沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

改めて中北組合に対する沖縄県の不適正な技術的援助を考える(その3)※法令違反の検証

2016-07-22 07:42:53 | ごみ処理計画

その3は、その2の最後にアップした沖縄県の法令違反に関する検証を行います。

その前に、下の画像(3つ)をご覧下さい。

これは、中北組合に対する沖縄県の技術的援助の概要と問題点を整理した資料です。  

この中で、一番問題になるのは、やはり県が中北組合に対して地方財政法第8条の規定に違反する技術的援助を与えていることになると考えます。そして、次に問題になるのは、ごみ処理計画を廃棄物処理法の基本方針に適合しない計画に改正することになっても、国の補助金を利用するときに基本方針に適合する計画に再度改正すればよいという不誠実かつ不公正な技術的援助を与えていることだと思います。

この資料は、最初の資料から重要な技術的援助と問題点を整理したものですが、沖縄県は地方財政法第8条の規定を知らなかったか、十分に理解していなかった可能性があります。なぜなら、都道府県が市町村に対して法令違反を誘導するような不適正な技術的援助を与えることは考えられないからです。 

この資料は、県の技術的援助が適正であると想定して作成したものですが、その場合はこんなことになってしまいます。なお、法令違反はともかく、県の職員の補助金に対する考え方は全体の奉仕者である地方公務員としての資質が問われる重大な問題だと考えています。

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下の画像は、地方財政法第8条に関する沖縄県の技術的援助のスキームを整理した資料です。

県の技術的援助においては、地方財政法第8条の規定を知っているか知らないかが重要なポイントになりますが、中北組合に対する技術的援助については、知らなかった可能性が高いと判断しています。

県の職員は、他の市町村(例えば浦添市) には処分制限期間を経過した設備に対して長寿命化を図るように技術的援助を与えています。しかし、中北組合に対しては平成25年度に休止を認める技術的援助を与えています。そして、平成26年度と平成27年度も休止を認めています。したがって、中北組合に対して技術的援助を与えている職員は、地方財政法第8条の規定を知らないと判断します。しかし、知らないことは単なる過失ではなく重大な過失になると考えます。

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次に、下の画像(2つ)をご覧下さい。

これは、 市町村の法令違反と国の財政的援助の関係を整理した資料です。

このように、仮に中北組合が国の補助金を利用してごみ処理施設を更新又は新設するときにごみ処理計画を廃棄物処理法の基本方針に適合する計画に再改正した場合であっても、組合はごみ処理施設の更新又は新設が完了するまでは法令に違反して事務を処理していることになります。しかし、そのような市町村に対して国が財政的援助を与えると国も法令(廃棄物処理法第4条3項)に違反することになってしまいます。

上の画像は、中北組合に対する県の技術的援助が適正な技術的援助であると想定して作成した資料です。中北組合は県の技術的援助によって溶融炉を休止して焼却灰の委託処分を行っていますが、国は設備の長寿命化を行わずにごみ処理の外部委託を行っている市町村に対して財政的援助を与えることになってしまいます。しかし、それでは設備の長寿命化を行う市町村(内地を含む)がいなくなってしまいます。

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下の画像は、一般廃棄物の適正な処理に関する地方公共団体に対する国の技術的援助を整理した資料です。

国(環境省)は、市町村による一般廃棄物の適正な処理を確保するための技術的援助として基本方針を定めて財政的援助を与えています。しかし、県は基本方針や基本方針に即して県が定めている廃棄物処理計画を無視して市町村に技術的援助を与えています。そして、廃棄物処理法以外の関係法令(地方財政法等)も無視しています。

地方公共団体が法令を遵守して事務を処理することは当たり前のことなので、わざわざ文書等で技術的援助を与えるようなことはしませんが、沖縄県は基本的に廃棄物処理法の規定に適合していれば、適正な処理を行っていると判断しています。

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下の画像は、沖縄県内の市町村が国の補助金を利用する場合に県が市町村に与えている技術的援助の内容を整理した資料です。

県は廃棄物処理法の規定に適合していれば、基本的に適正な処理を行っていると判断しています。したがって、環境省が示している条件に適合すれば国の補助金を利用することができるというとてもシンプルな発想で技術的援助を与えています。

このブログの管理者は、県が廃棄物処理法以外の関係法令を無視しているのは、市町村に対して必要な技術的援助を与えるための関係法令に対する認識が十分ではないからだと考えています。そうでなければ、県は意図的に関係法令を無視していることになってしまいます。

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下の画像は、国の補助金に対する沖縄県の考え方を整理した資料です。

関係法令に対する認識が不十分であるとしても、この考え方は明らかに国民や県民を愚弄している考え方になります。県の職員だけでなく県からこのような技術的援助を受けて、それに従ってごみ処理計画を改正している中北組合の職員も地方公務員としての自覚がまったく足りないとしか言いようがありません。

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とういうことで、本題に入ります。

まず、廃棄物処理法第4条第2項違反を検証します。

地方公共団体である中北組合には法令に基づく様々な責務がありますが、一番重要な責務は関係法令を遵守して事務を処理することだと考えます。したがって、その責務を果たせなくなるような技術的援助を県が与えることは、不必要な技術的援助を与えることになり、間違いなく廃棄物処理法第4条第2項の規定に違反する事務処理になると考えます。

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次に、廃棄物処理法第5条の6違反を検証します。

沖縄県廃棄物処理計画は廃棄物処理法の基本方針に即して定められているので、国は県に対して基本方針に基づく施策(設備の長寿命化等)に関する技術的援助を与えています。しかし、県は中北組合に対して溶融炉の休止を認める技術的援助を与えています。このことは、県が市町村に対して設備の長寿命化を免除する技術的援助を与えていることなり、結果的に県の廃棄物処理計画の達成に必要な措置を講じていないことになります。したがって、県の技術的援助は廃棄物処理法第5条の6の規定に違反していることになると考えます。なお、中北組合が県の廃棄物処理計画に適合しないごみ処理計画を策定していても法令違反にはなりませんが、県の事務処理は県の方から廃棄物処理計画の達成を放棄していることになるので法令違反になると考えます。

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次に、地方自治法第2条第6項違反を検証します。

中北組合による溶融炉の運用は、市町村の自治事務に関する事務処理になります。しかし、県は中北組合に対して溶融炉の運用を放棄してもよいという技術的援助を与えています。このことは、県が市町村の自治事務に対して不必要な技術的援助を与えて過剰な関与を行っていることになります。このような技術的援助は明らかに県と市町村の事務処理が競合していることになるので地方自治法第2条第6項の規定に違反していると考えます。

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次に、地方自治法第245条の2違反を検証します。

補助金適正化法第22条の規定には、但し書きにより「処分制限期間を経過した場合は財産を処分しても補助金の返還を免除する」という趣旨の規定がありますが、地方財政法第8条の規定に「所有財産の処分制限期間を経過した場合は所有の目的に応じて効率的な運用を行うことを放棄してもよい」というような但し書きはありません。しかし、県は県の判断で地方財政法の適用を除外しています。このことは法令に基づく根拠のない状態で市町村の自治事務に関与していることになるので、地方自治法第245条の2の規定に違反していると考えます。

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次に、地方自治法第2条第16項違反を検証します。 

県の技術的援助は4つの法令の規定に違反していることになりますが、数には関係なく1つだけでも違反があれば地方自治法第2条第16項の規定に違反していることになります。

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次は、県の職員の服務規程違反を検証します。

県の職員は、中北組合と同じように溶融炉を整備している自治体(浦添市や那覇市等)に対して、溶融炉の長寿命化を求める技術的援助を与えています。そのことは、これらの自治体が県と協議を行い国の補助金を利用して溶融炉の長寿命化を行うための「地域計画」を策定していることからも明らです。したがって、県の職員には全体の奉仕者としての自覚がないことになります。そして、不誠実かつ不公正に服務していることになるので、服務規程に違反していることは明らかだと考えます。

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次に、地方公務員法第32条違反を検証します。

県が市町村の自治事務に対して技術的援助を与える場合は、普通は担当課長や係長等が与えることになります。しかし、上司である担当部長の確認又は承認を得てから技術的援助を行うことが通例になっています。したがって、中北組合に技術的援助を与えた職員は上司の命令に従って職務を遂行していることになりますが、その命令が法令に違反している場合は命令を拒否しなければなりません。したがって、命令を行った上司も命令に従った部下も地方公務員法第32条の規定に違反していると考えます。また、上司も部下も県の職員の服務規程に違反して職務を遂行しているので地方公務員法第32条に違反していることは明らかだと考えます。

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次に、地方自治法第148条違反を検証します。

これは、県知事に適用される規定ですが、おそらく知事は職員が中北組合に対して法令に違反する不適正な技術的援助を与えていることは知らないなずです。しかし、だからといって知事の責務である事務の管理や執行が免責されることにはなりません。また、知事には職員が法令に違反する不適正な事務処理を行わないように職員のコンプライアンス意識を向上させる責務があります。したがって、県知事は結果的に地方自治法第148条の規定に違反していることになります。

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次に、地方自治法第154条違反を検証します。

もしかすると、沖縄県においては知事が知事の判断で法令解釈を行っている可能性がありますが、市町村に対する職員の技術的援助がWスタンダードになっていることを考えると、職員の服務規程違反を見逃していると考えるのが普通の考え方だと思います。しかし、そのことは補助機関である職員に対する指揮監督を怠っていることになるので、知事が地方自治法第154条の規定に違反していることは明らかだと考えます。

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以上が、沖縄県の法令違反に関する検証になりますが、県と県の職員(知事を含む)は、結果的に8法令1規程に違反して事務を処理していることになるというのが、このブログの管理者の結論です。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、中北組合が浦添市と広域組合を設立して、国の補助金を利用して広域施設を整備するという前提で作成した資料です。 

中北組合は広域組合を設立する前に浦添市と共同で「地域計画」と広域組合の「ごみ処理計画」を策定することになります。そして、中北組合の「ごみ処理計画」も見直すことになります。しかし、これらの計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していたとしても、その他の関係法令に違反している場合は、国の補助金を利用することはできないことになります。特に、市町村が広域処理を行う場合は廃棄物処理法第6条第3項と地方財政法第2条第1項の規定が適用されることになるので、中北組合が地方財政法第8条違反を是正した場合であっても、これらの法令に違反している場合は広域処理を推進することはできないことになります。

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下の画像は、上の資料から廃棄物処理法の規定のみを抽出して整理した資料です。

 

県は他の法令はともかく、廃棄物処理法の規定に適合しない場合は不適正な処理になると判断しています。したがって、中北組合が広域処理を推進する場合には、浦添市のごみ処理計画との調和を確保するために、焼却灰の委託処分を中止するための技術的援助を与える必要があることになります。

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下の画像(3つ)は、その1とその2の記事で使用した資料ですが、県と県の職員が法令違反を是正するためには、中北組合に対して廃棄物処理法以外の関係法令も遵守するようにこのような技術的援助を与える必要があると考えています。

県を含めて地方公共団体(一部事務組合を含む)は平成28年度中にインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」を策定することになっています。したがって、中北組合だけでなく浦添市も「行動計画」を策定することになりますが、浦添市は中北組合の「行動計画」が決定しなければ市の「行動計画」を策定できない状況になっています。このため、上の資料にあるように県は法令遵守だけでなく浦添市の事情も考えながら中北組合に対して必要な技術的援助を与えなければならないことになります。

これは、1つ目の資料から地方財政法第2条第1項に違反する部分を抜粋して作成した資料ですが、このように廃棄物処理法の規定に適合する適正な施策であっても、浦添市(議会や市民)の理解と協力が得られないような施策は、技術的援助の選択肢から除外しなければならないことになります。

その2の記事にも書きましたが、「行動計画」には更新コストの見通しを記載することになっています。したがって、中北組合と浦添市が広域処理を推進する場合は、広域施設を整備するときのイニシャルコストに対する見通しを記載することになります。もちろん、そのイニシャルコストは国の補助金を利用する前提で試算することになるので、事務処理に必要な時間を考えると中北組合は平成28年度の前期には既存施設(焼却炉と溶融炉)に対する施策を決定しなければならないことになります。したがって、県は早急に中北組合に対して適正な技術的援助を与えなければならない状況になっていると考えます。

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下の画像は、中北組合に対するこれまでの技術的援助を適正な技術的援助であると判断している職員(関係法令に対する認識が十分にあるとは言えない職員)と、中北組合に対する技術的援助は不適正な技術的援助であったと判断している職員(関係法令に対する認識が十分にあると言える職員)による中北組合に対する技術的援助を比較した資料です。

浦添市は、間違っても法令に違反している市町村と広域処理を推進することはできません。そして、浦添市も今年度中に「行動計画」を策定しなければなりません。したがって、中北組合が平成28年度の前期に「ごみ処理計画」の見直しを行わなかった場合は、その段階で広域処理を白紙撤回して単独更新を前提とした「行動計画」の策定に着手することになると考えます。その場合、中北組合は県の職員の重大な過失によって住民から40億円以上の自主財源を確保しなければならないことになります。

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次に、下の画像(2つ)をご覧下さい。

1つ目は、広域処理に関する事務処理を担当する地方公共団体の職員が知っていなければならない関係法令の規定を整理した資料です

2つ目は、平成27年度における浦添市と中北組合のごみ処理計画の概要を比較した資料です。


上の資料において黄色の枠にある規定は、広域処理や既存施設の財産処分を行うことによって住民に対する「行政サービス」の水準を低下させないための措置になります。

このように、浦添市と中北組合は最終処分場の整備を行わずに同様の既存施設を所有していますが、既存施設に対する計画と焼却灰に対する計画はまったく調和を保っていない計画になっています。したがって、県が中北組合に対して技術的援助を与える場合は、まず、廃棄物処理法第6条第3項の規定に基づいて中北組合の計画と浦添市の計画との調和を保つことを大前提にしなければならないことになります。ただし、①浦添市と同じように溶融炉を再稼動して焼却炉と一緒に長寿命化を行う施策、そして、②焼却灰の資源化を外部委託して溶融炉を廃止する施策は、地方財政法第2条第1条の規定に抵触する施策であり、浦添市(議会と住民)の理解と協力が得られない施策になるというのがこのブログの管理者の意見です。

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最後に、もう一度この資料をご覧下さい。

このブログの管理者は、浦添市と中北組合だけは広域処理を行うことはないと考えていましたが、浦添市は広域処理に同意しています。そして、中北組合は平成28年3月に浦添市との広域処理を推進することを決定しています。しかし、県は浦添市と中北組合に対して異なる技術的援助を与えています。しかも、県はそのことを否定できない状況になっています。なぜなら、浦添市は平成24年度に焼却炉と溶融炉の長寿命化を実施して最終処分ゼロを継続していますが、中北組合は平成26年度から溶融炉を休止したまま焼却炉の長寿命化を行わずに焼却灰の委託処分を続けているからです。

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県の職員と中北組合と浦添市の職員との間でどのような協議が行われているかは分かりませんが、県の技術的援助により中北組合が平成28年度において関係法令と廃棄物処理法の基本方針に適合する「行動計画」を策定することができない場合は、広域処理に関する全ての協議、そして協議に費やしている全ての時間と予算が無駄になってしまいます。

その4に続く


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