トドの小部屋

写真付き日記帳です。旅行記、本や美術展の紹介、俳句など好きなことをつれづれに。お気軽にどうぞ。

源氏物語

2017-01-22 16:38:47 | 
昨夜、源氏物語を読み終わりました。市の図書館から借りて全10巻読了。瀬戸内寂聴さん訳のものです。実は昔、一度挫折したのですが、今回は私も還暦を過ぎ、主人公を突き放して読め、寂聴さんの訳がわかりやすく、最後まですんなり読み進めました。この平安時代の王朝物語は、次々に高貴な方々の恋物語が展開して行きますが、実際にはこれほどのことはなかったでしょうが、帝を取り巻く複雑な姻戚関係はあったのかなとも思いました。第七巻で最愛の紫の上に先立たれ、悲嘆にくれた光源氏はついに出家し、52歳くらいで亡くなったとのこと。源氏の死の様子は雲隠とあるだけで描かれていません。8巻以降は孫の匂宮と女三の宮と柏木の君の間に光源氏にとっては不義の子としてうまれた薫の宮の恋愛模様が中心になりました。夜の暗さが印象的。女性は御簾をへだてての対面で、几帳の中にいて姿を見られることを極力避けていたこと。それでも手紙のやり取りやほのかな声や気配、ちらりと見えた様子などから美しさを感じ取って男君が女性のもとに通いはじめたのです。この物語では男の身勝手さが際立ちました。光源氏と孫の匂宮は類い稀な美貌と教養を身につけ、魅力的な好色浮気者でそっくり。彼らに腹立たしく思いながらも最後までグイグイ読者を惹きつける紫式部の筆力は大したものだと思います。
コメント (2)
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