沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

国の補助金に対する国の法令違反を考える

2015-10-20 09:30:18 | 補助金

今日は国の補助金に対する市町村の法令違反ではなく国の法令違反を考えてみます。もちろん、国の補助金とは市町村が整備するごみ処理施設に対する補助金のことです。また、国とは環境省を含む全ての省庁になります。

まず、法令の規定から整理します。なお、ごみ処理施設に対する国の補助金については補助金適正化法と廃棄物処理法の規定が適用されます。

◆補助金適正化法第3条第1項

各省各庁の長は、その所掌の補助金等に係る予算の執行に当つては、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し、補助金等が法令及び予算で定めるところに従って公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。

この規定は国が交付する全ての補助金について適用されます。したがって、市町村が整備するごみ処理施設に対しても補助金が公正かつ効率的に使用されるように努めなければならないことになります。

次は廃棄物処理法の規定です。

◆廃棄物処理法第4条第3項(要約)

国は、廃棄物の処理に関する技術開発の推進を図り、市町村に対し必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。

この規定が、国が市町村に対して補助金を交付する根拠になります。

◆廃棄物処理法第5条の4

国は、廃棄物処理施設整備計画の達成を図るため、その実施につき必要な措置を講ずるものとする。

この規定が、国が市町村に対して補助金を交付する条件になります。つまり、この規定により国は廃棄物処理施設整備計画の達成を図ることができないごみ処理施設については補助金を交付することができないことになっています。では、廃棄物処理施設整備計画とはどのような計画なのか?

◆廃棄物処理法第5条の3

環境大臣は、廃棄物処理施設整備事業の計画的な実施に資するため、基本方針に即して、5年ごとに、廃棄物処理施設整備事業に関する計画(以下「廃棄物処理施設整備計画」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

廃棄物処理施設整備計画とは環境省の長が基本方針に即して作成した原案を閣議において決定した計画になります。したがって、全ての省庁の長が決定した計画になります。では基本方針とはどのような方針なのか?

◆廃棄物処理法第5条の2

環境大臣は、廃棄物の排出の抑制、再生利用等による廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

基本方針とは環境省の長が定めた方針になります。したがって、ごみ処理施設に対する国の補助金はどの省庁であっても環境大臣が定めた基本方針に従って交付されることになります。

このように、国が市町村のごみ処理施設に対して補助金を交付する場合は、市町村のごみ処理計画が環境大臣が定めた基本方針に適合していなければならないことになります。では、市町村のごみ処理計画とはどのような計画なのか?

◆廃棄物処理法第6条

市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画(以下「一般廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。

このブログは一般廃棄物処理計画をごみ処理計画と呼んでいますが、この規定には基本方針に関することは書かれていません。したがって、市町村は環境大臣が定めた基本方針に従わずにごみ処理計画を定めることができます。ただし、基本方針に従わない場合は国の補助金は利用できないことになります。

以上により、国が法令に違反する場合は、環境大臣が定めた基本方針に適合しないごみ処理計画を策定している市町村に補助金を交付した場合になります。

なお、沖縄県の場合は防衛省が補助金を交付するケースが多々ありますが、もちろん防衛省に対してもこの規定が適用されます。

 


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