ごみ処理は市町村の自治事務なので、地域の特性等を考慮しながら計画を策定することができます。そして、民間企業と異なり市町村がごみ処理施設を整備する場合は国から財政的援助を受けることができます。
実は、沖縄県内の市町村は内地の市町村よりも有利な条件で国の補助金を利用することができます。
下の画像は、国の補助金に関する資料(循環型社会形成推進交付金交付要綱)の沖縄県に関係する部分を抜粋したものです。
原寸大の資料(画像をクリック)
上の画像にあるように、15のごみ処理施設の長寿命化に関する補助金は沖縄の市町村だけが利用できます。このため、県内の市町村は供用開始から11年目から13年目頃にこの補助金を利用して長寿命化を行っています。その理由は、12年目頃からごみ処理施設の初期機能が低下し始めるからです。
これは内地の市町村も同じです。しかし、沖縄の市町村だけは「基幹的設備改造」と言って、ごみ処理設備の機能を国の補助金を利用して初期の状態まで回復することができます。車で言えば、内地の車は国やメーカー等が作成した一般的なマニュアルに従って修理をして乗り続けることになりますが、沖縄の車だけは新車同様の状態に戻して乗り続けることができます。
もちろん、この補助金を利用するかどうかは県内の各市町村が任意に決めることになりますが、今のところ、中城村北中城村清掃事務組合以外はこの補助金を利用して既に長寿命化を行っているか長寿命化を行う予定でいます。
このブログの管理者は、沖縄県におけるごみ処理施設の長寿命化については、国によるこの「特例措置」を積極的に活用すべきだと考えます。なぜなら、この「特例措置」が県内の市町村が最少の経費で最大の効果を挙げるために用意されているからです。
なお、この「特例措置」については内地の市町村の多くが沖縄と同じようにすることを国に要請していますが、国は予算の確保が困難という理由で断っています。内地では老朽化が進んでいるごみ処理施設が多く、3.11以降も各地で自然災害が発生していることもあり、ごみ処理施設の長寿命化に対する国の予算確保は想像以上に厳しい状況になっています。
このため、地方版総合戦略がスタートするとこの「特例措置」が廃止される可能性もあります。今は、普天間基地の移設問題で国と県が対立している状況ですが、このブログの管理者はその影響が県内の市町村の自治事務にも波及する恐れがあると考えています。
※国の補助制度について改正や廃止等が行われる場合、その時点で市町村が国との協議を開始している場合は、原則として従前の制度を継承して補助金を利用することができます。したがって、中城村北中城村清掃事務組合は、これからどのような計画を策定するにしても、手遅れにならないように国との協議を開始しておく必要があると考えます。ちなみに、組合よりも1年遅れてごみ処理施設を整備した中部北環境施設組合(うるま市・恩納村)は今年度から長寿命化に着手しています。また、組合よりも3年遅れてごみ処理施設を整備した那覇市南風原町環境施設組合は既に長寿命化を行うための準備(実施計画の策定等)に着手しています。