沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

宮古島市の不祥事を考える(結論)

2015-12-09 20:13:45 | 備忘録

予想はしていましたが、宮古島市の不祥事については、一定の結論が出たようです。このブログの管理者は、これ以上、問題を解明する必要はないと考えます。

結論は、市町村における「自治事務」の放棄です。

とは言え、市町村が「自治事務」を放棄することはできません。

では、どうすればよいか?

これを機会に、沖縄県の離島の市町村は、全市町村による「広域連合」によってごみ処理を行っていくべきだと考えます。

「業者任せの事業」/不法投棄ごみ残存問題特別委

なれ合いの構図を非難

宮古毎日新聞 2015.12.09

市が2012年度に、一括交付金を活用した不法投棄ごみ撤去事業で、業者に処分場出入り口の鍵を預けっ放しにしたほか、収集したごみの総重量も把握していないことが8日に行われた第9回不法投棄ごみ残存問題調査特別委員会(佐久本洋介委員長)で指摘された。

委員からは「業者任せの事業」となれ合いの構図を厳しく非難する声が相次いだ。当局の答弁も一貫性がなく、根拠を示す資料も提出されないことから、同問題の全容解明は厳しい状況だ。

収集したごみは、市の最終処分場(川満、野田)と民間の処分場に運ばれ処理したとされるが、その際、職員の立ち会いはなく処分数量も確認されていない。

処分場出入口の鍵を業者に預け、出入りを自由にさせたことも発覚。計量データや日報もなく、業者が現場で使用したという「自社保有」重機も確認していなかった。

業者の回答書では、事業が3年を過ぎており「資料の収集整理に期間を要する」とし、伝票などの資料提出は難しい状況を示しているにもかかわらず、担当者は「今、伝票を作成中」と状況とは違う答弁をするなど一貫性がなく、委員から指摘を受ける場面が相次いだ。

同委員会は、今後も継続で行われるが、委員からは「話を聞けば聞くほど、業者に任せきりだったというのが分かる」「正直に答えてもらわない限りは進展しない」など、当局に対する不信感が募るばかり。「今ある現実をそのまま報告する以外はない」と述べ、全容解明は難しいとの考えを示す委員もいた。

※宮古島市が産業廃棄物の処理業者であった場合は、この不祥事だけで完全に「許可取り消し」になります。しかも、適正な処理を行っていける見込みもありません。当局(ごみ処理の責任者)が体裁を繕うために嘘を付くようになったらオシマイです。民間企業なら倒産します。


焼却灰の「セメント資源化」の馬鹿馬鹿しさを考える

2015-12-09 00:08:50 | ごみ処理計画

昨日の沖縄タイムスの1面に、浦添市と中城村北中城村清掃事務組合の広域処理に関する記事が掲載されていました。

ところが、驚いたことに、焼却灰のセメント資源化を行う計画になっていました。

このブログの管理者は、内地で長年焼却灰のセメント資源化に関わっていたので、その「馬鹿馬鹿しさ」を良く知っています。

現在、沖縄県民の約70%(約100万人)が溶融炉に依存していますが、沖縄の市町村は、どうしてこうもごみ処理に無駄なエネルギーを消費することを考えるのでしょうか?

今日は、かなり落ち込んだ気分で記事を書きます。

まずは、下の画像をご覧下さい。浦添市と中城村北中城村清掃事務組合が広域処理を行った場合のザックリとしたフローです。

 

原寸大の資料(画像をクリック)

 

焼却灰には主灰(約80%)と飛灰(約20%)がありますが、普通は主灰をセメントの原料に使います。浦添市と中城村北中城村清掃事務組合もその基本ルールに従っているようです。ちなみに、広域計画においては飛灰は九州まで運んで資源化(山元還元)すると新聞には書いてありました。これも、このブログの管理者はエネルギーの無駄遣いだと考えています。

主灰には飛灰ほどではありませんが、セメントに有害な(鉄筋を腐食させる)塩分が少なからず含まれています。このため、主灰をセメントの原料(粘土の代替資源)として利用するためには、前もって塩分を除去しなければなりません。塩分を除去する方法は、今のところ「水洗い」する方法しかありません。

しかし、その「水洗い」をするためには、焼却灰の約20倍の水が必要になります。もちろん、「脱塩施設も必要になります。

そして、「水洗い」をすれば、当然、塩分濃度の高い「汚泥」が発生します。このブログの管理者が知っている限りでは、その量は主灰の10%くらいになります。

そこまですれば、主灰をセメントの原料として資源化することができます。

けれども、有価物として売却することはできません。その理由は、セメントメーカーが買わないからです。つまり、セメントメーカーは廃棄物処理業者なのです。したがって、市町村(住民)が処理費を負担しなければ資源化してくれません。

ところが、市町村が主灰を資源化するために「水洗い」すると、実は、塩分と一緒に重金属類等の有害物質の多くも除去することができます。

そうなると、わざわざ高い処理費を払ってまでセメント原料として資源化する必要はなくなります。なぜなら、市町村が自分で利用することができるようになるからです。

浦添市も中城村北中城村清掃事務組合も溶融炉を整備しています。組合の方は平成26年度から「運転経費が高い」という理由で溶融炉を休止していますが、浦添市は溶融炉を利用しています。しかし、主灰を「水洗い」したものは、環境汚染リスクについては溶融スラグと似たようなものなのです。

このブログの管理者は、そうであるならば、「水洗い」した主灰は、例えば生コン用の砂として利用することができると考えています。多少塩分が残っていても、鉄筋を使わない現場で利用すれば問題はありません。むしろ、塩分があることでコンクリートの強度が高くなります。

利用法方法はともかく、主灰をセメント原料として資源化するための「脱塩施設」は、言ってみれば「溶融炉」と同じ施設なのです。

ここまで書けば、このブログの読者の皆さんも、その「馬鹿馬鹿しさ」に気が付いていただけると思います。

つまり、浦添市と中城村北中城清掃事務組合が考えている広域処理とは、焼却灰ではなく溶融スラグ(焼却灰を高温で溶かしたものではあるが、主灰を約20倍の水を使って「水洗い」したものとほぼ同じもの)を資源化するためにセメントメーカーに高い処理費を払ってセメントという汎用性の高い有価物に変えるだけの「資源化」でしかないことになります。

そのために、どれだけのエネルギーを消費することになるのか?

考えれば考えるほど、ため息が出ます。

本日は、これまでです。