ここに登場するユージェル・アイデミールという人物は医師ではない。解説は医師小松工芽氏による。私は医学見解を説明する立場にないが、塩のおいしさはよくわかる。精製塩のどこが良くないのか理解できていないが、美味しさでは圧倒的に自然塩が優れていることは容易にわかる。
そのような自ずからわかる力は天然のもので、誰にもある。本能に従って塩に導かれているのなら身体に悪いはずはないという人間原理に還るべき時が来ていると思う。良い水良い塩の議論は延々と続き結論が出ないが本能で答えを出すというのが生き物として正しい選択と感じている。
アイデミール,ユージェル
1963年11月1日、トルコのアルダハンで生まれる。1981〜1985年、トルコのイスタンブールマルマラ大学経済学部卒業。会計士としてのサラリーマン生活を辞め、ドイツに留学。1996〜2000年、ドイツのシュツットガルト大学社会学、政治学部卒業。シュツットガルト大学勤務を経て執筆活動に入る。現在、ドイツ、ガイルドルフ市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
解説 ──健康で調和に満ちた社会は〝本物の塩と水〟から始まる! 伝統の「塩水療法」を見直そう 小松工芽(医師・医学博士)
以下は小松氏による序文である。ここに登場する北川先生にはお会いしたことがあるが、先生には実に美味しい水をご紹介いただいた。本能的にこの水を最後に飲みたいと思っている。
土井聡さんからユージェル氏の原稿についての意見を伺いたいとの連絡をいただいたとき、私は北川良親氏の『アクアポリン革命 活性水で救われるあなたの「水不足病」』(梓書院 2016年)という本をちょうど読み終えた直後でした。
水が細胞に吸収されるには、アクアポリンというチャネル(通り道)が必要です。酸素と並んで生命維持の基本中の基本となる水ですが、このアクアポリンが発見されたのはわずか二十数年前の1992年のことです。なお発見者のピーター・アグレ博士(アメリカ 医師 1949~)は、2003年にノーベル化学賞を受賞しています。
このチャネルにはいくつかの種類が確認されています。臓器によってその発現しているタイプが異なり、さまざまな病気との関連が注目されています。例えばつい最近も、東北大学の片桐秀樹教授らが、脂肪肝があるとなぜ胆石ができやすいかに関して、脂肪蓄積による細胞の低酸素状態が転写因子HIF1αを誘導し、肝臓でのアクアポリン8の発現を減弱させることによって胆汁中の水不足(濃縮)が関与しているとの報告が「Gastroenterology誌(消化器病学の分野で最も権威ある医学雑誌)」(2017 May;152(6):1521-1535.)に掲載されました。
北川氏の本には、チャネルの通りやすさ(透過性)を評価する実験的なシステムを構築して調べたところ、この透過性は水の種類により異なること、またある種の外的な処理を水に加えることによっても変化することが述べられていました。
北川氏もユージェル氏と同じように、体内の慢性的な水不足が多くの病気に関わっていると考えられているようです。今後、このような生体での水(とミネラルの)役割についての研究がさらに進めば、ユージェル氏らの考えがより科学的な背景を持って証明されるものと思います。
斎藤 いづみ
2013年早稲田大学政治経済学部卒業。2013年より駐日トルコ共和国大使館で勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
小松 工芽
医師・医学博士。仙台徳洲会病院健康管理室、三番町ごきげんクリニック(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
ヒトの腸内細菌が生産するセロトニンのうち、どの程度が脳に移行するかに関する具体的な数値は明確には示されていません。腸内細菌がセロトニンを生成するのは主に腸であり、体内では約90%のセロトニンが腸に存在するとされています。
脳内のセロトニンは主に神経細胞によって生成されており、腸から脳へのセロトニンの移行は直接的には行われません。血液中に存在するセロトニンは血液脳関門(BBB)を通過しにくいため、腸内で生成されたセロトニンが脳へ移行することは限られています。そのため、腸内細菌の活動がセロトニンのバランスや脳におけるセロトニンの生成に間接的に影響を与える可能性があると考えられていますが、具体的な移行量や影響の程度についてはさらに研究が必要です。
腸内環境がメンタルヘルスに与える影響については、近年注目を集めており、「腸-脳相関」として研究が進められています。腸内細菌の状態がセロトニンや他の神経伝達物質に影響を与えることで、気分や行動に関連する機能に寄与している可能性があります。