、株価は大幅に上昇している。主にこうした多国籍企業を構成銘柄とするFTSE100種総合株価指数はブレグジット決定以来11%上昇している。ただ、この上昇率も対ドルでのポンドの下落率より小幅だ。
英国は自国通貨を有していることから、意のままに金融緩和策や財政刺激策を講じられる。ハモンド財務相は最近、ブレグジットによる消費者や企業の信頼感への潜在的影響を相殺するためにインフラ投資を増強すると示唆した。
経済に関する大半の教科書によると、通貨安により国内企業の国際競争力は増し、輸入が抑制される一方で国内での生産が有利になる。英国ではこうしたことが既に起きている一時的な兆候が見られ、ポンド下落が製造業の夏場のわずかな復調につながったと指摘する向きもある。
イングランド北東部サンダーランドに英最大の自動車工場を所有する日産自動車といったメーカーがポンド安の恩恵を主に受ける可能性がある。英国のEU離脱が実現する際にEU域内で直面する新たな関税障壁に対処できると仮定した場合の話だが。
また、旅行業界にとっても、ポンド安により外国人観光客にとって英国のホテルが割安になる。ブレグジットの影響をかねて楽観視してきたホテルチェーン大手インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは、ポンド安でコストが低下したことが今年上半期の業績押し上げにつながったと明らかにした。
しかし、ブレグジットの長期的影響をポンド安がどれほど相殺できるかをめぐっては議論の余地がある。輸出は為替相場だけで動くわけではないからだ。また、世界最大の自由貿易圏であるEUを実際に離脱する段階で、経済低迷が生じる可能性もある。エコノミストの多くは、EU離脱による貿易面での影響をポンド相場で相殺できるとの見方に懐疑的だ。EUの関税で英国からの輸出品は打撃を受け、英政府による移民抑制措置を受けて英国の長期的生産能力は低下するだろうとエコノミストは指摘する。 』
【フランスのフランソワ・オランド大統領は、イラク戦争で戦死したイスラム教徒の米兵士の両親を侮辱したトランプについて「行き過ぎた言動に吐き気がする」と非難した。】