メドベージェフ首相施政綱領に見られる危機の描写は、外因を主軸としたものになっている。つまり原油価格の低下と経済制裁によって資金は流出しインフレは狂ったようになり、金融システムは停止寸前までいったが、何とか(それでもインフレ率6%)持ちこたえているロシアが、自国の力ではなく、外国からの投資門戸をひらく時が来たという流れであろう。資源収入によって潤沢であった(それでも40%の国富は石油ガスによる)国内投資が決定的に経済の停滞をもたらしている。
これがロシア一国の国難、あるいは危機ならば救世主は日本だろう。日本はエネルギーコストを解決すれば、国際収支のマイナスを消すことができる。核融合発電とメタンハイドレート。前者に達成時期を宣言し、ケネディーのアポロ計画と同じように国民に希望を与える時が来ている。後者は本気で触媒法による直接メタノール回収を実現する基礎技術は日本オリジナルで完成している。あとは政治が方向性を出せばよい。それまでのロシア資源は交易条件の安定化のために必要な対策だろう。
『原油価格の下落、経済制裁、構造的な問題により、ロシア経済は深刻な危機に直面した。経済危機の主な影響、また主な原因を、「ロシスカヤ・ガゼタ(ロシア新聞)」の施政綱領論文の中で、メドベージェフ首相が示した。
ロシアでは経済システムの抜本的な刷新が起こっているという。ロシアNOWがポイントをまとめた。
1. グローバル問題の一部
2008年から続く世界的な経済危機は、世界市場の不安定さの増幅へとつながった。膨大な額の資金が瞬時に世界中に流れるような、グローバルな金融市場が形成されたが、正常なグローバルな規制システムが形成されなかった。政治的要因は、時に市場の競争に代わりながら、どんどん経済政策に入り込んでいっている。経済制裁はこの傾向の最も顕著な現象にすぎない。
2. あくまでも構造的な問題
もっと読む:原油価格の上下は痛し痒し
原油価格は2015年、半年で半値になるという、現代経済史では前例のない急落を見せた。しかし、主な要因がロシア経済の構造的な問題であることは変わらない。何よりも2000年代初頭の経済成長のモデルの消滅である。経済成長の著しい減速が始まったのは、原油価格の下落や対ロシア経済制裁のはるか前である。
3. 市場経済を守った
2014年末、ロシアで大惨事が起こりそうになった。政府が為替レートを固定したり、予算の歳出を増やしたり、価格を固定化していたら、起こっていた可能性がある。だが政府は代わりに、ショックに対応する体系的な作業を行った。結果は大方の予想よりも良いものだった。
4. 石油依存が弱まり始めた
石油、ガスに関連していない歳入の割合はほぼ60%に達した。インフレ抑制策により、外貨準備を維持し、金融システムの安定性を確保することができた。インフレ率は着実に減少し、今年度は6%以下になる。
5. 銀行システムは安定
もっと読む:ロシアにとっての制裁撤廃
2016年上半期、中央銀行は48の金融機関の活動を止めた。2015年、銀行93行が閉鎖された。ロシアは銀行パニックに直面しなかった。銀行システムはかなり安定した状態で活動している。2015年、国民の預金額は25%増加し、ロシア企業の口座の資金量は20%増加した。
6. 資金流出は減少
2015年、ロシアからの資本流出は2014年の1530億ドル(約15兆3000億円)の40%弱となる、581億ドル(約5兆8100億円)にとどまった。
2016年上半期は105億ドル(約1兆500億円)。2015年の上半期は515億ドルだった(約5兆1500億円)。
ロシアの総対外債務は、2014年半ばの733億ドル(約7兆3300億円)で天井を打ち、2016年半ばには516億ドル(約5兆1600億円)まで減少した。
7. 産業が成長
ルーブル安は国内の製造業の成長に弾みを与えた。2015年の成長率は食品産業で2%、化学産業で6.3%、石油製品産業で0.3%だった。医薬品の生産量は26%増えた。安定的に右肩上がりを示しているのは農業で、2015年に3%、2016年の最初の7ヶ月間で3.2%成長した。
8. 国産品を選ぶように
最大の効果が見られたのは自動車製造業。2015年に外国企業と合弁企業を創設したことにより、輸入の割合は22.5%減った。輸入の割合は製鉄業で4.5%、繊維・衣料品で7.8%、食品で4.1%減った。
9. 企業は潤っているが
安定化措置は今のところ、経済危機の主要な現象を補ってはいない。それは国民の富の減少である。実質可処分所得が減少し、実質賃金が減少した。ロシア企業の口座には、21兆ルーブル(約31兆5000億円)ある。
10. 投資増に期待
安定的な成長へと移行するには、投資規模を現在のGDPの20%から22~24%まで大きく拡大させなければならない。貯金を促すだけでなく、それが投資に変わるような対策を作成することが必要。問題は金利ではなく、不確実性の高さである。』
これがロシア一国の国難、あるいは危機ならば救世主は日本だろう。日本はエネルギーコストを解決すれば、国際収支のマイナスを消すことができる。核融合発電とメタンハイドレート。前者に達成時期を宣言し、ケネディーのアポロ計画と同じように国民に希望を与える時が来ている。後者は本気で触媒法による直接メタノール回収を実現する基礎技術は日本オリジナルで完成している。あとは政治が方向性を出せばよい。それまでのロシア資源は交易条件の安定化のために必要な対策だろう。
『原油価格の下落、経済制裁、構造的な問題により、ロシア経済は深刻な危機に直面した。経済危機の主な影響、また主な原因を、「ロシスカヤ・ガゼタ(ロシア新聞)」の施政綱領論文の中で、メドベージェフ首相が示した。
ロシアでは経済システムの抜本的な刷新が起こっているという。ロシアNOWがポイントをまとめた。
1. グローバル問題の一部
2008年から続く世界的な経済危機は、世界市場の不安定さの増幅へとつながった。膨大な額の資金が瞬時に世界中に流れるような、グローバルな金融市場が形成されたが、正常なグローバルな規制システムが形成されなかった。政治的要因は、時に市場の競争に代わりながら、どんどん経済政策に入り込んでいっている。経済制裁はこの傾向の最も顕著な現象にすぎない。
2. あくまでも構造的な問題
もっと読む:原油価格の上下は痛し痒し
原油価格は2015年、半年で半値になるという、現代経済史では前例のない急落を見せた。しかし、主な要因がロシア経済の構造的な問題であることは変わらない。何よりも2000年代初頭の経済成長のモデルの消滅である。経済成長の著しい減速が始まったのは、原油価格の下落や対ロシア経済制裁のはるか前である。
3. 市場経済を守った
2014年末、ロシアで大惨事が起こりそうになった。政府が為替レートを固定したり、予算の歳出を増やしたり、価格を固定化していたら、起こっていた可能性がある。だが政府は代わりに、ショックに対応する体系的な作業を行った。結果は大方の予想よりも良いものだった。
4. 石油依存が弱まり始めた
石油、ガスに関連していない歳入の割合はほぼ60%に達した。インフレ抑制策により、外貨準備を維持し、金融システムの安定性を確保することができた。インフレ率は着実に減少し、今年度は6%以下になる。
5. 銀行システムは安定
もっと読む:ロシアにとっての制裁撤廃
2016年上半期、中央銀行は48の金融機関の活動を止めた。2015年、銀行93行が閉鎖された。ロシアは銀行パニックに直面しなかった。銀行システムはかなり安定した状態で活動している。2015年、国民の預金額は25%増加し、ロシア企業の口座の資金量は20%増加した。
6. 資金流出は減少
2015年、ロシアからの資本流出は2014年の1530億ドル(約15兆3000億円)の40%弱となる、581億ドル(約5兆8100億円)にとどまった。
2016年上半期は105億ドル(約1兆500億円)。2015年の上半期は515億ドルだった(約5兆1500億円)。
ロシアの総対外債務は、2014年半ばの733億ドル(約7兆3300億円)で天井を打ち、2016年半ばには516億ドル(約5兆1600億円)まで減少した。
7. 産業が成長
ルーブル安は国内の製造業の成長に弾みを与えた。2015年の成長率は食品産業で2%、化学産業で6.3%、石油製品産業で0.3%だった。医薬品の生産量は26%増えた。安定的に右肩上がりを示しているのは農業で、2015年に3%、2016年の最初の7ヶ月間で3.2%成長した。
8. 国産品を選ぶように
最大の効果が見られたのは自動車製造業。2015年に外国企業と合弁企業を創設したことにより、輸入の割合は22.5%減った。輸入の割合は製鉄業で4.5%、繊維・衣料品で7.8%、食品で4.1%減った。
9. 企業は潤っているが
安定化措置は今のところ、経済危機の主要な現象を補ってはいない。それは国民の富の減少である。実質可処分所得が減少し、実質賃金が減少した。ロシア企業の口座には、21兆ルーブル(約31兆5000億円)ある。
10. 投資増に期待
安定的な成長へと移行するには、投資規模を現在のGDPの20%から22~24%まで大きく拡大させなければならない。貯金を促すだけでなく、それが投資に変わるような対策を作成することが必要。問題は金利ではなく、不確実性の高さである。』